そのときのはなし
おちないリンゴ
小劇場 楽園(東京都)
2014/11/12 (水) ~ 2014/11/16 (日)公演終了
満足度★★★★
前菜、メインディッシュ2皿、デザートという構成
長さから言って前菜、メインディッシュ2皿、デザートという構成の4編、それぞれ特色があって面白い。
「アップルパイな人々」(作・黒川陽子)
兄と妹が互いの口調の真似をしているうちに…な状況から不思議な世界にという発想がイイ。
ちょっとした言い間違い(?)的な言葉遊びも相俟って頬が緩みっ放し。
「女2」(作・坂本鈴)
同人として小説も書く主人公の現実と妄想。オトメの身勝手な想い(?)とシームレスながら場の転移がちゃんとワカる演出が◎。
「POSHLOST」(作・モスクワカヌ)
ゲームのシナリオライターがゲーム内で自身を再発見する入れ子構造(←現実まで含む)と楽曲が好み。
「やぎさんと永遠」(作・オノマリコ)
まど・みちおを取り上げるところがリコさんっぽい?(笑)
さらにそれから「永遠」に関する考察に展開させるのがイイ。
背もたれが高く控えた役者を隠すことができる椅子と小道具を収納したテーブル(?)だけの装置もステキ。←劇団四季「ジーザス・クライスト・スーパースター(ジャポネスクver.)」の大八車を連想
ただ、見かけは同じなのでテーブルの位置を間違えたら大変だろうなぁ…。
メイツ! -ブラウン管の向こうへ-
劇団6番シード
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2014/10/29 (水) ~ 2014/11/09 (日)公演終了
満足度★★★★
BLUEメイツver.
“あの”スクールメイツや昭和50年代のスタア歌手を元ネタにした人物たちが織り成す昭和歌謡青春ミュージカルコメディ。
個性的過ぎる(笑)人物や大仰で劇的な展開は大映テレビのドラマを想起させる。
が、一瞬の矢口史靖風(私見)を経ての終盤は感動要素も加えて往年の(少女隊やセイントフォーとかの)アイドル映画(それもお正月映画として公開されたもの)的なノリに。
思えばそれも劇中設定とそう変わらない頃のものではないか。
設定の79年には十分物心がついていた身として、当時のものを模したオリジナル楽曲はもちろん、台詞の端に出てくる当時の流行り言葉などもワカって、もう頬が弛みっ放し。
どさくさに紛れてイマのものが少々入っていたりするのもコメディとしてアリでまた楽しからずや。
いやぁ、愉快愉快♪
棚からハムレット
CAPTAIN CHIMPANZEE
ザ・ポケット(東京都)
2014/11/05 (水) ~ 2014/11/09 (日)公演終了
満足度★★
今回はいろいろ残念
原典の基本設定(のいくつか)を現代の小劇場界に置き換えての物語はここの得意とするところでいつもながら巧み。
がしかし、今回は最後に主人公に言わせる台詞ありきで作られたようで、そのために主人公の人物像が、そして延いては物語自体が不安定になってしまった憾みあり。(詳細はネタバレBOXにて)
が、1シーンで見せた擬闘と使い方によっていくつかの場所をそれらしく見せる装置は良かった。
オレンジジュースに罪はない
3つの劇団が同じタイトルで作品を作ってみました公演実行委員会
テルプシコール(TERPSICHORE)(東京都)
2014/11/07 (金) ~ 2014/11/09 (日)公演終了
満足度★★★★
各団体の個性・アプローチが如実に出た好企画
2団体を観たことがあるのも手伝って各団体それぞれの個性とアプローチの違いが如実に出た感じで面白い、好企画。
【バカバッドギター】
冒頭のタイトルの「ボキャブラ天国」的な地口が巧み(こういうの好き)でトップバッターに最適。
本編も個性がよく出たものだったが、タイトルを噺の枕的にしか使わなかったのがちょっと残念。
【劇団皇帝ケチャップ】
受け答えが微妙にズレたりするのではなく、ごく普通のものでありながらも笑いを誘う会話のセンスは特筆もので、客席の笑いも一番多かったような。
ただ、タイトルが今一つ前面に出ていなかったのが惜しい。
【サラリーマンチュウニ】
団体初見。団体名から察するに会社ものが得意?
既視感のあるストーリーではあったがタイトルの押し出し方・練り込み方は一番明確だったのではないか?
企画の言い出しっぺだけに巧妙?(笑)
柚木朋子の結婚
studio salt
鎌倉/古民家スタジオ・イシワタリ(神奈川県)
2014/10/11 (土) ~ 2014/11/16 (日)公演終了
満足度★★★
内容と会場が合致し過ぎ
柚木家の長女・朋子が知的障害者と結婚すると言い出すが既婚の弟・妹は反対し…な物語。
会場である古民家の雰囲気と相俟って極めて日本的な印象、それも、外国人にはワカらないのではないか?というレベル。
あれこれ語り過ぎず、「そこはお客さんが自ら悟ってね」な脚本も日本的なのかしら?
で、細やかな家族の機微が浮き上がって来るものの、会場にハマり過ぎて逆に演劇公演らしからぬ「ナニカ」まで漂ってしまったような…。
あの脚本は、あの会場に合わせて書かれたものだそうだ。
なのであまりに「調い過ぎた」のではなかろうか。
乱暴な物言いをすれば、そういうのは映画の領域であって、芝居でやると邪道、みたいな。
思えば、σ(^-^)が今までに観た古民家で上演された芝居はチェーホフ作品、岸田國士作品、落語(を芝居にしたもの)など、どこかに「作り物」感と言うか、その場所にそぐわない要素があったのだ。
鳥公園の「おばあちゃん家のニワオハカ」にしても非現実的な要素があったのだ。
しかし本作は場所にしても時代にしても諸設定にしても、会場にあまりに合致「し過ぎて」、却って演劇らしさが薄れてしまった、みたいな…。
芝居自体は悪くなかったし、満足の行くものではあったのだけれど、どこかひっかかるモノがあったのは否めない。
色のない虹
ポムカンパニー
シアター711(東京都)
2014/10/30 (木) ~ 2014/11/03 (月)公演終了
満足度★★★★
深読みしながら楽しむ
画家生命の危機に瀕した若い女流画家と彼女をとりまく人々の物語。
他者の画才にたじろぐ者、他人は他人、自分は自分と割り切る者や画家を志しながら諦めた者など、松木主宰の演劇に対する想いや経験の隠喩と深読みしながら観てあれこれ得心。
こんな風に真偽のほどはともかく、勝手に深読み(時に誤読)できる芝居って面白いんだよな。
ま、某作曲家に着想を得たのでは?というのは誤読だったが…(笑)。
あと、カンバスのフレームあるいは額縁をモチーフとした舞台美術もステキ。
【【全ステージ終了しました。ご観劇頂いた皆様ありがとうございました。】だいすき3つごちゃん。
なかないで、毒きのこちゃん
@南阿佐ヶ谷(南阿佐ヶ谷駅出口1集合)(東京都)
2014/11/01 (土) ~ 2014/11/03 (月)公演終了
満足度★★★★
独創的な趣向もあるお散歩芝居
住宅街から善福寺川緑地にかけての路上で繰り広げられる若い男女の「雨降って地固まる」な会話劇。
作品に絡む趣向もあり、東京タンバリンの「吉祥寺お散歩」(2012年)とは似て非なる…どころか独創的なものとなった。
ラストは「やや卑怯」(笑)だが、背乃じゅん嬢の明るい笑顔に免じて赦してやるか(爆)。
なお、中田麦平氏の剣幕と不器用な男っぽさも見もの。
ドドスカドン
ワイアールジャパン
シアターブラッツ(東京都)
2014/10/29 (水) ~ 2014/11/03 (月)公演終了
満足度★★★★
続けて欲しい路線
先日観た「鈴木家の幸福」との共通点は「小劇場系の(あまり)知られざる(あるいは隠れた)名作」を「その脚本家の演出」で「小劇場系の巧い役者を1人(?)」迎えて上演すること、か。
着目点がイイな。この路線、続けて欲しい。
で、「カメレオン俳優」(笑)の蓮根さんってば、本作でも怪演…いや快演。
出オチもありつつ、役に見事にハマっているんだよなぁ。
あと、もう1人のホステス(ホスト?)役の方もいかにも居そうな感じがして◎。
あ、もちろん作品そのものも上出来。(ナルペクト版は未見)
未開の議場
カムヰヤッセン
王子小劇場(東京都)
2014/10/22 (水) ~ 2014/10/27 (月)公演終了
満足度★★★★★
27日の追加公演もリピート
外国人居住者も多い街のイベントに関する商店街青年部理事会の会議…な物語、論理的に意見を述べるのが不得手な日本人らしく議論が迷走するところは北川版(あるいはカムヰ版)「12人の優しい日本人」なオモムキ。
とはいえ結論が二者択一の「12人…(男・日本人・大阪人)」や九者択一の「ナイゲン」などと違い「明確なゴール」がない会議なのが独特。
それにもかかわらず約120分を飽きさせずに引っ張り続けるのが巧みなところ。
時には身につまされ、時には笑わせられるやり取りの中にはヘイトスピーチの「元凶」的なものに関する考察(?)なども含まれており考えさせられたりも…。
また、人物の職業を的確に表した衣裳も◎。
恐ろしいほどにど真ん中の直球と言うか、言いたいことがこれでもかと言わんばかりにハッキリ前面に押し出されていて大変ワカり易く、なおかつとても面白かった。←題材にしても手法にしても好みだったから余計そう感じたのかも知れないが。
なお、翌27日マチネの追加公演を逆サイドから観たら、見える人物の表情が違うだけでなく、「会議中の書き込み」を目撃できたり、後の展開を知らないと気付かない伏線がワカったりもして、更に楽しめた。
対面客席などの公演でリピーター割引というサービスはありがたいなぁ。
【参考】三谷幸喜の逸話
ハッキリと自分の意見を述べるアメリカ人たちだからこそ「12人の怒れる男」が成立するのであって、奥ゆかしく議論が不得手な日本人だったらどうなるか?というのが「12人の優しい日本人」の執筆理由
嘆きのベイルート
ピープルシアター
シアターX(東京都)
2014/10/22 (水) ~ 2014/10/26 (日)公演終了
満足度★★★
【追記あり】金属光沢を放つような硬質な芝居
60を超える数の場を素早く転換することを可能ならしめた装置と演出は買うが、逆に「あ、もう次の場なのか」「また換わったのか」などと考えながら観ることになり忙しなく、入り込みにくい欠点も併せ持つ。
そんな中で語られるのは紛争の続くベイルートでの2人の若者を中心とした物語。
銃声や砲撃音が響く中での日常、当然のことながら登場人物は全てカタカナ名前、などから小説を原作とした邦人オリジナル脚本にもかかわらず翻訳劇的な印象。
そんなこんなにより金属光沢を放つ(色はブルースティール)硬質で直線的な芝居で、なおかつ映画を舞台で再現したような感覚。(作者の狙い通り?)
観応えもあったが、どこか取っつきにくさもあったというのが正直なところ。
【追記】
あと、音楽がクドいのには参った。
個人的な感覚だが、アクションやコメディならまだしも、シリアスな芝居の場合、管弦楽を使った映画音楽風の大仰な曲を使われると醒めてしまう。
「ここが山場ですよ」「さぁ、感動しなさい」などと押し付けられる気がするし、芝居自体で感動させる自信がないので音楽の助けを借りているようにさえ感じられてしまうのだ。
(シリアスな)芝居には簡素なBGMで十分ではなかろうか?
レティクル座の女の平和
レティクル座
レンタルスペース+カフェ 兎亭(東京都)
2014/10/24 (金) ~ 2014/10/29 (水)公演終了
満足度★★★★
チーム上品
前日に観たチーム大胆が「ド」が付くほどの変化球なのに対してこちらはど真ん中の直球(ただし紀元前のハナシの現代化はアリ)、見目も麗しくて観る順番としてもこれが正解♪
ただ、ポジション的にこちらは手前が良かったか…(爆)
あと、基本的には同じハナシながら落語のサゲのような「大胆」、しっとりした「上品」という結末の対比も◎。(あのオチは男じゃないと使えないしね(爆))
そんなこんなでセット券で両方観て正解。
さらに、上演時間は60分ほどなのにかなりこってりなので2日間に分けたのも正解。
レティクル座の女の平和
レティクル座
レンタルスペース+カフェ 兎亭(東京都)
2014/10/24 (金) ~ 2014/10/29 (水)公演終了
満足度★★★★
チーム大胆
原典と性別を逆転させることによりナンセンスコメディ色に染めて愉快。
元ネタの発表当時の受け止められ方もこんなだったのではないか?
また、そうすることで変にエロティックになることも回避しているか?
まぁしかし、品がないっちゃないので好みによるだろうが艶笑ものとして◎。
なお、「女優系」のゴウアーさんには奥側に陣取ることを推奨。(爆)
【全日程終了】葉桜/ぶらんこ 【ご来場ありがとうございました】
7度
シアター・バビロンの流れのほとりにて(東京都)
2014/10/24 (金) ~ 2014/10/26 (日)公演終了
満足度★★★★
豆腐はどう切っても豆腐
岸田國士の短編2編。
前半の「葉桜」は、見せ方はコンテンポラリーながら台詞回しは正統派。
従って瞑目すれば極めてオーソドックスな感覚。
そして視覚と聴覚のギャップに「カサブランカ」など往年の白黒名作映画に着色したものやモンローの肖像を加工したウォーホルのポップアートなどを想起。
休憩を挟んでの「ぶらんこ」は夫婦の会話劇を3人の女優が演ずる趣向。
役を固定せず各女優が夫を演じたり妻を演じたりするだけでなく、同じ台詞を2人の女優が片や普通に片や節を付けて同時に発したりもする変化球ぶり。
が、アレンジの「基礎編」たる葉桜を経て「応用編」的なぶらんこということで、さほど違和を感じない。
むしろこんなアレンジを施しても岸田は岸田…みたいな。
少し前に観たオクムラ宅の「さくらんぼ畑 四幕の喜劇」が、ああいう見せ方によって逆に元の戯曲の構造を露にしたように、7度の「葉桜/ぶらんこ」はコンテンポラリーなアレンジを加えることで岸田の岸田らしさを抽出したのではないか?
「豆腐はどう切っても豆腐」ってコトですかね。
暴走ジュリエット/迷走クレオパトラ
柿喰う客
あうるすぽっと(東京都)
2014/10/17 (金) ~ 2014/10/26 (日)公演終了
満足度★★★★★
原点回帰の暴走J
まさしく女体シェイクスピア第1弾「悩殺ハムレット」の再来?
原典を「ある世界」に翻案して90分を割る尺に収めながらも要点はちきんと押さえて名台詞も網羅するという。
しかもその台詞がちゃんと設定した世界の言葉に「翻訳」されているのがタマらん!
思えば第2弾以降「柳の下のドジョウ」にならないよう差別化のための工夫を重ね続けたフシがあり、前作などは考え過ぎな感さえ無きにしも非ずだったのがシェイクスピア作品中で1、2を争う有名作品を手掛けることもありその呪縛から解き放たれて原点回帰、シンプルな面白さが帰って来た!という感じ。
キャスティングも劇団員3人がワキを固めて土台を築き、その上で戦隊、ライダー経験者やミスマガジン出身から初舞台までの多彩な女優陣が縦横無尽に駆け回るというもので、女優系として嬉しい限り。
ホント、面白かったなぁ…。
Today is Fineday 2014 【池袋演劇祭CM大会・優秀賞受賞】
劇団C2
萬劇場(東京都)
2014/09/19 (金) ~ 2014/09/23 (火)公演終了
満足度★★★★
昭和中期の公開収録コメディのような懐かしさ
東京から少し離れた地方の町を舞台に展開するベタ…もとい、基本に忠実なストーリーとテンポの良さが鮮やか。
まるで昭和中期の公開収録の連続コメディのよう懐かしさあり。
地方の町だけにまだ黒電話があったりと小道具もレトロなものがあるのでなおさら。
「昭和感」を漂わせるための設定なのではないかしらん?
5分ほどの押しへの対応も開演前、終演後とも的確で、そこにも好感♪
泉鏡花を読む
オーストラ・マコンドー
ギャラリーLE DECO(東京都)
2014/10/15 (水) ~ 2014/10/19 (日)公演終了
満足度★★★★★
「世にも奇妙な物語・明治編」?
黒服のストーリーテラーが作品世界への案内役を務める少し不思議な物語のオムニバス、さながら「世にも奇妙な物語・明治編」?(ちょうど前夜に観たので尚更(笑))
1編目の「化鳥」はテキストを読むだけでなく動作や位置移動などもある「流行りのリーディング」スタイルながら効果音を生音で付けるのが独特。
まさかリーディングで本水まで使おうとは!(笑)
2編目の「国貞えがく」は見せ方が比類なく秀逸。
事前に概要を知ってしまってはいたが、「アレ」にあんなにも生き生きと「演技」をさせるなど思いもよらず感服。
発想もさることながら、それを具現化する工夫や演者の努力が偲ばれてステキ。
黄金のコメディフェスティバル2014
黄金のコメディフェスティバル
シアター風姿花伝(東京都)
2014/09/18 (木) ~ 2014/09/29 (月)公演終了
満足度★★★★
千秋楽ぶっ通しスペシャル
偶然の産物とはいえ、上演順が絶妙。
トップと殿(しんがり)をファルス系、ナンセンスギャグ系それぞれの王道に泣かせる要素を加えた珠玉の作品が務め、真ん中の2作は基本に忠実でファンタジー要素が加味されたもの、その間となる2番目、5番目をコメディとしては「変化球」(極論すれば「狭義のコメディ」ではないもの)にするなんざニクいねどうも。
ただ、「コメディ」の解釈は個人差があるのであくまで私見だが、コメディフェスティバルに参加するのであれば「狭義のコメディ」を上演すべきではないかとも思うので、たとえば「変化球」の2本がラストを飾るようであれば「ナンだかなぁ…(タメイキ)」だったかも。
(もちろんその2作の「演劇作品」としての意義を認めないものではありません)
赤い鳥の居る風景
世田谷シルク
座・高円寺1(東京都)
2014/10/13 (月) ~ 2014/10/19 (日)公演終了
満足度★★★★
世田谷シルクver.2?
プロローグ後の第一場はモロに別役実の世界で、ある意味意外ながら「あー、これこれ!別役芝居ってこうだよね♪」とニヤニヤ。
が、続く第二場で世田谷シルク節全開…というか会場サイズもあってか以前よりパワフルで高度、いわば「世田谷シルク・シーズン2」みたいな。
オドリコたちが(動きを止めた時に肩で息を切らせるほど)ダイナミックな動きをする中、主要人物たちがSTOMPあるいはNANTAのようなトリッキーなパフォーマンスを見せ、オドリコによる群読とアクターのマイム(?)…という回想場面は「進化したシルク」なオモムキ?
そこでグッと引き込まれ、さらに最初は素舞台同然だったところに持ち込まれた大小各種沢山の「アレ」で形作られる装置と、影の使い方も含めた照明効果で彩られる舞台に釘付け。
決して娯楽性の高い物語ではないが、演者のパフォーマンスと舞台の美しさで存分に楽しめた。
Heavens ~夜と夜と音楽~
天幕旅団
【閉館】SPACE 雑遊(東京都)
2014/07/11 (金) ~ 2014/07/14 (月)公演終了
満足度★★★★
「本歌取り」が得意なここならでは
かつて10人以上で(2度)上演したものを劇団員のみの4人で上演という趣向。
以前の「弔いの鐘は…」での4人が入れ替わりながら同じ役を演ずるようなことはなく、場毎に役は固定されていたのはやや残念だが、成立過程を考えれば当然のことだし、これはこれで安定感がある。
そして原典のアリスと較べて主人公に「背負ったもの」がある分、物語に奥行きがあるのは「本歌取り」が得意なここならではだが、終盤で明かされた「背負ったもの」は予想外に重く、そこまでのファンタジックな感覚との差異の大きさがけっこうコタえた。(いてててて…)
アンサータン・ストーリーズ
演劇ユニット「クロ・クロ」
劇場MOMO(東京都)
2014/10/15 (水) ~ 2014/10/19 (日)公演終了
満足度★★★★★
シンプルなゲンパビ、カラフルなクロ・クロ
大学の文学サークル出身で、夢で見たことを元に書くライトノベルで人気を博した作家が書いた原稿と酷似したことが起こり始め…な物語。
ゲンパビによるオリジナルを観ていたが…いや、観ていればこそなおさらに早い段階から「どれが現実?」と訝りながら観ることとなり、胡蝶の夢、ドグラ・マグラ、クラインの壺的感覚が大好きな身にはタマらん!
女優陣も様々なタイプを揃えてそれぞれステキで、女優系としてそっちの面の充実も嬉しい♪
また、音楽・音響も好みで、特に序盤の音楽と、あるシーンでの「テープの逆回し」的な効果を施した(?)ある音が幻想の中というか、アヤしい世界にいざなう感覚で印象的。
シンプルなゲンパビ版に対してこちらはカラフル、喩えればピアノ曲のオーケストラ編曲のようでそれぞれに味がある、といったところか。