いつになったら
劇団Peek-a-Boo
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2015/02/19 (木) ~ 2015/02/23 (月)公演終了
満足度★★★★
SFサスペンスかと思わせておいての…
崩壊寸前の5人家族の引きこもりの次男が53年後の日本の危機をめぐっての騒動に巻き込まれ…な物語。
珍しくも某映画を想起させる時間ものSFサスペンスかと思わせておいての終盤の「仮にやる気のなさがJの仕業によるものだったとしても、自分の力で立ち上がりたい」という台詞はいかにもここらしいもので「あ、やっぱり!」(笑)
弁天劇場のジュリエットたち
劇団オグオブ
キーノートシアター(東京都)
2015/04/24 (金) ~ 2015/04/26 (日)公演終了
満足度★★★★★
再演を熱望、続編も可能では?
200年の歴史がある江ノ島弁天劇場の閉館公演出演者募集に集まったのは舞台経験のない者ばかりで…な物語。
大好きな「ダメな面々がコトを為し遂げる」タイプな上に、シニカルなものを含む演劇界ネタもあり、2時間余の上演時間も長く感じず。
演出家(役&現実の作演)の語る演劇論的なものや演技に対する姿勢、主宰(役)の語る人気役者を起用した商業演劇と小劇場の実態(?)などが興味深く、終盤で演じられる劇中劇の演出も新旧の要素を取り混ぜていて面白いんだよなぁ。
で、結末も巧くまとめてあるけれど、やりようによっては続編もできそうだな、と微かに期待。
谷間にカンパイ!
劇団ズッキュン娘
シアター風姿花伝(東京都)
2015/04/22 (水) ~ 2015/04/27 (月)公演終了
満足度★★★★
キャラメルボックスにおける「TRUTH」的な作品
カメラマンと婚約し、グラビアアイドルから女優への転進を図るモモコに試練が…な物語。
恋愛要素が減りビター系に変貌、さらに従来は「ライバル」や「意地の悪い人」にとどまっていたのが「悪役」と言える人物を登場させるなど新境地開拓?
よって、ストーリー、人物像とも類型的な部分が無きにしも非ずではあるが、お得意のダンスやお約束の(?)主宰の“アレ”などで差別化して95分弱にまとめたのは巧み。
また、モモコを想う姉の気持ちと終盤でのモモコの決断がイイ。
特に終盤でのモモコの「赦し」に関する部分は、少し前に観た芝居から考えたことと一致して、共感と言おうか「やはりそうだよね」と言おうか。
で、次回公演は恋愛ものの傑作である「2番目でもいいの」の再演とか。藤吉主宰、策士でもある。
『蝶ゲンボウ』(チョウゲンボウ)
ひげ太夫
テアトルBONBON(東京都)
2015/03/24 (火) ~ 2015/03/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
神話・伝説色が濃くなってステキ
毎度お馴染み東洋風の架空の国の時代不明(というより「不問」?)の英雄譚だが、従来のマンガチックな絵本的世界よりも「ある設定」において民間伝承あるいは神話・伝説色が濃くなったのが今回の個人的ツボにして白眉。
もちろん、「喋る流れ星」「打たせ湯」「食パン」「某キャラクターの顔」などの表現系小ネタにもツボを突かれまくり。
サヨナラワーク
劇団エリザベス
スタジオネリム(東京都)
2015/04/18 (土) ~ 2015/04/26 (日)公演終了
満足度★★★★★
エリザベスど真ん中
心に傷を負った成美は友人の住む女性専用のシェアハウスに入居するが…な物語。
美人系にカワイイ系、それにメガネっ娘まで取り揃えられた女優たちがそれぞれ相応しい人物を演じ、途中からミステリアスな展開になるのはいかにもエリザベス。
その真相は好きなパターンの1つだったので薄々勘付いていたものの、別の好きなパターンかと思ったりもしてあれこれ楽しむ。
また、新宿眼科画廊での再演やラストシーンで「あれ」を見せる「劇場版」なども勝手に夢想。後者はアイドル起用か?(笑)
ゲバゲバッ!
昭和芸能舎
笹塚ファクトリー(東京都)
2015/04/14 (火) ~ 2015/04/19 (日)公演終了
満足度★★★★★
羽原流“昭和庶民伝”
昭和45年、新宿のキャバレー・ゲバゲバに訳ありらしき新人ホステスが入ったことから起こる出来事。
当時すでに物心が付いていたので客入れBGMの歌謡ポップスに始まり劇中の世相・流行語・流行り歌なども懐かしい…と言うか「あれはその頃だったか」的な。
そして物語は基本的にはコメディながら、戦争の傷痕や高度成長の歪みが見え隠れし、それらを背景にした人物像には哀感も漂う。そんなあたりは「羽原流“昭和庶民伝”」なオモムキ。
そうして迎えるクライマックス、新人ホステスの隠していたことが明らかになってからは圧巻。
“ある差別”にしても「自分の正義」を振りかざす報道にしても不思議と今と通ずるようで、半世紀近く経っているのに進歩しないというのは痛烈な皮肉。
そんなことを経ての締めくくりは羽原作品らしいあたたかさ・やさしさで軟着陸。
井上ひさしの「きらめく星座」や「闇に咲く花」に一脈通ずる感もあって、良かったぁ。
ところで終盤で流れるロックバージョンの山谷ブルースはダウン・タウン・ブギウギ・バンド?
エイプリル
角角ストロガのフ
吉祥寺シアター(東京都)
2015/04/03 (金) ~ 2015/04/07 (火)公演終了
満足度★★★★
イヤーな感覚に包まれる一方で面白い
最近ニュースとなった出来事に似たいくつかのことに導かれ、少年法や未成年の実名報道に関する社会派…かと思いきや“薮の中”的事態の真相が二転三転してサスペンス要素が強まり、“ある集団”が蠢きだしてからはボディスナッチャー的なホラーの味わいも…。
(主人公が)信じていた事柄や人が次々に変容して行くので(観客に)自分が立っている地面がゆるんで立っていられなくなるような不安感を抱かせるのだろうか。観ていてイヤーな感覚に包まれるのだが、その一方で面白い。
また、異なる空間の出来事を融合させて見せるお馴染みの手法も健在で、これが効果的。
あと、取材相手の語る話の再現シーンに聞き手が入り込んでいるという「千年女優」的な場面もあって、これもまた愉しい。
そんな見せ方の工夫と、物語に没入し主人公に感情移入しながらもやはり第三者的立場の観客であるという心の片隅にある安心感によって面白く感じられるのかもなぁ。
ホテル・ミラクル
feblaboプロデュース
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2015/04/03 (金) ~ 2015/04/12 (日)公演終了
満足度★★★★
各作家の個性がよく出た5編
各作家の個性がよく出た(河田作品は初見)5編の艶笑二人芝居。
1編目はオトナの味わい、文字通りアダルトなハナシでR-15な方向性を宣言。
2編目は同趣向の長編を観たことはあったがやはりアイデアの勝利で落とし方もイイ。
3編目は上出来だが最後にモタつく感が惜しい。
4編目は演者のキャラ設定に説得力アリ。「マイルドな鵺的」な印象も。
5編目は序盤の「明るいヘンタイ」と終盤の男性批判がいかにもアユムさん。
あと、「あそこ」をシャワーブースに仕立てた舞台美術と3編目、4編目でのその使い方も◎。
ポケットの中に世界
ポムカンパニー
OFF OFFシアター(東京都)
2015/04/01 (水) ~ 2015/04/05 (日)公演終了
満足度★★★★
幕切れが絶品
IT系の会社で働く主人公は反りの合わない父親と何年も会っていず…な物語。
ブラック企業ではなく自主的なものとはいえ、激務からのストレスがコトが起こった時に疑心暗鬼を呼ぶのがリアルで身につまされると言うか身に覚えアリと言うか(爆)。
そんな経験を経て成長した(?)主人公が父親に会いに行くのはセオリー通りとはいえ、ホイッスルケトルの音と「腹、減ったろ」という父の言葉で締めるのが絶妙。
対面客席での演技エリア・小道具などの舞台美術もイイ。
流れない、星
in企画
新宿眼科画廊(東京都)
2015/03/28 (土) ~ 2015/04/01 (水)公演終了
満足度★★★★
“カムパネルラの一人旅”か“胎児の夢”か?
目覚めるとドアのない白い部屋に1人だった女性…はたして何があったのか?という出だしからまさかの宇宙もの!(笑)
そんな謎をほどきながら進んでたどり着くのは“カムパネルラの一人旅”か“胎児の夢”か? そしてそこからの…な物語。
メタフィクションが大好きなのでもちろんあの最終場も好きだし劇中の「物語と現実の狭間」という言葉を強調・具現化し、なおかつ悪いと思われるかもしれない後味を緩和する役を果たすとも思うけれど、敢えて無しというテもあったのではないか?とも。
観ていて「すみれの“記憶を辿り遡る旅”はそこに行き着くのか」と感心し、あれは転生?とも思ったので、その後の場が「着陸態勢に入ったまま上空で旋回待機する旅客機」のように感じられてしまったんだな。←あくまで早とちり気味の私見
ちなみにその日のソワレに観たものの最終場が似た発想・趣向のものだったことに仰天。よりによってマチソワで…!
あと、「本編部分」のラストにちょっと「2001年」を想起。
現役女子中学生アイドル連続失踪事件、他
santacreep
RAFT(東京都)
2015/03/24 (火) ~ 2015/03/29 (日)公演終了
満足度★★★★
晴れ、ときどき束縛、のち解放
過去2回は思いきって実行したものの事態をもて余す姉妹がコミカルに感じられたが今回はシリアスな復讐劇な側面が強調された感じで印象が一変。
これ、四演、五演とかでさらに違った味わいが見られるのではないかしら?
前回は妹の台詞回しに初演で演じた榊菜津美嬢のエッセンスがところどころに残っていたのが今回は払拭されていたし。
あ、別の演出家によるものも観てみたい。
現役女子中学生アイドル連続失踪事件、他
santacreep
RAFT(東京都)
2015/03/24 (火) ~ 2015/03/29 (日)公演終了
満足度★★★★
現役女子中学生アイドル連続失踪事件
解散コンサート直前の楽屋でわちゃわちゃする(スターダスト所属の某アイドルグループを想起させる)中学生アイドルたちの会話は“池亀節”の真骨頂?
そんな会話で存分に頬を緩ませて“いいハナシ”系で締め括るのがまた巧い。
埼玉のヤンキーfeat丘サーファー
元東京バンビ
中野スタジオあくとれ(東京都)
2015/03/12 (木) ~ 2015/03/15 (日)公演終了
満足度★★★★
大いに笑いつつもちょっぴりしんみり
30代半ばで無職・独身の埼玉のヤンキーが偶然再会したかつての同級生のために奔走(?)する物語。
大半の役者が複数の役を演ずる上に一部は役と演ずる役者の性別が逆だったりもしながら、それが妙にハマっていて良い効果をあげている感じ。
そうして語るは、ツッパっていながらも実は友達思いのイイ奴という定番的キャラを中心に据えた人情系コメディ。
個性溢れる人物たちのマンガチックな行動に大いに笑いつつも終盤で漂うペーソスにちょっぴりしんみり。
また、途中で入る映像の使い方(あるいは意味)と編集も巧くて感心。
「そういうことなら映像にするよね」と納得もしたのだった。
劇団だるめしあん「あの子の飴玉」 劇団きらら「ぼくの、おばさん」
劇団だるめしあん
王子小劇場(東京都)
2015/04/15 (水) ~ 2015/04/19 (日)公演終了
満足度★★★★
あの子の飴玉
艶笑系と言うよりは那須博之や金子修介が撮っていた頃のにっかつロマンポルノを想起させる「ちょっとエッチな明るい青春系」のオモムキ。
それでいて処女の価値なども語り、イイ話でキレイにまとめて、さらに見せ方の妙案までもアリ。
劇中のアイドルユニットを含め女優系的にも満足。
「ソレで落とすのはズルくね?」な気がしないでもないが、王道パターンの1つだもんね。(笑)
春、さようならは言わない。【当日券若干数販売しております】
江古田のガールズ
「劇」小劇場(東京都)
2015/02/18 (水) ~ 2015/02/22 (日)公演終了
満足度★★★★★
歌に対する愛情が満ち溢れるような傑作
シャンソニエの歌姫(?)が語るシャンソン部を創設した静岡の高校生たちの物語。
あれこれ思いを巡らせるあまり意中の相手に想いを告げられなかったり素っ気ない態度をとったり、な不器用な高校生達がいとおしく、自分の経験を思い出したり。
また、使われる…と言うより歌われる曲(4人編成のバンドの生伴奏での生歌)も物語の流れに沿って活かされることが多く、その歌の魅力を引き出している感じ。
井端珠里嬢が「愛の讃歌」を原語で披露することに意味があるのも巧み。
物語の中心となるシャンソン部の高校生たちは実年齢がもっと上の役者が演じているが、芝居のウソでそれらしく見えるどころでなく「実際にいそう」レベルにまで見えたのはσ(^-^)がそれだけ歳をとったからか?(爆)
そんなこんなで、歌に対する愛情が満ち溢れるような傑作を堪能。
プリズムが砕けて、青
ブルーノプロデュース
STスポット(神奈川県)
2015/03/27 (金) ~ 2015/03/30 (月)公演終了
満足度★★★★
従来の手法+αで進化
従来の手法に映像、照明、音響などを附加することによる厚み・深み、ひいては観客の想像(や考察?)の余地が広がった印象。
こういうスタイルの場合、どんな創り方をするのだろう?などと考えながら観ていたりもして。
忘れて滅ぼす
アムリタ
荻窪小劇場(東京都)
2015/03/26 (木) ~ 2015/03/31 (火)公演終了
満足度★★★★
恋人たちのリーインカーネーションin三途の“池”
2つの恋愛…いや愛情エピソードに導かれた古典的恋愛譚コラージュはやがて「恋人たちのリーインカーネーションin三途の“池”」に。
古典的恋愛譚が時に近付き時に離れるのが象徴的で、天井や壁に反映される水紋も美しい。
“愛の原点回帰”で締め括るのがまたニクい。
クズになれない
小西耕一 ひとり芝居
RAFT(東京都)
2015/03/19 (木) ~ 2015/03/22 (日)公演終了
満足度★★★★
ニヤニヤのちじんわり
小劇場あるある(なのか?「ありそー!」止まりか?)ネタ満載なところに屈折した家族ネタも加味してニヤニヤのちじんわり。
どこまでが創作でどこまでが事実かを妄想してしまうが、それもまた愉しい。
合言葉はパールホワイト
トツゲキ倶楽部
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2015/03/12 (木) ~ 2015/03/15 (日)公演終了
満足度★★★★
近未来SFと思いきや
16年ほど未来、滅多に人が入れない地域に入る「もぐり屋」のもとに「呼ばれているので自分も入りたい」という女性が訪れ…な物語。
近未来SFと思いながら観ていたが、終盤の台詞(と映像)から瞬時にイマと地続きなものと気付いた時の衝撃たるや。
ROMEO & JULIET
劇団ひるやすみ
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2015/03/14 (土) ~ 2015/03/22 (日)公演終了
満足度★★★★★
あれこれ上出来なるも…
16世紀のヴェローナから現代の池袋へという設定の変換、高校生言葉などへの台詞の“翻訳”、人物の置き換え、それに伴う笑いなどいずれも上出来で、更にあの物語を芯にしてそれを包む層を設けた構造と結末の捻りも巧み。
楽曲についても謳っているラップ(観客のクラッピングを誘うアカペラまである!)はもちろん、歌詞を替えて使われる既製曲の選曲もセンスが感じられるし、歌唱も正統派のロミオを筆頭に見事、と音楽面も充実。
惜しむらくは、柿喰う客の女体シェイクスピアシリーズやレティクル座の「童貞キューピッド」など近い趣向の作品をいくつか先に観てしまっていたこと。
それらを知らずにいきなりこれを観たら度肝を抜かれたろう。
もちろんこの件について創り手側に責任は一切なく、あくまでこちら側の責に帰するもの(?)であるが…。
ただ、コロンブスの卵や「男たちの旅路 第2部第一話・廃車置場」での吉岡司令補の言の如く、他者に先んじて行うことが貴重なんだな。