満足度★★★★
およそSPIRAL MOONらしからぬ戯曲を自らの色に染めて
陰湿かつ過度な抗議行動から身を隠した小さな出版社の面々と作家をめぐる物語。
いつもは「やさしさ」「あたたかさ」が漂うSPIRAL MOONに底辺を「悪意」が大半を支配する戯曲は異色。
がしかし、台詞回しや間合いから生ずる舞台の雰囲気はまぎれもなくSPIRAL MOONそのものだし、微かに光明が見えるラストシーンは音響・照明も含めて真骨頂。
ところであの「現実にあったこと」は本作をオリジナルである820製作所が初演した昨年夏よりあとだって?…こわぁ。
なお本作は、それまで「本当に悪い人物」が出なかったのに対して初めて「悪い奴」が登場した演劇集団キャラメルボックスの「TRUTH」的な作品と言えるのではないか?