じべ。の観てきた!クチコミ一覧

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車窓(まど)の外は星の海

車窓(まど)の外は星の海

風凛華斬

シアターシャイン(東京都)

2016/04/08 (金) ~ 2016/04/10 (日)公演終了

満足度

鑑賞日2016/04/10 (日)

価格2,000円

死者には天上に行くか希望する相手(生者!)と共に冥界をさまようかの選択権がある…という設定の物語。
主人公の死の真相をめぐるミステリー風味なども悪くないが、終盤で主人公が愛する兄と冥界をさまようために策略を巡らすのに至ってはもはやホラー。
いや、ホラーなのは良いのだが、共に冥界をさまよわせる生者が、自分を死に追いやった相手なら…あるいは少し譲って死に物狂いで愛した相手ならまだワカるが、よりによって肉親とはどういう神経か?
ここでそれまで積み上がってきたものがガラガラ音をたてて崩れるような、あるいは真面目な顔で語っていた相手がふざけた顔をして「な~んちゃって」と言ったような気がして一気に白けてしまった。詰めを誤ると作品は台無しになるんですねぇ。
某人気演劇集団を思わせる作風は好みだったのに残念至極。

いちばん星のその次の

いちばん星のその次の

waqu:iraz

cafe MURIWUI(東京都)

2016/04/06 (水) ~ 2016/04/10 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2016/04/09 (土)

価格2,800円

結婚を控えそれまで住んでいたペントハウスで過ごす最後の夜を彼女は親しい友人2人と過ごし…なおハナシ。
初演時はそのまま受け取ったのだが、今回は冒頭でふと「2人の友人は実在するのか?」という疑問が浮かび、非実在と仮定して観る。
すると、やはりその推論が成り立たない部分はいくつかあれど、結婚前に生じた不安を1人の女性が自問自答で解消してゆく過程に見えないこともなく…(我田引水的?(笑))
その場合2人の友人は「別人格」とまではいかず「トワイライトマジック(逢魔が時?)が生み出した幻想」が妥当であろう。
また、明かりがキャンドルだけなので、どことなく「儀式」的なイメージも伴い、2人が実在しないとすればなおさら(笑)。
あと、初演時にも思ったが、冒頭部と後半で2度出てくる台詞がイイんだなぁ。
「そこから何が見える?」からの問答は恐らく実際に見えるものであろうし、 後に続く部分は本当に艦橋か操舵室にいるように思えてくる…まさにこの会場へのあて書きだね。
さて、来年、三演はあるかな?

サイクルサークルクロニクル

サイクルサークルクロニクル

monophonic orchestra

APOCシアター(東京都)

2016/04/06 (水) ~ 2016/04/11 (月)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2016/04/09 (土)

価格2,500円

端的に言えば「オトナ向けジュヴナイル」もしくは「時をかけ抜ける少女」、気が付くと時が過ぎている女子大生の物語…あ、じゃあむしろ「時をすべる少女」か(笑)。
その「滑る幅」が次第に大きくなることに梶尾真治の「クロノス・ジョウンターの伝説」を思い出したりも。
そうして、所謂マッドサイエンティスト系の人物(11歳ながら天才的で飛び級という設定も愉快)が解き明かした後がまた巧い。
主人公が薬によって「滑り始める」前の時点に戻るのだが、「滑った時間の記憶を取り戻している」とも「そこまでのすべてが夢だった」とも解釈できて胡蝶の夢系が好きな身として堪らん。
いやぁ、面白かった♪

西の風、むげんだい。

西の風、むげんだい。

オフィス櫻華

吉祥寺櫂スタジオ(東京都)

2016/04/06 (水) ~ 2016/04/10 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2016/04/08 (金)

辺境の惑星で質素に暮らしている科学者のもとに「地球に帰りアンドロイド開発に力を貸して欲しい」とかつての同僚が訪れるが…な物語。
板張りの床やランプの灯を点す廃クレーンのアーム(?)などの美術も相俟ってレトロSF的な雰囲気は良い。
が、愛した相手が眠る惑星に残り死を選ぶ主人公…という結末は大いに不満。
そういう浪漫を解さないではないが、自らの能力をも埋もれさせて愛した人に殉ずるとは何と身勝手で情けないのだろう?
元同僚は力ずくでも地球に連れ帰れよ!と思ってしまう。
考えてみると、このナルシシズムは主人公の命と引き換えに多くの人が救われるという安直な結末(リメイク版の「N本C没」とか)とも通ずるもので好みではないんだなぁ。
一方、収穫は「演劇表現」について考えるヒントを得られたこと。
登場するキャラクターの1人が実は精巧なアンドロイドという設定で、登場した時にうんと控え目にロボマイムを取り入れた動きをして観客にはそれとなく伝えるのだが、その後の台詞に「(アンドロイドだとは)言われないとワカらない」という台詞が出てくるのだ。
劇中では人間そのもののようだが観客にはアンドロイドらしく見せるというある意味二律背反……これこそ演劇表現の面白さなのではないかしらん?
ちなみにそれを絶妙な匙加減で演じたのは楓朋美嬢でありました。

竜宮 RYUGU

竜宮 RYUGU

Dance Entertainment REACH

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2016/12/13 (火) ~ 2016/12/14 (水)公演終了

公演本体は観ていないが…
たまたま14日ソワレの終演後、劇場前に居合わせて呆れた。
終演後の面会で歩道一杯に広がり、公演とは全く関係のない一般の方々の通行を妨げて平気でいるとはどういう神経か?
見かねて「歩道の真ん中は空けてください」と声を上げたがすぐにまた広がり二度三度と声を上げる。
普通は制作担当がすべきことを全く無関係な私にさせてまだ直そうとしないとは言語道断。
そういう無神経さが他の団体への偏見につながりかねないなどと想像する知能すら持ち合わせないのか?
関係者の猛省を望む。

ミルウォーキー・カフェ

ミルウォーキー・カフェ

劇団SUBUTA!

ザ☆キッチンNAKANO(東京都)

2016/02/27 (土) ~ 2016/02/28 (日)公演終了

満足度★★★★

総体的には満足度高し。次回公演(来年だろうな…)にも期待。
常連客3人が屯すカフェに銀行強盗未遂犯の1人が逃げ込んできて…な物語。
多少のユルさや甘さはあるものの基本に忠実でソツなくまとめたハートウォーミングコメディで好感が持てる。
また、途中何回か差し挟まれる回想シーンも、それがいつ頃のことかすぐに察することができるよう工夫されている上にそこまでで語られていない登場人物の側面/内面を描くなど巧み。
前説も最後に本編のイントロ的な部分が付いていて楽しいし、開演定刻に開演が5分押す旨の告知と謝罪があったのもヨロシイ。
がしかし、押す理由が「遅れているお客様が…」だったのが残念。
あと、予告した5分よりさらに(2~3分)押したので、そこでもう一度、更に押す旨の一言が欲しかったな。
とはいえ、総体的には満足度高し。次回公演(来年だろうな…)にも期待。

守里の双眸

守里の双眸

集団as if~

吉祥寺シアター(東京都)

2016/02/18 (木) ~ 2016/02/21 (日)公演終了

満足度★★★★

中心部分/主題だけでも勝負できるのではないか?
神話的世界での人と化け物に関する話(ジブリ風味も少々?)から二大勢力拮抗図を経て復讐劇を含む古典的悲劇(沙翁などに通ずる?)に変貌して行く物語は隠喩に富んで深読み・誤読(大得意だ(爆))の余地が多々あり好み。
対立する相手が化け物に見えるというのは「鬼畜米英」のように「敵」はそんなに怖いんだぞ、と刷り込む風潮(?)(ひいては戦争への道)への警鐘?
また、対立を煽るのは“死の商人”かと思いきや復讐を目論む者であるとか、一度味を覚えるとやめられないモノとかも上手く組み込まれている感じ。
そんなこんなで155分(2月20日ソワレ実測)の上演時間も体感的には2時間チョイ程度。
がしかし、これ、もしかして中心部分/主題だけでも勝負できるのではないか?という気も。
もしも再演する機会があるならばアズイフとは不可分な(そしてσ(^-^)も楽しみの1つとしているところの)インプロやバラエティノリの口ゴム、熱々おでん(笑)などを一切排しシリアスに徹したバージョンを何ステージか挟んで欲しいなぁ。

ダーリン!ダーリン!

ダーリン!ダーリン!

劇団ズッキュン娘

渋谷MilkyWay(東京都)

2016/01/08 (金) ~ 2016/01/12 (火)公演終了

満足度★★★★

“藤吉チルドレン”、着実に育つ?
濃いめに戯画化された登場人物たちがその濃さゆえの笑いを交えながらドラマを織り成し、時として独特な振り付けで歌い踊るという藤吉作品ド真ん中。
初演時の配役を思い出しながら観ていたが、何人かの出演者が台詞回しにしてもデフォルメ気味の演技にしても(今回は出演していない)藤吉主宰が背後霊として憑いているかのようによく似ていて「あれ?どの役だったっけ」状態(笑)
なので着実に“藤吉チルドレン”が育っているなぁと思いつつ、変なクセがついたらどうすンだよ?な危惧も…(爆)(ほぼ冗談)
ま、もちろん普通の演技もできるのでしょう。
初演時にも思ったが本作の真の主人公は舞台上に登場しない足立君なのではないか?
関係者の証言のみで対象人物を浮き上がらせるドキュメンタリーの如く、彼をめぐる人物たちの騒動で彼を想像させ、さらに彼の成長まで描くとは知能犯。

12人の怒れる陪審員

12人の怒れる陪審員

えにし

駅前劇場(東京都)

2015/12/26 (土) ~ 2015/12/27 (日)公演終了

満足度★★★★

若干の不満はあるも総じて満足
R.ローズの「12人の怒れる男」を男女混成に翻案したものはいくつか観てきたが、女性の人数が男性を上回るのは初めてで、言葉遣いに引っ掛かる部分はあるも、「あの役も女性にしたんだ!」な意外性(と演技)が台詞のそんな不備を補って余りある感じ。
また、従来の四角く並べたテーブルや大机ではなく円卓にしてそれを盆に乗せた装置案も◎。
が、現場見取り図を掲示しないのは初見の観客に対して不親切では?
せっかく三方囲み客席にとどめたのだから壁に貼ればいいのに。そこがちょっと惜しい。
あと、受付開始と開場が同時なのに受付担当スタッフが1人だけで客入れに手間取り開演が10分以上遅れたのが残念。

テノヒラサイズの人生大車輪'15

テノヒラサイズの人生大車輪'15

テノヒラサイズ

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2015/12/22 (火) ~ 2015/12/27 (日)公演終了

満足度★★★★

「アレ」の使い方だけでも一見の価値アリ
気がつくと見知らぬ人々と共に一室に閉じ込められていて、というサスペンスでは時々ある状況から始まる物語…ではあるがそこは関西の作品、単なるサスペンスなワケがない(笑)。(←偏見込み)
じっくり時間をかけてはった伏線を終盤で一気に回収するカタルシスはドミノ倒しの快感に通ずる?
また、シンプルな“アレ”の組合せで様々なもの(まさかあんなものまで!)を表現するのも一見の価値アリ。(劇団四季「ジーザス・クライスト・スーパースター」ジャポネスク・バージョンの“大八車”風の装置(?)を連想)
愉しかったァ♪♪♪

イゼン、私はアンドロイドでした。

イゼン、私はアンドロイドでした。

劇団平成商品

シアター風姿花伝(東京都)

2015/11/20 (金) ~ 2015/11/23 (月)公演終了

満足度★★★

一長一短的な?
人間とアンドロイドが共存している未来、書店員が購入した女性アンドロイドは中古をリペアしたものだったが「ある欠陥」があり…な物語。
端的に言えば「闇鍋あるいはお化け屋敷的手法で描くダークなピノキオ」。
盛り込み過ぎで雑然としていたり唐突な部分も少なからずあるが、それらを束ねてねじ伏せるようなラストシーンのセンスの良さたるや…。
アンドロイドを演ずる各役者の「らしさ」の表現も◎。
アンドロイドを何かの隠喩として深読み・誤読をするのもまた一興。
劇中では語られず匂わせる台詞がいくつかある程度(よって前述のように唐突に感じられる部分も多い)だが、前日譚・背景がいろいろあったであろう各エピソードを独立させた中編連作にしても面白いのではないか?

とりわける人たち

とりわける人たち

演劇チーム 渋谷ハチ公前

小劇場B1(東京都)

2015/12/25 (金) ~ 2015/12/29 (火)公演終了

満足度★★★★

渋谷ハチ公前としては異色作?
高校時代の野球部仲間の独身男5人がシェアしているマンションにメンバーの1人の部下である若い女性も入居することになり男たちは色めきたつが…な物語。
今まで観た渋谷ハチ公前の作品は硬派あるいは硬質な印象だったが本作は異色作?
序盤からコミカルで、それでいてどことなくペーソスが漂うのは「男はつらいよ」シリーズに通ずる感覚?
そして人は第一印象と異なる場合がある、なんて挿話を経て複数の人物が心の疵から解放される結末へ…お約束的ではあるけれど、こういうのもイイなぁ。
なお、同居している男たちに「おそ松さん」も連想(笑)

ライジングさん

ライジングさん

カリバネボタン

ワーサルシアター(東京都)

2015/12/16 (水) ~ 2015/12/20 (日)公演終了

満足度★★★★

ハリウッド製SFアクションサスペンス映画に通ずる後味もあり
とある企業の総帥が亡くなり長女が跡を継いだが一番肝心なものは次女の意識下に隠されており、それを手中にすべく長女やライバル企業が雇ったスパイが次々と次女の意識内に入り込み…な物語。
全体的に長編コントのようにしょーもない(貶す意図は毛頭ない)ギャグが満載だが、中心となるストーリーが前述のようなサイバーSF系である上に、一件落着に見える結末にも謎を残すのでハリウッド製のSFアクションサスペンス映画に通ずるような「はて、それで本当に解決したのか?」な後味アリ。
また、舞台美術もシンプルながらセンスがイイ。
後方中央にある出入口が左右にスライドして開く紗のドアと上に引き上げられる暗幕なのは演出上の効果と未来的(?)なイメージで一石二鳥。

帰ってきたアンチョビー

帰ってきたアンチョビー

合同会社シザーブリッツ

上野ストアハウス(東京都)

2015/12/08 (火) ~ 2015/12/13 (日)公演終了

満足度★★★★

このテの公演の事情が偲ばれてニヤニヤ
ある村の出身者たちが理由あって帰省して村興しの芝居を上演するまでを描いたコメディ。
各人が村に帰る状況と村興しのイベントに向かう姿を描く前半はメリハリがあまりなく単調かつ冗長。
がしかし、このテの公演は出演者それぞれをできるだけ均等に扱わなければならないであろう事情が偲ばれてニヤニヤ。
これに対して終盤の劇中劇(とその裏)はそこまでの場面よりも演技がいきいきするのがまた可笑しい。
劇中設定からすれば即席の座組で稽古期間も長くないであろうから下手くそであって然るべきなのだが、むしろそっちの方が巧いという…(笑)
その劇中劇、ベタな説明台詞から入り、某スタジオへのリスペクトやオマージュ、さらにパロディですらなくほぼそのままな場面をちりばめたもので、いかにもヘボ脚本家(←劇中設定)が書きそうなもので楽しい。
そこに“ショウ・マスト・ゴー・オン”の要素も加味してあるので演ずる側も楽しいんだろうなぁ…などと裏を想像しながら観るのもまた楽しからずや。
可愛どころを集めた公演って、こういう楽しみ方もあるのね。

クリスマス・キャロル

クリスマス・キャロル

虹創旅団

阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)

2015/12/09 (水) ~ 2015/12/13 (日)公演終了

満足度★★★

あれこれ惜しい、再演を希望
ディッケンズの原作を、人が“物”も演ずるなどの惑星ピスタチオ的な手法も使って舞台化。
脚本と演出(と音楽)は買うが、台詞が早口なばかりでなく“間”を置かない(代わりに変なところに台詞を思い出すための間が空く)のが致命的。
そのためにせわしないどころか、“膨大な量の台詞”(当日パンフレットより)を“消化する”ことに専心して肝心の“物語を伝える”“演技をする”ことまで気が回っていないように感じられてしまう。
カーテンコールの主宰(作・演出・主演)の言によれば「休団・退団があり劇団員は2名だけ」な上に「初舞台の者もいる」そうだが、だったら早回しでも130分近くかかる大作にせず、もっとスリム化するべきではなかったか?
とはいえ最初に書いたように脚本と演出は…というか、何を演りたかったか、何を見せたかったかについては感心。
いずれきちんと芝居的な間をとった「完全版」(150分くらいでも構うもんか!)で観てみたいと思う。

わがまま、こどく、かいにん、

わがまま、こどく、かいにん、

the pillow talk

王子小劇場(東京都)

2015/12/01 (火) ~ 2015/12/02 (水)公演終了

満足度★★★★

確信犯的やり逃げ(笑)
タウン誌の編集部、翌日に修学旅行を控えた高校のクラス、「なんたら女学園」なるイメクラの3ヶ所で繰り広げられる会話劇、ラヴェルの「ボレロ」を想起させる構造での「確信犯的やり逃げっぷり」が痛快。
ま、「おいこら、投げっ放しかい!(笑)」な感も無きにしも非ずではあるがそう何度も使えるテではないし、とにかく面白いので容認(爆)。
が、将来的に「コイツら、またあのテを使いやがった」な作品があってもそれはそれで認めよう。
(しばらく経って気付いたが、クロムモリブデンがこのパターンを得意としているような…)
また、今回の騒動の後日譚をいつか見てみたい気もする。
ところであの壷は星新一の「おーい、でてこーい」的なものか「王様の耳はロバの耳」的なものか、はたまた「逆“パンドラの匣”」的なものか?
あと、開演定刻を過ぎてすぐに5分ほど押す旨を伝えて謝り、実際の開演直前と終演後にそれぞれ謝罪したのはアッパレ!(←本来は当然のことであるが、それがアッパレと感じられてしまう昨今の小劇場界よ…(毒))

緋色、凍レル刻ノ世界、永遠

緋色、凍レル刻ノ世界、永遠

黒薔薇少女地獄

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2015/11/24 (火) ~ 2015/11/29 (日)公演終了

満足度★★★★

黒薔薇式2時間サスペンス風耽美ミステリー
ある女子中学校で起きた事件は15年前にそこであった事件に酷似しており…な物語。
モロにアングラ風味のオープニング、妖しげで「あんなもの」が登場人物に付きまといながら進む展開、一件落着したものの「後を引く」終わり方(=一見落着?(笑))などそれぞれにどこか懐かしさもあって好み。
あと、舞台中央にある「アレ(ネタバレBOXに詳述)」が醸し出す雰囲気がまたイイ。
で、勝手に付けたキャッチコピーは以下の3つ。
「黒薔薇式2時間サスペンス」
「耽美ミステリー」
「破綻しないG蝕K劇団(爆)」
※G蝕K劇団は破綻する(=換言すればブッ跳ぶ)のも魅力の一つなのでdisる意図は全くない

ネタバレBOX

舞台中央にある「紅い御簾」に囲われたエリア、事件現場でもあるワケで、それでなくとも赤い色なのに「その刹那」は照明も相俟って血生臭く感じるほど
チャイルドボイス

チャイルドボイス

『熱きロマンを胸に、生きる勇気と希望を与えるべく突っ走り続ける奴ら。』

シアターサンモール(東京都)

2015/07/15 (水) ~ 2015/07/20 (月)公演終了

満足度★★★★★

(シアターサンモールに)帰ってきた夢麻呂組
倒れた父に替わり保育園の園長代理となった元ヤンの金髪男にはなぜか園児たちの「心の声」が聞こえるわ「本当の姿(?)」が見えるわで…な物語。
園児同士の派閥やら空気を読んで“いい子”を演じる子供など、大人社会の縮図とも読める内容を中心に、しょーもないギャグ(←貶す意図は皆無)やアクション、感動を添えて休憩込み3時間の上演時間も体感的にはさほど長く感じず。
前半は娯楽性たっぷりな上にさりげなく伏線をはり、後半で複線を次々に回収しながらメッセージを伝えるという構成と主人公の設定が活きてくるのが巧いんだな。
なお、「前半で巻いたから延ばしてるんだよッ!」というサービス精神あふれる座長の台詞には大ウケ。
また、「今日は撮影が入っているから間違えると残るよ」とおっしゃったご本人が噛んだり…(爆)

あたしのあしたの向こう側

あたしのあしたの向こう側

トツゲキ倶楽部

d-倉庫(東京都)

2015/11/18 (水) ~ 2015/11/23 (月)公演終了

満足度★★★★★

きちんと起承転結の構造をふまえた上に世相批判もあり、キャラクター造形も良くできた傑作
「もしもあの時…」が積み重なった挙げ句に生じたまさかの事態。
全体的にはコメディタッチながら後半には感動要素もちらほら、また、観客には現実にはおそらく起こり得ないであろう状況と油断させておいて現実世界へ警鐘を鳴らすのもインパクトがあり見事。
SFファンでなければちょっとややこしいかもしれないパラレルワールドについても、劇中人物が劇中人物に対して例を交えて平易に説明したり誤った例を挙げてそれを訂正したりすることにより説明台詞臭を感じさせないのも妙案。
ラストに関してはあのハッピーエンドも良いが、「4号」が「岸壁の母」よろしくずっと待ち続けるのも強い批判性を表現できたのではないか?とも思う。

ネタバレBOX

あと、自意識が高くずっと「私を誰だと思ってるの?」と言い続けていた「9号」が終盤で「“私たち”を誰だと思ってるの?」と言うところ、好きだなぁ。
なお、1人の人物が“増殖する”ことに劇団第三反抗期(劇団Peek-a-Booの前身)「うわっ!増えちゃった」(1999年11月)や最近復活(?)した六つ子のマンガ/アニメなどを想起。
破提宇子

破提宇子

演劇実験室∴紅王国

ウッディシアター中目黒(東京都)

2015/10/28 (水) ~ 2015/11/03 (火)公演終了

満足度★★★★★

紅王国の真骨頂
星野之宣やとり・みきに通ずる雰囲気の伝奇系ミステリー。
第二次世界大戦参戦直前の日本のある村を舞台に「天孫降臨/現人神」や「宗教弾圧」を練りこんだ物語は考えようによっては過激で危険、不敬なのではないかとハラハラしつつ、古風で重厚な語り口にすっかり引き込まれる。
「これこれ、これだよなぁ」であり、今に通ずる…というか今でなければならずもしかすると今そのものとも言える内容は紅王国の真骨頂。

ネタバレBOX

終盤の磔シーンと黙示録の内容は第二次世界大戦の戦禍であったとする場面にはゾクゾク。

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