青春の延長戦
冗談だからね。
王子小劇場(東京都)
2017/03/22 (水) ~ 2017/03/26 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2017/03/23 (木) 15:00
価格2,500円
各論賛成総論反対と言うか細部はそれぞれよく描けているが全体の構図がイマイチな絵と言うか、な印象を受けた。
複数のエピソード/ストーリーが並行して語られる作品も好きだけれど、一見無関係に見えてもいずれ何らかの関係が示されるあるいは暗示されることを期待しながら観ているようだ。なので結局バラバラなまま終わるのはもちろん、関係が察せられるタイミングが遅いと「何だかなぁ」と思ってしまう。
で、あの終わり方、そういえばうんと昔、石ノ森章太郎がまだ石森章太郎だった頃に描いた、世界の複数箇所での出来事を同時平行的に語り、最後に「あること」で締め括る作品があったのを思い出した。アレも各エピソードには関連性がなかったもので。
あと、本作だけでなくここまでに観た何本かの芝居も含めて、「語り過ぎず、説明不足にもならず」で「あとは察してよね」な芝居って、程度にもよるけれど、作家と近いセンスを持っているか、とか好きなものが一致するかどうか、とかによって「ワカる・ワカらない」が分かれるのではないかしらん?……なんてことも考えた。
ある犯罪者の遺言
即席ユニットアバルブ
吉祥寺櫂スタジオ(東京都)
2017/04/06 (木) ~ 2017/04/09 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/04/06 (木) 14:00
価格1,800円
某有名作品の女性版的でその作品と対を成すとも言える中心部分とタイトルの意味が判明しメッセージが示されるラストが上出来で、「それを芝居で演りますか!?」な仕掛けが芝居本編に対しては両刃の剣で微妙(賛否両論かも?)ながら芝居構造という部分に考えを巡らせるとメチャ面白い。
※初日初回の実測上演時間は72分余
幸福の黄色い放課後
キ上の空論
スタジオ空洞(東京都)
2016/05/11 (水) ~ 2016/05/22 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2016/05/11 (水) 19:30
再演版に先駆けて書きかけて放置していた初演のものの加筆修正版をまず……(爆)
なお、作品の構造に触れているのでネタバレBOXに収める。
オセロ王
劇団鋼鉄村松
王子小劇場(東京都)
2017/02/01 (水) ~ 2017/02/05 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2017/02/01 (水) 19:30
価格3,000円
20世紀末に起きた「あること」によりこの世界と分岐して別方向に進んだ世界の未来の人種対立を描いたコメディ。
一旦なくなった人種差がまた生ずる過程(?)がとてつもなくナンセンスではあるものの、そこから描かれる人種の対立は今の世界の箱庭的表現にして戯画的でもあり風刺であろう。
うえをむいてあるこう
劇団天動虫
要町アトリエ第七秘密基地(東京都)
2017/01/28 (土) ~ 2017/02/05 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/01/30 (月) 19:30
価格3,000円
とあるビルの屋上で1999年7の月に降臨しなかったアンゴルモアの大王を呼び寄せようとしているグループには急死したその仲間の霊も加わっており……な物語は幼馴染・恐怖の大王・霊媒師の三題噺的で、「心残り」ということについて示唆に富み含蓄がある優霊譚(←変換ミスに非ず、どなたかの造語)。
前半では舞台となる屋上への闖入者が霊媒師のカウンセリングを受けているサイドストーリーも並行して語られ、乱暴に言えばそちらは無くても物語は成立するが、後半で除霊すべく霊媒師が登場する時に唐突に感じさせない=前半と後半の繋がりを強化する脚本に「あ、なるほど」と納得。
ところで冒頭でラジオから流れてすぐに切られる曲、イントロだけだったと記憶しているが、世代によってはワカらないのではなかろうか?(謎)
夢見る乙女じゃいられない
たすいち
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2017/03/23 (木) ~ 2017/03/28 (火)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/03/23 (木) 19:00
価格3,300円
※お願い:贔屓目もあるので何割か減じて、あるいは話半分で受け取ってください(爆)
伸長著しい劇団員はもちろん常連から初参加までの客演メンバーも含めて理想のキャスティングに二つの流れが交差してクライマックスか…と思いきや本当のクライマックスがその後に、という構成の脚本では鬼に金棒?
コミケやら腐女子やら初演時(7~8年前)も話題にはなっていたろうが今ほど一般的ではなかったろうに先取りして(し過ぎて?)いたよなぁ、と今さら。
先述の多段式ロケットのような脚本構造もあの頃に……と。
タイトルが利いているな、な場面が2回くらいあり、また、ここで終わりにしてカーテンコールもない「ダークver.」も面白いかも?なポイントも2回くらいあった。
また、初演時には、そしてその後観てきて一度も気付かなかったが、今回初めて(部分的に)某人気団体に通ずるテイストを感じたり(笑)、題材が題材だけに某団体の某公演での装置を想起したり。
あと「マンガ」を「観劇」に置き換えると身につまされる台詞もいくつか……(自爆)
空耳の恋人
くらやみダンス
早稲田小劇場どらま館(東京都)
2017/03/25 (土) ~ 2017/03/27 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/03/26 (日) 19:30
価格2,500円
地球の陸地が水没し、人類が火星に移住した未来の物語。一言で表現すれば「胡蝶のプレードリコールトータルランナーの夢」か?
セキユさんが「あれ」をご存じなくこういう話を、ということにビックリ。作家さんの発想力って面白いなぁ。
また、シミズアスナさんの役どころに「なるほど、タイガーリリィはあの後そういう職に就いたのか」などと思ったり。
マークドイエロー
もぴプロジェクト
王子小劇場(東京都)
2017/03/29 (水) ~ 2017/04/02 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/03/29 (水) 19:00
価格3,500円
まずはこれからご覧になる方々へアドバイス。
入場した時に舞台中央にある「もの」を考慮して席を選ぶ必要はありません。理由は推して知るべし。
ま、囲み客席の芝居で問題となるような死角を作る演出家はほとんどいないし。(例外的に下手くそな演出家がやらかす危険は否定できないが(爆))
また、ウィキペディアの「ドグラ・マグラ」の項を(観る前でも観た後でも)一読するとより楽しめるかも? ネタバレというほどではないと思うし、そもそも「原作」ではなく「着想」なので。
さらに言えば、夢野久作の「ドグラ・マグラ」を読んでおけば得心がゆく部分も複数。
かく言うσ(^-^) 、夢野久作の「ドグラ・マグラ」を読んだのは20歳前後のことで詳細は忘れていたが、冒頭とラストの「アレ」は「ドグラ・マグラ」に準拠したもの(冒頭の方にはドサクサに紛れてよく知られている「別のもの」を混ぜていなかったか?(笑))とワカったし、メタ部分のある「ドグラ・マグラ」を包み込んだ「もう一層外側の物語」あるいは「呉二郎の物語」な感じ?と解釈できて楽しめたワケで。
なお、元ネタを知らなくてももちろん大丈夫。
ちなみに「ドグラ・マグラ」を読んだのは佐井好子の2ndアルバム「胎児の夢」がキッカケ。メタフィクションあるいは自らを内包するような層構造が好きなのはその頃からだったのか、それがキッカケだったのか……?
なお、聞いたところによると下平主宰は100分を切りたがっているとのことだが、一部の会話がせわしなく間を取らないのが不自然に感じられたので無理して巻くより会話の自然さを尊重して欲しい気もした。
あと、おぼんろのさひがしさんは「やはり(笑)」ストーリーテラー的な役どころであると同時にメガネなこともあってか「その役職の人」っぽさも醸しだしたシブいオジサンでありました。
【参考】初日の実測上演時間は100分強。
今日は砂糖の雨が降るから
perrot
王子小劇場(東京都)
2017/03/16 (木) ~ 2017/03/20 (月)公演終了
満足度★★★★
機械に人間の遺伝子を組み込んだ「ブリキ」と人間が共存する未来、ブリキの行動には制限を設けるべきとする側が政権を取ったことで起こるあれやこれや……。
具体例は覚えていないが子供の頃に胸をアツくさせて読んだり観たりした作品群に通ずる懐かしさに切なさも加えファンシーにコーティングしたSF風寓話、終盤のある会話に切なさを感じたら、実はフラグだったり、なんてことも。(後付けの理屈だ(笑))
確かに差別や偏見に対するメッセージもあるものの、それを声高に叫ぶのではなくそれによって起こることに重きを置くのがかつての少年向け/子供向けの作品群を想起させたのか?
ラクエンノミチ/ボディ
日本のラジオ
シアターシャイン(東京都)
2017/03/16 (木) ~ 2017/03/20 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/03/17 (金) 15:00
価格2,600円
「ラクエンノミチ」
風俗店の待合室で展開するドラマ。
割と早い段階から閉塞感が漂い始め、次第にそれが強くなって行くのはまるで「吊り天井部屋」のよう……そういえば日本のラジオ作品はそのパターンが多くそれはつまり「吊り天井芝居」という1つのジャンル?(笑)
いやしかし、笑顔がイイお二方をそう使いますか……なキャスティング、お見事です。何とコワい笑顔だことよ。
で、笑顔の裏のコワさに限らず、陰になって見えない部分(席によって見えないとかの具体的なものではない)をもどかしく思いながらも、その「隠された部分」が察せられてしまうのが上手いところ。
席によって見えないと言えば、ツイッターにあげられた感想にあった終わり方が微妙(にして絶妙)で、屋代主宰が後説のために登場するまで観客が戸惑ってしまう件、実はちゃんと演者が最後に礼をしているのね。
ただ客席通路の後方でそれを行うために大半の客にはそれが見えないだけで(笑)。(幸いσ(^-^)の視野には入った)
あと、終盤…ってか最終場で空調の音(S.E.ではなく現実のもの)が聞こえるのは一長一短? 観ている時は無音の方が緊迫感が増すのではないかと思い、アンケートに書いていたら、むしろ空調音が大きく感じられることで静けさか強調のか?という気もしてきて。→ ツイッターで得た情報によれば終盤で空調を切るようにしたらしい。
結露
the pillow talk
早稲田小劇場どらま館(東京都)
2017/03/18 (土) ~ 2017/03/19 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/03/18 (土) 19:00
価格1,000円
「キミら、コドモかっっ!!!」な言動だったり、喫茶店や電車内で聞こえてきたらつい耳をそばだててしまい、その結果吹き出さないよう苦心するような会話たっぷりだったりの「当世(劇中設定時期は10年くらい前だがσ(^-^) からすれば十分当世)若者気質」な70分に大いに笑ったりドキドキハラハラしたりして堪能。
フレアーX線のバカンスー
フォスフォレッスセンス
新宿眼科画廊(東京都)
2017/03/10 (金) ~ 2017/03/14 (火)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/03/13 (月) 14:00
価格2,500円
深夜の天文台に現れ「他の星から来た」と言う女性は何者?なおハナシ。
一言(?)で表現すれば「詩的でSFチックなオトナの童話」あるいは「NHK少年ドラマシリーズの系譜なオトナ向けジュブナイル」。
観ながらいろんなものやフレーズが脳内に浮かんでは消え、物語も複数に解釈できて幻惑される……みたいな?
L字型客席だから見る側によって見え方が違うが、「心象的(?)」にも複数の方向から見ることができる(うまいことを言ったつもり(爆))のも好み。
色合いや明るさを変えることで場/時制/時空(次元?)の違いを表現し、最終場においてもその様子を観客に思い起こさせた照明もまた見事。
Water
キコ qui-co.
三軒茶屋ライブ&バー GRAPEFRUIT MOON(東京都)
2017/02/12 (日) ~ 2017/02/12 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/02/12 (日) 19:30
価格3,000円
なるほどキコqui-co.流「銀河鉄道の夜」の本歌取り。
「希望を捨てない限りあいつは死なない」という台詞にそもそもの上演のきっかけも含んであれこれ納得。
一番の中心となるザネリを年齢・性別とも不詳とし、それを十七戦地の藤原薫が演ずるのがまたキャスティングの妙。
最初に登場した時は「ひねた」感が拭い去れない(失敬!(爆))ジョバンニも観ているうちに次第に説得力をもってきて、むしろ可愛く見えてくるのはさすが!(笑)
ほっほんとに、アイドルだったんだってばぁぁぁぁ!!!!(°□︎°)
38mmなぐりーず
渋谷GUILTY(東京都)
2017/02/11 (土) ~ 2017/02/11 (土)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/02/11 (土) 11:30
全19曲の持ち歌のうち卒業したかおりんのソロ曲を除く18曲を歌って踊り、かつてのメンバーからのメッセージや「解散式」などのサプライズがあったり同窓会状態だったりの135分余。
観ながら作詞や振付の担当者の顔が浮かんだ曲も少なくなく、時としてまんま、時として意外だったり……。
いやしかし女優業を続けながらのアイドル活動、片手間でなく両立させるとは、本当にお疲れ様♪
リバース、リバース、リバース!~Reverse,Rivers,Rebirth!~
ピヨピヨレボリューション
虎ノ門ギャラリー(東京都)
2017/02/23 (木) ~ 2017/02/28 (火)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/02/28 (火) 14:00
価格3,000円
地方都市で12年前に「起きた事」の当事者4人とその後新たに関わることとなった人物の今…。
観ながらまず「世にも奇妙な物語」と梶尾真治作品を想起したが、それがその地方で過去からしばしば起きている怪異現象であると明かされることから恩田陸の方が近いか?と気付き、いずれにしても全体的にはNHK少年ドラマシリーズに通ずるな…などとも思い、終盤では罪と赦し(あるいは「赦さず」)ということが浮かび上がってきて考えさせられる、な感じ。「自分を赦さない決意により得る救済」なんてことも考えたな。
で、舞台となる都市は漠然と東北・北陸・山陰あたりを思い浮かべていたけれど、須貝さんによれば「東京へのアクセスの関係もあるので南東北から北関東あたり」だそうで。
その名の通りラポラトリーで化学変化を起こすように新たな作家・演出家との出逢いにより従来と異なる味を出したピヨラボ公演、今後も楽しみ♪
それにしてもピヨピヨレボリューション、一体いくつ引出しを持っているんだ!?
ドラゴンカルト
劇団ショウダウン
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2017/01/27 (金) ~ 2017/01/29 (日)公演終了
満足度★★★★
座席F列11番
価格3,800円
クライマックスでありかつ不気味で恐ろしいシーンから始めることで観る側を一気に引き込む。現代劇だし純粋な(?)悪を描くし…で、あれこれ新機軸。
多数の役を演じ分けるタイプの一人芝居をもこなすだけに林さんは「七色の声」で、今回はその役どころから高めだったな、とか。
夏の夜の夢
青年団リンク・RoMT
サンモールスタジオ(東京都)
2017/03/10 (金) ~ 2017/03/20 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/03/10 (金) 19:00
価格3,500円
ルドルフ・ジョーウォ演出でヤン・ペシェクがポーランド語で(!)パックを演じた1999年のものから東京芸術劇場の小1・小2・中の3つの劇場でそれぞれ観た(劇団BOOGIE★WOOGIE、空間ゼリーなど)2008年、悲劇版・喜劇版の2バージョンだった2010年の笑劇ヤマト魂(現・天幕旅団)、現代の設定・若者言葉でありながら実は原典にかなり忠実な上に独自の設定を加えてアッパレと思ったレティクル座(2014年)など、今まで観て来た10本は多かれ少なかれアレンジが加えられていたが、きちんと演るとこうなるんだぁ(上演時間含む)な印象。
よく存じている方々が適材適所だったり、イジーアスとハーミア父娘が「この父にしてこの娘あり」な雰囲気で納得だったり、オーベロンに某キャラを想起したりで楽しく、150分余の長さはさほど感じず。
また、こういうのがシェイクスピア時代のスラップスティックだったんだろうとか、職人たちの劇中劇は演出家/演者の腕のふるいどころなんだろうなとか改めて思ったりも。
個人的注目ポイントは小林さんのダンスの他、永井さんの○○(カワイイ)、塚越さんの○○○かな……(爆)
あと、本作(原典)についてはティム・ライス作詞、アンドリュー・ロイド=ウェバー作曲でコンセプト・アルバムを作った後にそれをノーマン・ジュイソン監督が映画化なんてのがあったら面白かったかもなぁ……などとも(笑)
【追記】
ライサンダーを女優が演じたことで女優が男役を演じたのか、同性で愛し合っていたのか観客の解釈も2つに分かれている。
元の戯曲に忠実なので同性愛をにおわせる台詞など出てこないワケだが、逆に考えればライサンダーが男であるという確証もなく、演出の妙と言えよう。
「ライサンダーは男性である」という戯曲にとらわれる派(σ(^-^) はこちら)と「女優が演ずるのは女性の役である」という芝居のお約束にとらわれる派(CoRich舞台芸術!やツイッターで目にした範囲内ではこちらが多数派)……なのか?
既成の、しかも有名な戯曲だから「男役を女優が演じている」あるいは「本来は男性の役を女性とした演出」と思うのであって、これがもしも書下ろし(かつ台詞などにヒントがない)だったら「女優が演ずるのは女性である」と受け取るんだろうな。この違いも面白い。
「男優が演じるのは男性の役、女優が演じるのは女性の役」という固定観念だけでなく「女性が愛する相手は男性」という(従来の)固定観念もこの頃は崩れてきているのだなぁ。
あ、いや、演劇の世界では前者は昔から崩れている…ってか固定観念と言うより「お約束」あるいはそれより緩いものだな。
今後は「従来の常識を疑え!」かもね。(笑)
淵、そこで立ち止まり、またあるいは引き返すための具体的な方策について
カムヰヤッセン
ワテラスコモンホール(東京都)
2017/02/16 (木) ~ 2017/02/19 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/02/16 (木) 19:30
価格3,000円
48時間の勾留期間に介護殺人の被疑者の取り調べを行う3人の刑事たち……。
その人間臭さはあたかも昭和の(特にNHKの?)事件よりも社会背景や人物に重点を置く刑事ドラマの如し。(もちろんミステリー要素もあるのだけれど)
理屈で考えれば被疑者に同情の余地はないのだが、何とも言われぬ切なさに支配され「理屈ではそうじゃないとワカっているのに心がそれを受け入れずに別の方向に動いてしまうこのアンビバレンツをどうしてくれよう?」状態(笑)
切羽詰った被疑者のしたことにどこか共感(?)を抱いてしまうことから鴎外の「高瀬舟」を連想したり、刑事が「もしかすると自分も“そちら側”ではないか?」と悩むことにリチャード・タッグル監督、クリント・イーストウッド主演の映画「タイトロープ」(1984年)を思い出したり。
あと、「もう一人」の「見せ方」も良かったなぁ。
ひとごと。。
劇団だるめしあん
【閉館】SPACE 梟門(東京都)
2017/02/22 (水) ~ 2017/02/26 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/02/22 (水)
熊本の震災を取っかかりとして自分の内面についていろいろ考える女性劇作家、という謂わば「エッセイ演劇」、故郷の震災被害に端を発して……という点ではミナモザ「ホットパーティクル」(2011年9月)を想起するが、本作はむしろ主人公の内面が描かれることで全く異なった芝居になっており、そんな違いも考えるとより面白い。
また、冒頭の1場面を見ていてかつてチャリT企画がみきかせプロジェクトで上演したリーディングも思い出した。題材と手法に通ずるものがあったのだが、やはり似て非なるものになっているのが作家の個性というものか?
1月のゆうめい「弟兄」のような私演劇(=「私小説」の演劇版)にしても本作のようなエッセイ演劇(いや、やはり私演劇か?)にしても「どこまで事実でどこまでフィクションか?」と考えながら観てしまい、それもまたこのテの作品の楽しみ方?
なお、ある場面でドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」を思い出してニヤニヤ。(個人の感想です)
Peach
INUTOKUSHI
シアター風姿花伝(東京都)
2017/02/22 (水) ~ 2017/02/27 (月)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2017/02/24 (金)
価格3,200円
アレもコレも含めてThis is 犬と串。
で、「実はこういうことが言いたいのではないか」などと深読みするのはヤボで、ひたすら「バカだねぇ」とか「くっだらねぇ」とか「あのコ可愛い♪」とかで楽しむのが正解では?とか思う。
もちろん、「アレの隠喩か?」とか「あのことか?」とかもあって、深読みの余地はあるんだが、そうやって「実はイイ話」にしてしまうのは全力であんなことやそんなことを演っている面々に申し訳ない、みたいな?(爆)
「ケーキ」は予測できて「やっぱり!」だったけれど「まさかあのお方がそんなことをなさるなんて」という疑念を払拭できなかったな(笑)