シェイクスピアの何か
日本コメディ協会
小劇場 楽園(東京都)
2018/01/17 (水) ~ 2018/01/21 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/01/18 (木) 19:30
価格3,000円
1編目「最後の夏の夜の夢」は後日譚(パックがあれからずっと似たようなことを繰り返していたというのが可笑しい)にして人情噺的に落とす本歌取りなのが愉しい。
2編目「Romeo」は原典の台詞を抜粋し並べ替えて違う物語を生み出す奇策で、台詞が全て尻取りだったり使える文字を1つずつ減らしていったりした往年のLast Brandの作劇を想起。
3編目「除夜」は(人物構成は「リア王」に近い?)元ネタとしている「十二夜」を刺身のツマ程度にしか使わないが、父と娘たちの和解(?)を描いてドラマ性は一番。
それぞれ異なったアプローチなのが興味深かった。このパターンで「〇〇の何か」第二弾、第三弾とシリーズ化というのもイイんでないかい?
エンれぱ!Vol.3
しむじゃっく
新中野ワニズホール ( Waniz Hall )(東京都)
2018/01/04 (木) ~ 2018/01/08 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/01/08 (月) 13:00
価格2,000円
鶴さんチーム千穐楽を観劇。1編目「ファンシーゲリラ」は職場で組むこととなった真逆なタイプの二人の対比からの相互理解・融合(?)を経ての前進が心地好く2編目「Lie Phone 4s」は次第に加速し混乱の度合いが増すのがいかにも冨坂作品(初演を思い出しつつ観た)3編目「女生徒」はテキストの区切り方・割り振り方・見せ方とちょっとした現代アレンジが見事。各編それぞれ面白かった♪
非国民的演劇
しあわせ学級崩壊
王子小劇場(東京都)
2018/01/11 (木) ~ 2018/01/14 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2018/01/11 (木) 19:30
クラブハウスサンドウィッチの如く何層も「アレ」で「具」を挟んだ構造が独特。厚みゆえ「食べにくい」欠点もある、的な? そう言えば開場から開演までの大音響もクラブっぽい。あと、額縁と銀のテープが印象的な美術も含めて画的に美しい(ちょっと違うか)。
ちょくちょく入るマイク・パフォーマンスもユニークで、やはりクラブ的なイメージか? そんな所も含めて演劇は音楽や美術も包括した総合芸術だな、とも。
おれたちにあすはないっすネ
なかないで、毒きのこちゃん
駅前劇場(東京都)
2017/07/10 (月) ~ 2017/07/11 (火)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/07/10 (月) 18:30
価格2,300円
事前情報から予想したものと大きくは違わない「ザッピング演劇」、伝説の(笑)「新宿眼科画廊受付事件(爆)」や堤泰之作品「ダブルブッキング」、それに以前OFF・OFFシアターと駅前劇場を使って上演された観客移動型芝居(未見)などを知っていると「あ、なるほど」という感じ(微笑)
で、そんな予想から客席の入口に近い位置に陣取ったので本来の舞台上、オペブース、ロビーでの出来事(騒動?)を観ることができてほぼ正解。(最大公約数的ポジションはロビーと客席の間あたりでの立ち見?)
なお、受付の向かい側の壁に「ここで演技します」な図が掲示されていたが「まさかのあそこ」はなかったんじゃないか?(笑)
ところでお客さんたち、もっと楽しそうな顔をして、クラッピングなどもすればイイのに(謎)。
シンクロニシティ2018∞
Sun-mallstudio produce
サンモールスタジオ(東京都)
2018/01/05 (金) ~ 2018/01/09 (火)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/01/08 (月) 18:00
座席D列3番
1998年12月、シアターVアカサカでの初演が滅法面白かっただけに2000年2月のシアターTOPSの再演でラストの変更が残念だったが、18年ぶりに雪辱?(笑)
初演時のワクワク感が甦った、と言うか「あー、そうだったそうだった!」と当時の感覚を思い出しながらなのでダブルのワクワク? そして改めて知的好奇心をくすぐる作品だなと。さらにラストで「だから今なんだ!」と納得。
いやぁ、長生きはするもんだ。
床這う君へ
牡丹茶房
ギャラリーしあん(東京都)
2018/01/17 (水) ~ 2018/01/21 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/01/13 (土) 19:00
価格3,500円
江戸川乱歩の「芋虫」を原作に……と謳っているが、むしろ原案として換骨奪胎した新たな物語。(イマの仮面ライダーが「原作・石ノ森章太郎」としていることを想起(笑))
元ネタを読んだのは遥か昔で全くと言っていいほど覚えていないが、頽廃的(?)な味わいが乱歩っぽいな、と。そして哀しい夫婦愛の物語であり悲劇であり、さらにはイマの世相に一脈(どころではないかも?)通ずるのではないか?……などと思いながら帰って調べてビックリ。
元ネタは「ジョニーは戦場に行った」っぽかったような、というおぼろげな記憶が正しかったとは!
なので本作のように昇華させた烏丸棗さんの発想に改めて感心。
また、Gallery&Space しあん にはやはり独特なナニカが憑いており、そしてそれを使用団体が上手く活かすようだ。(逆に団体がそのナニカに使われていたりして(笑))
本作でも「イマの東京の一角」ではない「イツカのドコカ」に連れ去られていたしな。
山の声
温泉ドラゴン
「劇」小劇場(東京都)
2018/01/06 (土) ~ 2018/01/08 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/01/04 (木) 14:00
価格3,500円
昭和4年1月1日未明、山小屋に退避した二人の山男の会話劇。時折1ヶ所で舞う雪や照明・音響で「雪山感」を漂わせるのは「ザ・演劇」。
冒頭の九死に一生っぽさから「ひかりごけ」的な緊迫した状況を予期したが、その後の会話は穏やか。そう言えば冒頭は一人だけ転げ込んできていたので、あれはすべて幻想だったのでは?
あと、終盤で舞い散る雪は桟敷童子級?(笑)
複数ステージのある日など特に終演後のリセットが大変だったろうなぁ。
光、さえも
Ammo
【閉館】SPACE 雑遊(東京都)
2017/09/15 (金) ~ 2017/09/20 (水)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/09/19 (火) 14:00
価格3,200円
美とは何かについて哲学から屁理屈まで駆使しての論争劇、某傑作会議劇やら何やらと勝手に関連付けて観たので愉しさが割増し=例えばあの中にナイゲンのアイスクリースマスみたいな人物がいたらどうだったろう?などと考えて頬を弛ませていたのだった。
また、創作とは何か?という議論になった時に「既存のものが大半であっても、それに手を加えて新たな価値を附加すれば創作である」(大意)という意見が出て「あれ?これって聞き覚えのある理屈では?」とナイゲン終盤の理屈も想起。
キャスティングも的確な中、ピヨレボmacoさんの「フラッパー」ぶりが特にハマっていたかな、とも。史実上のジョージアのポジションが今回の座組の中のmacoさんのようなものだったのでは?などと妄想したりもして。
「12人の怒れる男」では老人が証言通りの時間て戸口まで行けたか試すことで、「ナイゲン」では疑惑の2ショットの再現をすることで座って議論するだけの状況にブレイクをもたらしたけれど、これではどうするんだろう?と思っていたらまさかのダンス、ってのにヤラれた。(笑)
あと、ヴォルテールの「私はあなたの意見には反対だ、だがあなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」に通ずる台詞にニヤリ。
カーテン
日本のラジオ
三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)
2017/09/30 (土) ~ 2017/10/09 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/10/04 (水) 14:00
価格2,200円
一言で表現すれば「玉虫色の会話劇」。ある手法により次々にクローズアップされる会話は深読み・誤読の余地が大きく観客毎に解釈が変わりそう。設定が少なくとも今の日本ではないことでより抽象性が増しているかも。また、状況とは裏腹にどこかのどかな味わいなのも愉しい。
あと、観ながら「神経衰弱」ができたりも。(謎笑)
ああいう設定だけに始まり方と序盤で出てくる「劇場(客席?)では……」という台詞が個人的なツボ。あと翻訳ネタかな。
ちなみに会場の使い方にbird's-eye view「girl girl boy girl boy」(2004年4月)を思い出したが、内容は「OCCUPY ~三鷹市芸術文化センター星のホールを占拠せよ~」ではなかったね、当然のことながら……(笑)
実験公演『いつか私たちきっとそこきっとそこで、そこに』
The end of company ジエン社
3331 Arts Chiyoda(東京都)
2017/08/29 (火) ~ 2017/09/03 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/08/31 (木) 16:30
価格2,000円
昔話と(地下?)アイドルネタが「手術台の上のミシンと蝙蝠傘」の如く邂逅しM.C.エッシャーの「メタモルフォーセス」の如くシームレスに変容・融合し、それをそこに繋げますか!?なのが愉しい。
アベサダ:リローデッド
美貴ヲの劇
OFF OFFシアター(東京都)
2018/01/10 (水) ~ 2018/01/14 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/01/10 (水) 19:30
価格2,800円
巧みな脚本に感心。が、詳しくはネタバレBOXに記し、ここでは「遺伝子(譬喩)」「真空パック」「聖書(の一説)」とキーワードだけ。
たまべん
昭和芸能舎
赤坂RED/THEATER(東京都)
2017/04/04 (火) ~ 2017/04/09 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/04/05 (水) 14:00
座席J列11番
価格2,800円
女性綱引きチームを縦軸にメンバーそれぞれがかかえる問題(家族だったり差別だったり)を横軸とした構成が鮮やかで羽原節全開にして昭和芸能舎の真骨頂。
憎まれ役の設定や終盤の見せ方もイイんだよなぁ。
SANTA CROW'S Co.,Ltd.
Performance team PADMA
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2017/12/21 (木) ~ 2017/12/24 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/12/23 (土) 14:00
座席B列5番
従来ワザのバージョンアップやクリスマスアレンジはもちろんのこと、 ゲストにシンガー・ソングライターを迎えてハートウォーミングなストーリーを絡ませる。まさかPADMAで泣かされる日が来ようとは誰が予想しただろうか!?
なお、同じ池袋での公演で期間がカブっていたTEAM空想笑年「SANTA!」と
・人間ではない存在のサンタクロースが実在して会社組織となっている
・片や12歳がサンタからプレゼントもらう上限、片や15歳になるとサンタを見ることができなくなりサンタの記憶がなくなる
・どちらもラストは泣ける
などのシンクロニシティあり。
Styx in Butterfly
Performance team PADMA
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2017/06/29 (木) ~ 2017/07/02 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/07/02 (日) 17:00
座席H列14番
観ている側も力が入ってしまうようだったり流れるように美しかったりな身体能力極限発揮パフォーマンスとコントなどの笑いが絶妙のバランスで組み合わさっていて見事。
また、従来ネタでもアレンジを加えて違った印象で見せる演出もイイ。
体力ワザをほぼ封印した前回公演「Quintet」の続編的なものや以前のプロレスネタの「○○を待ちながら」的変奏も楽しかったし、終盤の猿かに合戦を伏線に使ったオチも巧いんだよなぁ。
そもそも本編の中心となる病院ネタにからめた小芝居での上演中の諸注意(2分半ほど)から笑いをとっているし。
室温 ~夜の音楽~
天幕旅団
【閉館】SPACE 梟門(東京都)
2017/12/12 (火) ~ 2017/12/17 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/12/15 (金) 19:30
価格3,000円
青山円形劇場の規模ならまだ絵空事感があるが、このサイズの会場であることに加えて具象的な舞台美術なので身近かつ現実的なタッチに感じる。その一方で内容はオカルト気味と言おうか非現実的で、そのギャップ(アンビバレンツ?)が面白い。
終盤で邪悪/ダークな展開となりどよーんとしてからの最終場がそこまでを浄化するようで、その感覚に「パンドラの匣」を想起……って、キコ qui-co.「神の左手:coda」に通ずるような。
ツヅキノキセキ
たすいち
「劇」小劇場(東京都)
2017/12/22 (金) ~ 2017/12/26 (火)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/12/24 (日) 19:00
価格3,000円
SFにありがちなネタをほぼSF臭なしに仕立ててさらに観客への問いかけ(=テーマ?)もきちんと組み込んだツクリはいかにもたすいち。
俺は大器晩成、~四十にして大輪を咲かせる予定~
劇団献身
駅前劇場(東京都)
2017/12/20 (水) ~ 2017/12/24 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2017/12/21 (木) 19:00
価格3,200円
初演は7年前だそうで負のエナジーが暴走気味なのは若さだねぇ、と。
で、不安定な部品を次第に高く積み上げて行くようなスリルがイヤ。(笑)
しかしそれを払拭する最終場のチカラ技たるや……やっぱり若さだわ。(笑)
地獄
江古田のガールズ
小劇場 楽園(東京都)
2017/12/12 (火) ~ 2017/12/17 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/12/16 (土) 14:00
価格3,500円
端的に言えば「12人……ではなく11人の○○○○日本人ともう1人」的な。骨太に「生きろ!」というのも好きだけれど、本作のようにやんわりと「死んじゃダメだよ、生きてなくちゃダメだよ」(←ドラマ「わたしたちの教科書(坂元裕二脚本:2007年)」の名台詞)というのはもっと好きかも。
また、先に触れたように12人の怒れる男へのリスペクトが感じられる展開(大多数を占めていた意見が次第に覆ってゆく)や台詞(「話しましょう」とか)があって、アレが大好きな身としてタマらん♪ さらに終盤の「ある種明かし」からのオチも巧みで満足満足。
ステキなクリスマスプレゼントを一足はやく頂いたような。
クラクション
ハダカハレンチ
王子小劇場(東京都)
2017/12/14 (木) ~ 2017/12/17 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/12/15 (金) 14:00
価格3,000円
集合住宅の4つの部屋での深夜の出来事。それぞれが絡んでいたりいなかったりと差があり、終盤に「明けない夜はない」かと思わせて……なのはいかにも深谷作品。また、4つの部屋を同じ舞台上に同居させ併行して描く手法は演劇の特権。しかし4つとはまた……
たとえばレイ・クーニーの「ラン・フォー・ユア・ワイフ」(だっけ?)では1つの装置の中で2つの部屋を重ねて見せているけれど、 #ハダカハレンチ 「クラクション」では4つの部屋を1つの装置に同居させていた。このパターンの最大はいくつの部屋なんだろう?4つが最大とか?
【余談】
王子小劇場にて通常は舞台に使う側を客席にした作品で「あ、どちらの言い分もワカる」なキツめの口論がある芝居が1ヶ月の間に2本上演されるとは……!
池田屋裏2炎上
グワィニャオン
萬劇場(東京都)
2017/12/13 (水) ~ 2017/12/17 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/12/14 (木) 14:00
座席I列8番
価格2,800円
この少し前に観たこまつ座「きらめく星座」の「こじつけで国の行く末をきめられてはかなわんのです」もさることながら斬り合いで決めるのもかなわんなぁと思いながら、あの頃の若者の方が今の政治家たちよりも真剣に国のことを考えていたのではないか、などと思う。
さらに、世界の行く末を武力で決めるようになりかねない昨今の国際情勢への警鐘か?と深読みも。
なお、ちょくちょく入る笑いにしても終盤のキレの良い殺陣にしても全体的に「これこれ、これがグワィ♪」な老舗の味。(笑)