じべ。の観てきた!クチコミ一覧

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春夏秋冬

春夏秋冬

世田谷シルク

ヨコハマ創造都市センター(YCC)(神奈川県)

2019/02/16 (土) ~ 2019/02/17 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/02/17 (日) 16:00

一人の女性の生涯を四季になぞらえ、台詞と身体表現で描いたいかにも世田谷シルクなパフォーマンス。
数枚の可動式の大きな白いパネルに投影される水彩(?)の画像やその場で描かれるペインティング映像(上演回によってかなり違ったものになったとか)も効果的で印象に残る。
アンサンブルが白い着物に菅笠なので幻想的と感じるのは黒澤明監督「夢」を連想したからか?
また、内容を簡潔に言えば劇団献身の「怪童」と同じだが、全く異なるというのも演劇の多彩さを示すと言えるか???(笑)

「あつまれ!『くろねこちゃんとベージュねこちゃん』まつり」

「あつまれ!『くろねこちゃんとベージュねこちゃん』まつり」

DULL-COLORED POP

サンモールスタジオ(東京都)

2019/02/14 (木) ~ 2019/02/24 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/02/19 (火) 19:00

価格3,000円

【東谷チーム・3ステージ目】
個人的には最終チームとなるが、前日の百花チーム・井上チームと、この日のマチネで観た谷チームの間に位置するような感覚。
演出的には谷チームに近いが、装置は実際のテーブルを使い、しかし他の3チームと違って「食器棚」的なものがなくテーブルのみというシンプルさ。
そんなあたりを喩えれば、

谷チーム:ビアノ独奏曲(原曲)
東谷チーム:弦楽四重奏編曲
百花チーム:ロックアレンジ
井上チーム:ジャズアレンジ

あるいは

谷チーム:デッサン
東谷チーム:水彩画
井上チーム:油彩画
百花チーム:ポップアート

といったところか。
同じ脚本でもこれだけ演出が異なり、その結果、物語の結末で受ける印象も異なるという企画、大変面白かった。
DULL-COLORED POPとしてはこれで封印するそうだが、他団体での上演も観てみたいような……。

ネタバレBOX

百花チーム・井上チームはミラーボールで星が舞ったが谷チーム・東谷チームはミラーボールを使わず、百花チーム・井上チームは母・よし子役が女優で谷チーム・東谷チームは男優というのも面白かった。
「あつまれ!『くろねこちゃんとベージュねこちゃん』まつり」

「あつまれ!『くろねこちゃんとベージュねこちゃん』まつり」

DULL-COLORED POP

サンモールスタジオ(東京都)

2019/02/14 (木) ~ 2019/02/24 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/02/19 (火) 15:30

価格3,000円

【谷チーム・4ステージ目】
ウワサに聞いていた装置に加えて「アレ」を使わないことも相俟って稽古場のような雰囲気が漂いベーシックな感覚。
そして、ここまでに観た3チームのうちで一番のハッピーエンドという印象を受けた。(推定理由はネタバレBOXに)

ネタバレBOX

最終場でねこちゃんたちが「バイバーイ」と言って去るが、谷チームは本当にアッサリと去るので母・よし子の気持ちの整理がキチンとついたように思えたのかも?

オープニングの出演者による前説は録音してある音声を使用して、その間に平台に脚を付けてテーブルとし箱馬を並べて椅子として「装置」にすることと、小道具は使わずすべてマイムで表現するのが他の3チームとの決定的な違い。
「あつまれ!『くろねこちゃんとベージュねこちゃん』まつり」

「あつまれ!『くろねこちゃんとベージュねこちゃん』まつり」

DULL-COLORED POP

サンモールスタジオ(東京都)

2019/02/14 (木) ~ 2019/02/24 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/02/18 (月) 19:00

価格3,000円

【井上チーム・2ステージ目】
同日マチネに観た百花チームと好対照……どころか真逆に近い印象。
ねこちゃんパートとリアルパートの区切りがハッキリしていた百花チームに対してこちらは両者がシームレスでモーフィングのようにスムーズに繋がっているし、時々おもちゃ箱をひっくり返すようににぎやかになった百花チームに対してシブく落ち着いていていぶし銀のようだし、結果として結末も百花チームの「前途多難」に対して「無事に軟着陸」という印象だし。
全体の半分の2チームを観ただけで企画の面白さを実感。

ネタバレBOX

本編に入る前の出演者たちによる前説、「父」の語りが途中で鈴(りん)のような音で遮られて止まり、父がハケた後に遺品のカメラにサスペンションを当て前説後半をスピーカーから流すことで「父の急逝」感を前面に出したことも納得。
「あつまれ!『くろねこちゃんとベージュねこちゃん』まつり」

「あつまれ!『くろねこちゃんとベージュねこちゃん』まつり」

DULL-COLORED POP

サンモールスタジオ(東京都)

2019/02/14 (木) ~ 2019/02/24 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/02/18 (月) 15:30

【百花チーム・2ステージ目】
谷さんによれば「狂っている」、モビルスーツ/モビルアーマーに喩えればザクレロだという百花チーム、ファンシーでポップなねこちゃんパートが物語のビターさを緩和しているといったところか。

ネタバレBOX

オペブースからの「はっじまっるよー!」な掛け声から始まるミラーボールで星がきらめく冒頭部は思い切りポップでファンシー。
で、ねこちゃんパートの「救い」は本編の夫を喪った「母」の哀しみの緩和とリンクしている感覚、そこが巧い。
あと、場毎にねこちゃんがボクシングなどのラウンドガールのように、これから始まる場の内容を示す一言が書かれたスケッチブックを客席に見せるのも親切と言うか何と言うか……。
荊姫~いばらひめ~

荊姫~いばらひめ~

演劇ユニット 金の蜥蜴

ブディストホール(東京都)

2019/02/13 (水) ~ 2019/02/17 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/02/16 (土) 14:00

座席L列16番

価格4,000円

能楽の「鉄輪」を題材にした立体絵巻(って、考えてみれば能楽がそもそも立体絵巻だった(笑))。
悪者の側にも哀しいドラマがあり、運命に弄ばれた者の末路のように描くのはさすが古典?(そう考えると機動戦士ガンダムのシャア・アズナブルもこの系譜?)
また、物の怪や鬼というのは邪な心を実体化して表現したものかとも改めて思う。そんなあたりが多少教訓っぽいのはやはり古典ゆえか?(笑)

紡ぐ。

紡ぐ。

劇団ヨロタミ

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2019/02/14 (木) ~ 2019/02/18 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/02/15 (金) 14:00

東北地方の片田舎(推定)の駅の待合室、舞台脚本家を目指し上京しようとする男とその父の会話から始まる「創り上げ系」バックステージもの(※)。
小劇場系演劇関連のあるあるネタ(自虐気味なものも含む)が満載でニヤニヤ。また、終盤では「演劇愛」が溢れ出るのもイイ。

※ バックステージものは「ショウ・マスト・ゴー・オン系」と「創り上げ系」に大別されると考える。前者は公演の本番中や直前に発生したトラブルを何とか解決して公演を全うしようというもの、後者は公演/作品を創り上げてゆく過程を見せるもの。

ネタバレBOX

冒頭の駅の待合室の場面が実は劇中劇の一部で、暗転後にそのシーンについてのダメ出しが始まるというトリッキーな出だしも愉しい。

小劇場ネタでは「座面が上がり、ひじ掛けのついた座席の会場」と「パイプ椅子、時には丸椅子の会場」という区分が印象的。
ヨロタミがよく公演で使う BOX in BOX THEATER が前者で、今回の BASE THEATER は後者というのがメタっぽくて好み。
カーテンを閉じたまま

カーテンを閉じたまま

Ammo

シアター風姿花伝(東京都)

2019/02/14 (木) ~ 2019/02/19 (火)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2019/02/14 (木) 19:30

価格3,200円

1952年・パリ、フランス領インドシナからの留学生たちが新入生歓迎のために演劇の稽古をしていた。その演出を担当するのは後にポル・ポトを名乗ることになるサロト・サルで……な事実に基づくフィクション。
途中の「5分でワカるリア王」のダイジェストぶりに感心してニヤニヤしていたが、それ以降は手に汗握る、というか身も凍る、というか圧巻。

サロト・サルら中心メンバーは演劇の稽古を通して反対意見を持つ一派を分断・封殺する手法を試しており、終盤では彼らにオルグされる“反対派”の弱さも描かれてコワいコワい。

なお、プロローグ(2006年だったか?)でのイム・ソテア(演・前園あかり)の「老い」の表現もお見事。

ネタバレBOX

前年5月の<火遊び>「焔の命 -女優の卵がテロリストになった理由」を観ていたので両者に通ずる、あるいは表裏を成す関係性が感じられてゾクゾク。
「焔の命」は革命を目指した若者たち(=連合赤軍)の顛末を劇団の稽古に落とし込んだもので「カーテン……」は革命を目指した若者たちがそのための手法を演劇の稽古を通じて試す話、と言えないだろうか?

そして、このテの話だといつも思う「あの頃の若者は(それが正しいかどうかは別として)祖国の行く末を真剣に案じていたのだな」というのは幕末の志士たちも同様だな、とも。
闇を蒔く~屍と書物と悪辣異端審問官~

闇を蒔く~屍と書物と悪辣異端審問官~

虚飾集団廻天百眼

ザムザ阿佐谷(東京都)

2019/02/03 (日) ~ 2019/02/11 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/02/03 (日) 19:00

寺院に保護されたヱリコ、マリサ姉妹は書の一部を読むことで自らの武器とする術(すべ)を会得して異端審問官に起用されるが……な物語。
前半はアクションRPG的な印象で進み、中盤で「エコク人」が登場するあたりからダイナミックな展開となり、姉妹の「秘密」を明かした後にある意味定番でもある「憎しみの連鎖は断ち切られず殺し合いは続く」で締め括る。この結末、こんな時期だけにメッセージ性がより強く感じられる。
衣装・音楽も含めた派手な演出に加えて今回は舞台や客席上方に飾られたステンドグラスが美しくかつ妖しい。
そして百眼史上最大瞬間飛距離・最大瞬間量を記録した血糊!
いつも通りの花道よりも後方の席(従来は飛んだとしても滴レベル)にいたが、膝に着弾したか?と思い拭った掌が手形を取るかのように赤くなっており、ついに「血(糊)の洗礼」を受ける。(笑)

ネタバレBOX

終盤、ヱリコがマリサとの本当の関係を知らされる場面では「エンゼル・ハート」(アラン・パーカー監督:1987年)の終盤でのミッキー・ロークを連想。
また、その後の屍2体(ラハブ、ホムンクルス)の対戦には「サンダ対ガイラ」(本多猪四郎監督:1966年)も連想。
接点 vol.1

接点 vol.1

チーズtheater

新宿スターフィールド(東京都)

2019/02/13 (水) ~ 2019/02/17 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/02/14 (木) 14:00

価格3,500円

チーズtheater・TOKYOハンバーグ・フロアトポロジーがそれぞれ書き下ろした30分ほどの短編を短編集形式でなく、場ごとに併走する形式で構成し1本の作品として編み上げたスタイル。
明確な共通のテーマはなさそう……どころかオーソドックスな人情噺、σ(^-^)の大好きな某有名文学作品を想起させるファンタジー系、手法が(やや)異色なもの、と作風・味わいも三者三様でありながら、人物の境遇など共通点が散見され(この感覚はまさしくタイトルの「接点」)、深読み・誤読が得意な身にとって「こっちのあの人はあっちで話に出た人ではないか?」などと勝手に想像を膨らませることも可能。(笑)
また、一通り観た後で再見するとまた新たな共通項も見つかりそう。

なお、そんな風にそれぞれ異なってはいるが、根底には「優しさ」がある、な感じ。

ところでタイトルに「vol.1」が付いているということは、第二弾、第三弾も期待してイイのかな?そしてどんな団体とコラボするのかな?

悦楽乱歩遊戯

悦楽乱歩遊戯

虚飾集団廻天百眼

ザムザ阿佐谷(東京都)

2017/02/26 (日) ~ 2017/03/05 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/02/27 (月) 19:00

乱歩作品のエログロ担当インモラル・オールスターズによるリミックス3Dアンソロジー。作品同士のつながり方がツイッターで時々見かけるキャラやロゴの「マッシュアップ」の芝居版の如し(笑)。

当日パンフレットの配役一覧にはそのキャラクターが出てくる作品名も記されていて、開演前はよく思い出せなかった(だって読み耽ったのは40年以上前だもの)作品も終演後に改めてパンフレットを見たら「あ、あれか!」だったりも。
また、人間椅子パートの一部に二人羽織を連想(笑)。

なお、通常は靴を脱いで入る客席、黒いビニールで養生してあり、スムーズな入場のためかと思ったが、いやしかし飛び散る血糊対策かとも思いガクブル。(笑)

僕らの力で世界があと何回救えたか

僕らの力で世界があと何回救えたか

タカハ劇団

小劇場B1(東京都)

2019/02/08 (金) ~ 2019/02/14 (木)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/02/08 (金) 19:00

価格4,000円

かつての高校無線部の面々が市のイベントで「科学に親しむ」展示をするよう依頼され出し物を検討している最中、以前使っていた無線機から失踪した友の声らしきものが流れて……な物語。
事前告知の通りラフカットに書き下ろした中編とはごく基本的な設定は共通だが全くの別作品。長編ゆえに(?)スケールも大きく扱うテーマも複数になったことで多少のとっちらかった感が無きにしも非ずだが、ミステリー要素とファンタジー要素により往年のNHK少年ドラマシリーズのオトナ版(あるいはオトナ向けジュヴナイル)なオモムキがあり、楽しめた。
で、ネタ的に「オーロラの彼方へ」(グレゴリー・ホブリット監督:2000年)も思い出したり……。

SHOOTING PAIN

SHOOTING PAIN

ピヨピヨレボリューション

スタジオ空洞(東京都)

2019/02/01 (金) ~ 2019/02/10 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/02/07 (木) 19:30

価格3,000円

精神科医・有川が赴任した病院は患者・スタッフとも個性的な人物が多く、中でも患者のマツリは……な物語。
好きな題材の1つだしこのテの話では定番的なパターンもあって早い段階で真相に気付く……って6年前にコロブチカによる初演も観ていたのだった。
が、さすがに間に2千本も観ているのでこの「気付き」が記憶によるものなのか純粋な推測によるものなのか自分でも判別不明。(爆)
いずれにしても前半での伏線が終盤で回収されてゆくのが小気味良く、巧みにして鮮やか。

なお、観た回の終演後にはアフタートークがあり、衣装デザインに関する話が聞けたり物語の中心となる女優トリオのLINEグループの話に「イイ座組だこと」とホロリとしたりも。
4月のライブスタイル演劇版もまた新たな魅力がありそうで観るのが待ち遠しい。

ちなみにコロブチカ版の主要な配役をネットで見つけてそちらも納得。(前述のようにすっかり忘れていた(爆))

ネタバレBOX

「SHOOTING PAIN」というタイトル、なぜか「PHANTOM PAIN(幻肢痛=病気や怪我により切断した四肢がまるでまだあるかのような痛みを感じる疼痛)」と混同してしまい、亡くした親友やその時の自分を別人格とすることに通ずるな、と感心したりもしたのだった。
卒業制作

卒業制作

しあわせ学級崩壊

王子小劇場(東京都)

2019/02/06 (水) ~ 2019/02/10 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/02/07 (木) 14:30

価格2,500円

対面客席の間に設営された金属の柵(?)で囲まれた檻のような演技スペースで繰り広げられるのは卒業式を目前にしたとある高等学校での出来事……?
大音量のビートに会話やモノローグを乗せるお馴染みにして独特なスタイル、ビートのカンバスを言葉のコラージュで埋めてゆくような感覚……と思ったところでハタと思い当たったのは70年代前半のマイルス・デイヴィスの来日ステージ。
リズムセクションの繰り返しの中、「次、ギターね」「今度はサックス」などとその場でミュージシャンにソロの指示を出し時には自分でも演奏するマイルスが弟子に指示を出しながら壁画のような大きな絵を描いている職人の親方のイメージだったことを思い出し、リズムのカンバスを即興演奏で埋めてゆくところがこの団体の手法に通ずるのではないかと。
そしてそのような独特の「リーディング・オン・ビート(あるいはラップ系リーディング?)」スタイルゆえ、ストーリーの要とも言える「アレ」や「ソレ」を終盤まで隠し通せるのかも?
そうして迎えるラストもまたσ(^-^)の好きなパターンの1つで、往年の人気特撮ドラマの最終話も連想。
考えようによっては「金網デスマッチ・バトルロイヤル演劇」かもなぁ?(笑)

ネタバレBOX

連想したのはウルトラQ最終回の「あけてくれ!」

しかし芝居を観ながら「登場人物は実は既に全員死んでいて、生前の業により辛いことを延々繰り返している地獄が描かれているのではないか?」と深読みすることがよくあり、その大半は誤読なんだが、いざそういう内容の芝居を観てみると逆に案外気付かないモンだね。
この海のそばに

この海のそばに

えにし

「劇」小劇場(東京都)

2019/02/05 (火) ~ 2019/02/10 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/02/06 (水) 14:00

価格3,000円

変わった生い立ちの俳優がいるということでテレビの女性ディレクターから取材依頼を受けた前田勝はその取材を通して亡くなった母のことを調べようと思い……な物語。
前々回公演「クラゲ図鑑」(2017年7月)と同じ題材で、その時は自らの特異な体験を演劇化し観客と共有するということ(とその内容)に衝撃を受け、芝居本体もかなり重くしんどく感じたが、今回は演劇として昇華させた印象で「クラゲ図鑑」を観たことにより内容をある程度把握していたこともあって「演劇として」観ることができた。
「もしもあの時、ああすることができたら良かったのに」な事柄を過去に遡って実行する、というのは時間ものフィクションの定番の一つだが、現実世界に於いてそれを少し違った形で実現するとはお見事、というか恐れ入る。そして亡き母の供養であり鎮魂歌的なものでもあると受け取った。

ネタバレBOX

夫を手にかけた後のヨンヒが、計画通りマンションの屋上に向かう時に3階までは階段、その後はエレベーターを使って上るのに伴いわが子の誕生からのことを追想するのが演劇表現として巧み(スライドドアが出現するのもエレベーターの時だけでは?)。
緋色、凍レル刻ノ世界、永遠

緋色、凍レル刻ノ世界、永遠

三栄町LIVE

ザ・ポケット(東京都)

2019/01/30 (水) ~ 2019/02/03 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/01/31 (木) 19:00

座席G列3番

2015年11月のSPACE雑遊での初演を「劇場版」にグレードアップ。空間が広くなったことで早口の台詞が聞き取りにくくなった憾みはあるが、その空間を活かした高低差もある装置や客席通路前方も使う演出で相殺か?
また、この少し前に観た芝居・映画に共通していた「死を選ぶ自由」的なものも感じられたが、最終的には「生きろ!」なメッセージで胸をなでおろす。
これ、三演目もありそうだな。また観たい。

わが家の最終的解決(再演)

わが家の最終的解決(再演)

Aga-risk Entertainment

恵比寿・エコー劇場(東京都)

2019/01/25 (金) ~ 2019/01/29 (火)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2019/01/25 (金) 19:00

座席G列10番

台詞の7~8割(だっけ?)を書き直したそうで、そのためか配役の違いからか初演時(2016年5月)には感じなかったが、井上ひさしの「きらめく星座」に通ずるように思えた。

戦争の愚かさやオカしなところを笑いの中で指摘するという基本的な骨組みもさることながら、主人公にとっては脅威である人物がコワい役職なのに間の抜けたところもあり、最後に粋な計らいをするというのが重なる、みたいな。
ハンスの上司・ゲルトナーってドイツ版の憲兵伍長・権堂さんと言えよう。(笑)

また、クライマックスでは緊張感、愛の強さ、大岡裁き、など様々な要素が絡み合った怒涛の展開となるが、その感覚はさながらジェットコースター?
ホント巧いわ。(一家が脱出に成功することに「サウンド・オブ・ミュージック」も連想)

そして「新たな騒動」を予見させて幕を引く最終場(終戦直後)では戦中と戦後で態度をガラリと変える一般民衆を描いてシニカル。まさに画竜点睛を打つ、だね。

怪童

怪童

劇団献身

OFF OFFシアター(東京都)

2019/02/06 (水) ~ 2019/02/13 (水)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2019/02/06 (水) 19:30

価格2,700円

終演後、奥村主宰に最初にかけた言葉は「いい絵、描いたなぁ」だった。
出だしこそ従来の破天荒な献身調だが、本編は破天荒などとは程遠く、普通より少しだけ振れ幅が広いが決して稀有ではない生き方をした女性二人の生きて、生きて、生きて、老いて、な人生を抜粋しユーモアとペーソスも交えて見せて鮮やか。
「わび・さび」、「枯山水」なども思わせる新境地か?
ラスト二場の構成も巧い。

『天国への登り方』

『天国への登り方』

アマヤドリ

あうるすぽっと(東京都)

2019/01/24 (木) ~ 2019/01/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2019/01/27 (日) 15:00

座席H列11番

【千穐楽:通算3度目】
今回は4日間6ステージという短期間だったこともあってか初日から楽日まで大きく変わった部分はないように思えたが、初日と楽前日の座席の違い(下手・上手のそれぞれ前方)による印象の違いが大きかった……ので千穐楽は後方ほぼ中央で観劇。位置的にも客観的に観ることができて総復習的な感覚で満足。

なお、初日を観た翌日、冲方丁原作・堤幸彦監督「十二人の死にたい子どもたち」を観たら「死を選ぶ自由」「他人の世話になってまで生きていたくない」など通ずる台詞がいくつかあり既視感。
また、映画の惹句にある「安楽死」は本作での定義からすれば単なる集団自殺にすぎないとも気付き、相乗効果アリ。

「幸福の黄色い放課後」

「幸福の黄色い放課後」

オフィス上の空

萬劇場(東京都)

2019/01/23 (水) ~ 2019/01/27 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/01/27 (日) 12:00

座席I列2番

【3-A・千穐楽】
3-B初日に当日パンフレット知り「なるほど」と思ったキャストはもちろん、意外に思ったキャストもいざ観てみれば当然の如くピタリとハマっており、配役を知ってから時間を空けて観るというのも面白いものだと改めて思った。

また、先に各パーツを個別に示しておいてから最後にそれらを組み上げた「完成品」を提示するという構造、何かに似ていると思ったがブリテンの「青少年のための管弦楽入門」だ、アレの演劇版だ!(笑)

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