恋人としては無理
柿喰う客
ギャラリーSite(東京都)
2008/04/13 (日) ~ 2008/04/13 (日)公演終了
満足度★★★★★
見事…ってか絶品?
柿版『JCS』とでも言うべき内容はもちろん、名前のある登場人物だけでも13名、一般市民やピラトの部下など名のない人物やロバ(!)も含めると30以上の役を5人だけで演じ、しかも主要人物は1つのアイテムと口調という「記号」で表現して交互に演ずる手法が面白く、かつ見事…ってか絶品?
NEN,GOO!〜お江戸のスターが勢ぞろい
J's PRODUCE
あうるすぽっと(東京都)
2008/04/09 (水) ~ 2008/04/13 (日)公演終了
満足度★★★★
アイデアに感心
ストーリーに「練り込む」のは難しかろうと思われる「税金」というテーマを、パラレルワールド的な(あるいはすべてが滅んだ後の遥か未来に再建された?)「お江戸」の年貢増額を発端とした倒幕運動とその顛末に仕立てたアイデアには感心。
寸前家族
パラダイスシアター「おもちゃ工房」
萬劇場(東京都)
2008/04/11 (金) ~ 2008/04/13 (日)公演終了
満足度★
期待外れ
嘘と誤解で事態がややこしくなるというコメディの王道で好きなタイプではあるが、よく観ているのが災いしてか「フツーの面白さ」にとどまる…どころかいくらコメディとはいえ無茶な部分も散見されて、期待外れ。
また、一介の強盗が、アーマライトM16を使用するなんて、いくらなんでもリアリティなさすぎ。
THE BEST PARTNERⅡ
ジーモ・コーヨ!
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2008/04/10 (木) ~ 2008/04/13 (日)公演終了
満足度★★★★
2日目を鑑賞
犬と人間の関係を扱い、野犬も登場、人間の身勝手さ批判など、劇団Peek-a-Booの『ONE!』とカブる部分も多いが、人間側が中心、野犬より飼い犬の数が多い、など対照的で、視点がちょうど裏返しのような部分もあり、両方観ると相乗効果が得られる、な感じ。
炎の記憶
SORAism company
シアターブラッツ(東京都)
2008/04/10 (木) ~ 2008/04/13 (日)公演終了
満足度★★★
ガンマニア的には引っかかる
何故か死なない神父と、彼を訪れたワケあり気な男を中心とした物語。男の「秘密」と神父が1人の時に現れる「影」などで引っぱる引っぱる。
かなり重要なヒントがありながらも他に気をとられていて落としどころを見抜けなかったのはキレイに1本取られたようでちょっとクヤしい。そんなことならもっとそちら系のネタを入れておいて欲しいモンだわさ。いや、アレを知った上で観るとあれこれ気付くシカケなのか?
ただ、シスターのマシンガンの入手経路と乱射ぶりがちょっと引っかかる。「クリスチャンである二代目」ですらあんなには乱射しなかったんじゃなかろうか?…ってか、室内で乱射したら壁や天井がボロボロにならないか?
他にガンマニア的にはハンマーを起こしたまま銃を渡すのが気になったりもして…
黄金の山
椿組
【閉館】SPACE 雑遊(東京都)
2008/04/04 (金) ~ 2008/04/13 (日)公演終了
満足度★★★★
謎がすべてつながった時のコワさ
かつてバラバラ殺人を犯した少女が、埋蔵金を探して山にこもっている「家族」のもとに帰ってきて…と書くと重そうだが、少なくとも前半はコミカル。
そんな中になにやらアヤしげな謎がチラホラして、それを小出しにすることで「それって、何?」「どうなって行くの?」という興味をつなぐのが巧み。
そしてその謎がすべてつながった時のコワさ…。前半が喜劇調なので後半のコワさがより際立つ感じ。
途中で「どんだけ世間から隔絶しているんだよ!」なツッコミどころはあったものの、なかなか面白うございました。あと、最後に乱舞する桜吹雪もよかったなぁ。
童の音小僧
モノヅクリズム ソラトビヨリ。
ウエストエンドスタジオ(東京都)
2008/04/09 (水) ~ 2008/04/13 (日)公演終了
満足度★★★
初日と大楽を鑑賞
グワィニャオンの『音小僧』(03年5月)にも感じたことながら、この世に存在するありとあらゆる音を作り出している存在がある、という設定で2時間のドラマを創り上げるのがスゴい。
また、その音の表現方法はもちろん、それに動作も付けることによって、たとえば飛び立つ鳩や迫り来るバイク、それに花火(これは照明効果も加わるが)などその映像が脳内でちゃんと再生されることにも感心。
さらに「手づくり」から「機械」に変わってしまうことの味気なさについてもサラリと触れているのがイイ。
旅に出ようよ
デッドストックユニオン
タイニイアリス(東京都)
2008/04/03 (木) ~ 2008/04/06 (日)公演終了
満足度★★★★★
大満足
校長が資金を持ち逃げして窮地に陥ったタレント養成スクールを舞台にした物語で、コミカルな序盤、窮余の策からサクセスストーリー系となる中盤、そして芸能界の「オトナの事情」のために「どうなっちゃうの?」を経て感動のフィナーレを迎えるという全体の構成が上手い上に、ディテールも凝っていて大満足。
当日パンフによれば、音楽にインスパイアされて生まれた作品ということで、まさに主題歌とのコラボレーション。中盤で「こんな素人たちとユニットを組むの?」と落ち込んだサリーと主題歌のAメロ部分(スローバージョン)が対話するようだったり、終盤では歌詞がそのまま芝居の内容に反映されていたりという手法がユニークにして見事。
また、男女合わせて11人の生徒たちの設定がネットアイドル、A-BOY、ラッパー、OL、看護士など多彩でそれがうまく使われているばかりでなくスクール側もクール&ドライな経理担当を筆頭にキャラがたっていて、その演技も○。
春を待つ
味わい堂々
中野スタジオあくとれ(東京都)
2008/04/03 (木) ~ 2008/04/06 (日)公演終了
満足度★★★
終盤は快感に近いモノがある
旗揚げ公演と同様、高校生ネタで笑わせておき手の込んだアニメーションによるオープニングクレジットにつないだ後の本編はややシリアスな展開。
冒頭の高校生たちのその後(=現在?)の姿を複数の併行したエピソードで見せるスタイルはそれぞれの関係性がちょっとつかみにくいが、終盤でそれらが一気に関連付けられるのは快感に近いモノがある。
ピース!!!
劇団Peek-a-Boo
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2008/04/02 (水) ~ 2008/04/06 (日)公演終了
満足度★★★★
広角エンタテインメント
とある星を舞台に、移住してきて対立し合う種族たちが、ある人物に感化されて良い方向に向かうという物語。前作『ONE!』と共通する部分が多く、比べてしまうとかなり甘口な仕上がりではあるが、根底に流れるテーマから表現方法、笑わせ方に至るまで「武末イズム」満載の子供から大人まで楽しめる広角エンタテインメント。
なんだかんだで4日マチソワと5日ソワレ、つごう3回鑑賞。
狼少女ダルマ〜日出処の天女
X-QUEST
あうるすぽっと(東京都)
2008/04/02 (水) ~ 2008/04/06 (日)公演終了
満足度★★★★
前作に引き続き新境地開拓
「島国日本演劇祭」4作品の中の1本で、与えられたテーマが「選挙」なのでいつもとは若干テイストが異なり未整理な部分もなきにしも非ずながら、主張はむしろ普段よりもわかりやすくド真ん中の剛速球で、こういう題材をエンタテインメントに仕立て上げるということに感心。
「狼が来た!の嘘つき」と「狼に育てられた」という両方の「狼少女」をネタに使いつつ、選挙・国家・君主制などについてサラリとしかし鋭く言及しており、前作に引き続き新境地開拓かも。
また、ヒロエ当選後のダイナミックな展開に見応えがあり、「ギガジャパン」という国家が変わり行く瞬間に立ち会えたような感覚と、ギガジャパンだけでなく、この国の行く末をも憂いているような結末にはワクワク。
なお、大楽もH-8にて鑑賞。
Everydayウキウキ!だって大統領だもんッ!
ポップンマッシュルームチキン野郎
ザ・ポケット(東京都)
2008/03/28 (金) ~ 2008/03/30 (日)公演終了
満足度★★★
もう少し刈り込んでも良かったのでは?
全体がナンセンス系のドタバタ喜劇なだけに、キャンディが大統領に会いたがった理由が明かされる場面や、反則気味の(笑)親子ネタなど、ハートウォーミングな部分が際立つ。
また、冒頭の「アフガニスタン侵攻くらい無理がある」を筆頭に随所にまぶされた毒も利いている。
ただ、若干クドいと感ずる部分がなきにしも非ず。もう少し刈り込んでも良かったのでは?
ボクラノセンソウ
K.B.S.Project
サンモールスタジオ(東京都)
2008/03/27 (木) ~ 2008/03/30 (日)公演終了
満足度★★★★★
ブラックな結末かと思わせて実は…
芝居に対する意気込みや愛情が表現されているので元来好きな劇団内幕系に反戦・戦争批判というやはり好きなテーマを絡ませ、まさに「カモがネギ背負って」あるいは「盆と正月が一緒に来た」状態。ブラックな結末かと思わせて実は…という入れ子構造と、それを応用したオチも○
MIDSUMMER CAROL(再演)
G2プロデュース
PARCO劇場(東京都)
2008/03/21 (金) ~ 2008/04/06 (日)公演終了
満足度★★★★
やはり背後霊が…(笑)
後藤ひろひと作品としては異色(?)な大泣き系。
初演で印象が鮮烈だったキャストが背後に見えたりもするが、ほぼ全とっかえ状態のキャストもそれぞれ芸達者で各キャラクターを好演。
また、あちこちに伏線を張って時にはミスリードを誘い、笑いも交えながら次第に泣かせる方向に持って行くのは上手く、特に第一幕のラストと、全体のクライマックスは鮮やか。
ホスピタルビルド
TUFF STUFF
SPACE107(東京都)
2008/03/18 (火) ~ 2008/03/23 (日)公演終了
満足度★★★★
満足度高し
人命や医療という正解なんてない命題に各キャラクターがそれぞれ向き合いそれゆえにぶつかり合うという脚本と、そのキャラクターをキチンと体現するキャスト、そしてそれらをまとめあげた演出が見事なまでに噛み合って創り上げられた作品は満足度高し。
心は孤独なアトム
“STRAYDOG”
シアターアプル(東京都)
2008/03/20 (木) ~ 2008/03/23 (日)公演終了
満足度★★
妙に納得
02年の初演を観ていたとは言え、かなり記憶が薄れており、客席に入って装置を見たら多少思い出せたものの、ディテールは「曖昧」どころか「あやふや」、観ているうちに先の展開を思い出すこともなく…(爆)
だもんで、本筋との関連がなかなか見出せないまま併行して描かれるエピソードも最後につながりが明かされるまでじれったく(=初見とほぼ同じ状態)、なるほどこれじゃあ初演の時にストーリーが印象に残らなかったハズだ、と妙に納得。(笑)
かるてと
SHAFT
荻窪メガバックスシアター(東京都)
2008/03/20 (木) ~ 2008/03/23 (日)公演終了
満足度★★★★
「謎の悲鳴」という共通項
病院を舞台にした5話オムニバスで、それぞれ作家を異にしながらも「謎の悲鳴」という共通項で関連付けて最後にその共通項のネタを明かすというシカケ。第2話、第3話が面白く、それまでのエピソードをまとめてブラックなオチをつける第5話は秀逸。
葦ノ籠~アシノカゴ~
黒色綺譚カナリア派
青山円形劇場(東京都)
2008/03/19 (水) ~ 2008/03/23 (日)公演終了
満足度★★★
昔話の裏に隠された残酷さ?
わが子を喪った父の哀しみ(狂気?)もさることながら、お伽噺や昔話の裏に隠された残酷さを白日の下にさらけ出したようなコワさがあり、そう言えば、途中までなら描き方を変えれば亡くした子や去った妻と再会できてあら嬉しや的なお伽噺にもなりそうだな、と。
ただ、「婆さんズ」が当日パンフにそのキャラまでキチンと書いてあるほどには劇中で描き分けられていなかったのは惜しい。
それにしても、こういった内容なのにオープニングとエンディングにヘヴィメタを使って、またそれが妙に似合ってしまうのは不思議。
箱
メタリック農家
ギャラリーLE DECO(東京都)
2008/03/18 (火) ~ 2008/03/23 (日)公演終了
満足度★★★★
好みの構造
プロローグ的なものに導かれ3編のエピソードが提示されて、3編目では1編目と2編目の登場人物も出てきて関連性が明かされ話がまとまり、冒頭と対を成すエピローグ的なパートは後日譚になっているという好みの構造。
1つのエピソードでオンラインRPGでのチャットをナマの芝居で見せ、逆にその後のリアルでのデートシーンをRPGのゲーム画面風に見せるのが面白い。
東京
赤坂RED/THEATER
赤坂RED/THEATER(東京都)
2008/03/13 (木) ~ 2008/03/23 (日)公演終了
満足度★★★
東京に対するコンプレックスや羨望(?)
和歌山から「サクセス」を目指して上京した3人の若者と郷里の同級生それに東京で出会った人々が織り成す物語で、基本的には東京で生まれ育った身として感じたことのない、地方からの東京に対するコンプレックスや羨望(?)が色濃く表れて「あぁ、そういう感覚もアリかもね」みたいな。
全体的にホロ苦いどころか、時として心がイタいほどだが、終盤、主人公が8年以上のココロの蟄居状態から自らを解放するシーンがイイ。
さらにその表現として冒頭の高校生時代のシーンの再現かと思わせつつも古川がとりたかった行動に出るという、「過去を変えたために現在が少し好転している」というタイムスリップものの逆のようなエンディングも面白い。