月影番外地「物語が、始まる」
月影番外地
赤坂RED/THEATER(東京都)
2008/04/23 (水) ~ 2008/05/04 (日)公演終了
満足度★★★
一長一短
原作にない本城と三郎の対話は脚色の範囲内で納得できたが、原作には登場しない具体的な地名や路線名を出したのは大いに不服。それによって抽象的、幻想的な味わいが損なわれ、世界観が急に縮まったようで妙に違和感。
一方、三郎を最初から役者が演ずるのにもかかわらず、辻修の演技によって、ちゃんと少年から老人までの変化が表現されていたことには感心。
また、バスルーム場面での音響(声の響き方や水音)や、水面による反射光を表現した照明も見事。
飛ぶ痛み
キリンバズウカ
王子小劇場(東京都)
2008/04/25 (金) ~ 2008/04/29 (火)公演終了
満足度★★★★
目を逸らさせない気迫あり
「痛み」「嫌い」「死」など負の要素がこれでもかといわんばかりに盛り込まれていながらも、目を逸らすころができない迫力があるというか、目を逸らさせない気迫があるという感じ。
また、どうなるのか先が全く予測不可能で、早く先が知りたいという意識もあって舞台に釘付け、的な部分もあり…。
柿ファンとしては七味まゆ味のにこやかに「嫌い」を表明するコワさと、田中沙織の「えへへへへっ」(←天然っぽくて萌え気味(爆))が特に印象に残る。
1
劇団
時代空間 遊庵 ねこじゃらし(東京都)
2008/04/26 (土) ~ 2008/04/29 (火)公演終了
満足度★★★★
スタイルさまざま
オーソドックスな朗読のみならず、歌・マイムと組み合わせたもの、ギター演奏とのコラボ、一人芝居を伴ったものなどスタイルはさまざま。
題材も樋口一葉、宮沢賢治、佐野洋子などの作品からオリジナルまで幅広く、さらに主宰の教え子たちというコントグループのパフォーマンスまであって変化に富んでいるため休憩込み1時間50分ほどがアッという間。
空中ブランコ
アトリエ・ダンカン
東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)
2008/04/20 (日) ~ 2008/05/05 (月)公演終了
満足度★★★
そこそこ忠実
原作とは別モノと割り切って観たためかそこそこ忠実に感じられ、むしろ150分(休憩込み)に膨らませる苦労さえ見て取れる。
また、伊良部というキャラクターにはスタイルが良すぎる(?)宮迫博之が、原作通りの子供っぽさ、ダダのこね方によってちゃんと伊良部に見せていたのはさすが。
一方、動きが素晴らしい G-ROCKETS のメンバーが複数出ているが、出番が冒頭とラストのサーカスシーンだけと少ないのは残念。それを見せる芝居ではないとはいえ、せっかく起用しているのにもったいない。
脚本の倉持裕、演出の河原雅彦とも危険を冒さず(笑)本来の持ち味を発揮していなかったのもちょっと残念。
だるまに目は×××。
波天南人
萬劇場(東京都)
2008/04/23 (水) ~ 2008/04/27 (日)公演終了
満足度★★★★
なかなかの出来
県議戦に出馬した女性市議の選挙事務所を舞台に、その夜に予定されている演説会の応援に招かれた国会議員も含めてそれぞれの思惑や勘違いが交錯して…という人情コメディ系。
欲を言えば市議と娘との確執をもう少し強調しておけば終盤がより引き立った気がするし、市議と娘の年齢差があまり感じられず最初は年の離れた姉妹かと思ってしまったので、当日パンフに人物相関図があれば…といううらみはあるが、各キャラがそれぞれ個性を持って描かれており、終盤の市議と国会議員とが語り合う場面などしっとりとしたオモムキもあってなかなかの出来。
また、出演者が多彩であるばかりでなくその役どころに意外性もあり二重の意味で嬉しい。
THE SNAKE
SHIMAISLAND
ウエストエンドスタジオ(東京都)
2008/04/25 (金) ~ 2008/04/29 (火)公演終了
満足度★★★★
懐かしき「明智vs二十面相」の世界
懐かしき「明智小五郎vs怪人二十面相」の世界を想起させる怪盗とその犯行を防がんとする探偵の攻防。
時代設定が曖昧なのは珠に瑕だが、探偵がいるのにクライマックスの謎解きはその友人が語る(探偵が犯人ということではなく)という仕掛けも面白いし、東京コミックショウのスネーク芸に Perfume ネタや最近のギャグを掛け合わせて笑わせておき、最後のレッドスネークを「あのように」使うというのも巧い。
また、スネークネタの時に目を逸らせて笑いをこらえている共演者たちがなんとも観ていて楽しい。危婦人のザンヨウコってば「共演者殺し」か?畏るべし!
トレジャーのある街'08
Theatre劇団子
pit北/区域(東京都)
2008/04/26 (土) ~ 2008/04/27 (日)公演終了
満足度★★★★
5人に好感
音楽で身を立てることを夢見て地方都市から上京する主人公の引越し当日の騒動を描いた90分ほどの作品で、若干誇張されているとはいえ、ほぼ等身大(いや、エバさんは違うか(笑))のキャラクターたちを演ずる5人に好感。
なお、主人公のアバウトさには共感しかねるも、冒頭の部屋の散らかり具合は他人事ではなく…(爆)
完全犯罪倶楽部
MK-Box
レインボースタジオ (東京都)
2008/04/25 (金) ~ 2008/04/27 (日)公演終了
満足度★★★
すっかりダマされる
旗揚げ公演作品『屋根裏の完全犯罪』の改訂版。3年半前に観ていたが記憶の外だったため、D・フィンチャー監督の『ゲーム』を想起させるもさらに目まぐるしい終盤の展開にはすっかりダマされる。
また、冒頭で語られたある事件とつながって結果的に悪いヤツが懲らしめられるという結末も(やや過激ではあるが)納得。
蜻蛉の華 ~クサリメグリ~
soulstory
遊空間がざびぃ(東京都)
2008/04/24 (木) ~ 2008/04/27 (日)公演終了
満足度★★★★
雄弁にストーリーを物語る
以前観た『愛染桜』と同様、台詞やナレーションがなくダンスのみであるのに雄弁にストーリーを物語っているのが面白い。また、蜻蛉・蟻地獄・蜘蛛・蟻などのキャラクターを如実に表現した衣装・メイク、それに動作(振付)も見事
旅すれば闇日光
カリフォルニアバカンス
アイピット目白(東京都)
2008/04/22 (火) ~ 2008/04/28 (月)公演終了
満足度★★★★
上出来ナンセンスコメディ
いつもながらの上出来ナンセンスコメディ、「なワケねーだろ!」満載なのに不思議と説得力があるのは確立された作品世界と出演陣のしっかりした演技に裏付けられているからか?
リバイバル メモリー
カプセル兵団
笹塚ファクトリー(東京都)
2008/04/23 (水) ~ 2008/04/27 (日)公演終了
満足度★★★★
知的迷宮を彷徨うような感覚
ある日突然、自分が誰なのかわからなくなる、会話をしていてホンの少し前のことが思い出せなくなる、というスリリングな導入部で始まる初の「不条理物」は自己探し系。知的迷宮(あるいは「アリス的迷宮」?)を彷徨うような感覚が良い。
内容的に意識下のシーンが多いのである意味何でもありで、回想シーンにおいて、その後に紛失する筈の紙袋を持った女性が登場して、主人公がそれを追おうとするとヒロインが「回想シーンなので追っちゃダメ」と諭すというアイデアも面白い。
もちろんお得意のアクションやお馴染みの仮面ライダーネタもあり、多様に解釈できるラストが余韻を残す。
銀座通りのデカプリオ
昭和芸能舎
シアターブラッツ(東京都)
2008/04/22 (火) ~ 2008/05/02 (金)公演終了
満足度★★★★
下町的人情
3年前に上演した『横丁のデカプリオ』のバージョンアップ版。終盤のお祭り場面の初演よりグレードアップした「出し物」の見事さもさることながら、下町的人情や高円寺の阿波踊りが続いた理由を「諦めない奴がいたから」とする台詞が心に沁みる。
ハリジャン
innocentsphere
シアタートラム(東京都)
2008/04/19 (土) ~ 2008/04/27 (日)公演終了
満足度★★★
「鬼に金棒」状態
ここの持ち味である重厚さに尾上松緑の客演が加わって「鬼に金棒」状態。
運命のようなナニカに導かれての結末はシェイクスピアの悲劇と共通する味わいあり
銀細工とシャドー-擬曲編-
楽園王
pit北/区域(東京都)
2008/04/16 (水) ~ 2008/04/20 (日)公演終了
満足度★★★★
初心者にもとっつき易い感じ?
旗揚げ公演作品17年ぶりの再演ということで、確かに最近の中・上級者向け(?)の「純文学っぽい雰囲気」とは趣を異にして、初心者にもとっつき易い感じ?
当主が亡くなり長男・次男・次女が遺された家に、10年前「ふくえゆめい」になった長女が探偵に連れられて戻って来るが一切の記憶を失っており…というサスペンスタッチの物語で、記憶を失ったままの女性は本当に長女なのか?だとすれば記憶は蘇るのか?的な興味を引きつつ、記憶とは何か、その人物であるとはどういうことか、などに言及し、キモは「メロドラマ」(なのか?)という組み立てが巧み。
また、この小屋の特色である吹き抜けとなった舞台を囲む上の階の回廊も使う(しかも死角となる客席用にビデオモニターも設置)演出や、終盤の燃え盛る別荘を表現する照明効果、それにエピローグの「今までどう生きてきたかではなくこれからどう生きて行くかが大事」という台詞なども印象的。
シェイクスピアBOOGIE★WOOGIE
劇団BOOGIE★WOOGIE
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2008/04/18 (金) ~ 2008/04/20 (日)公演終了
満足度★★★★
融合は成功
出だしは若干の違和感が拭い去れなかったが、やがてそれは違和感なく溶け込んで面白かったし、もちろん原典寄りの部分はちゃんとシェイクスピアしていたし、基本的にはシェイクスピアとBOOGIE★WOOGIEテイストの融合は成功。
悪戯好きなパックを飄々と演じたル☆パンを筆頭にキャスティングも的確。
カウントダウン
ファルスシアター
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2008/04/17 (木) ~ 2008/04/20 (日)公演終了
満足度★★
ブラックな結末には違和感
とある犯罪を遂行中の側と阻止しようとする側を前半と後半の二部構成で見せるという構造で、前例はいくつか観ているが時々見せる他方との接点が、後半を観た時にすべて明らかになって面白い。
また、急場しのぎの嘘と勘違いで事態が混乱するという王道パターンではありながら、その嘘や勘違いが意表をついていて、斬新?
ただ、あのブラックな結末には違和感アリ。そうなる必然性もあまりなく無理やりな感じが漂うのは惜しい。さらに、いくつか振ったまま放置されて終わってしまうネタあり。
次回公演も同じ作家の書き下ろしとのことなので、モロモロ含めて次回に期待。
ブロッサム・セレナーデ
進戯団 夢命クラシックス
萬劇場(東京都)
2008/04/17 (木) ~ 2008/04/20 (日)公演終了
満足度★★★★★
非常に満足
前作とは異なりかなりコメディ調に始まりながらもハートウォーミングな中盤を経て戦うことの虚しさを訴える感動のクライマックスに持ち込むというストーリーテリングが巧みでそのテーマも含めて非常に満足。
TAKE-MITSU
BB団
千本桜ホール(東京都)
2008/04/16 (水) ~ 2008/04/20 (日)公演終了
満足度★★★
Z団とはまた違った味わい
基本設定はカレル・チャペックの『RUR』を想起させるものの、あれほど重かったり暗かったりせず、後半は「TAKE-MITSU」をめぐるSFサスペンスで、エンタテインメント性十分。
作・演出がさるしげろっくのお二方ということに加えて平均年齢24歳というフレッシュさで兄貴分のZ団とはまた違った味わいがあって面白かった。
SAMURAIメガネ荒野に立つ!?
シネマ系スパイスコメディAchiTION!
シアターブラッツ(東京都)
2008/04/16 (水) ~ 2008/04/20 (日)公演終了
満足度★★★★
続いて虎バージョン
甚とはうって変わったようなハードバージョン。また、展開が同じ前半部分も同じ時刻にもう一方では何が起きていたかを見せるのが上手い。
SAMURAIメガネ荒野に立つ!?
シネマ系スパイスコメディAchiTION!
シアターブラッツ(東京都)
2008/04/16 (水) ~ 2008/04/20 (日)公演終了
満足度★★★★
まずは甚バージョン
落としどころはうっすらと想像がつくが、双方対になるキャラクターの設定と配置がイイ。また、お得意の生の芝居と映像のコラボレーションがいつもながら見事。