私の、メリー・ゴー・ラウンド
演劇配合サプリメンツ
劇場MOMO(東京都)
2008/07/03 (木) ~ 2008/07/06 (日)公演終了
満足度★★★
現実と夢の中の出来事がリンク
現実の出来事と夢の中での出来事がリンクして…という手法の場合、現実と夢の中で対応する人物は同じ役者が演ずることが多い中、本作は贅沢にも(笑)別の役者を使い、主人公が見た夢の人物は現実のこの人と対応するんだよ、と示す場面では、現実界と夢の中の流れとしては同じ場面をクロスさせて見せるなんてテを使っていて、これが上手い。
また、アミューズメントパークの夜のシーンで観覧車、ジェットコースターやメリーゴーラウンドの木馬をシルエット(逆シルエット?)で見せるというのも一種幻想的で有効。
東京俳優市場2008 夏
東京Voice&Drama Collection
南青山MANDALA (東京都)
2008/07/01 (火) ~ 2008/07/06 (日)公演終了
満足度★★★★
『ラフカット』似のオムニバス
プラチナペーパーズの『ラフカット』に似たスタイルのオムニバス3本。中では2本目の定時制高校を題材にしたコメディ「Part-time High School」が、3LDKの佐藤秀一による作・演出だけに完成度が高い上にキャストもそれぞれ個性的で○。
母の桜が散った夜
“STRAYDOG”
シアター代官山(東京都)
2008/07/01 (火) ~ 2008/07/06 (日)公演終了
満足度★★★
前半と後半の落差にちょっと抵抗アリ
母親の37回忌法要の日のあれこれを、主人公・作次郎の母に関する回想を交えて描いた作品で、前半はかなり(=ベタと言っても過言ではない)ドタバタコメディながら、家族それぞれが抱えた問題や愛憎、それに作次郎の母に対する想いが描かれていて、家族ものに弱くなった身としてはホロリ。
特に終盤で母が上京した日のことを作次郎が回想するシーンがイイんだなぁ。
とか言いつつ、初演(04年5月)時に感じたように前半のドタバタと後半のシットリの落差が大きいことにはやっぱりちょっと抵抗があるか?
前田
演会ジンジャーメーカーズ
赤坂RED/THEATER(東京都)
2008/07/01 (火) ~ 2008/07/06 (日)公演終了
満足度★★★
広島市民球場へのオマージュ
広島市民球場でのデーゲーム、客もまばらな(笑)3塁側スタンドを舞台に、連続放火魔の張り込みに来た刑事やマネージャーのせいで始球式に遅刻してフテているマイナーアイドルなどを描いた1シチュエーションのコメディ。
今シーズン限りで閉鎖される広島市民球場へのオマージュで、新旧の野球ネタなどが満載。親切なことに当日パンフに元ネタの解説があり、大半は知っていたけれどそれを読んでいたことによって劇中で「あ、これか」と気付くケースもあって有難い。
第一の目当てである X-QUEST の荻窪えきはオトナっちゅうかイロっぽいっちゅうか、な役で、最初に登場した時のけだるそうな様子(ドリフのコント風でもあるんだが(笑))もステキ。
もう1人の目当て、堀田ゆい夏は、先日の初舞台でのキュートな役とはうって変わって勝気・自意識過剰かつワガママなアイドル役で、これもアリか。で、ある実在の人物の娘という設定が何とも愉快。
風景を風と景に分ける…
楽園王
タイニイアリス(東京都)
2008/06/28 (土) ~ 2008/06/29 (日)公演終了
満足度★★★★
演劇版「4分33秒」+「船上のメリークリスマス」
冒頭、稽古風景から始まるというスタイルで、稽古をしている演技を観ているのか、公開稽古を観ているのか、的な疑問に捉われたりしてジョン・ケージの「4分33秒」を連想。
その「ウォーミングアップパート」の後の本編は、船上に11ヶ月は眠り1ヶ月だけ起きて番をする面々がいるというシュールな設定のもので、マルシャークの『森は生きている』や宮澤賢治の「座敷童子のはなし」も連想。
また、ラストがラストだけに「船上のメリークリスマス」なんつって…。(爆)
決斗、高田馬場
タナトス6 プロデュース
タナトス6(東京都)
2008/06/28 (土) ~ 2008/06/29 (日)公演終了
満足度★★★★
実力伯仲
各人の一人芝居1編ずつとほぼ即興の合作1編という構成。この合作が単に2人の共演というだけでなく、それぞれが演じた作品のキャラの共演でもあり、一方の後日譚、もう一方の前日譚という複数の意味でのジョイント作品で、そのアイデアにも感心。
で、結局追加公演も(やや遅刻して)鑑賞。
なお、「どちらともいえない」なのはネタがマニアックなので、観る人を選ぶため。
A MIDSUMMER NIGHT'S DREAM
G2プロデュース
東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)
2008/06/22 (日) ~ 2008/06/29 (日)公演終了
満足度★★★
劇団BOOGIE★WOOGIEの勝ち
G2バージョンの『真夏の夜の夢』だが、終盤の献上芝居のシーンが妙に冗長で、順調に走ってきてそこそこの順位に食い込めそうだった長距離ランナーがゴールを目前にして歩き始めてしまい結局選外になってしまった、な感じ?
その終盤だけでなく、シェイクスピア作品でも普段とキャラが変わらない山内圭哉(笑)や、いつもながら声が良く歌も抜群なコング桑田など個別に良い人や良いシーンはあるのにそれが散発にすぎず、全体のバランスなどを考えるとこの4月に観た劇団BOOGIE★WOOGIE『シェイクスピア BOOGIE★WOOGIE』の方が出来がイイんじゃね?みたいな。(ちょっとだけ贔屓もあるけれど、かなりホンキでそう思う
Lucky cream soda
O-MATSURI企画merrymaker
シアター風姿花伝(東京都)
2008/06/26 (木) ~ 2008/06/30 (月)公演終了
満足度★★★★
キャラメルのノウハウを活かした作品
「小学生」「カレーショップ開店」「ヒーローごっこ」の三題噺的な物語、冒頭のヒーローもの系のシーンと続く小学校のシーン、それにカレー屋開店準備のシーンのつながりが(ストーリーテラーが年代は告げるのだけれど)すぐには判明せず、ちょっともどかしく、全体的にも具材(それも食材として良質)をたっぷり入れたはいいけれど、煮込みが足りず全体的に味が馴染んでいないカレーのような感が拭い去れないのが惜しい。
一方、記憶の世界に入る時の七色の照明や運動会シーンの傘を使ったバトントワリングやシャボン玉の演出はステキだし、作・演出が演劇集団キャラメルボックスの隈部雅則なだけに随所にキャラメル臭が漂っていて(ノウハウを活かしたと言うべきか?)ニヤリ。
なお、なんだかんだいいながらも30日の大楽も観劇。
いつもそこにはそらがある
劇団やったるDAY!
劇場MOMO(東京都)
2008/06/25 (水) ~ 2008/06/29 (日)公演終了
満足度★★★★
持ち味であるあたたかさ、優しさが存分に発揮されてホロリ
事故で両親と姉を失った主人公が営むパチンコ店と従業員たちの物語で、キャラのたった個性的な登場人物たちのエピソードをキッチリ描いている分、全体としての大きな流れに欠け「連作短編風」になってしまった感はあるが、その個々の力がまとまって結末に向かうあたりはここの持ち味であるあたたかさ、優しさが存分に発揮されてホロリ。
Root Beers ~ルートビアーズ
KAKUTA
シアタートラム(東京都)
2008/06/18 (水) ~ 2008/06/25 (水)公演終了
満足度★★★
甘さと苦さが同居したルートビアの味わい?
ヤクザの兄貴分を中心にしたオトコ臭い物語。
とはいえ、その兄貴分がフトしたキッカケから記憶を失って…ということで笑える部分も少なからずあり、いつそれがバレるかハラハラしながら観ていると終盤で一転して「おっと、ビターエンドか?」という方向になり、しかしある意味ハッピーエンド(主人公にとってはどうなんだろうか?)で終わるというのが鮮やか。そのあたりは甘さと苦さが同居したルートビアの味わい?…なんつって、ルートビアの味を知らない身の想像による無責任発言だ。(爆)
カムイノミ
演劇ユニット東京スタイル
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2008/06/19 (木) ~ 2008/06/22 (日)公演終了
満足度★★★★★
アテルイ!
タイトルやフライヤーデザインからアイヌものと思いこんでいたらアテルイの物語で、そういえばチラシなどに「亜弖流為」の文字はあったワケで、それを読むことができていれば予習してきたのに…みたいな。
がしかし、6年前のInouekabuki-Shochiku-Mixの記憶が若干残っており、しかも非常にわかりやすい上にOPとEDのほか劇中にも生歌があるし、和太鼓の生演奏はあるし、イリュージョンも使うしという演出が良く、さらに殺陣担当がATTの根本太樹でATTメンバーも3名出演など、魅力たっぷりで休憩なし2時間40分という長尺も体感時間は2時間程度。
和太鼓やイリュージョンも使いすぎるとクドくなるところ、「もうちょっと使えばいいのに」と観客に思わせる程度にとどめる潔さもイイ。
また、テーマもσ(^-^) の弱点の1つ(笑)である「戦いの無益さ」で、「ヤマト軍も北の民だ」なんて台詞が印象に残る。
バックステージパニック
PADETRE
Studio twl(東京都)
2008/06/21 (土) ~ 2008/06/21 (土)公演終了
満足度★★★
実験的な組み合わせ
基本的にはナマの短篇4編と映像作品1編という構成で、今まで観た2回(1st, 4th)は短篇のうち2本がコント系、あとの2本が1シチュエーションのショートコメディだったのが、今回はコント系がなく、最後にオチのある短篇3本に講談(!)1席(と映像作品1編)という実験的な組み合わせ。
過去4回のうち3回演っていたガンダムの名台詞応用コントがなかったのはちょっと残念ではあったものの、講談という新たな試みはあるし、ラストの1編が毒々しいまでに濃いキャラあり1人5役をこなすラストありと凝っていて、結果的には満足。
さらに、今まで月1ペースで行なってきたところ、7・8月は休んで9月から再開するということもあってか、カーテンコールはそれぞれが個人芸を見せるというもので、これもタップあり瞬間芸ありと個性が出ていて楽しかったし。
俺を縛れ!
柿喰う客
王子小劇場(東京都)
2008/06/18 (水) ~ 2008/06/30 (月)公演終了
満足度★★★★★
初の時代劇
冒頭、劇団☆新感線(シリアス路線の方)にも通ずるようなシーンが展開され、そこでの台詞がタイトルというキャッチーな入り方で、以降は歴史アクションものという新境地。そもそも時代劇は初だそうだし、いつもより「不道徳さ」(笑)が控えめなので普段と趣を異にする…と思いきや、終盤での飛び道具を飛び道具として使った混沌・混乱はやっぱり柿(爆)だし、そこからのオチのつけ方も上手くて2時間15分という従来比長めの上演時間も気にならず。
なお、26日マチネで再見。
つづきのとちゅう
空晴
劇場MOMO(東京都)
2008/06/19 (木) ~ 2008/06/22 (日)公演終了
満足度★★★★
ある意味ズルい?(笑)
ランニングシアターダッシュ時代から岡部尚子の書く芝居はそこはかとない笑いの中にじんわりと優しさが浮かび上がってくる、というスタイルだったのが今回は序盤から一方の勘違いにより僅かに噛み合っていないけれど全体的には成立してしまう会話で大いに笑わせるという。
またここでの会話が(「大阪の人って日常的にもボケとツッコミで会話するんでしょ?」な偏見もあるとはいえ)リアルでテンポがイイし、勘違いだと分かった時のリアクションも非常によくその心境が表れていて…。
が、これが中盤で思いやりや気遣いを強調したハートウォーミング系に急転するもんだからその落差が大きくて、ある意味ズルい?みたいな。(笑)
そのせいかどうか、本編中ではホロリとしなかったけれど、カーテンコールの頃になってじわじわと心にしみてきて…。え、それは単にニブいだけだろうって? いやいや、剣術の名人に斬られた場合はしばらく経ってから気付く、みたいなモンですよ。(爆)
あと、やはり終盤の台詞には劇団員一同の「ある想い」が込められているような気がして、それで泣けたというのもあるのだけれど。
カイシャ
TEAM JAPAN SPEC.
赤坂RED/THEATER(東京都)
2008/06/18 (水) ~ 2008/06/22 (日)公演終了
満足度★★★★
娯楽要素もたっぷり盛り込んだ秀作
経営が悪化した名門企業に招聘された建てなおしの専門家(&そのチーム)と若手営業社員を中心に描いた作品。
一見堅苦しいと思われる題材を、ミーティング中の資料(キャッシュフローなど経営・財務関連のチャート)を壁面の大型ディスプレイに表示したり、当日パンフに用語解説を載せたりという工夫で分かりやすくし、スリルと感動という娯楽要素もたっぷり盛り込んだ秀作。
終盤の会長室シーンでの逆転劇の痛快さとそれに続く営業2課の面々が再集結するシーンの感動は特筆もの。
また、舞台となる4ヶ所(株主総会会場、営業2課、建てなおしチームのルーム、会長室)を簡単な換装で表現し分ける装置のアイデアもなかなか。
雷神ウツボ
ひげ太夫
萬劇場(東京都)
2008/06/12 (木) ~ 2008/06/16 (月)公演終了
満足度★★★★
無国籍・無時代の神話・伝説風英雄譚
いつもながらの無国籍・無時代の神話・伝説風でスケールが大きいような小さいような(笑)英雄譚、アクションあり笑いありで非常に楽しい。
また、前回披露した四段やぐらを、前回よりも少ない人数でやってのけたのはスゴいし、主人公・ウツボの稲妻攻撃を相手が避雷針でかわすシーンで稲妻と避雷針を擬人化で表現したのとキティちゃんの顔を7人くらいで表現したのがツボ。そういう発想が何とも素晴らしい。
日射し
SPIRAL MOON
「劇」小劇場(東京都)
2008/06/14 (土) ~ 2008/06/22 (日)公演終了
満足度★★★★★
一粒で二度おいしい
今回はRAKENOH+の長堀博士による脚本(3度目の提供)、前半の朗読劇風のパートはそちら寄り、それが途中で一転して SPIRAL MOON 寄りになるという「二段階構造」で、どちらもよく観ている身には盆と正月が一緒に来たよう?(笑)
この2つのパートの場面転換もアイデアが凝らされており、前半の布に覆われた抽象的なものが、短時間で次々と布が外されてリアルな日本家屋が出現するのにはビックリ。
そんな中で描き出されるのはある家族の物語。前半で家族の歴史を語っておいて、後半は三姉妹が集ったある日のひとときを切り取って見せるという構造、座敷童(笑)のようなフシギな登場人物もからませて、適度な笑いもはさみながら、持ち味であるふんわりとしたあたたかさに包まれるような感覚が心地良い。
なお、18日にE列8番でリピート
「ハックルベリーにさよならを」「水平線の歩き方」
演劇集団キャラメルボックス
シアターアプル(東京都)
2008/06/08 (日) ~ 2008/06/29 (日)公演終了
満足度★★★
水平線の歩き方
主人公が帰宅すると23年前に亡くなった母がそこにいて…という「異人たちとの夏」を思い起こさせるような始まり方で、二重の意味で弱点を突かれるかと思ったら…(以下ネタバレに続く)
「ハックルベリーにさよならを」「水平線の歩き方」
演劇集団キャラメルボックス
シアターアプル(東京都)
2008/06/08 (日) ~ 2008/06/29 (日)公演終了
満足度★★★
ハックルベリーにさよならを
敢えて常套句を使えば「少年期の旅発ち」を描いて爽やか。かつてのステージ写真でカヌーのパドルを持って川下りをしているような人物2人のシーンをよく目にしていたが、アレはあんな流れの中の1コマだったのか、と大いに納得。(以下ネタバレに続く)
絡ませたり縺れさせたりしたらほどかないとダメだよ!!
劇団ノーティーボーイズ
ザ・ポケット(東京都)
2008/06/10 (火) ~ 2008/06/15 (日)公演終了
満足度★★★★
懐かしさと新鮮さが同居
この劇団との出会いとなった『絡縺』(03年1月)の改訂版で、大筋(と部分的な細かいギャグ)は覚えていたものの細部は記憶から飛んでいたし、しかも改訂によって登場人物が1人増えて終盤の展開が異なったりもするので懐かしさと新鮮さが同居、的な?
また、いつもながらボケとツッコミが見事なまでにかみあっているテンポ良い会話が秀逸で大和(作・演出)の会話センスに改めて感服。