ブレス
劇団東京イボンヌ
新宿村LIVE(東京都)
2008/11/19 (水) ~ 2008/11/24 (月)公演終了
満足度★★★★
コクのあるオトナのドラマ
ともすれば昼メロのようにもなりかねない(笑)題材を、フランス映画のようなオモムキの、しっとりと落ち着いたコクのあるオトナのドラマに仕上げて見事。「クラシックと演劇の融合」と銘打っている如くクラシック音楽を多用していることも影響しているか?
また、主要人物がそれぞれ「ココロのスキマ」を持っており、時には共感させ、時には「ゼイタクなんじゃね?」「甘えるな、このワガママ者!」などと反発も抱かせて作品に感情移入させるのも巧い。
欲を言えばムーブメントがもう1回くらい欲しかったが、なかなかに満足。
誘拐
七色空間
シアター風姿花伝(東京都)
2008/11/19 (水) ~ 2008/11/24 (月)公演終了
満足度★★★★
シカケが巧み
ある誘拐事件を家族の側から描いた「家族のピース」と犯人の側から描いた「犯人のゲーム」の2バージョンもので、どちらか一方だけ観てもちゃんとハナシは成立しており、しかし両方観ると関連がわかってより楽しめるというシカケが巧み。
いまさらキスシーン(玉置玲央一人芝居)
柿喰う客
王子小劇場(東京都)
2008/11/19 (水) ~ 2008/11/24 (月)公演終了
満足度★★★★
『いきなり…』姉妹編
『いきなり…』とリンクする女子高生もの。描かれている期間が『いきなり…』よりも長いのに上演時間は半分くらいなのでさらにスピード感があって、時の経過の大胆な表現も愉快。また、両作品のキャストが逆だったらとか、他の役者が演じたら、などとも考えて楽しむ。
いきなりベッドシーン(七味まゆ味一人芝居)
柿喰う客
王子小劇場(東京都)
2008/11/19 (水) ~ 2008/11/24 (月)公演終了
満足度★★★★
一人でも「柿スタイル」炸裂
冒頭からスピード感満載のマシンガントークのような「柿スタイル」が炸裂。以降演出による間やスローダウン気味のところもありつつ、いつもは大勢によって保たれているあのテンションを1人で小1時間持続させるというのがスゴい。また、若干不道徳な部分があったりするのがいかにも柿。(笑)
あと、主人公以外のいくつかのキャラも個性が出ていて良かった。
SAMURAI 7
ネルケプランニング
新宿コマ劇場(東京都)
2008/11/14 (金) ~ 2008/11/24 (月)公演終了
満足度★★★★
満足度高し
『七人の侍』の設定を荒廃した未来に翻案した前半は、原典をそのまま舞台化したのではないことに加えて直接の原作であるアニメを観ていないことが良い方向に作用して頬が緩みっ放し。ほぼ完全オリジナルの後半もよくできており、満足度高し。
さらに前・後編を通じて「人を斬ることの罪・咎を負って生きるサムライ」が強調されていて、原典よりも「サムライの業」について掘り下げているのも個人的にはツボ。
賊
劇団6番シード
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2008/11/14 (金) ~ 2008/11/24 (月)公演終了
満足度★★★★★
痛快ピカレスク・ロマン
40人にもおよぶ出演者と大がかりな装置、ダイナミックな演出による痛快ピカレスク・ロマン。
東・西・南(イケメン組、ロートル組、女性組ってところ?)の「賊」が、見合いをする予定の公家双方と仲人の武士をそれぞれ捕まえて利を得ようとするユーモラスな前半(約75分)と彼らが思わぬ流れに巻き込まれる波乱万丈の後半(約90分)という構成と時間配分の巧さから休憩込み約3時間の上演も、その長さは感じず。
また、各「チーム」とも個性がハッキリ出ていて登場人物もそれぞれキャラが立っているので40人に及ぶ出演者も単なる「水増し」でなくちゃんと必然性があるし、装置も大がかりだし、フライヤーに[総力]公演と銘打つだけのことはあり、客席側面まで広がった装置や客席中央の通路まで演技エリアとして使うダイナミックな演出も賊たちの荒くれぶりを引き立たせて見応えあり。
「身ぐるみ剥いでも命は奪わず」が「賊」たちの信条である通り、賊同士の争いは「派手な喧嘩」レベルだし、後半で戦(いくさ)に巻き込まれても人死にがほとんどなく、それどころか賊たちが力を合わせ、武力でなく策略(ちょっと違うか?)によって、大きな戦を終結に導くというストーリーもアッパレ。
機械と音楽
風琴工房
王子小劇場(東京都)
2008/11/06 (木) ~ 2008/11/17 (月)公演終了
満足度★★★★
当時のソ連の状況がありありと
劇団民藝や劇団俳優座が上演したとしても全く違和感のなさそうな脚本が、演出や舞台美術によりいかにも小劇場風に仕上がっているのが面白い。
また、登場人物の会話や時折投影される史実から当時のソ連の状況がありありと浮かびあがってくるのも独特。
夜叉狩斬十郎 ~鬼哭逢魔ヶ淵ノ章~
梵天ギルド<FU-TEN GUILD>
アドリブ小劇場(東京都)
2008/11/14 (金) ~ 2008/11/16 (日)公演終了
満足度★★★
「其の貮」が早くも待ち遠しい
前年夏に0 BEAMSによって上演された作品の「エピソード0」。
最初は夜叉狩や夜叉もチラチラ顔を出しつつ、しかし宿場での権力を奪おうとするヤクザ者の話が中心で、そこから次第に斬十郎と夜叉狩たちのストーリーにシフトして行くというツクリはまさに「エピ0」(笑)。
そこに部下を単なる駒としか考えない夜叉狩の幹部やそれに対して疑問を持つ夜叉狩、斬十郎以外にも「半夜叉」となる人物なども配してよりドラマ性を深めるシカケ。
また、後方正面に障子戸、その左右に丸と長方形の窓(こちらも障子張り)を配してそこに映る影を効果的に使ったり、夜叉となった少女が歌う数え唄(手毬唄?)が内容につれて進んで行ったりするのも上手い。
当日パンフに人物相関図を載せているのも親切だし、クライマックスではアクション炸裂だし、「其の貮」が早くも待ち遠しい。
炎の三銃士
ノーコンタクツ
ウエストエンドスタジオ(東京都)
2008/11/14 (金) ~ 2008/11/16 (日)公演終了
満足度★★★★
宮崎アニメの世界観、空気感を引き継ぐ
初見であった前回公演『もののけの姫』に登場したキャラクターの前日譚。単に宮崎アニメを真似るのではなく自分のものとして咀嚼・吸収して昇華させ、世界観、空気感を引き継いだ作品に創り上げているのはお見事。
ヌンチャクトカレフ鉈鉄球
芝居流通センターデス電所
青山円形劇場(東京都)
2008/11/13 (木) ~ 2008/11/16 (日)公演終了
満足度★★★
クセ球
事前情報にもあった通り、また物騒なタイトルにも顕れているように多分に暴力的。冒頭から血にまみれて首にロープを巻いた中谷さとみが登場するほどで。
そんな中、「死と再生」「姉妹の絆」「神(?)の慈悲の限界」などが示されるといのは初めて観た『輪廻は斬りつける(再)』でも感じた如く柿喰う客と近いテイスト?
が、オープニングのみならず劇中にもしばしばミュージカル風の歌とダンスが入ったり(しかも生伴奏)するのが独特。
また、考えてみると中谷さとみをこんなに近い距離で、しかもナチュラルに近いメイクで観たのは初めてで、改めてそのキュートさに気付く(爆)。
万人にオススメ、とは言い難いが、クセ球がお好きな方は気に入るかもなぁ。
もちろんσ(^-^) も次回にさらなる期待。
まんまるレールウェイ
春の日ボタン
劇場MOMO(東京都)
2008/11/12 (水) ~ 2008/11/16 (日)公演終了
満足度★★★★
構造が巧み
ローカル鉄道にまつわる4編の短編、4編目で新たなストーリーを紡ぐ一方、それまでの3編の「その後」も見せて全体を締めくくる構造が巧み。
内容もそれぞれユーモラスな「ちょっとイイ話」系で面白く、4編目のオチにはスタンダップコメディアンがスパーンとパンチラインをキめたような、あるいはテンプルにクリーンヒットを受けてノックアウトされたような(実経験はないのであくまで想像)快感アリ。
ブラックM
Office《RELAX》
六行会ホール(東京都)
2008/11/12 (水) ~ 2008/11/16 (日)公演終了
満足度★★★
映画も好きな身として愉快
自殺しようとしていたスタンダップ・コメディアンが取り立て屋に拾われ、映画業界に伝わるアイテム「ブラック・マリア」を探すことになる…という映画界内幕系で、映画『ゲット・ショーティー』を連想。
劇中、そのアイテムを手にしたことでスターダムにのし上がった、あるいは秘密を漏らしたことで不幸に陥った例としてハリウッド俳優が沢山挙げられて、映画も好きな身としてその大半がわかったりして愉快。ってかヘンに説得力があったかも。
歌の翼にキミを乗せ
昭和芸能舎
赤坂RED/THEATER(東京都)
2008/11/07 (金) ~ 2008/11/12 (水)公演終了
満足度★★★★★
機会ある毎に演を重ねて欲しい
シラノ・ド・ベルジュラックの設定を太平洋戦争中のテニアン島の日本軍に置き換えたのが巧みな上に冒頭(とラスト)のヒロインの台詞を筆頭に反戦メッセージもたっぷり盛り込んだ名作。機会ある毎に演を重ねて欲しい。
しかし、「観たい!」コメントに使った「なんくるないさぁ」が出てきたのにはビックリ。予知能力か?
『愛の四部作~笑ってはいけない。これも真剣な愛の形~』
u-you.company
池袋GEKIBA(東京都)
2008/11/07 (金) ~ 2008/11/13 (木)公演終了
満足度★★★★
4編目が白眉
タイトルの通り「愛」をテーマ(というよりはキーワード的?)にした4編の短編オムニバス。
「恋愛」系でどちらかと言えばコミカルな3編と、「恋愛」以外の「愛」を描いたシリアス系の1編という取り合わせが良くそれぞれ面白かった(1編目と2編目の「言葉の取り違え」ぶりなんか大好きだし、加えて1編目の艶笑噺っぽいところもかなり好き)が、やはり4編目が白眉。(3編目の印象が今一つ薄いのは男性の2人芝居だったからに違いあるまい(爆))
ちょうど重松清の「その日のまえに」を読んでいる最中だったので身近な人物が逝ってしまった設定に敏感になっているし。
しかしベット・ミドラーの「ザ・ローズ」を流す(イントロクイズではないけれど冒頭のピアノの音でわかってしまった)のはちょっとズルい?(笑)
幸せ最高ありがとうマジで!
パルコ・プロデュース
PARCO劇場(東京都)
2008/10/21 (火) ~ 2008/11/09 (日)公演終了
満足度★★★★
今まで観た中では一番笑いが多かった?
やはり本谷ワールド…ではあれ、今まで観た本谷作品(映画も含めると6本)の中では一番笑いが多かったかも? そこはPARCO劇場の客層を配慮したのか?(笑)
また、序盤でもう7年も関係を続けていると誇る愛人とパッとしない妻の立場が「1年前に再婚した」という妻の言葉によって逆転するのが鮮やか…と思っていたら、それがすぐにひっくり返されるところも巧い。
出演者も説明不要の永作博美、本谷作品常連の吉本菜穂子のほか、梶原善、広岡由里子、近藤公園と鉄壁の布陣で、もう1人の目当てであった前田亜季もチャイドル時代とは別の意味でパンツを見せるようになったか、的な?(爆)
ファミリア
30-DELUX
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2008/11/07 (金) ~ 2008/11/09 (日)公演終了
満足度★★★★
原曲を知ってから変奏曲を聴くような
舞台上にリアルな居合道場の装置があった前月の「客席一方向プロセミアムスタイルバージョン」に対して、今回は四方が客席のため素の舞台だったが、これが観る側の想像力を刺激するし、舞台の四方が出ハケ口だし、舞台の周辺まで演技エリアに使うし…と、これもこれで面白い、と言うかむしろこちらの方が動的で好み。
原曲を知ってから変奏曲を聴くように、基礎編を踏まえて応用編を観たことによる面白さが加算された感じ。
波しぶき
バッカスカッパ
中野スタジオあくとれ(東京都)
2008/11/07 (金) ~ 2008/11/09 (日)公演終了
満足度★★★
若干未整理な感なきにしも非ず
いろいろな要素を盛り込み過ぎて若干未整理な感なきにしも非ずながら、現実ってそんなモンかもなぁ、な感じ?また、未整理なまま2時間も演られると消化不良気味になりかねないところ、上演時間100分程度に収まっているので、そこはさほど問題なし。
その「雨降って地固まる…のか?」な終わり方は、中途半端と感ずるムキもあろうところ、個人的にはむしろ好き。考えようによっては判断を観客に委ねるズルさもあるのだけれど、逆に言えばダラダラ演るよりはよっぽど潔くてヨロシイ、的な?
さらに、前作同様のリアルでテンポの良い会話はココの魅力。
ただ、無精子症や子宮摘出に関して若干…「不謹慎」?「不用意」?「配慮不足」?…な部分があったのはちょっと気になる。とか言いつつ「種なし柿」には笑ってしまったんだが。
ベッドマン・スリーパー
カリフォルニアバカンス
アイピット目白(東京都)
2008/11/05 (水) ~ 2008/11/09 (日)公演終了
満足度★★★★★
「悪意の将棋倒し」状態
心霊的なものではなくて、誰もが持っている(そして普通は抑えることができている)「悪意」というものが、いろんなファクターによってどんどん増幅されてしまうという心理的・社会的なコワさたっぷり。
まさに「悪意の連鎖」あるいは「悪意の将棋倒し」状態?(笑)
しかも、他人の悪意を利用してやろう・増幅してやろう、と意図する「悪役」的な存在もいるのだが、それだけではなくネットやマスコミによってより増幅されてしまうというのがきわめて現代的で、そこに2ちゃんやイジメ、DVなどの現実も練りこんであるのでなおさらリアル。
そんな内容の芝居を、いつもの「なワケねーだろ!」なナンセンスコメディでさえヘンに説得力があると言うか妙なリアリティがあると言うか、「もしかするとそんなことがあるかもなぁ」と感じさせてしまう表現力を以て見せるのだから、初日には泣いてしまったお客さんがいらしたというのもむべなるかな。
コワい夢を見て寝汗をかいて目覚めたような感覚を堪能。
熱風ジャワ五郎
ひげ太夫
シアター風姿花伝(東京都)
2008/11/05 (水) ~ 2008/11/09 (日)公演終了
ハマのメリー伝説「市電うどん~特盛版~」
横浜未来演劇人シアター
「みなとみらいテント劇場」 横浜市西区みなとみらい6丁目、みなとみらい線新高島駅4番出口徒歩8分 、JR他各線横浜駅東口より徒歩18分 (神奈川県)
2008/10/31 (金) ~ 2008/11/03 (月)公演終了
満足度★★★★
ほとんどお祭り騒ぎ状態
テント小屋とその後方100mにわたる空間を使い大人数で描いた「ハマのメリー、魂の旅路」。生演奏にダンス、マスゲーム系のパフォーマンスからエアリアルまであってほとんどお祭り騒ぎ状態。最初こそ座り心地が気になったが終わってみれば「本当に2時間超えていたの?」と感じるほどで、当日券でも観た甲斐は十分にアリ。