愛のルーシー
北京蝶々
OFF OFFシアター(東京都)
2009/05/20 (水) ~ 2009/05/26 (火)公演終了
満足度★★★
客入れのBGMが納得
閉鎖生態系実験施設で自給自足の生活を送る8人の男女(と彼らを観察する研究員2人)の物語、本来の成果が得られず苛立つ中、恋愛感情なども芽生え…という80分ほどのコンパクトな作品。けっこう笑えた上に、観ていて「なるほどそれで客入れのBGMがああいう選曲だったのね」と大いに納得。(ってかBGMで漠然と予想した内容に近かった?)
それにしても初見であった前作といい本作といい、閉鎖空間での出来事であることに加えて地球規模での危機的状況を背景とした作品が続いたが、いつもこういうテーマなのかそれともここ2作が同系統になっただけか?
しびれものがたり(第14回劇作家協会新人戯曲賞受賞作品)
しずくまち♭[フラット]
d-倉庫(東京都)
2009/05/15 (金) ~ 2009/05/19 (火)公演終了
満足度★★★
木目調の温もり
掌、舌など部分的に感覚をなくす奇病(?)が発生した町での物語、未来の寓話風だった初演を身近なものに改訂したとのこと。
その「しびれ」、目を背けたい現実からのプチ逃避であったり、対人関係における無神経ぶり(?)もしくは不器用さであったり、と比喩的なのが独特で、実はかなり耳の痛いネタであるのに綿でくるんだようにじんわり。(「真綿で首を絞めるよう」でもあるか?(笑))
また、音楽が舞台の上手手前に設けられた席でのグランドハープ生演奏で、その音色が温かく包みこむようだったし、装置もダークブラウンが基調の落ち着いたものだったこともあって、アンケートにあった「この芝居または劇団を一言で表せば?」の項目への回答は「木目調の温もり」。
そういえば全体的なトーンに SPIRAL MOON と通ずるものがあるかも?
神様とその他の変種
ナイロン100℃
本多劇場(東京都)
2009/04/17 (金) ~ 2009/05/17 (日)公演終了
満足度★★★★
けっこう満足
前作『シャープさんフラットさん』は未見ながら、それよりも前の何作かは自ら言うところの「晩年」のケラ作品、ナンセンスな会話などは封印気味で、落ち着いた、ドラマ性の高い作風なのがやや物足りなくはあったのだが、これも自ら言うところの「異色作」である本作では「いやいやいや、そうじゃなくて…」的なナンセンスな会話も復活(?)しており、そういう意味では「異色作」っぽくないのでは?(「晩年のケラ作品」としては「異色」ということではあるまいな?(笑))
で、ある一家の父母が連続殺人を犯しているのでは?な物語、怪しさ(ブラックさ?)と可笑しさが程よくブレンドされて「これぞナイロン」または「これぞケラ」な感じ。
また、終盤で明かされる真相も(ちょっと無理もあるんでないかい?という気がしないでもないが)「あ~なるほどぉ」だし、ラストの本水を使った演出も良いし、けっこう満足。
関数ドミノ
イキウメ
赤坂RED/THEATER(東京都)
2009/05/08 (金) ~ 2009/05/24 (日)公演終了
満足度★★★★
非常にわかりやすい
お得意の「得体の知れない不安感」的なものは控え目で「ある仮説」の真偽が明らかになる(と言えるかはやや疑問?)までを比較的ストレートに描いてイキウメにしては非常にわかりやすい。
途中で「ドミノ」は本当は存在せず、単なる偶然+思い込みではないか、という気もしつつ、その後に存在はするが実は別人なのでは?という疑問が沸いたら、そういうオチだったのも「わかりやすい」という印象を受けた要因か?
がしかし、彼が本当のドミノであるかどうか示さずに終わるし、終演後に「期間限定なので、途中から変わった」という解釈も示唆されたし、もしや前日に引き続き盲点を突かれたのか?などと思わされてしまうのはやはりイキウメ(笑)。
きらめく星座 ~昭和オデオン堂物語~
こまつ座
天王洲 銀河劇場(東京都)
2009/05/06 (水) ~ 2009/05/24 (日)公演終了
満足度★★★★
第5場がやはり白眉
10年ぶり6度目(に加えて戯曲も読んでいるし)ということで内容はよく憶えていて、印象的なシーンや台詞などは舞台で演じられる前に脳内で再生されたりもするが、中でも初演時(85年9月)から感銘を受けている「人間についての広告文」を筆頭として名場面・名台詞のオンパレードな第5場がやはり白眉。また、10年前と同様に、源次郎のような人物を作り上げてしまったあの当時の教育に大いなる疑問(とはちょっと違うか)を感じる。(←これは第5場限定ではないが)
オリマエ
劇団K助
ウッディシアター中目黒(東京都)
2009/05/13 (水) ~ 2009/05/18 (月)公演終了
満足度★★★★★
騙される快感
刑務所の前にあり、関係者が出所する者を待つことも多いと言われるカツ丼屋での出来事を描いた物語、出だしは程良くコミカルながら次第に巻き込まれ型サスペンスに転じ、クライマックスは二転三転して先を全く読ませないのが見事。
特に一件(というよりはむしろ“一見”)落着した後、2年後を描いたエピローグでさらにひっくり返されて「騙される快感」に酔う。
その前のタネ明かしの時に「芦北・兄がニセ警官に気付かなければあんな展開にならなかったのでは?」という疑問は浮かんだものの、それも実は計画されたものだったとは。
ちなみにエピローグで芦北・弟が指摘した「唯一の計算外が俺たちだと言ったのに、俺たちのことも調べ上げていたじゃないか」という点については気付かず、そこで眼からウロコ。
また、「死体と遺体の違い」や「警官は傘をささない」(←制服限定か?)なんてトリビアも「へぇ」だったし、すべてのベースにあるのが兄弟愛だというのにもツボを突かれる。
旅がはてしない
アマヤドリ
アサヒ・アートスクエア(東京都)
2009/05/13 (水) ~ 2009/05/13 (水)公演終了
満足度★★★
多分に哲学的
一言で表現すれば「多分に哲学的」。前作『プラスチック・レモン』もある意味哲学的だったけれど、あちらが詩的な哲学であるのに対してこちらは理詰めの哲学、みたいな?(笑)
未来あるいは別次元(かつ多層構造=パラレルワールド)のように見えつつ、実は何らかの理由で眠り続ける人物の見ている長い(果てしない)夢なのではないか、などと誤読をしてしまったのはここのところたて続けにそういうネタの芝居を観て、思考回路がそっち寄りになっていたからか?(爆)
また、前回は「整然とした動き」にとどめて封印していた(?)「乱舞」が復活。これがまた情熱的と言おうか派手と言おうか、特徴的。
PerformenⅣ~Inferno~
電動夏子安置システム
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2009/05/07 (木) ~ 2009/05/12 (火)公演終了
満足度★★★★
まさに「ロジカル・コメディ」
哲学的な縦軸に、まさに「ロジカル・コメディ」なエピソードを串刺しにした構造は、初見であった『笑うフレゴリ』&『そのどちらかは笑わない』とは大きく異なり、がしかし観方を教わっていたので混乱することなく「こういうのもアリなのね」と楽しく観る。
その「串刺しにされた」コメディ(コント?)部分は、それぞれ「一定の決まりごと」(あるいは「お約束」)に則っており、その意味で非常に基本に忠実。
あと、序盤でダ・ヴィンチの「最後の晩餐」の構図を生身の役者たちで表現する場面や、出演者の大半による群舞もステキ。
なお、11日、12日でリネア編、プント編両方を観る。
無頼茫々
風琴工房
ザ・スズナリ(東京都)
2009/05/10 (日) ~ 2009/05/18 (月)公演終了
満足度★★★★
リピートしました
一言で表現すれば「真っ直ぐで清々しい」。現在のスタイルの新聞の黎明期と言える大正時代の若きジャーナリストたちの気骨が、フニャフニャしているわが心(爆)にグサリグサリと突き刺さってくるような感覚。
人物紹介&物語の背景紹介的な青春群像劇風の前半から次第に言論の自由に対する圧力というテーマにシフトしてゆく流れが自然で、とっつき易いところから入って感情移入させてから本題に触れるのでついつい引き込まれるシカケになっているのが巧い。
ただ、主人公が熱血漢であるだけでなく、新聞についてシッカリ学んでもいて文武両道的なのでこりゃカナワン、な感アリ?(笑)
あ、ただの熱血漢でもあの発想や行動力にはカナワンか?(爆)
なお、16日にC列3番で再見。
チェリーボーイ・ゴッドガール
ゴジゲン
OFF OFFシアター(東京都)
2009/05/02 (土) ~ 2009/05/10 (日)公演終了
満足度★
唐突な結末は承服しかねる
奇しくも前回この小屋で観た某作品のように散らかったアパートの1室が舞台で、「とにかく童貞を卒業したい」と一心に願っているオトコたちの物語。
程度の差はあれ、共感するというか心当たりがあるというかで、そこそこ笑いながら見るも「楢やん」のオクテぶりは「明治時代かよ!」あるいは「小学生かよ!」で現実味に乏しく、そこ以降ちょいと醒めてしまい冗長に感じてしまう。
さらにあの結末は「生きろ!」あるいは「死んじゃだめだよ、生きてなくちゃだめだよ」派として承服しかねる。いや、そもそもアレは唐突では?
…ではあったものの、この日は終演後にイベントがあり、えっち話の「フルーツバスケット」で笑わせてもらい、後味の悪さを払拭して劇場を後にする。
おかしなふたり~千夜一夜物語~
スーパーグラップラー
シアターサンモール(東京都)
2009/05/07 (木) ~ 2009/05/10 (日)公演終了
満足度★★★★
概ね満足
アラジンが手にするハズだった魔法のランプを手に入れた主人公はランプの精の力によって元の世界に帰ろうとし、物語界が崩壊しないようにアラジンとその叔父「アフリカの魔法使い」は彼女を探し、夢の世界の秩序を守るチーム「獏」も彼女を探す「夢の世界」に、現実界の人々までがランプの精の力で召喚され…という構造が巧い。
また、「獏」の設定がよく練られていて、主人公と縁が深いことが明かされる1人についてはやや切ない結末を迎えるも、希望を残すその匙加減がまた巧い。
欲を言えば最後を歌で締めればより「歌劇」っぽかったのではないかという気もしつつ、全体がコメディタッチで楽しかったし、現実世界と夢の世界をクロスさせる見せ方も巧かったし、概ね満足。
路地裏の優しい猫
“STRAYDOG”
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2009/04/29 (水) ~ 2009/05/05 (火)公演終了
満足度★★★★
最大の収穫は相沢まき
今回の最大の収穫はアッシ役の相沢まき。初演、再演の植村結子と比べてしまったこともあってか、前年の宮地真緒の歌唱をイマイチと感じていただけに、彼女の意外にも(失礼!)見事な歌いっぷりは嬉しい誤算。
しかも演技も悪くなく、植村結子とは異なる新たなアッシ像を確立したのではあるまいか?これを機にちょくちょく舞台にも立ち、ドラマにも出ていただきたく。
また、一番の目当てであった岡本玲ももちろん良く、台詞が関西弁ということもあってか非常に活き活きしていたし、圧倒的にカワイイ!
ジムのトレーニングシーンにしてもラストの「かぼちゃの馬車」にしてもカーンコールにしても「featuring 岡本玲」みたいだったのもその証左?
とはいえ刷り込み効果もあるのか、まだ初演を上回ってはいないような…。特にジムでの集団トレーニングシーンなんて、初演の迫力にははるか及ばない、みたいな。
容疑者χの献身
演劇集団キャラメルボックス
サンシャイン劇場(東京都)
2009/04/30 (木) ~ 2009/05/24 (日)公演終了
満足度★★★★
まったくボケない西川浩幸
「原作テキストをそのまま読む」手法や、何人かが複数のワキを演ずる配役、それに少なくはない場面の転換を可能ならしめた人力回り舞台などによって、長編小説である原作を舞台に上げたワザはさすが。
また、石神の「献身」ぶりと、そうするに至った原因もイイ。(これは原作の功績であり、映画でも同様だったのだが)
そして、たとえそのような理由であろうとも石神の犯した罪は許されるものではなく、むしろ極刑に処すべきだと思うが。
で、役が役だけにまったくボケない西川浩幸を久々(初めてではなかったと思う)に観たような。(笑)
あと、本作の原作は未読ながら、原点である短編集(=ドラマの原作)を(ドラマよりも先に)読んでいた身として、ドラマで「ワトソン役」が若手女性刑事(草薙の後任という設定にしたのは上手い)であることに慣れておりそもそも柴咲コウファンでもあるので映画のアレはアレでも良かったけれど、やはりこうして湯川と草薙の会話などを原作の設定通りで見せてくれると、こっちの方がシックリするなぁ、な感じが山盛り。
夜之音、月之香
劇団パラノイア・エイジ
「劇」小劇場(東京都)
2009/04/29 (水) ~ 2009/05/06 (水)公演終了
満足度★★★★★
「春琴抄」後日譚
盲目→聾唖、三味線→絵筆、と一部設定を変えての「春琴抄」後日譚。佐助の献身的な愛を、いかにも昭和30年代前半な空気の中、市川箟監督の金田一シリーズを彷彿とさせる雰囲気も漂わせて描いて見事。
(以下詳述)
物語の狂言回しとなる編集部の面々の衣裳・メイクから、終戦から数年後というのが見てとれ、田舎の風景描写やあぜ道を疾走するトラックなんてシーンはもう目に浮かぶよう。
目的が読めない何やらアヤしげな人物がウロついたり、ヒロインには出生の秘密があったりという「謎」、行方がわからなくなった人物を探す「山狩り」シーン、ストーリーの中心的な人物が自ら命を断つ「悲劇」など、「あのシリーズ」を髣髴とさせる部分が複数。
その中心的な人物が命を断つのが満開の桜の下。1ヵ月ほど前に桜吹雪の中を歩きながら「逝く時はこういう季節がイイなぁ」などと思ったのでイタく共感。
本作では春琴の娘の父親は佐助ではなく利太郎(←この名前は出ず「春琴のパトロン」とだけ語られる)という設定で、佐助はそれを知った上で春琴を孕ませた咎を受けさらに娘もわが子として(というより春琴の忘れ形見として?)愛情を注いで育てるというのが、原作で描かれる「献身的な愛」に通ずるのではないかと。
また、ほぼ黒一色の何もない素に近い舞台に装置は時としてイーゼルや画材、あるいはちゃぶ台が登場する程度の最小限にとどめ、あとは役者の演技だけで見せる「想像力刺激演劇」なところや、クラシックのピアノ曲の印象的な使い方、それに原作を知っている観客への目くばせ、さらに一部の2役の演じ分けとキャラ設定など、あちこちでツボを突かれる。
ネロとパトラッシュと貧乏神
CAPTAIN CHIMPANZEE
青山円形劇場(東京都)
2009/05/02 (土) ~ 2009/05/05 (火)公演終了
満足度★★★
親心的なモノを感じて納得
子供が対象だし、当日パンフに「ネロ(青年期)」という役名があることから、少なくとも原作のような悲劇的な結末ではないと予想していたら、「ビンちゃん刺しちゃうのかよ!」な中盤以降意外にもビターテイストになり、ちょっとビックリするも、そこにせよ、コドモにはやや難しいであろう幸福論的な部分にせよ、「こういうのもわかって欲しい」という親心的なモノを感じて納得。
Dolce!
O-MATSURI企画merrymaker
シアター風姿花伝(東京都)
2009/04/25 (土) ~ 2009/05/03 (日)公演終了
満足度★★★★
そう来ましたかぁ!
大正浪漫の怪奇探偵ものということでSHAFTの『蒼龍招来 ~桜蘭館怪盗奇譚~』(03年)やしゅうくりー夢の『大正探偵怪奇譚』(06,07年)と同趣向ながら、全体的にユーモラスなこともありそのどちらとも趣を異にするのが独特。
終盤はどちらかと言えばヴァンパイアものと言うよりは「リビングデッド」シリーズのノリで、しかしそれでも笑えたりするのは『バタリアン』(これも原題には「リビングデッド」が使われているんだが)に近いかも。
また、そこを経てのあの人を喰った結末ったら!(笑)
ある意味ハッピーエンドではあるけれど、このテの作品としては予想外で「そう来ましたかぁ!」みたいな…ヤられたなぁ。
ソラオの世界
劇団たいしゅう小説家
萬劇場(東京都)
2009/04/29 (水) ~ 2009/05/06 (水)公演終了
満足度★★★★
21世紀版惑星ピスタチオ
作・演出(とギター弾き語りの「前説ライブ」(笑))が西田シャトナーだけにまさに「21世紀版惑星ピスタチオ」、惑ピスでの手法をバージョンアップした感じ。以前は装置をほとんど使わなかったのが、直方体のフレーム(「装置」にしては非常にシンプルなんだが)4個を組み合わせたり単体(×4)で使ったり音楽をよく使ったりするのも進化した点か?
さらに、小劇場系劇団・ユニット主宰、解散した劇団(複数)の人気役者、ヒーローもの出演経験者、グラビアアイドルなどプロデュース公演ならではの多彩な顔合わせも魅力で、レスキューフォースの隊長が主人公を庇う役どころだったり仮面ライダー王蛇がやっぱり悪役だったりなんて起用も楽しい。
そんなこんなで、それでなくとも面白いであろうところ、作家の作風やら出演者の経歴なども知っている身であるゆえ「割増し」で楽しめたか?
ベイクド・マンション
シアターキューブリック
シアターサンモール(東京都)
2009/04/29 (水) ~ 2009/05/03 (日)公演終了
満足度★★★
好き嫌いが分かれるかも
絵本作家である主人公・かなえが、痛飲した夜に自分を知っているらしい謎の男に導かれて不思議な世界に迷い込み…という物語、「不思議の国のアリス」を想起させる前半はともかく、自身の過去に遡る(記憶の内部に入り込む?)あたり以降は「いろは坂」並みに左右に揺れると言おうか、一旦「あ、そっち系なのね…」と思ったらまた別方向に振(not「触」)れていたりして油断ならない。(笑)
それはあたかも、甘い・辛い・酸っぱいなどいろいろな調味料で味付けされたエスニック料理の如く、様々な味が微妙に影響しあって「一言では言い表せない複雑な味」に仕上がった感じ。好き嫌いが分かれるかも。
海と媚薬
ジ~パンズ
銀座みゆき館劇場(東京都)
2009/04/24 (金) ~ 2009/04/29 (水)公演終了
満足度★★★
思い当たるフシと共感と
病気で入院した友人が惚れた女性の「パンティー」(劇中表現ママ)を、何とかその友人に届けようとするオトコたちを描いたコメディで、全編に「オトコっていくつになっても子供っぽくてバカだねぇ」という自虐的な目線が貫かれており、思い当たるフシがあるどころか、かなり共感。
その一方で、清楚な女性に見えても実は…だったり、「女性が変わってしまうのは釣ったサカナにエサを与えないオトコのせい」なんて台詞があったりなど「深い」(?)部分もアリ。
また、PMC時代は作・演出のみだった静馬主宰が出演しており、しかしメガネなしだったもんでかなり印象が異なっていることにビックリしたりも…。
なお、奇しくも先日観た芝居と同様、ほぼ普通の服装をした役者が犬を演ずるという手法が使われており、今後のトレンドか?などとも思う。
ちなみにこちらは2匹(雄・雌)いたり、犬の言いたいことを理解できる人物がいたり、1匹は実はチワワであると終盤で明かされる「2段オチ」になっていたりで別の味付けもあったワケなのだけれども…。
ささくれリア王
椿組
ザ・スズナリ(東京都)
2009/04/24 (金) ~ 2009/04/29 (水)公演終了
満足度★★★★
大変満足
10周年記念公演1ヶ月前に主演俳優が降板したことにより素人を急造で主役に起用することにした劇団を描いたバックステージ系。
主宰が公演中止を宣言した時の劇団員それぞれのリアルな反応や、(コミカルかつデフォルメ気味の)劇団内恋愛ネタなど、「あぁ、そういうこと、あるんだろうなぁ」などと丸呑みしてしまう。(笑)
また、アングラ出身の外波山文明を、かつて新国劇が好きだった(しかし観る側であって演る側ではない)という設定にして「最近の芝居はワカラン」と言わせてみたり、初めて演技をする素人っぽい芝居をさせてみたり、というのが愉快。
さらに、舞台となるのが稽古場なので(ささくれ団の)過去公演のチラシがあちこちに貼ってあったり、劇団員が過去公演のTシャツを着ていたりして、「風と共にささくれぬ」「ささくりびと」(あと3つくらいあったけれどなんだったっけ?)など、その工夫がこらされたタイトルにも感心。
結末は予定調和っぽくはあったものの、楽しく観ることができ、しかもハッピーエンドなので大変満足。