じべ。の観てきた!クチコミ一覧

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以蔵の一番長い日

以蔵の一番長い日

アフリカ座

萬劇場(東京都)

2009/05/28 (木) ~ 2009/05/31 (日)公演終了

満足度★★★★

お光との「ふれあい」が胸を打つ
冷徹な暗殺者ではなく、人を斬ることに悩んだりもする人間味のある以蔵を劇団☆新感線の『いのうえ歌舞伎☆號 IZO』(08年1月)とは全く違った切り口で描いており、同じく心に傷を持った娘・お光との「ふれあい」が胸を打つ

また、「力石徹のテーマ」(だよね?)、「Let it be」(ま、ありがちっちゃありがち)、「みんな夢の中」(高田恭子ではなく最近のカバー)から「インターナショナル」(ぶっとびー!(笑))まで使う節操の無い(貶しているのではない:念のため)選曲や型破りの近藤・慶喜のキャラ設定に「時代考証その他、大幅にデタラメです」と開き直っていた(笑)倉本聰脚本の「浮浪雲」を連想。こういうの、好きだなぁ。
選曲と言えば最後に流れるのが橘いずみの「太陽」で、その歌詞がラストシーンの内容にかなり合っていて、これも見事

紙隠し

紙隠し

劇団ヒラガナ( )

ラゾーナ川崎プラザソル(神奈川県)

2009/05/28 (木) ~ 2009/05/31 (日)公演終了

満足度★★★★

大作にして力作
ターゲットを社会から消去し、新たな人物として生まれ変わらせる組織を中心とした物語、10分の休憩を挟み前半90分、後半70分の大作にして力作。休憩込みで3時間近い長さは感じさせないが、人物や組織の背景、状況説明に政治がかったテーマまで盛り込んだ前半はややモタつく感なきにしもあらず。
また、アクションシーンをフラッシュモーションで見せる演出は良いが、止めるべきところで止まっていないためグダグダに見えてしまうのが惜しい。
一方、舞台中央のニ階部分の土台を中央の通路部分を除いてほぼ丸ごと使った2つの大きなスクリーンにビル内廊下や公園などの背景や屋上から撤収するメンバーを拾うべく近づくヘリコプターの空撮映像を映写したり、開くエレベーターのドアを映写して生の演技とシンクロさせるのは見事。(AchiTION!などの手法と通ずる?)
シンクロと言えば映像で見せた後にヘリからの縄梯子にぶら下がった役者を天井から吊って見せるのも広義でそれに含まれるか。
また、プロローグ(←メイン部分の半年前の出来事)の「リベンジ編」となる後半はサスペンスアクション的要素もあり娯楽性たっぷり。これで前半のモタつき感を一掃、みたいな?

七人の息子

七人の息子

X-QUEST

THEATRE1010 ミニシアター(東京都)

2009/05/28 (木) ~ 2009/05/31 (日)公演終了

満足度★★★★

リングのようなセターステージで
母の葬儀で7人の息子たちが集結し、というオープニングからその少年時代に遡りショートコント風にエピソードを重ねるスタイルだが、終盤で死出の旅の途中に息子たちを見守る母の目線になるのツボを突かれる。また、中盤の「多数派少数派」コーナーにウケる
なお、31日に再見。

JUMON(反転)/便所の落書き屋さん【満員御礼で終了】『観て来た!』に全レス中!(ただいま1/3)

JUMON(反転)/便所の落書き屋さん【満員御礼で終了】『観て来た!』に全レス中!(ただいま1/3)

MU

ギャラリーLE DECO(東京都)

2009/05/26 (火) ~ 2009/05/31 (日)公演終了

満足度★★★★

55分の中編2本立て
タイトル通り55分の中編2本立てで、1本目の「JUMON」は1人の女性を中心とした逆ハーレム状態の共同体に動機が多少不純気味の若者が参加志願した夜、「被害者の会」の女性たちも押し入り、「信子さん(ハーレムの中心)を待ちながら」状態の物語。
タイトルに「(反転)」が付いている通りオリジナル(未見)は男女が逆で、しかし単に性別を逆にしただけではなくかなり手が入っているとのことで、確かに手を加えなくては無理だろうな、な部分もあるし、そもそも「ハーレム」と「逆ハーレム」では参加メンバーの関係というか流れる空気というかがかなり違いそうで、オリジナルを想像することができず。オリジナルの再演があったら観てみたいモンだわさ。
また、「こんな方向にコトが動いている一方で、もう一方ではこんなことも起きていますよ」というところでスパッと切り落としたような終わり方が潔い。
「あ、ここで切りますか」な感覚に SPIRAL MOON の『世界は今夜も回ってる』(01年12月)に通ずるモノも感じる。
10分の休憩を挟んだ2本目の「便所の落書き屋さん」はハセガワ主宰曰く「挑戦でした」だそうで、初見であった『きみは死んでいる/その他短編』の3本&「JUMON」とは趣を異にするコメディタッチ。
落書きをすると願いが叶うという公衆便所に行った高校生カップルが、そこで生活している(!)かつての同級生と再会し…という物語。
高校生たちの会話のかけあい漫才のようなテンポの良さ(とその内容)が楽しいし、基本的には月9あるいは往年の日曜8時の日テレ系の青春ドラマ的なノリながら、終盤で官能系あるいはにっかつロマンポルノはたまた昼帯ドラマのようなドロドロが明かされるのが可笑しい。

マジシャンズ11

マジシャンズ11

ACファクトリー

劇場MOMO(東京都)

2009/05/22 (金) ~ 2009/05/31 (日)公演終了

満足度★★★★

それぞれ「ちょっとイイ話」
国内で功を成したマジシャンが渡米の前に訪れた「伝説のマジック・バー」はすでにつぶれていたが、その店に半世紀以上関わってきたという女性と出会い…というプロローグに導かれる62年、74年、86年を舞台にした3話(+α:85年頃か?)のオムニバス。
それぞれ「ちょっとイイ話」で、3話各編は一応独立しているものの、すべてに顔を出す脇キャラがいたり、という構成が巧み。
また、今回は劇団名に冠した2つの要素のうちA(アクション)を控え目に(どころか「封印して」と言っても過言ではない)C(コメディ)の要素を色濃く出して、本筋とコメディ部分の落差が大きかった前回公演よりもバランスが良くなり、そっちの面も◎。
なお、劇団BOOGIE★WOOGIEの『The Joker』のようにマジックも披露するのかと思っていたらまったく無かったのはやや残念なれど、他の要素で十分に楽しめたのでコレはコレでアリ。

東京のオトコ【全ステージ終了】

東京のオトコ【全ステージ終了】

Theatre劇団子

pit北/区域(東京都)

2009/05/20 (水) ~ 2009/05/31 (日)公演終了

満足度★★★★

身に覚えアリ的な?
とある結婚式場の新郎側控室を舞台とした披露宴直前の物語。
全体的にはスラップスティックコメディながら終盤で盛り上げるという基本に忠実と言おうか手堅いと言おうかで、大いに笑ってちょっぴりホロリの90分、若干(…いや、「かなり」か?)カリカチュアライズされているとはいえ「東京のオトコ」(東京には限らんか?)の情けない部分が強調されていて、共感というより古傷に塩を擦り込まれているような、身に覚えアリ的な?(爆)

雲南ジャッカル

雲南ジャッカル

ひげ太夫

明石スタジオ(東京都)

2009/05/20 (水) ~ 2009/05/25 (月)公演終了

満足度★★★

常に新しいワザを開発
中国を思わせる国の伝説的「むかし話」を女性のみのキャストがピスタチオ的手法に組体操まで採り入れて描く…というスタイルはもちろん、ストーリーの基本的部分まで毎回同じなのにマンネリにならず飽きさせないのは常に新しいワザを開発しているからか?(※)
今回は、料理屋の閑散としたカウンター席から一瞬にして沢山の客で賑わっていた頃の回想シーンにスイッチする見せ方が個人的にツボ。ここの手法ならではだよねぇ。
※ それに大衆演劇や月曜20時の某局の時代劇シリーズなどに通ずるノリもあるかも?(笑)
あと、前回のシアター風姿花伝同様、タッパがあまりない小屋ではありながら、その高さギリギリまで使った4段組みはさすがだな。

宇宙を育てる

宇宙を育てる

味わい堂々

中野スタジオあくとれ(東京都)

2009/05/22 (金) ~ 2009/05/26 (火)公演終了

満足度★★★★

考えるな、感じるのだ
シュール気味、コメディ気味、ブラック気味、と様々な要素を「気味」レベルで少しずつ採り入れ、しかしどれも半端になることなく絶妙のバランスで配合されて他に類を見ない独特の「味わい」が生まれている感じ。
わかりやすい部分もありつつ、どちらかと言えば「考えるな、感じるのだ」なスタイル、アタマで理解しようとせずにその独特な感覚に身を委ねるのが心地好い。

SORA Short Ism

SORA Short Ism

SORAism company

千本桜ホール(東京都)

2009/05/22 (金) ~ 2009/05/24 (日)公演終了

満足度★★★

見本市か博覧会か
ストーリー仕立てのものからショート・コント、果てはほとんど一発芸的なものまで各種取り揃え、全体を貫く1つのストーリーの劇中劇としてそれらをまとめた意欲作。
長さだけでなく、パターンもごく基本的なものから凝ったものまで、たとえば連作になっている短編とか、そもそもが劇中コントなのにさらに重層になっているものとか本当に様々で、見本市か博覧会か…ってなくらい。
ただ、盛り込みすぎな感もあり。これでも削ったとのことながら、もっと削って「腹八分目」とか「喰い足りない」くらいの方が良かったのでは?
時間的に決して長くはないが、含まれている本数が多いのでゴチャゴチャした印象になってしまったのがちょっと惜しい。

だいさんの男

だいさんの男

ZIPANGU Stage

萬劇場(東京都)

2009/05/20 (水) ~ 2009/05/26 (火)公演終了

満足度★★★

1点気にならないでもないが
ある殺人事件の時効が2~3時間後に迫った夜、被疑者の娘に時効成立後にプロポーズしようと思っているかつての担当刑事を中心に、この夜が逮捕する最後のチャンスと張り込むベテラン刑事やその周囲の人々を描いた物語。
タイトル等から被疑者である「大さん」が真犯人ではなさそうなことは暗示されているとはいえ劇中でそれが判明する前から現役警察官が時効成立を願っているという部分に若干ひっかかるモノはあるが、そこさえ目をつぶれば、王道コメディ的な前半から意外な真相が明らかになる終盤までよく出来ている。
ベテラン刑事の深読みが裏目に出る…というコメディのお約束的な部分も実は真犯人に関する伏線になっているなんざ上手いよね。
また、前説のおねーさんでもある宮本ゆるみの外国訛りの日本語がいつもながら見事なことに加えてさとう波子の北関東訛りもなかなか。(笑)

『悪魔のセバスチャンと天才演出家』

『悪魔のセバスチャンと天才演出家』

劇団虎のこ

笹塚ファクトリー(東京都)

2009/05/20 (水) ~ 2009/05/24 (日)公演終了

満足度★★★★

つい点が甘くなってしまう
落ちぶれた老演出家と、人の心を音楽で操ることができ、小さな幸福を与える代償として大きな不幸を得ることを使命とする悪魔を中心とした物語、悪魔が結果的に人間を助けてしまう、という芯は劇団S.W.A.T!の『Speak of Devil』三部作と共通ながら、全くと言っていいほど色合いが異なるのが興味深い。
また、使用曲のほとんどを知っていた身としては「それをそう使いますか」的な部分もあって楽しさ倍増…と言ったら褒めすぎか?(おいおい)
あと、一番のクライマックスであろうシーンを敢えて省いて観客の想像に委ねるというのは巧いと言おうかズルいと言おうか…(笑)
で、結局セバスチャンが得た「他人の不幸」というのは、自殺したいという老演出家の望みを断つことだった、という解釈でOK?
「死んじゃだめだよ、生きてなくちゃだめだよ」派としてこういう結末は好ましく、つい点が甘くなってしまうんだが…(爆)

成れの果て

成れの果て

elePHANTMoon

サンモールスタジオ(東京都)

2009/05/21 (木) ~ 2009/05/26 (火)公演終了

満足度★★★★

濃密な空気感
派谷恵美に魅かれて観た第1回公演とそのイキオイで観た第2回公演以来、観るのは3年ぶりになるが、濃密な空気感は変わらず。
しかし決して「重い」や「暗い」ではなく、心地好い緊張感が持続している、という感じ。(その感覚はウォーキングスタッフの作品に通ずるか?)
そんなピリリとした空気の中、静かなシーンが多く、マナーモードであっても携帯が鳴ったら目立つだろうな、な状態なので咳をするのもはばかられるようなのに、誰一人として余計な音をたてないという観客もナイスプレー。
また、古めの日本家屋の一室を、しっくい風の壁はもちろん、天井まで(!)キッチリ作り込んで再現した装置がドラマをよりリアルに見せており…
終盤、かつて自分をレイプした相手を同じ目に遭わせようとして途中で止めてしまう妹に「生やさしいのでは?」と思いつつ、その気持ちも理解できたのだが、その後にポツリと「絶対許さないんだから」と呟くのは予想外でコワい。
怪談で言えば「見ぃたぁなぁ~」あるいは「それはこんな顔だったかい?」に匹敵する一言、みたいな?(笑)
その次の(=最終の)場における姉の残酷さもコワい。あんなことが言えちゃうんですねぇ。(幼馴染みに対する無意識的な甘えという解釈もできないことはないんだが…)
で、そのシーンに不意に「因果応報」とか「弱肉強食」とかの四文字熟語が浮かび、そう言えばここの芝居って「四文字熟語的雰囲気」があるなぁなどとも思う。
さらに、ここでの姉の表情の変化が何とも見事。このサイズの劇場ならではだが、刻々と変わる心理が抑えようとしているのに顔に表れてしまう、的な。

NOT BAD HOLIDAY

NOT BAD HOLIDAY

劇団競泳水着

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2009/05/19 (火) ~ 2009/05/26 (火)公演終了

満足度★★★★

スタイリッシュ
ここを観るのは3度目だが、リアリティがあり自然で、細部まで血が通った会話が今回も心地好い。特に「その日」の前夜、このみが亘にかける言葉と志保とえみりの会話などが秀逸。
それに加えて今回は亘の実直さ(ちょっと違うか?)と米倉の偏執ぶり(笑)の表現が印象的。ともにここには初参加であった玉置玲央(亘役)、堀越涼(米倉役)のお二方、さすがです。(その起用も含む)
また、白を基調に黒いライン(帯?)が入っている幾何学的でシンプルな中に3種類のテーブル(と一部の椅子)が配された装置やオープニングタイトルの出し方もスタイリッシュ。
さらに、全体に良い方向に向かっているが最終的にどう着地させるのかと思っていたら、それまで時々出ていたクロスワードパズルのネタを絡ませて締める(と言ってイイのか?)オチも見事で、画竜点睛を打つ感じ。
終演後には本編のテーマである「草食系男子」に関するアフタートークがあり、トークゲストが玉置、堀越ご両人であったことから質疑応答で「上野演出に何か特別なことは?」という質問に対して柿喰う客の中屋敷代表との比較論になり、その回答に大いに納得。(笑)

愛のルーシー

愛のルーシー

北京蝶々

OFF OFFシアター(東京都)

2009/05/20 (水) ~ 2009/05/26 (火)公演終了

満足度★★★

客入れのBGMが納得
閉鎖生態系実験施設で自給自足の生活を送る8人の男女(と彼らを観察する研究員2人)の物語、本来の成果が得られず苛立つ中、恋愛感情なども芽生え…という80分ほどのコンパクトな作品。けっこう笑えた上に、観ていて「なるほどそれで客入れのBGMがああいう選曲だったのね」と大いに納得。(ってかBGMで漠然と予想した内容に近かった?)
それにしても初見であった前作といい本作といい、閉鎖空間での出来事であることに加えて地球規模での危機的状況を背景とした作品が続いたが、いつもこういうテーマなのかそれともここ2作が同系統になっただけか?

しびれものがたり(第14回劇作家協会新人戯曲賞受賞作品)

しびれものがたり(第14回劇作家協会新人戯曲賞受賞作品)

しずくまち♭[フラット]

d-倉庫(東京都)

2009/05/15 (金) ~ 2009/05/19 (火)公演終了

満足度★★★

木目調の温もり
掌、舌など部分的に感覚をなくす奇病(?)が発生した町での物語、未来の寓話風だった初演を身近なものに改訂したとのこと。
その「しびれ」、目を背けたい現実からのプチ逃避であったり、対人関係における無神経ぶり(?)もしくは不器用さであったり、と比喩的なのが独特で、実はかなり耳の痛いネタであるのに綿でくるんだようにじんわり。(「真綿で首を絞めるよう」でもあるか?(笑))
また、音楽が舞台の上手手前に設けられた席でのグランドハープ生演奏で、その音色が温かく包みこむようだったし、装置もダークブラウンが基調の落ち着いたものだったこともあって、アンケートにあった「この芝居または劇団を一言で表せば?」の項目への回答は「木目調の温もり」。
そういえば全体的なトーンに SPIRAL MOON と通ずるものがあるかも?

神様とその他の変種

神様とその他の変種

ナイロン100℃

本多劇場(東京都)

2009/04/17 (金) ~ 2009/05/17 (日)公演終了

満足度★★★★

けっこう満足
前作『シャープさんフラットさん』は未見ながら、それよりも前の何作かは自ら言うところの「晩年」のケラ作品、ナンセンスな会話などは封印気味で、落ち着いた、ドラマ性の高い作風なのがやや物足りなくはあったのだが、これも自ら言うところの「異色作」である本作では「いやいやいや、そうじゃなくて…」的なナンセンスな会話も復活(?)しており、そういう意味では「異色作」っぽくないのでは?(「晩年のケラ作品」としては「異色」ということではあるまいな?(笑))
で、ある一家の父母が連続殺人を犯しているのでは?な物語、怪しさ(ブラックさ?)と可笑しさが程よくブレンドされて「これぞナイロン」または「これぞケラ」な感じ。
また、終盤で明かされる真相も(ちょっと無理もあるんでないかい?という気がしないでもないが)「あ~なるほどぉ」だし、ラストの本水を使った演出も良いし、けっこう満足。

関数ドミノ

関数ドミノ

イキウメ

赤坂RED/THEATER(東京都)

2009/05/08 (金) ~ 2009/05/24 (日)公演終了

満足度★★★★

非常にわかりやすい
お得意の「得体の知れない不安感」的なものは控え目で「ある仮説」の真偽が明らかになる(と言えるかはやや疑問?)までを比較的ストレートに描いてイキウメにしては非常にわかりやすい。
途中で「ドミノ」は本当は存在せず、単なる偶然+思い込みではないか、という気もしつつ、その後に存在はするが実は別人なのでは?という疑問が沸いたら、そういうオチだったのも「わかりやすい」という印象を受けた要因か?
がしかし、彼が本当のドミノであるかどうか示さずに終わるし、終演後に「期間限定なので、途中から変わった」という解釈も示唆されたし、もしや前日に引き続き盲点を突かれたのか?などと思わされてしまうのはやはりイキウメ(笑)。

きらめく星座 ~昭和オデオン堂物語~

きらめく星座 ~昭和オデオン堂物語~

こまつ座

天王洲 銀河劇場(東京都)

2009/05/06 (水) ~ 2009/05/24 (日)公演終了

満足度★★★★

第5場がやはり白眉
10年ぶり6度目(に加えて戯曲も読んでいるし)ということで内容はよく憶えていて、印象的なシーンや台詞などは舞台で演じられる前に脳内で再生されたりもするが、中でも初演時(85年9月)から感銘を受けている「人間についての広告文」を筆頭として名場面・名台詞のオンパレードな第5場がやはり白眉。また、10年前と同様に、源次郎のような人物を作り上げてしまったあの当時の教育に大いなる疑問(とはちょっと違うか)を感じる。(←これは第5場限定ではないが)

オリマエ

オリマエ

劇団K助

ウッディシアター中目黒(東京都)

2009/05/13 (水) ~ 2009/05/18 (月)公演終了

満足度★★★★★

騙される快感
刑務所の前にあり、関係者が出所する者を待つことも多いと言われるカツ丼屋での出来事を描いた物語、出だしは程良くコミカルながら次第に巻き込まれ型サスペンスに転じ、クライマックスは二転三転して先を全く読ませないのが見事。
特に一件(というよりはむしろ“一見”)落着した後、2年後を描いたエピローグでさらにひっくり返されて「騙される快感」に酔う。
その前のタネ明かしの時に「芦北・兄がニセ警官に気付かなければあんな展開にならなかったのでは?」という疑問は浮かんだものの、それも実は計画されたものだったとは。
ちなみにエピローグで芦北・弟が指摘した「唯一の計算外が俺たちだと言ったのに、俺たちのことも調べ上げていたじゃないか」という点については気付かず、そこで眼からウロコ。
また、「死体と遺体の違い」や「警官は傘をささない」(←制服限定か?)なんてトリビアも「へぇ」だったし、すべてのベースにあるのが兄弟愛だというのにもツボを突かれる。

旅がはてしない

旅がはてしない

アマヤドリ

アサヒ・アートスクエア(東京都)

2009/05/13 (水) ~ 2009/05/13 (水)公演終了

満足度★★★

多分に哲学的
一言で表現すれば「多分に哲学的」。前作『プラスチック・レモン』もある意味哲学的だったけれど、あちらが詩的な哲学であるのに対してこちらは理詰めの哲学、みたいな?(笑)
未来あるいは別次元(かつ多層構造=パラレルワールド)のように見えつつ、実は何らかの理由で眠り続ける人物の見ている長い(果てしない)夢なのではないか、などと誤読をしてしまったのはここのところたて続けにそういうネタの芝居を観て、思考回路がそっち寄りになっていたからか?(爆)
また、前回は「整然とした動き」にとどめて封印していた(?)「乱舞」が復活。これがまた情熱的と言おうか派手と言おうか、特徴的。

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