じべ。の観てきた!クチコミ一覧

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フジヤマタイガーブリーカー

フジヤマタイガーブリーカー

MCR

駅前劇場(東京都)

2010/03/17 (水) ~ 2010/03/22 (月)公演終了

満足度★★★

Track Back System
寒風吹きすさぶ冬のデパートの屋上でのヒーローショーの「中の人(バイト)」たちを中心にしたコメディ、今まで同系統のものも何本か観ているものの、そのどれとも切り口が違っていて、これもまた愉快。
責任者(?)が告げたキャラの人気投票の結果に(自分の責任というワケでもないのに)フテるレッド役なんて発想が楽しいし、しかし結局人気を挽回するでもなく、成長するでもなく、あってはならないことなどを起こしつつ、ショーは繰り返されてゆく、な終わり方に若干の物足りなさを感じなくもないが、お台場SHOW劇場用の作品で上演時間90分以内という制限があったことを鑑みればむしろ上手い終わらせ方かな?とも思う。

Dear My ANGEL

Dear My ANGEL

こちらKGB

相鉄本多劇場(神奈川県)

2010/03/18 (木) ~ 2010/03/22 (月)公演終了

満足度★★★★

ハートウォーミング大会(笑)
09年08月の『斬(きらず)』が本格娯楽時代劇だったのに対して今回は現代が舞台のハートウォーミングファンタジー。
前半は3つの流れそれぞれのつながりが見えづらく、時系列的な関係も読みにくいので戸惑ったものの、それらが合流して1つの大きな流れ(奔流?)になる後半はハートウォーミング大会(笑)で、これまたツボを突かれる。
で、その内容にしても演出(選曲も含む)にしても、よく観る(よりによって前日も観た(笑))某人気劇団に通ずるものがあり、初演を観ていない上にチラシなどの説明は漠然とした短い文章だけで事前情報が乏しいのにもかかわらずどこか懐かしい感覚(あるいは既視感?)があったのは、そのためもあるかも?

テンペスト イン マーズ

テンペスト イン マーズ

CAPTAIN CHIMPANZEE

ザ・ポケット(東京都)

2010/03/17 (水) ~ 2010/03/22 (月)公演終了

満足度★★★

作劇論的な部分も楽しむ
沙翁の『テンペスト』を火星を舞台に展開させようという大胆な試み。とは言っても、原典の物語をほぼそのまま未来の火星で繰り広げるのではなく、いくつかの設定を使って新たなストーリーを創り上げた、な感じ。
とか知ったかぶって書いているが、原典は毎度の wikipedia で予習しただけだったり…(爆)
しかしその予習はムダではなく、原典の複数のキャラを1人に混ぜ込んだり、純日本的(ナニワブシ的?(笑))な『瞼の母』的要素も取り入れたりという翻案に『荒野の7人』の手法を想起し、作劇論的な部分も楽しむ。
原典が大好きでそれをどう火星で展開させるのか?な観かたであれば肩透かしを喰らったかもしれないが、ほとんど知らなかったことも幸いしたと言えるか。

ネタバレBOX

なお、アイリスが「アレ」なのは額の「あれ」で想像がついたものの、本当にそう(RX-78 という名称まで出しちゃうし)だったので「だったら赤と青も使えばイイのに」と思ったり…(笑)
そういえば前日に観たものにもガンダムネタ(「メインカメラをやられただけだ、まだ戦える」「僕が一番上手く操縦できるのにぃ」)があってこの日にも出てきて「再燃か?」みたいな…。いや、もはやアレはスタンダード化したと言って良いのか?
『クロノス・ジョウンターの伝説』~『ミス・ダンデライオン』『南十字星(サザンクロス)駅で』~

『クロノス・ジョウンターの伝説』~『ミス・ダンデライオン』『南十字星(サザンクロス)駅で』~

演劇集団キャラメルボックス

サンシャイン劇場(東京都)

2010/03/12 (金) ~ 2010/04/04 (日)公演終了

満足度★★★★

南十字星駅で
原作を読んでいず原作と脚色・演出の境界線が不明ながら、冒頭で賢治作品(の一部)を引用しているのでいきなりツボを突かれる。(笑)
また、過去4作のキーパーソン…ってかクロノス・ジョウンターの発明者である野方自身が過去に跳ぶことで「完結編」的意味合いも持ってきますわな。
本作のミソは遥か54年(だったか?)昔に跳ぶ方法で、極論すればあとは「以下同文」的、マンネリを避ける意味でもやはり完結編か。
そんなワケで物語のハイライトが前半にあるものの、やはりストーリーテリングが巧みだし、70歳代後半を演ずる西川浩幸の説得力ある演技(本当に足腰が弱っているように見えてハラハラするくらい)の功績もあって後半パートもダレず。(そもそも上演時間がカテコを含んで70分余だし)

『クロノス・ジョウンターの伝説』~『ミス・ダンデライオン』『南十字星(サザンクロス)駅で』~

『クロノス・ジョウンターの伝説』~『ミス・ダンデライオン』『南十字星(サザンクロス)駅で』~

演劇集団キャラメルボックス

サンシャイン劇場(東京都)

2010/03/12 (金) ~ 2010/04/04 (日)公演終了

満足度★★★

ミス・ダンデライオン
原作を読んでおり06年4月の初演も観ていたが、今回はギャグが増えてより甘みが強くなった感じ?
そこのところに木に竹を接いだような若干の違和感あり。客席にはウケていたのであくまで個人的な好みの問題だが。

さて、何が世界を終わらせるのか

さて、何が世界を終わらせるのか

リブレセン 劇団離風霊船

ザ・スズナリ(東京都)

2010/04/21 (水) ~ 2010/04/28 (水)公演終了

満足度★★★★

抜群の安定感
手堅いと言おうか盤石と言おうか、抜群の安定感。
一部読めてしまうところもありつつ「そう来ましたか」的な。

ネタバレBOX

深読み・曲解もあろうが「家族の終わりは世界の終わり」なメッセージが心にしみる。
空から降るほんの小さな愛

空から降るほんの小さな愛

ジ~パンズ

銀座みゆき館劇場(東京都)

2010/04/23 (金) ~ 2010/04/29 (木)公演終了

満足度★★★★

前作よりPMCっぽい
恋愛沙汰から遠ざかって久しい身(爆)として擬似体験と言おうか昔を思い出すと言おうか。
あれやこれやが落ち着くべきところに落ち着きめでたしめでたしか…と思わせてのオチも上手い。
なお、前作よりPMCっぽいと思ったのはσ(^-^)だけではないそうで。(笑)

おるがん選集 春編(上演台本付き/カフェ営業あり) 

おるがん選集 春編(上演台本付き/カフェ営業あり) 

風琴工房

ルーサイト・ギャラリー(東京都)

2010/04/26 (月) ~ 2010/04/29 (木)公演終了

満足度★★★

【藤】編
先攻後攻を入れ替えて和ものが先で洋ものがあと。
時代性がよく出た太宰の「親友交歓」、ある拷問具を想起させるカフカの「流刑地にて」とも桜の二編と異なり、それぞれに面白い。

おるがん選集 春編(上演台本付き/カフェ営業あり) 

おるがん選集 春編(上演台本付き/カフェ営業あり) 

風琴工房

ルーサイト・ギャラリー(東京都)

2010/04/26 (月) ~ 2010/04/29 (木)公演終了

満足度★★★★

【桜】編
モーパッサン原作の「寡婦」(約30分)は翻案による和洋折衷ぶりが面白い。
永井荷風の「墨東綺譚」(約50分)は江戸情緒の残る昭和の下町風情満載でモノクロの大映映画的な味わい(個人的なイメージです)がステキ。
それにしても「寡婦」と「荷風」…いや、何でもないです。(笑)

※ 4月21日からスタイルを変え、ツイッている一口レビューをまずアップして後日加筆することにしました

双碧星物語

双碧星物語

流星揚羽

萬劇場(東京都)

2010/04/21 (水) ~ 2010/04/26 (月)公演終了

満足度★★★

女性作家らしからぬ(笑)力強さ
水軍の心意気や終盤の殺陣など女性作家らしからぬ(笑)力強さアリ。
また、斬り合いの中で肘打ちやパンチを出す武士ではないがゆえの「ケンカ剣法」の表現も○。
ただ、両バージョンにそれほど大きな差がないのは残念。

背伸び王(キング)

背伸び王(キング)

コマツ企画

小劇場 楽園(東京都)

2010/04/21 (水) ~ 2010/04/25 (日)公演終了

満足度★★★★

コマツ式『ワンダフル・ライフ』?(笑)
いわばコマツ式『ワンダフル・ライフ』だが、まさかこの題材をこのように展開させようとは…(笑)
また、75分の上演時間も程良く8連続マチソワ半ばの身には一服の清涼剤的な(爆)。
ただ、今後「Butterfly」を聴く時にヘンなバイアスがかかりそうで心配(笑)

カラスの歩く速さ

カラスの歩く速さ

らくだ工務店

駅前劇場(東京都)

2010/04/20 (火) ~ 2010/04/27 (火)公演終了

満足度★★★★

真に迫るリアリティ
実話ベースということと凝った装置の相乗効果により真に迫るリアリティ。
ユーモラスな前半から次第に緊張が高まりクライマックスを迎える構成もイイが、エピローグ(?)がやや長いか?

リングワンダリング

リングワンダリング

Monochrome Plus

シアター風姿花伝(東京都)

2010/04/22 (木) ~ 2010/04/25 (日)公演終了

満足度★★★★

幻想迷宮を彷徨う感覚
一口で言えば「幻想迷宮を彷徨う感覚」。夢や記憶など意識下でのストーリーという雰囲気が巧く表現されていたと思う。
また、序盤では「不思議の国のアリス」、後半で「ビューティフルドリーマー」、全体的に楽園王+の作風を連想。
あと、照明によって様々に表情を変える舞台美術も見モノ。

宇宙エレベーターガール

宇宙エレベーターガール

宇宙食堂

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2010/04/21 (水) ~ 2010/04/25 (日)公演終了

満足度★★

最終的な落とし所は良いのに…
斬新な題材や最終的な落とし所は良いのに細部が杜撰過ぎて醒めてしまうのが残念…を通り越して致命的。

※ 4月21日からスタイルを変え、ツイッている一口レビューをまずアップして後日加筆することにしました

僕たちの失敗~もう誰も信じない…~

僕たちの失敗~もう誰も信じない…~

ラブリーヨーヨー

駅前劇場(東京都)

2010/03/11 (木) ~ 2010/03/14 (日)公演終了

満足度★★

あと一つ欠ける感が払拭できない
局員3名の小さな郵便局に2人組のマヌケな強盗が押し入り、しかし通報されて退散しようとしたところに銃を持った新たな強盗が押し入って5人を人質に立てこもる…という状況のコメディ。
既視感はありつつ面白い題材であり、いろいろ趣向を凝らしてよく出来てはいるのに、何かあと一つ(か二つ?)欠ける感が払拭できないのが惜しい。
野球に喩えれば長打を含む毎回安打で満塁にもなるのに決定打が出ず残塁の山、結局両チーム無得点のまま時間切れ引き分け(←「完封負け」ではない)みたいな?
個々の場面は面白いのに全体を通しての流れで見ると平板なまま終わってしまう感じなんだな。前夜に「緩急自在に進行し終盤で盛り上がった上にさらにそこから大噴火する」というお手本のような作品を観ているだけにその感ひとしお…。
が、終演後にメンバーであった多田岳雄(本作には出演せず)の引退セレモニーがあり、そのユルさ、ヌルさが初めて観る身にとっても愉快(しかしあの SPEED は見苦しいか(爆))だったので、それも含めてそれなりに満足。
ただ、開演が定刻よりも10分程度押すことはよくあることでそれ自体は問題ではないものの、開演前・終演後を通じて全くそのことに触れないのは頂けない。
器の小さい身ゆえ「10分以上遅れたのに詫びどころか申し開きの一言すらナシかい」という気分を引きずりつつ観たのも前述の「不発感」の一因かも。

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劇団やったるDAY!

ウッディシアター中目黒(東京都)

2010/03/10 (水) ~ 2010/03/14 (日)公演終了

満足度★★★★

もう神ワザ?(というのは褒めすぎ…(笑))
友人・あずきと2人でシェアハウスのオーナーとなった主人公・ちえがあずきの死により生きる意味を見失い、ハウスからも去ろうとしているのを知ったハウスの7人の住人はちえに生きる意味を見つけてもらおうとし…な物語。
その意味では十八番のファンタジー寄りハートウォーミングストーリーだし、お得意の複数の人物によるユニゾンのリアクション(台詞・動作とも)なんて演出やノリツッコミも健在で、終盤の盛り上がりはいかにもここらしくて「真骨頂だね」と満足していたら、そのあとにさらなるサプライズがあって感服。
シェアリングハウスの住人が7人であることから、プロローグに出てくるあずきが子供の頃に描いてその後出版されるに至った絵物語「女の子と7人の妖精」(だったっけ?)に準じた展開になるのは予想通りだったものの、まさか7人の住人が妖精そのものだったとは…。
それも、序盤で見せたそれぞれの登場のしかたが絵物語の内容まんま(その部分はプロローグでは示されない)で、終盤でそこを音読しつつ登場シーンを回想として見せるのが巧くて、もう神ワザ?(というのは褒めすぎ…(笑))
いやぁ、ホントにヤられたわァ。

空間ゼリーEse「僕たちだけで大丈夫!」

空間ゼリーEse「僕たちだけで大丈夫!」

劇団たいしゅう小説家

MAKOTOシアター銀座(東京都)

2010/03/12 (金) ~ 2010/03/16 (火)公演終了

満足度★★★

演技のジャムセッション
今回は脚本がなく、各自にキャラクターを創造させ状況設定だけ与えるという「戯曲もない、インプロでもない」(←チラシより)即興芝居で、エチュードの積み重ね的な感じ?(…とか言って、「インプロ」「即興芝居」「エチュード」の区別・定義がよくワカっていないんだが…(爆))
んなワケで一言で表現すれば「アヤしいキャラ見本市」で見せる「演技のジャムセッション」。ほら、各自の楽器(キャラ)とコード進行(設定)だけ決まっているところが共通でしょ?
が、ジャムはジャムでもテーマの提示などなくいきなりインプロヴィゼーションが展開される感覚は70年代後半に来日した頃のマイルス的とか?
また、劇中の照明やS.E.は毎回変わる(この回のS.E.は銃声・雨音・サイレンなどだったが前日は幽霊が出るような音もあったとか)そうで(アフタートークで明かされる前、観ていて察した)、それも演出家の指示ではなく、照明さん・音響さんの判断によるとのこと(こちらはアフタートークより)。
キャラの可笑しさと何が起こるかわからない(あるいは何が起きても不思議はない)緊張から生み出される「グルーヴ感」(笑)が独特で、あんまり長く演っていてもまとまりがなくなりそうなところ、75分という上演時間も程良かったのではあるまいか。

W氏の帰れない夜

W氏の帰れない夜

円盤ライダー

@quos(東京都)

2010/02/26 (金) ~ 2010/03/14 (日)公演終了

満足度★★★★

トンデモ系コメディ
残業で遅くなり、それを持ち帰って自宅でも仕事、の前に立ち寄ったバーでW氏は店員に見えたトロント星人から「地球侵略演習隊の隊長」と誤認され、想像を絶する体験をする…なトンデモ系コメディ。
もうこれが「なんておバカな!(笑)」なブッ跳んだ設定満載で、にもかかわらずモロモロについてことごとく理由をキチンと(?)説明しており、そのこじつけっぷりに脱帽。まさに「無理を通せば道理が引っ込む」状態で、もうそのオカしさ(=funny,strange のダブルミーニング)といったら「想像を絶する」。(笑)
で、そんなことから西田シャトナー(今回の作・演出)ってこんな引き出しも持っていたんだ、と思ったものの、惑星ピスタチオ時代にチョコチョコ挟まれていたムチャな笑いの部分を発展させたと言えるし、『Believe』での大阪城ロボや超ミクロ忍者など荒唐無稽な設定もあったので、そう考えればこれもモロにシャトナー風。終盤の宇宙空間の表現なんてまんまだったし。
が、円盤ライダー的には異色作だったかも。2時間をちょっと超えるという上演時間も含めて。

ラ・ムーの一族

ラ・ムーの一族

劇団阿佐ヶ谷南南京小僧

明石スタジオ(東京都)

2010/03/11 (木) ~ 2010/03/14 (日)公演終了

満足度★★★★

この心温まるファンタジーぶりは何?(笑)
桜の園に住む両親と一男二女の5人家族の父親が出奔してしまうが自称「桜の妖精」が末娘を優しく見守り…って、何なの、この心温まるファンタジーぶりは?(笑)
通常は基本的にブラックでシニカル(ただしユーモラスではある)なのに、今回は180°方向転換みたいな?
いわば「笑ゥせぇるすまん」に対する「喪黒福次郎の仕事」(喪黒の弟・福次郎が主人公でハッピーエンドのシリーズ=wikipedia情報:未読)的ポジションか?(笑)
いや、でもこれも好きですよ、と言うよりむしろイイ意味で期待を裏切られた快感アリ。
また、チラシにあった「色とりどりの「さくら」SONGを散りばめ」通りの選曲には大ウケ。まさか「檄!帝国華撃団」や「六本木心中」まで使うとは…。
しかし、そんな曲もイントロですぐにワカったばかりでなく、どこが「さくら」SONGなのかまで瞬時に察したσ(^-^) って…(笑)

シューマンに関すること

シューマンに関すること

劇団東京イボンヌ

サンモールスタジオ(東京都)

2010/03/09 (火) ~ 2010/03/14 (日)公演終了

満足度★★★

そう取り込みましたかぁ
シューマンの特集を組むことになった雑誌の新人女性記者・夏樹、シューマンをテーマにした小説のアイデアが出ずに筆が進まない女流作家(=記者と偶然知り合う)、かつてコンクールで優勝し「シューマンの第一人者」と呼ばれたピアニスト・芦屋(=記者の取材相手)の三者を中心に描きながら、そこからシューマンの人生(後半だけなので「半生」か?)が浮き上がってくるシカケ。
で、芦屋は事故で指が動かなくなりピアノを断念し精神を患っているとか、自分をシューマンの生まれ変わりと思い込むとか、そのあたりで予習が利いてくるワケさ、「そう取り込みましたかぁ」みたいに。
また、芦屋の様子が劇中事実なのか、それとも夏樹から聞いた話にヒントを得た作家(当日パンフの役名も「作家」のまま)が著している小説の中のフィクションなのか、と疑問を抱かせておいて終盤で「あることないこと書き連ねて…」と響子(芦屋の妻)に言わせて少なくとも全てが事実ではないことを明かすのが上手いし、「(芦屋の)クララになりたくてなれなかった」響子が芦屋から「クララ…」と呼びかけられるラストも切なく美しい。
暗めの照明の中で流れる台詞がエラく文学っぽくて(笑)「作風が変わった?」と思ったらシューマンからクララへの手紙だったというプロローグもその後の展開を示唆して巧みで、後から振り返ってモロモロ納得。
そんな中、編集部のシーンはコミカルでメイン部分のどちらかと言えば悲劇気味なトーンをうまく緩和していたな、と。
対象となる人物を直接描くのではなく、メインとなる別のストーリーを進行させる中にその生涯を練りこむ手法は今年1月のユニークポイントの『シンクロナイズド・ガロア』と通ずるものアリ。

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