満足度★★★★
燐光群『お召し列車』
燐光群「お召し列車」、始まりに色々入って、焦点の合わせ方に難。前半の説明的シーン、10分位で最初の評決シーンに行きたい。メインの元ハンセン病患者達の空気感は別格、少人数の方がシーンが引き締まる。予備知識ないと分かりにくいか。絶望的な生を生きた人々の、追憶のロードムービー。
満足度★★★★
「台詞が沁みる」
多分、色々な「思想」があるので、どれが正しくて、間違ってるとは言い難い。
予備知識なしに観劇した『お召し列車』。
まず、「台詞が沁みる」。
個人的には「女」を演じた渡辺美佐子さんの「幸せを何ではかるの?」
と言った台詞が妙に沁みた。
渡辺美佐子さんのお歳をあとで調べて、かなり衝撃を受ける。
普段、観劇する状況とかなり違ったのも、面白い。
日本特有の排他する事によっての、調和保持。臭い物に蓋をする・・。
ただ、当事者(排他される)になった時は・・・
色んな史実も元になっている。
ただ、史実、資料だけでは虐げられた人たちの
本当の涙は見えないのかもしれない。
物凄く最初の方で、「女」が旧友と再会した場面。
何故だか、この場面が好き。ぎゅうと時を引き戻した「ふたりの女学生」
楽しい事ばかりでは無かった・・。という台詞。
当時の人たちが未来を見る事は、夢の様な事だったのかもしれない。
人知れず、都合で追いやられる。
劇中の中で、病気の人に対しての「未来」が悉く、奪われる処置を国が行っていた事。
一番、簡単で、一番、残酷なんだろう。
演技は勿論、するのが演劇。でも、今回、「演技」と、
その年輪のパワーを感じた。
物語は、「未来」のオリンピックに向けての車両選考会。
でも、その「未来」は色んなものを踏みつけてきた「未来」なのかな?
「関係ない」と見ない事も簡単。
今まで、「知らなかった」事も多かったのだから・・。
でも、この「芝居」をきっかけに
少しでも「知ってしまった」事は事実。
考える事、少し、出来る筈・・。
何故今回観劇しようと思ったか?
ダルカラード・ポップの東谷英人さんがこの劇団に出演しているのを
機会があればと・・と思っていた。
前情報がほとんどない状態で拝見。
もっと、重苦しい、堅い芝居のイメージを持っていたが、そうでは無かった。
劇中の東谷さんは、少し、クールな感じで他の役柄があまり、
波風立てないようにしているのに、あえて、ある「モノ」に執拗に絡んで、
色々面白い。
個人的に、東谷さんの「S」っ気のある声のトーンが好きなのでこういった役柄はハマっていると思う。
でも、少し、寂しい役柄なのかなと思う。
満足度★★★★
演技の質は相変わらず上等
いつもながら演技の質は実に上等。全編説明劇みたいになるのは、今回のテーマでは必要悪みたいなもんでしょうがないかな。本筋が重いんで言うのやや憚られるが、車両コンペの筋書は茶番劇感が否めない。
満足度★★★★
横長な座高円寺1は鉄道モノが正解?
そう言えば以前この劇場で観たとくお組も駅ホームの芝居だった。燐光群は昨年の「8分間」が駅ホームだったが、今回は列車の中、及び奥側はホームにもなる。
今回の燐光群は、いつもながらの「言い合わず」「補強し合う」群衆セリフで多くを説明する場面の割合も高いが、渡辺美佐子の存在も大きく影響してか、程よく重く深みのある芝居になっていた。お召し列車と揶揄された列車に乗り込んだ、究極の差別対象であった「病」の当事者のグループと、20年東京五輪での「おもてなし」案としての「お召し列車」を吟味し決定するべく集った一般人のグループ。過去に繋がる集合と未来を見据える集合が列車の中で行き交うも、二つの問題が並行して重ならない時間は長い。それが一瞬の内に劇的に交わるのは終盤での事だ。両者が手をとり、「あるべき日本」を眼差す厳粛な時間がよぎる。そしてあっと言う間に幕は下りるが、この含意は後から心の中に浸潤し、焼き付いて離れない。
満足度★★★★
演劇としての味付けが進化
燐光群観劇は、久しぶりでした。
社会派、坂手さんの、洪水のような情報伝達舞台に、ちょっと辟易した時期があったもので…。
でも、今回は、テーマにも興味があり、渡辺さんの舞台も、拝見したくて、急遽、昨日チケットを予約して、行きました。
相変わらず、坂手さんの知識を、てんこ盛りにした台詞が語られる芝居ではありましたが、以前と違って、演劇としての娯楽要素も兼ね備えた、構成の妙に感心しました。
ご主人が亡くなられた当初の舞台では、お疲れが見えて、心配していた渡辺さんも、昔ながらの、ベテラン演技の真骨頂を見せて下さり、安心しました。
ただ、皇室への皮肉な台詞に、承服し兼ねる部分もあり、個人的には、その部分が減点要素になりました。
途中、舞台運びが、中だるみしたのも、やや残念な部分です。
満足度★★★★
暗い過去ほど受け継ぐ努力が必要
お召し列車は天皇、皇后両陛下を運ぶ列車のことだが、ハンセン病の患者輸送でも、この言葉が使われていたという。まず、勉強させられる。
舞台は今度の東京五輪を引き合いに展開する。外国から来た人のおもてなし列車というお話を設定したのは興味深い。ハンセン病元患者を演じた渡辺美佐子さんは見事だった。
この戯曲のテーマでもあるが、加害の歴史とか、自国にとって暗い過去は、何よりも努力して、次に伝えていかなければならない。見終わって、そんなことを痛感させられる。
舞台は軽快に進行するが、重いテーマである。予習なしでタイトルから想像して見に行くと、ズシンと重すぎると感じる人もいるかもしれない。
満足度★★★★★
必見、花五つ星
“お召し列車”と聞けば、誰しも思い浮かべるのが天皇・皇后・皇太后の為に特別に運行される臨時ダイヤだ。並行して他の列車が走ってはならないとか、行き違う列車は速度を25Km以下にしなければならないなどの規則がある、例の列車である。まあ、こんな細かいことまでは知らなくても、何となく特別で内部に立派な装飾が施された特別の列車というイメージを持つ人が多いだろう。
だが、今作の“お召し列車”はハンセン病(長く使われてきた別名、癩病)患者を国立療養所に集める為に運行した臨時列車の隠語として用いられていたという事実に基づいている。(追記2015.12..2 01:47)