満足度★★★★
「台詞が沁みる」
多分、色々な「思想」があるので、どれが正しくて、間違ってるとは言い難い。
予備知識なしに観劇した『お召し列車』。
まず、「台詞が沁みる」。
個人的には「女」を演じた渡辺美佐子さんの「幸せを何ではかるの?」
と言った台詞が妙に沁みた。
渡辺美佐子さんのお歳をあとで調べて、かなり衝撃を受ける。
普段、観劇する状況とかなり違ったのも、面白い。
日本特有の排他する事によっての、調和保持。臭い物に蓋をする・・。
ただ、当事者(排他される)になった時は・・・
色んな史実も元になっている。
ただ、史実、資料だけでは虐げられた人たちの
本当の涙は見えないのかもしれない。
物凄く最初の方で、「女」が旧友と再会した場面。
何故だか、この場面が好き。ぎゅうと時を引き戻した「ふたりの女学生」
楽しい事ばかりでは無かった・・。という台詞。
当時の人たちが未来を見る事は、夢の様な事だったのかもしれない。
人知れず、都合で追いやられる。
劇中の中で、病気の人に対しての「未来」が悉く、奪われる処置を国が行っていた事。
一番、簡単で、一番、残酷なんだろう。
演技は勿論、するのが演劇。でも、今回、「演技」と、
その年輪のパワーを感じた。
物語は、「未来」のオリンピックに向けての車両選考会。
でも、その「未来」は色んなものを踏みつけてきた「未来」なのかな?
「関係ない」と見ない事も簡単。
今まで、「知らなかった」事も多かったのだから・・。
でも、この「芝居」をきっかけに
少しでも「知ってしまった」事は事実。
考える事、少し、出来る筈・・。
何故今回観劇しようと思ったか?
ダルカラード・ポップの東谷英人さんがこの劇団に出演しているのを
機会があればと・・と思っていた。
前情報がほとんどない状態で拝見。
もっと、重苦しい、堅い芝居のイメージを持っていたが、そうでは無かった。
劇中の東谷さんは、少し、クールな感じで他の役柄があまり、
波風立てないようにしているのに、あえて、ある「モノ」に執拗に絡んで、
色々面白い。
個人的に、東谷さんの「S」っ気のある声のトーンが好きなのでこういった役柄はハマっていると思う。
でも、少し、寂しい役柄なのかなと思う。