お召し列車 公演情報 燐光群「お召し列車」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    演劇としての味付けが進化
    燐光群観劇は、久しぶりでした。

    社会派、坂手さんの、洪水のような情報伝達舞台に、ちょっと辟易した時期があったもので…。

    でも、今回は、テーマにも興味があり、渡辺さんの舞台も、拝見したくて、急遽、昨日チケットを予約して、行きました。

    相変わらず、坂手さんの知識を、てんこ盛りにした台詞が語られる芝居ではありましたが、以前と違って、演劇としての娯楽要素も兼ね備えた、構成の妙に感心しました。

    ご主人が亡くなられた当初の舞台では、お疲れが見えて、心配していた渡辺さんも、昔ながらの、ベテラン演技の真骨頂を見せて下さり、安心しました。

    ただ、皇室への皮肉な台詞に、承服し兼ねる部分もあり、個人的には、その部分が減点要素になりました。

    途中、舞台運びが、中だるみしたのも、やや残念な部分です。

    ネタバレBOX

    ハンセン病については、最初に認識したのは、「砂の器」でした。

    その後、子供の通う学校の近くに、全生園があったことから、患者さんが作った作物などをご馳走になる機会があり、知らなかった差別の実態を、講演会などで伺って、胸を痛めていました。

    でも、胎児の標本とか、「お召列車」の隠語のことなどは、この芝居で初めて知った知識でした。

    今の政府の数々の所業や、日本の歴史の闇をうまく織り交ぜて、江戸時代の戯作者のような視点で、社会問題を、演劇として、昇華させて坂手さんの手腕に感服しました。

    あの、幻のエンブレムも、小道具として使用されていて、これも坂手さん流の皮肉かなと、思いました。

    アンドロイド添乗員が秀逸。

    「俺たちは、既に、ロスタイムを生きている」という台詞には、共感すると共に、戦慄が走ります。

    今、政府の肝いりで、福島に建設されている、寄宿制の学校は、この芝居に出て来る、新良田教室と、同じ意味合いにはならないのでしょうか?

    安保法案の陰に隠れて知らない間の決まってしまった癌に関する機密保護法なども、ハンセン病の患者さんと、同じ苦汁を、被災者の人達に与えるのではないかと、心配になります。

    皇室批判には、ちょっと納得できない部分もありましたが、坂手さんには、今後も、何も知らない国民に、少しでも、問題提起になるような芝居を書き続けて頂きたいと、強く思っています。

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    2015/12/05 21:20

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