満足度★★★★★
鑑賞日2017/01/05 (木)
こんなに想像力を掻きたてる楽しさを味わえる演劇が最近少なくなっているような気がする。不条理の面白さを味わえました。また舞台美術が秀逸!!今年の観劇初め。いい感じ~ベンガルさんの降板は残念だったけど座員の川崎くんが乾電池らしさ満載で良かったです。
満足度★★★★
鑑賞日2017/01/08 (日)
ゴドーはお2人のお父さん柄本明さんと石橋蓮司さんの舞台を観たことがある。言わずもがな、エストラゴンが柄本さんで、ウラジミールは石橋さんだ。明さんと時生さんは、芸風が似ていて、エストラゴンとのぼけた味がとてもよく出ていた。時生さんは、弟なのに老成している感じがあるし、脇に回っても全く嫌味にならない。うまいというよりか、存在が納得感を持たせるので、テレビなどでも、どのような役をやっても違和感を出すことはない。むしろ、天性のバイプレーヤーなのだろう。年齢とともに凄みのある役もこなせるようになっていくのだろうと思う。
さて、お兄さんの佑さんである。登場した瞬間から「うまい」と唸ってしまった。その歩き方、表情、セリフ回し、そう完成しているのだ。ウラジミールとして足りないとすれば、老い、哀切、擦り切れ感、そうしたものだけだ。と同時に、時生さんと比べると、当面、役者としては難しいだろうな、とも思った。石橋さんのように灰汁が強く、自分を押し出す芸風でもない。芝居がうまくて、それで人柄のよさがにじみ出てしまう。脇で使うには主役を立てるというより、主役を食ってしまうだろう。とはいえ、主役にするほどの押しがあるわけでもない。早くよい演出家(お父さん以外)と巡り合い、佑さんの他にはない一面を引き出しててもらえることを願ってやまない。実際テレビの「コック刑事」は、落ち着いた演技の中で、視聴する側の心をくすぐる面白味があったし。でも深夜ドラマだからあの役は可能であったので、何か1つ抜け出して欲しいなあ。
満足度★★★★★
鑑賞日2017/01/10 (火)
最終日観劇。
初演を見逃し念願の再演を観劇。他で同作を幾つか見た事はあるが、不条理そのものが独り歩きした芸術気質な作りが多く、そのたびに然程面白いとは思わなかったのだが、今回は違った。
線の細い樹木が一本、黒背景によく目立つ。出だしから、天井から演出家達が操作していそうな操り人形の如き身体の動かし方の柄本兄弟の存在が飄々としつつ、ユーモラス。軟質不条理劇で面白かった。
満足度★★★★
初日を観劇。が、スズナリは満席、予約者にも立ち見が出、恐縮してか払戻しをしていた。ウラジーミルとエストラゴンには柄本祐と時生兄弟という事で、東京乾電池ならではの配役と言える。ポッツォとラッキーも確か知った俳優が出るはずと思いきや、ベンガル氏体調不良で急遽の代役。
祐・時生コンビ(どっちが兄だっけ)の掛け合い、案配は中々躍動感あり、飽きない。動きは演出の妙で、秀逸。客席の笑いの沸点低いのが気になった。
ずっと以前観た父・柄本明のゴドーに通じる、素の笑いが今回も出る。何に対して笑ったかは知らねど、密度の高い「現在進行形」掛け合い演技のある瞬間にこれをやられると思わず釣られて笑ってしまう。祐の通る声と感情起伏の自在な正統派演技に対し、時生のスルメの味を出す天性の?キャラという取り合わせが(兄弟だからか)気持ちよく、やりとりの滑らかな流れを促す動線ミザンス指定の演出が相まって何やら賑やかに楽しい、間抜けで愛すべき人間どもの競演(饗宴)。
ただ、二幕は一転シリアス、または人生の寂寥を詠う色彩となり、こちらのトーンは際立った趣向もなく淡々と進み、前半とは逆の真情が見えたかったが、二人にはまだ「老人」役のリアリティは荷が重かったか。