素晴らしかった。
異なる別の会話が繋がりを持ちながら同時進行する。AさんがBさんに話しかけた言葉をCさんが受け取り、BさんとCさんの会話が開始する、といった仕掛けが多くなされ、劇は複雑な構造を持つ。生きているのかいないのか、存在しているのかしていないのか、ラジオが聞こえているのか聞こえていないか。何が嘘で、何がほんとか、次第にわからなくなってくる。3.11以後の世界は確実に不確実になっているんだなと、体で感じるような時間だった。
満足度★★★★
鑑賞日2017/01/20 (金)
ラジオの深夜放送。
電波を求めて夜出歩く人々。
奇妙な関係の男女。
重なりすれ違う会話はしだいにほぐれて、人々の関係を示していく。
5年前から続く計画停電と巨大な墓地は、あの震災と丁重に地続きで、大きな川の向こうの明かりとは微妙にズレた世界のようだ。
好きとか嫌いとか面白いとか面白くないとかそういう次元とは別に、じんわりと染み込むような言葉と想いがあった。
満足度★★★★
鑑賞日2017/01/21 (土)
噂に聞く重なり合うセリフ回しは凄かった。役柄も時間軸も激しく入れ替わるので相当頭を使うものの、それが心地良いのが不思議。複数回観るとより楽しめそう。
広範囲に届いているようで、閉じてもいる、ラジオというメディアならではのコミュニケーションを、俳優の肉体と演技で立体化されていることが面白いと思いました。
少し詳しいめの感想:http://shinobutakano.com/2017/01/17/4293/
満足度★★★★
ジエン社初観劇。劇の構成(縦及び横)から来る晦渋さと、ある「気分」が全編を貫く事から来る蠱惑的な芳香。
一貫した「何か」は、劇のルールを解読せねば見えない俯瞰図が結局は解き切れないにも関わらずこの芝居にある彩りを与え、意味深長による「惹き付け」には恐らく失敗しているが、魅力を保たせていた。