この町に手紙は来ない 公演情報 この町に手紙は来ない」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.2
1-9件 / 9件中
  • 満足度★★★★★

    一つひとつの物語は饒舌ではない。どちらかといえば素っ気ないほどシンプルに感じられるのに、それらが重なるうちに、それまでの会話や人物像に込められた多くの情報や想いがじわじわと見えてくる。

    創り手が、観客を信頼しているのだ、と思った。

    気づいてみると、冒頭の物語が最後の物語につながっていく。少人数のキャストで描く200年以上の年月。ラストまで観て思う。これは、ある種の贖罪の物語なのだ、と。

    人々がそれぞれの罪を背負いながら生き続けていく姿を柔らかく描く。罪の象徴とも言えるある種の欠落さえ、責めるのではなく、罪も含めて生きることを肯定しているように感じられた。

    ずっと昔読んだ懐かしい小説のような、セピア色に染まる遠い思い出のような、そういう舞台だった。

  • 満足度★★★★★

    初めての劇団。はじめての劇場。すべてが初めてだったはずなのに懐かしい空間だった。SFというジャンルにいれるのがもったいないほどのスケール。人間臭い内容なのに、素敵だと思えたのは言葉と仕草が洗練されていたからかも。とにかく良かった。

  • 満足度★★★★★

    見事
    初観劇の劇団。SFっぽい設定も混ぜつつ、郵便局を舞台に紐づいたそれぞれに異なる時代を6本の表題でまとめたユニークな設定。人間のハートの根幹が切なくて、愛おしくて、グっと来るセリフがいくつもちりばめられ。人間の根幹の部分を描いてるのに、重くなりすぎない塩梅の良さが絶妙、移ろう6つの時代を一気に観た感じで、素晴らしかった。ステージ上のシチュエーション毎に変わる照明の、派手さはないが繊細に変化をもたせていたのも印象的。キャストの浅野千鶴さんは天才的だといつも感じるが、野口オリジナルさんを始め全てのキャストの役に向かうテンションが全員役に寄り添えていて、見事だった。

  • 満足度★★★★

    何となく感じる
    いつもの monophonic とは少し違って、時代性を感じさせてくれる。登場人物が同じ役割ではないのだけれど、少しずつ繋がっているという作りとか、不思議な感触に、何となく感じるものが残る。

  • 満足度★★★★★

    封筒
    ダイレクトメールのように窓口封筒に入っていた劇団チラシに惹かれて予約。当日チケットも小さな封筒に入ってました。芝居の中でも封筒がことあるごとに使われてました。今までに観た芝居、劇団のどこにも被らない、交差さえしないセンス、削ぎおとした装置と色彩は見るものが自らのイマジネーションを加えていくのにとても有効。

    幕ごとに壁の装置を ささっとかけかえる役者の所作がさりげなく美しかった。

  • 満足度★★★★

    無印な色彩。
    終わってみると正面の白い壁、間接照明(中央左寄りの窓など)、シックなテーブルと椅子、衣裳も比較的そう・・原色系が抑えられている。この無印良品なトーンが芝居の気分とともに記憶に残った。
     「場」は同一、時代を変えて6つのエピソードが5人の俳優によって演じられる。郵便局、それを世襲で受け継いで行く末裔たち。一族=何らかの「呪縛」という通低が、後半に見えてくる(執筆中に後付けの感も)。
     他の通低項として「無印トーン」、また上手側の壁の額縁の数字が、エピソードごとに変わる(俳優がフックに掛け替える)仕組みも。開演前は234とあり、エピソード1で278、次いで230、180・・とよく判らない意味は後半明らかになる(これも後付けの感有り、というのは5話,6話が近接していて、飛躍させない意味が不明、これありきで書かれてないな、と)。
     しかし6つのエピソードはそれぞれ、同じ場所にもかかわらず、時代を違えただけでなく、しかも「一族」の縛りがありながら、全く色彩の異なるエピソードが並べられている。そしてそれぞれに、何かが示唆されているという含みがある。 説明台詞の少ない、程よく省略の効いた、静寂を基調に時折熱のある対話が花咲く芝居。抽象的である分、物語としての「謎解き」の段で出てくる古い手紙、昔納屋で起きた事実についての証言はいま一つ謎解き効果を発揮せず仄めかしに終わる。ビッグストーリーより、個々のシーンの、ただただ断片でしかない瞬間の彫りの深さ、美しさがこの芝居の強調点だ、と思う。
     何より、役者が達者である。全役者はほぼ均等に4,5役をやるが、役の勘所を押さえて気持ちが良い。
     作者自身がどういう自覚で執筆したかは不明だが、人間や社会(また現在の日本)への痛烈な批評と感じられる台詞・対話が、時おり顔を出す。優れて周到な攻めで上手出し投げを決めたかのような。
     「示唆」の鮮度と頻度が増せば、完全に私好みの芝居になるかも知れない(そうはならないだろうが)。
     monophonic二度目の感想は、無駄をそぎ落とした(落とし過ぎ?)台詞の洗練。若き表現者の「この先」を気にしていよう。

  • 満足度★★★★

    いい芝居です。
    久しぶりのMonophonic Orchestra 。フライヤーがたしかエアメールの封筒になっていて、ずーっと気になってました。駄目押しで浅野千鶴さんが出演されるので、これは見るしかない。内容は難しかった。光と音が素晴らしいです。もちろん役者さんも皆いいです。ぬいぐるみので森崎君が持ち味出してます。オムニバスだけど、繋がっています。
    とにかく観て欲しい。

  • 満足度★★★

    過去からの手紙
    面白い。100分。

    ネタバレBOX

    前の家の所有者が使用人の娘を犯し、使用人に殺されたいわく付きの土地に、駆け落ちしてきた男女が住み始める。そこに兄が現れ、ここを郵便局にすると告げ、町が誕生する…。
    という「凶報の使者」がプロローグ的な存在となり、駆け落ち一族数代に渡り、一族の失明の呪いという内的要因や、戦争、科学の発展、地球の終わりという外
    的要因が織り交ぜられて話と時間が進む。そして、70数年後に地球に人が住めなくなるといわれ、選ばれし者は月や火星に移住し始めている最中、駆け落ち一族の末裔の男は、地球に残ることを選択する…。

    町の話と思ってたら、星レベルの話となってて驚いた。数代にわたる物語や失明の呪いとか、ちょっとしたロマンを感じるし、同時に、一族に絡まる諸問題とかの大小様々な悩みと苦悩がじんわり描かれて、情緒的なとこも感じられる作品。一転、4幕目「銃前会議」のようなコミカルな雰囲気も混ぜ込んでるのもいい。全編に渡ってしっとりしてると、退屈を感じちゃうし。

    6篇で200数十年を90分程度で描きつつ、作品としてまとまった感はあったが、登場人物に対しては、ちょっと距離を感じた。演技力という意味ではなくて。
  • 満足度★★★

    約100分
    劇中人物がたまに吐く禅問答じみたセリフが作品にしっくり馴染まず浮いており、しかも分かりづらい。

    ネタバレBOX

    それがために、感動的な場面として作られたに違いない、某男性人物の禅問答じみたセリフを含むラストシーンがもう一つ胸に迫ってこなかった。
    客席から渾身の拍手とは言いがたい、戸惑い気味な拍手しか起こらなかったのも無理からぬこと?

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