満足度★★★★★
一つひとつの物語は饒舌ではない。どちらかといえば素っ気ないほどシンプルに感じられるのに、それらが重なるうちに、それまでの会話や人物像に込められた多くの情報や想いがじわじわと見えてくる。
創り手が、観客を信頼しているのだ、と思った。
気づいてみると、冒頭の物語が最後の物語につながっていく。少人数のキャストで描く200年以上の年月。ラストまで観て思う。これは、ある種の贖罪の物語なのだ、と。
人々がそれぞれの罪を背負いながら生き続けていく姿を柔らかく描く。罪の象徴とも言えるある種の欠落さえ、責めるのではなく、罪も含めて生きることを肯定しているように感じられた。
ずっと昔読んだ懐かしい小説のような、セピア色に染まる遠い思い出のような、そういう舞台だった。