荒野ではない 公演情報 荒野ではない」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
1-8件 / 8件中
  • 満足度★★★★

    SPIRAL MOONの
    印象を一言で言ったら?
    というのがアンケートの項目にありました。「地味でまじめ」と書きました。おそらく部落出身だろうと思われる男のこれまでの経験は悲惨なものでしたが、今も差別は残っているのでしょうか?
    どさくさに紛れて(?)あの一言が言いたかったのかなと思われたお芝居でした。
    チラシが入った劇団オリジナルの小さなトートバッグがかわいかったです。

  • 満足度★★

    びみょう・・・
    フライヤーの美しさと何となく気になるストーリー。劇場内に入る前からトイレや階段に可愛らしいモチーフが散りばめられてました。舞台セットは殺風景ながらも懐かしい雰囲気の中で女性の社会進出や立場向上の台詞で「平塚らいてう」のことだったのねと気づく私。少しばかりお勉強してくるんだったと後悔。文学的な表現が美しいようであったり小難しくもあったりでした。

  • 満足度★★★★★

    忘れてはいけない時代
    今は、しごく当前である「女性の社会進出」や「人間の平等」といった考え方が色眼鏡で見られひいては反社会的であると迄見られていた時代を描いた作品です。

    ネタバレBOX

    「元始、女性は太陽であった」で有名な平塚らいてうは婦人参政権等の女性の権利獲得を目指した活動家として知られています。らいてうはその目的を果たすべく雑誌「青鞜(知性と教養の象徴であるブルーストッキングの和訳)」を発刊します。
    そのらいてうの元に集まった保持研子や尾竹紅吉や伊藤野枝たち。
    本作品においては平塚らいてう達の活動も描かれていながら、平塚らいてうと奥村博史の愛、「青鞜」に携わる人達の国家権力や考え方の異なる周囲との葛藤といった人間的な部分が大きく描かれています。
    知られざるところでは、大杉栄は「ファーブル昆虫記』を日本で初訳出版したことで、その世界では有名です。劇中「虫が食べられる」という会話やアサギマダラに夢を重ねるところが出てきます。こういった描き方もアナキスト大杉栄と異なった顔を描きだしています。
    「女性解放運動家」「アナーキスト」と当時社会の異端児であった彼ら彼女たちですが、その人間的な部分を巧みに捉えた素晴らしい作品であると思います。
    最後は明るい未来に向けて船をこぎ出す場面。
    その後メンバーの辿る運命を知る者としては涙無しでは見られませんでした
  • 丁寧な言葉で紡がれるストーリー
    SPIRAL MOONさんの作品を初めて観ました。
    女性の社会進出の様子とそこに生きる男女が描かれていました。
    静かなで美しいセリフに、役者の方が熱を込められていました。
    照明の使い方がきれいだな…と思いました。

  • 満足度★★★★★

    丁寧に描かれる文学、言葉と闘い
    一つの文学雑誌に集った人々が、何を考え、どう折り合いをつけようとしたかがSPIRAL MOONさんらしく丁寧に描かれていました。台詞の言葉のリズムが歌のように、何気ない仕草が文字のように、頭へ飛び込んできました。

    ネタバレBOX

    派手な展開はなくても、演劇の美しさはここまで伝わるのだと思いました。100年先に伝えるというぐっとくる台詞も多くて、魅せられる好みの舞台でした。
  • 満足度★★★★★

    社会と個人を描く
    「青鞜」...今から約100年前に女性だけによる文芸誌が創刊された。そこに著された主張は現代にも通じる課題・問題でもある。それだけに、プロパガンダと受け取られそうであるが、当時の社会情勢・状況の中に巧く溶け込ませていた。
    (上演時間1時間35分)

    ネタバレBOX

    「青鞜」の発刊は検閲とのたたかい、断続的に発禁処分になるなど、今にしてみれば理不尽な行いを受けたようだが、それに黙る(発表しない)ことによる危惧を訴える。公演は、当時の「情勢・状況」と雑誌に関わった「人物描写」の両方の視座から観せている。その意味で「骨太」でありながら「繊細」な感じもする。そこがこの公演の魅力のように思う。

    舞台セットは、和室に座卓、その向こうに障子というシンプルなもの。座卓の鳥籠は女性の比喩か。青鞜の発行悪化から寺の一部を借り事務所代わりにしている。脚本は史実と虚構を綯い交ぜにすることで物語に厚みを持たせたようだ。その社会状況という史実に青鞜代表の平塚らいてうと、彼女を取り巻く人々の生き活きとした社会活動、その群像劇は観応えがあった。同時に彼女の”女性”という生身の人間臭さ、その断片が垣間見えるところに情感を覚える。

    さらに公演では、女性の問題に止まらず、反戦・平和、(部落民)差別など、一種普遍的なテーマを取り上げており、現代に通じるところがある。ここに100年前の文芸誌を取り上げ、彼女を突き動かした時代背景と現代を重ね合わせ描き出したところが興味深い。特に女性の地位向上に関して、世界経済フォーラムが毎年、世界男女平等ランキングの結果を発表(統計手法の正否は別)しており、日本は100位前後であり、まだまだ改善が必要だと...。

    物語は らいてうが映画「智恵子抄」を観て、帰宅したところから始まる。この冒頭シーンが秀逸である。電灯が点かず、月明かりの中で観てきた映画の感想...「あんなに美人ではなかった」と呟く。このモノクロの中に佇む構図は静謐といった感じである。
    ちなみに記録映画「元始、女性は太陽であった 平塚らいてうの生涯」(羽田澄子監督)として彼女自身が取り上げられたものがある。

    登場人物は9人であるが、それぞれのキャラクターと立場・役割をしっかり表現しており物語の世界に浸れた。公演は叙情的な台詞回しが多く、難しいと思うが、見事に演じきっており観応え十分であった。

    次回公演を楽しみにしております。
  • 満足度★★★★★

    花五つ星
    何と美しく悲痛な!(追記2016.11.25)

    ネタバレBOX

    青鞜に集まった女性たち、平塚 らいてう、伊藤 野枝ら主幹となった女性をはじめ、野枝の夫となった大杉 栄、らいてうのツバメのオクムラ ヒロシ、女流作家の千代子、跳ねっ返りのコウキチ、天才博徒の彦六、らいてうを支えるトミエ、皆から先生と呼ばれる理解者でもある支援者、イクタ チョウコウらの群像劇。Baudelaireの詩ではないが、人々から石を投げつけられ、唾を吐きかけられてもおかしくない程、時代のそして意識のレベルを遥かに超えていたアナーキーで真摯な姿が伝わってくる秀作。
     青鞜は、100年以上前の1911年9月から1916年2月迄発行された雑誌だが、この雑誌の作・編集部が今作の舞台である。発行しては、発禁を食らい、部数を伸ばすことは愚か、講演を打つことも会場を貸さないという形で禁じられ、剰え為政者のプロパガンダに載せられた民衆から石礫を投げつけられながら、女性、弱者の解放の為に戦った人たちの姿を描いた群像劇である。
     無論、登場する個々人のうち社会的弱者に関しては、より深く描かれている。村外れに住んで居た彦六の父は、中々やり手であった。結果、村の中心部に住む人々よりいい家を建てた。ある日、村の中心部の人間よりいい家を建てたのは生意気だとして、実家を燃やされ、家族を奪われた。因みに村の境界領域に住んだのは被差別部落民であり、これは差別の具体的で的確なイメージであろう。野枝が、この話を聞いて激高し、彦六の家族に仇為したる連中の家々を打ちつけて出られないようにし、油を撒いて火をつけてやれ、と叫ぶように言うシーンなど、その優しさ故の共感と真摯な怒りを突き付けてくる。
     更に、増々右傾化する世の中で、それでも諦めず粘り強くしたたかに生き、己の精神を荒野にせぬよう努める姿勢も良い。
     芝居を観なれている観客にとっては、演出の見事さも、見所である。ファーストシーンなどは、一挙に作品に引き込まれるだけの演出センスを見せてくれるし、シナリオの質も高く、役者陣の演技レベルも高いことは言うまでもない。舞台下手に植物の影がずっと映っているのも、非常に好印象である。弱者の声のように決して強くはないが、普遍的な生命の在り様を示しているようにも感じられるからだ。照明、音響の使い方も上手い。

  • 満足度★★

    上演中のメモ取り禁止を初めて明言した劇団さんです
    珍しいなぁと・・・

    それはさておき
    前作の出来もあって
    悪天候ながら楽しみにしていたのだが・・・・

    なんか期待外れだったなぁと感じた約1時間35分の作品

    ネタバレBOX

    チラシ等にも詳しいことは無く
    舞台上でも あまし明確な事象の理解しやすい説明などは無く
    自分的には消化不良な
    腹の具合のよくない感じを受け続けた芝居となっていました

    開演は3分遅れ 客層は割りと高年齢気味かしら

    で お話は
    第1次世界大戦前の日本で
    女性だけで作っている文芸誌?
    何か政党のようなものもやってる?
    女性達の集まる座敷の1室が舞台セット
    背後というか正面は障子引き戸4葉

    作家とか編集がいて
    女性の主張を世間に出すための文芸雑誌
    その出版や女性達
    取り巻く周囲の人間関係を描いた群像劇です

    でも ここまでが明確に観客に示されるのは
    開演40分以上経ってから・・・

    男女間での愛憎や
    くっついたり別れたりは理解が簡単だが
    時代背景や
    各人の背景等は明確には示してくれてなかったかなぁと落胆
    まぁ時代的にも男尊女卑
    女が世間に政治に男の世界に口を出すなど何事ぞ!
    と圧力や石つぶてまで投げられる世情の表現はわかりやすかったけど
    それも割と平たいかなぁと思えたです
    (衣装や小道具等 隙無く作ってる分 なんかもったいない・・)
    (まぁ先生の時々の噛み嚙みは多めにみてもね・・)

    心に届いたエピソードは
    博徒の出自(部落の出身らしいと思わせる・・)と
    その辛く苦しい生き様を淡々と述べるトコですね

    それにしても観客を作品世界で説得する気が無いように思えたです
    (わかる人にはわかるんだろうが・・・ググる気にならなかった・・・)
    (そういう世界観を醸すならトコトン作品をボカすか
    説明を要所に散りばめた理解の容易い作品として欲しかったなぁ・・と)

    舞台セット後ろの障子は開くコト無く
    障子の前に帆が広げられて
    時代に出奔するのだ~!・・・・と幕です
    (その帆を出す紐が見えてて気にもなっていました・・)

    なんか 俺達の冒険はこれからだ! 
    と〆る打ち切り漫画の最終回のような様相も感じてしまったです・・・・(ー_ー;)

    ・・・・「コールドケース」にて
    女性運動していて迫害されてたメンバーが殺されるエピソードがあるのだが
    50分ほどのコノ話の方が濃厚で理解しやすかったですよ~と追記
    (しかし白人種内でも一際白い肌と綺麗なプラチナブロンドの主人公が
    タフな女刑事やってるのは印象強いですよね~(^。^)

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