満足度★★★★
鑑賞日2016/07/29 (金)
シャープな、ときに笑いを含んだテンポの良い会話で、前半はバイアウト・ファンドなどの用語や意味と、登場人物の人となりを観客に伝えていく。中盤から後半にかけては、調べる側と調べられる側の緊迫したやり取りで、出来事の背景や重さを感じさせる。
証券取引等監視委員会の特別調査の目的は、インサイダー取引の犯人探しだが、マチュリティの中の誰がそれをやったのか……という謎解きは、実はさほど難しくない。
それよりも、なぜ彼がそれをやったのか、というところに焦点がある。いや、なぜ、というより、どんなふうにそこへ追い詰められていったのか、という方がいいだろうか。動機めいたものは、実はさほど詳しくは語られない。少なくとも自分はそういう印象を受けた。しかしその一方で、この物語そのものが、彼がそれをしてしまうことになった理由を語っているのだとも思えた。
ストーリーが進む中で、前作の場面が何度もインサートされる。予想以上に続編であることを意識した造りだった、と感じられた。
喰うか喰われるか、という印象もある金融の世界で、ある種の理想のもとに会社を立ち上げていった前作の高揚と、いつの間にか歯車が狂ってしまった今作の中の彼ら、いや彼と。
いったいなぜ……。観客席にいてさえ、何度も何度もその問いに立ち戻る、そういう物語だったのかもしれない。
満足度★★★★
鑑賞日2016/07/24 (日)
重厚な題材にピアノ生演奏の音響効果がマッチした演出が効果的。個人的にはもっとソリッドな感じでも良いぐらい。俳優陣が皆素晴らしかった。やっぱり井上裕朗は格好いいし、佐野功も凄くいい雰囲気出してた。佐藤誓のオーラは、百戦錬磨でなければ出ない味わい。堪能した
満足度★★★★
前作に引き続き
わかりやすい解説も付いていて門外漢にも親切。前作を観ていなくても大丈夫な仕掛けあり。観ていればより楽しめます。映像も音楽も役者も台詞も全てが格好良く萌えポイントを突かれまくりでした。前作にあったあのサービスシーンも健在(笑)
ひとつ残念だったのは酒巻さんが居なくて寂しかったこと。確かカイトに残っちゃったんでしたね。あと、裕朗さんのスーツのサイズが大きかったような・・・。
満足度★★★★★
続編としての愉しさとアナザーストーリーとしての面白さ
難い経済話に緩い笑い要素を混ぜながら、至極淡々と進んで行くのですがグイグイ引き込まれました。
夢が実現していく若者と夢が自分苦しめているベテランの対比が、かつての若者側で今はベテラン側の自分には何とも言われんかったです。
ただ、過去と今、査問と寿司屋がテンポよく進んでいくのですが、「何故、あな
たはインサイダー取引を?」の件がさっぱりし過ぎているかなあとも思いましたが、そこは仲間たちの証言で察しろと言う事なんでしょうね。
満足度★★★★
秀作。
前作(今回が続編である所の第一作)「Hedge(ヘッジ)」では、「説明」の段が分りよいとは言えず、ドラマとしては企業再生の物語、皆が良い人、win-win的お話に収まったことがやや不満だった。(そうならない原因は構造的な問題にあると考えられるので、そこにしっかり言及してほしい、と思った。ないものねだりながら)
今作は非常に分かりやすく、査察を受ける側とやる側の駆け引き、対立構図を描きながら、経済の動きや、役所的態度(これも構造の一端)への理解を、一歩、二歩進める材料をイイ感じで提供していたと感じた。
見事に流れるような台本と、硬派色で染まったドラマとはいえ、微妙なニュアンスを表現した俳優にも感服。主役級の者がカーテンコールの最後に挨拶をする、その者が誰か、という人選がこの芝居では微妙なところだが、その者が挨拶をしたことで、作者の思いも知った気がした。
新自由主義がいかにケッタイな代物か・・ 企業のモチベーションは金儲けでなく何を作るか、どんなサービスを提供するかにあるべき(ひいては投資家というものは如何に儲かるかでなく、どんな産業、事業を育てるのかにモチベーションを置くべきだ)という、当たり前な姿を、思い起こさせるドラマになっている。
査察官4人と、一人ずつ呼ばれる企業側各人との火花散るようなやり取りも、うまい。
満足度★★★★★
hedge続編だが本編に補完あり
・2013年のhedgeは観劇済み
・駅から劇場までの行程を、スマホ見ながら確認している姿はポケモンGOやってる人と思われるかもしれない
・遅刻しないほうがいい、トイレは男女共有、靴脱いで入場
・前作「hedge」のセットも良かったが、今回も劇場ホールの特色を生かした演出◎
・スーツ男子へ生着替えしてからの精悍な顔つきと態度
・音楽と映像のかっこよさ
・テレ東のWBSで特集されそうなビジネス演劇
・息抜きのような面白セリフもある硬軟入り乱れの上手さ
・ヘッジファンド→インサイダー取引、マチュリティパートナーズ、M&A、バイアウト、証券取引監視委員会、特別調査委、、、聞いたことはあるが口に出して言ったことはないセリフの多さにやや疲弊も感じたが次第に耳に馴染んでくる
・過去と現代場面の展開込みだが、金融業界の内情に疎くっても大丈夫だった
・裁判劇見ているようなセリフの応酬に引き込まれる
・いついかなる時でもお金は大事だね〜
・ようは今回も面白かった
・約100分
満足度★★★★★
経済をマトモに扱う作品は少ないんですが...
観ていて、半沢直樹と似ている?とか思い、調べてみますと、前作のhedgeが半沢直樹1st とほとんど同時期に公演されていることに何だか奇しき縁を感じたり。これだけのメンバーが集まると、平凡な作品にはなりようがないのは当たり前なんでしょうけど、脚本や演出もまた素晴らしい!会場のロケーションもいい感じで、こういう場所が住宅地の中にぽつんとあるのも東京ならではと感心しました。