満足度★★★★
秀作。
前作(今回が続編である所の第一作)「Hedge(ヘッジ)」では、「説明」の段が分りよいとは言えず、ドラマとしては企業再生の物語、皆が良い人、win-win的お話に収まったことがやや不満だった。(そうならない原因は構造的な問題にあると考えられるので、そこにしっかり言及してほしい、と思った。ないものねだりながら)
今作は非常に分かりやすく、査察を受ける側とやる側の駆け引き、対立構図を描きながら、経済の動きや、役所的態度(これも構造の一端)への理解を、一歩、二歩進める材料をイイ感じで提供していたと感じた。
見事に流れるような台本と、硬派色で染まったドラマとはいえ、微妙なニュアンスを表現した俳優にも感服。主役級の者がカーテンコールの最後に挨拶をする、その者が誰か、という人選がこの芝居では微妙なところだが、その者が挨拶をしたことで、作者の思いも知った気がした。
新自由主義がいかにケッタイな代物か・・ 企業のモチベーションは金儲けでなく何を作るか、どんなサービスを提供するかにあるべき(ひいては投資家というものは如何に儲かるかでなく、どんな産業、事業を育てるのかにモチベーションを置くべきだ)という、当たり前な姿を、思い起こさせるドラマになっている。
査察官4人と、一人ずつ呼ばれる企業側各人との火花散るようなやり取りも、うまい。