満足度★★★
リアルとウェルメイド
贅沢なトークゲストが並んでいたが(当日は柴幸男+かもめんたる)、都合により退座(芝居を観れただけで御の字)。 芝居はナンセンス劇の始まりかと勘違い。次第にマジメにストレートプレイを仕上げているのだと、途中で修正した。 ただ、無理もない。 事故現場に花を供えているのを咎め、あるいは表札を見ていただけで泥棒と疑い、彼女らを家の中に連れ込んで、(セミパブリック空間でもない)「応接室」を人のクラッシュする場に設定しているからで。 どことなく不自然さが漂うので「不条理系?」とみても、罪はないと思う。
息が詰まるようなやり取りがすったもんだあって、互いの不理解状態が、(隣家の下手なピアノのように)「少しずつ良くなって行ってる」と、芝居を観て実感されるかどうかだが、私は登場人物たちの心情を、終始「眺める」立場を離れずに終ったし、「よくなってる」と信じる気持ちにはあまりなれなかった(ならなくて良いとも言える)。 お話のほうは、謎かけ(伏線)を謎解くプロセスを飽きずに追えた。が、リアリティを逸脱する箇所がそこここにあり、解消しきれず残ったように思う。
たとえば・・息子を轢き殺した加害女性を許さない父(元夫)が、実は相手をホテルに連れ込んでいた・・。また、女性の方は愛のないセックスで子を宿したが、毎月命日に花を捧げるうちに偏執的な愛を膨らませたか、子を産み育てたいと願い、一度も献花をしない母親を難じて自分のほうが彼を愛していると嘯く・・。など。
最大の謎は、相手を「許したい」と言い出す妻が、なかなかその態度を示さず、恐縮し続ける加害女性をずっと眺め続け、どうにもサディズムを感じてしまう面。だが彼女は地味な服装や髪型に甘んじるその女性の人生を奪ったことを申し訳ないと、頭を下げて泣く。途方もない分裂があるが、それを自覚的に摘出しているとも見えない。
最後のオチは如何にもウェルメイドだが、抑え目な演出でも、私は甘く感じた。沖縄行きの話をしながら泣くシーンは、「リアル」に重心を置くなら、最後までリアルを貫徹してほしかった。「踊り」はもっと「型」が決まっていて良いが、このあたりは好みの問題か・・
演目は二年前の劇作家協会新人戯曲賞(最優秀)をとった作品で、作者本人の演出による再々演。この年の最終選考に残った5作に「東京アレルギー」「血の家」など、こまばアゴラで上演された作品があり、中々接戦だったのではないかと想像された。
実演鑑賞
満足度★★★★
ありふれた日常から...切ない
舞台セットから、これから先に描かれる内容が想像できるような丁寧な作り。開演までに流れる、微かな波の音、船の音、その静寂な雰囲気が突然ドタバタと...冒頭演技はそれまでのしじまを破る。そのギャップは計算の内なのだろう、すぐに物語に引き込まれた。物語はどこにでもある(海辺)街角、3年前にそこは運命の十字路になったという。これからの話は、それこそ初演時の前に起こった出来事を意識していることは容易に想像できる。
(上演時間90分)
満足度★★★★
約85分
勧善懲悪という言葉があるが、世の中ひと筋縄ではいかず、誰がイイもんか悪もんかなんてそう簡単には決められない。
緻密きわまる脚本によりそのことをまざまざと思い知らせてくれる、地味だけれど秀抜な人間ドラマ。
今回の再々演版は、既読だった台本(『優秀新人戯曲集2014』所収)に加筆をしたものらしいが、セリフの追加により間延びした印象は否めず、個人的には短尺版のほうが上出来だと感じた。
満足度★★★
何度息をのんだことか・・・
トラフィック・サスペンスという言葉から設定は疾走する車の中で殺人が起きてさて犯人は?みたいなもののを想像したら全然違ってた。ノンストップという説明ははずしてないが、トラフィックとサスペンスという言葉はこの芝居には似つかわしくない。終演後出演者のトークがあったが、加害者役の方がきれいな方だったのでビックリした。この作家の作品はまた観てみたい。また東京おいで。
満足度★★★
みんな嫌い
よくあるハリウッド映画で、なんかこういうシステムでつくれば脚本つくれますよー的な映画ありますよね。そういうのから逸脱はしてないのかも。
なんとなくちぐはぐで。なんとか賞受賞っていうことで、期待して見に行ったけど、期待し過ぎたかも。
こんなに登場人物全員に嫌悪感持った芝居も珍しいかと。
でも賛否両論激しいほどいいかもってのもありますからね。僕は否でしけど、それがどうしたって感じですね。
これを読んでる人は是非とも見に行って賛否を論じていただければと。
満足度★★★★★
衝撃的なサスペンス風会話劇
名古屋からやってきた寄せ集め的な劇団らしく、加害者、被害者の双方の視点から、なぜこういう事故がおきたのかが衝撃的な表現で表しており、緊張感あふれる、凄い内容だった、85分でした。