深海大戦争 公演情報 深海大戦争」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.7
1-7件 / 7件中
  • 満足度★★★

    幕切れが衝撃的過ぎ
    以下ネタバレBOXにて。

    ネタバレBOX

    タイトルからいろんな内容を想像していたのですが、
    まさかのタイトルそのままな内容でした。
    クジラ、鯱、イカ、ペンギンが登場人物。
    これは「トロンプルイユ」に通じるものがある?
    冒頭の無言劇には少々驚きました。
    前衛舞踏のような趣で、このまま台詞無しでいくのかと一瞬不安に思ったり。この部分、2回目の観劇時は劇中に出てくる伝説だとわかり、
    また見え方が違いました。
    台本では童話のようになっていて、それを読んでから見ると更に違って観えたんじゃないかと。
    お互いを学名で呼び合うところがギリシャ悲劇っぽくて面白かった。
    あと、諌山さんの動きのイカ感がすごかった!
    開演前「氷山」を「ひやま」という人間の名前だと思っていたのはわたしだけだろうなぁ(爆)
    物議を醸している結末(完結せず、後編へつづくことを野木主宰が話をして終演)については、今回だけでも充分面白かったので良いのですが、
    やっぱり続きは気になります。なので、心の準備のために事前に告知できれば尚良かったかなとは思いました。
    蛇足ですが、今回の一番のお気に入りの台詞は「ちくしょう、無用な殺生してぇなあああ」でした。
  • 満足度★★★★

    深く、深く、深い場所の事
    深く、深く、深い場所の事のようだけど、

    物凄く、私のすぐ隣に起こり得る悲しい、

    怖い、絶対に、起こってはイケない事に気がつきなさいよって

    囁かれたようなホンだった気がする。




    ふと、今、表現する人たちは、このように、

    「演劇」で提示し、考えなさいよって言ってる気が個人的には感じた。




    最初数十分は

    台詞が無い。

    上野ストアハウスの使い方も面白い。

    フラットな状態に、舞台上手に照明が設置。

    ハイバックの椅子が数個、並んでいる。

    その椅子以外の舞台装置は無い。

    陰影が美しい。

    椅子が、牢屋になったり、王座になったり、飛行機になったり・・・。







    皇帝ペンギンが現れる。

    氷山が、語る。

    大王イカと、マッコウクジラ、双方が権力を誇示している。

    シャチは、マッコウクジラの参謀。

    そこは、海の中。

    深い、深い、海の中・・。







    雛を孵してはイケない。

    それを、投げてはイケない。

    人間は、賢くもあり愚かな生き物だ。




    個人的にこの台詞が印象的だった。

    第4幕

    氷山がこういいます。

    双眼鏡をのぞきながら




    「おはなしの続きなどないのです。」

    「おはなしの続きは現実なのです。」




    鋼鉄の鳥が

    核爆弾を懐に抱え、氷山の上空を飛び回る光景が

    浮かぶ。







    とにかく、俳優陣が上手い。

    井上勇希さんの役柄での、品の良さ度数の高さ、

    植村宏司さんの達観した演技、

    きっと、お声の強さもプラスの魅力かと。

    小野ゆたかさんの表現の幅の広さ、素晴らしかった。




    俳優の皆さんがほんと、素晴らしかった。

    野木さんも、ホントに素敵な方だな・・と。

    今度、機会があれば話しかけたいと思う

    今回の台本と、公演は未見だが、渡辺芳博さんが以前出演した「戦場晩餐」を購入した。

    そして、当日のアンケートもなかなか、面白い項目に・・・。

    今回のチケットは、大事に、大事に、持っていますね。

    次の深海のご招待がある時まで・・。

  • 満足度★★★

    そうか
    いつもの作風とちょと違った、寓話的な物語。それでどうかと問えば、作品としては上出来なのだろうが、好みの作品ではなかった。

  • 満足度★★★

    ん〜。
    深〜い海の底から世相のような社会風刺も盛り込み投げかける、どこか手塚治虫的な青年漫画話を見たような感じっていうか。
    確かにあの終わりは「えっ⁉︎」ってなる異色の幕切れだった。
    約90分。

    ネタバレBOX

    まとめられなくて後編に続く、という結末に、モヤっとした。
    野木さんの中で納得いかなくても、作品内ではセリフでいいから簡単なオチをつけて終わらせて欲しかった。
    いつか改訂版で見せてくれるかもしれない後編に期待。
  • 喝!
    最後のあいさつでそれを言ってはいけないよ。その姿勢に喝。

  • 満足度★★★★★

    知性の結晶
    面白い。

    ネタバレBOX

    OP(伝説)
    海の生物らに知性を与えるシャチ。その中からマッコウクジラが海の王となり、海の支配に乗り出す。

    抹香鯨親(森田ガンツ)…北の海の王。辞書に和平の文字はないと、大王烏賊をエサと見下し、領土を得ようとする。
    抹香鯨仔(井内勇希)…平和主義者。鋼鉄の鳥の卵の危険性を感じ、大王烏賊との和平の仲介に入るが鯱に逆襲される。鯱の無用な殺生を嫌い、鯱にやられた皇帝ペンギンを大王烏賊の元へ届ける。
    鯱(西原誠吾)…抹香鯨の参謀。腹の中では、いつ玉座を奪おうか考えている。海の中で一番強く、自称弱点はない。
    大王烏賊兄(諫山幸治)…大王烏賊のリーダー。思慮深く、弟や皇帝ペンギンのため身をはる男気もある。食物連鎖という自然のルールを重んじる。
    大王烏賊弟(小野ゆたか)…愛する鋼鉄の鳥を抹香鯨仔に壊されたことでしゃべれるようになり、知性を得る。鋼鉄の鳥の卵を孵化させ、その青い炎で抹香鯨を皆殺ししようと決意する。
    皇帝ペンギン(兼間慎)…南よりやってきた弱めなペンギン。氷山の北極点に立つと北がなくなりすべての方位が南になるという言葉に影響され、抹香鯨と大王烏賊の争いの火種をつくる。大王烏賊とはイカトモ。
    氷山(植村宏司)…海の賢者。生物に対しては中立の立場をとる。人間の作った鋼鉄の鳥の母艦となりつつある。

    まさかの二部構成(後編未定)。でも非常に満足した。
    90分程度だが、言葉や立場のやりとりがとても面白かった。キャラも立ってて、ユーモアも十分。動物的な動きとかも好き(特に抹香鯨仔。鯱もかっこいい)。背の長い椅子を使用した見せ方もシンプルながらうまいと思う。セリフのトチリ(とか靴が脱げて)も、普通にカバーしててそこらへんも○。

    伝説以降、知性を得て覇者となった抹香鯨一族が(海の)食物連鎖の頂点に立ってきたが、人間の「知性」が突如としてその関係を揺るがす。大王烏賊兄があってはならないという関係性の崩壊が、北の海に混乱をもたらし、「知性」を得て復讐に燃える大王烏賊弟の手には、生命を危機に晒すものが握られている…という、大人向け少年漫画な印象。
    抹香鯨仔と氷山の会話にある、対等はあり得ないという、言葉が印象的。大王烏賊をエサとする抹香鯨親や海の殺し屋の鯱も単純な悪役というだけでなく、原始的な生物のルールを見せ付けられたような感覚。

    あくまで海の世界の戦争だが、知性を得て、他の生物を寄せ付けない発展を遂げた人類を示唆する構造が、一番気に入った。
  • 満足度★★★★

    野木戯曲は現代の問題を、深海からぐっと力強くつかんでくる
    結構驚いた。

    まだご覧になってない方で、これからこの作品を観劇する予定のある方は、ネタパレは読まないほうがいい。
    熱湯ナントカのように、「押さないで、押さないで」と言って押すというネタフリではなく、ホントに読まないほうがいいと思う。

    ネタバレBOX

    フライヤーのイラスト通りの物語であった。

    しかし、ラストには驚いた。

    いきなり暗転して、暗い中、しばらくして主宰の野木萌葱さんが登場し、「えーっと」っと話し出したのだ。今回の顛末を。
    どうやら、「もっと書きたい」ということらしい。

    前説のときの、いつもの男前の野木萌葱さんではなく、少し噛んでいたのは、前説の最後に面白いことを言うので緊張していたのではなく、こういうことだったのかもしれないと思ったりもした(笑)。

    にしても、今回の幕切れにはシビれた。
    野木萌葱さんの登場に、「えっ!」と声を出してしまったかもしれない。

    物語では、深海における“海の覇者”を巡る、“大王”の名前を冠したイカと、それをも食料にして深海での食物連鎖の頂点に立つマッコウクジラとの大戦争が描かれようとしていた。

    そこに、マッコウクジラに従うシャチと、物見遊山で南極からやって来た、これも“皇帝”の名を冠したペンギンが絡んでくる。
    さらに“氷山”までもがストーリーに加わる。

    「大戦争」と言いながらも、実はマッコウクジラからの一方的な戦いであり、ダイオウイカと全面戦争になっているようではない。

    シャチにそそのかされて、自分の領土を侵害されてしまうという危惧に憑き動かされてマッコウクジラが戦いの火ぶたを切るのだ。
    “王国”とか“王子”とか、そんな言葉が出てくるので、どこかシェイクスピアな香りがする。

    しかし、内容はそうではなく、物語には現代の問題が孕んでいるようだ。
    単なる動物ファンタジーではなく、かつ問題を声高にしないところに、作の野木萌葱さんの非凡さを感じる。

    マッコウクジラにとっては、「自衛」のための「正義」の戦いであろう。
    つまり、海に落ちた「鉄の鳥」を手にしたダイオウイカに対しての恐れと、さらに皇帝ペンギンとの軍事同盟を結び、北極を我が者にしようと企んでいるというという、猜疑心を増幅させるデマからの戦いであり、「鉄の鳥」とは、「大量破壊兵器」であって、まさに「イラク戦争」の発端と似いてるのだ。もちろん「鉄の鳥」をダイオウイカたちが使えるわけもなく、戦争のきっかけは捏造されたところも「イラク戦争」だ。

    さらに、ダイオウイカ側から和平のテーブルには、その「鉄の鳥」が示される。
    マッコウクジラ側から見れば、「鉄の鳥」は大量破壊兵器なのであり、ダイオウイカ側からは「抑止力」の効果を期待している。

    しかし、抑止力は働かず、抑止力だったはずの、「鉄の鳥」の「卵」が使われてしまうことになる。
    水中で炎を上げる「卵」とは、原子爆弾ではないか。
    それが投げつけられところで、この舞台は終わる。

    ダイオウイカは、マッコウクジラの餌であるから、マッコウクジラ側は同格ではないと思っている。
    この2国の関係は、南北問題を示唆しているように感じた。
    貧者の国の安価な兵器が、放射能だったわけだ。

    1つの国がもう1つの国を隷属し、餌=喰いモノにしている。搾取だけして。
    さらに言えば、世界の頂点に立つ国の傲慢さもあるし、1人の男がそれを牛耳ることの恐さ。
    つまり、臣下の甘言1つで世界は争いの中に巻き込まれてしまうということだ。
    (ファンタジーって、「王国」ですよね? 王様とかお姫様とか。「民主主義」がベースののファンタジーってあるのかな? 笑)

    確かにこの作品にはまだまだ掘り下げられる物語がありそうだ。
    全世界が放射能汚染によって破滅するのではないかということを暗示するようなラストから、後編では、何か光明が見えてくるのかが、気になる。
    あるいは広がりが。

    「進化」とか「知恵」とか、そういう方面にも内容は広がっていける。
    「現代の問題」から、さらにもっと、深いところにある、「人間の過ち」の「原点」「原罪」のようなものへと物語は転がっていくのではないか。


    この作品のオープニングは無言劇だった。
    ダンス的な雰囲気があり、「椅子取りゲーム」で「自分の居場所」を確保するというもの。
    椅子の数は決まっているから、座れる者の数は決まってくる。
    お宝のようなものを配って、椅子を確保しようとするが、拒否されるたり、受け入れられたりすることでこの物語が始まるのだ。
    「生き残れる生物」の椅子の数は決まっている、ということなのだろうか。

    深海生物を演じた役者さんたちの動きがいい。
    シンプルな衣装も効果的だ。
    シャチには、白い線とか入れて欲しかったかな。

    「鉄の鳥」はダイオウイカにとっての、モノリス(2001年宇宙の旅の)の役目を担うのかな、と思っていたがそうではなく、「卵」というもっと具体的な脅威を手に入れることになったのだ。
    (進化のための)「知恵」と一緒に授けてもらえれば、違ったのか。
    いや、「知恵」があるから、人間はこんな「卵」を作ってしまったのだ。

    氷山を演じた(笑)植村宏司さんが、声がいいからとても渋くで賢者な雰囲気があった。
    ダイオウイカの弟を演じた小野ゆたかさんは、まさかまったく台詞なしなのか? と思っていたが、やっぱりあった。前半は、台詞がないから、表情を大きくすることで感情を表現していたので、つぶらな瞳が愛らしいダイオウイカだった(笑)。口を尖らせて理屈っぽいとこ言うのかと思っていたが(笑)。
    シャチを演じた西原誠吾さんは、こういう役柄がぴったりで冷酷で感情を抑えていて、頭も切れそうで、「俺はこんなところにはいつまでも安住してない」感がヒシヒシと伝わってきた。
    皇帝ペンギンを演じた兼間慎さんは、パラドックス定数では今までいなかったキャラなので、軽みが新鮮。

    全般的に笑いが多く、そこもこの作品が好きな理由となった。

    こう言ってしまってはナンだが、この作品のもとになったのは、「大王イカ」の“大王”ではないだろうか。
    でも、ダイオウイカはマッコウクジラの餌だし……じゃ海の大王は誰なのか? ってことから。

    にしても、『外交官』(青年座)で戦争の始まりを描いて、今回の『深海大戦争』で戦争の趨勢を描き、次回作が戦後、戦犯を裁く『東京裁判』という流れは出来すぎでは(笑)。


    後編が強く待たれる。

    ★の数はあえて4つとした、残りの★1つは後編に預ける。

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