深海大戦争 公演情報 パラドックス定数「深海大戦争」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    知性の結晶
    面白い。

    ネタバレBOX

    OP(伝説)
    海の生物らに知性を与えるシャチ。その中からマッコウクジラが海の王となり、海の支配に乗り出す。

    抹香鯨親(森田ガンツ)…北の海の王。辞書に和平の文字はないと、大王烏賊をエサと見下し、領土を得ようとする。
    抹香鯨仔(井内勇希)…平和主義者。鋼鉄の鳥の卵の危険性を感じ、大王烏賊との和平の仲介に入るが鯱に逆襲される。鯱の無用な殺生を嫌い、鯱にやられた皇帝ペンギンを大王烏賊の元へ届ける。
    鯱(西原誠吾)…抹香鯨の参謀。腹の中では、いつ玉座を奪おうか考えている。海の中で一番強く、自称弱点はない。
    大王烏賊兄(諫山幸治)…大王烏賊のリーダー。思慮深く、弟や皇帝ペンギンのため身をはる男気もある。食物連鎖という自然のルールを重んじる。
    大王烏賊弟(小野ゆたか)…愛する鋼鉄の鳥を抹香鯨仔に壊されたことでしゃべれるようになり、知性を得る。鋼鉄の鳥の卵を孵化させ、その青い炎で抹香鯨を皆殺ししようと決意する。
    皇帝ペンギン(兼間慎)…南よりやってきた弱めなペンギン。氷山の北極点に立つと北がなくなりすべての方位が南になるという言葉に影響され、抹香鯨と大王烏賊の争いの火種をつくる。大王烏賊とはイカトモ。
    氷山(植村宏司)…海の賢者。生物に対しては中立の立場をとる。人間の作った鋼鉄の鳥の母艦となりつつある。

    まさかの二部構成(後編未定)。でも非常に満足した。
    90分程度だが、言葉や立場のやりとりがとても面白かった。キャラも立ってて、ユーモアも十分。動物的な動きとかも好き(特に抹香鯨仔。鯱もかっこいい)。背の長い椅子を使用した見せ方もシンプルながらうまいと思う。セリフのトチリ(とか靴が脱げて)も、普通にカバーしててそこらへんも○。

    伝説以降、知性を得て覇者となった抹香鯨一族が(海の)食物連鎖の頂点に立ってきたが、人間の「知性」が突如としてその関係を揺るがす。大王烏賊兄があってはならないという関係性の崩壊が、北の海に混乱をもたらし、「知性」を得て復讐に燃える大王烏賊弟の手には、生命を危機に晒すものが握られている…という、大人向け少年漫画な印象。
    抹香鯨仔と氷山の会話にある、対等はあり得ないという、言葉が印象的。大王烏賊をエサとする抹香鯨親や海の殺し屋の鯱も単純な悪役というだけでなく、原始的な生物のルールを見せ付けられたような感覚。

    あくまで海の世界の戦争だが、知性を得て、他の生物を寄せ付けない発展を遂げた人類を示唆する構造が、一番気に入った。

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    2015/09/10 00:54

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