満足度★★★★
「読後感」ばっちり…!
江戸川乱歩を小中学校時代に読み漁っていた私としては、もともと「大人目線から見た乱歩」をどうにか時間を見つけて自分の中に構築したい、と思っていた。だから、「宿題やりなさい」と言われて、「今やろうと思ってたのに!」とふくれる小学生のような気分になった。…と、それは個人的な事情だが、文系バリバリの台詞と世界観に溺れるのは本当に気持ちいい。乱歩と横溝と夢野久作が知り合いだった、という事実も何故かうれしいし、その3人ばかりでなくその登場人物まで絡んでくる贅沢。また、変に怪奇趣味に走らずに、ちょっとした幻想でとどめた演出も奥ゆかしく、好感が持てた。
満足度★★★★★
視覚と聴覚の刺激を見事に統一した稀な作品
「虚構と現実の境界」--その曖昧さを、物語としても目に見えるものとしても描き出した力作。舞台という表現の可能性を真摯に追求して、視聴覚ともに同じ方向性の刺激を生み出すことのできた稀な例ではないかと思います。中央の背景に三角巾のように赤い布の後方に垂らして、その裏から出入りさせたり、さらに床に広がる赤い布の下からうごめくように這い上がらせたりを可能したあの美術は、シンプルながら秀逸でした。
江戸川乱歩と横溝正史と夢野久作という作家たちに交流があったってことも知らなかったし、子供のころに探偵小説に明け暮れたなんて本好きでもなかった自分ですが、それでもきちんと3者の関係が理解できたということは、作者の取材力とそれをせりふを通して伝えられる咀嚼力が優れているんでしょう。しかも、史実をモチーフにしたフィクションというだけにとどまらず、きちんとがその物語を通して、「小説の登場人物は作家のものなのか?」という劇作家の方ならではの視点がはっきり描かれていることで、「評伝劇」風作品からまったくのオリジナル作品へ昇華できたと思います。作家が死んでもなおテレビや映画で生き続ける金田一耕介。今や「現実」の作者よりも大きな力を持つかもしれない「虚構」の存在は、コンテンツの時代と呼ばれる今、ますます怪物じみてくるかもしれないなと思った次第。
満足度★★★★
骨太な脚本を土台に、さらに広く飛躍する可能性を感じた作品。
江戸川乱歩と横溝正史と夢野久作が同じ部屋でともに語るというだけで、相当に面白いです。しかも彼らの代表作の登場人物(明智小五郎、金田一耕助、呉一郎)まで同じ次元に出て来るのですから、愉しみはさらに増します。
ザムザ阿佐ヶ谷の和風空間で大きな赤いカーテンを使って、探偵推理小説、幻想怪奇小説のムードを上手に作っていました。※私は最前列で堪能しましたが、後方の席からだと高さがあるので見え方が違ったかもしれません。
これまでの公演との違いで顕著なのは、まず笑いが多いこと。役者さんは緊張が途切れない丁々発止のやりとりだけでなく、どたばたパロディにもチャレンジしています。感情を内に込めることで密度を上げる演技を、貪欲に外へと開放する方向にも広げたのは、大いに歓迎したい変化でした。また、「前回あの役をやってた役者さんが今回はこんな役!?」という驚きも良いスパイスになりました。
パラドックス定数というとワン・シチュエーションの会話劇という印象でしたので、今回のように次々と場所が変わるのは新鮮。脚本・演出を手がける野木萌葱さんの力量を再確認できました。集団としての厚みも増してきていると思います。
色んなタイプの男の魅力を様々な角度から見せてくれます。キャストに絶世の美男子が揃っているわけではないけれど、今流行りの“イケメン芝居”に似たところがある気がしました(笑)。私は敢えて気取る姿勢が面白いと思いますが、それが鼻につくお客様もいらっしゃるかもしれないな~とも思いました。
約2時間の上演時間は、会場の環境から考えても少々長すぎた気がします。
満足度★★★★★
様々な刺激を受け、とても面白かったです。
私自身あまり小説を読まないので、ストーリーを理解するのに大変でしたが
小説の中の登場人物の表現方法や読者の存在方法など、大変を刺激を受け、どんどん引き込まれていく要素があったと思います。明らかにお笑い用の場面ではちゃんと大爆笑させてもらったり、とても面白い作品でした。
満足度★★★★
趣味の走り方。
出発点は『プライベート・ジョーク』と似ていますが、登場人物たちへの思い入れが滲み出ている分、遊びに見える瞬間があったり。そこを遊びで終わらせないよう捩じ伏せる力はさすがですが、観たことのないそのサービス精神には若干の戸惑いを感じるほど。こういうことができるようになったのも、きっとカンパニー化したからこそだとは思います。
新たな試みや企みにしっかりと答えている俳優陣。いつもの緊張感溢れるやり取りが観てみたかったりもしますが、前に出てくる彼らも魅力的でした。
満足度★★★★
うむうむ
まるで少し難しめの本を読むような芝居
たまに理解する前にページをめくられちゃったりして。
次のページに移っても前のページのことを
必死に思い出しつつ理解しつつ結び付けつつ、
そんなふうに観ていました。
見ごたえのあるもので
今でも考えさせられています。
満足度★★★★★
濃密。
3人の作家と編集者のやりとり、そして舞台の赤色が鮮烈に焼き付いています。脚本がすごいなと思ったので購入してみましたが、やっぱり小説っぽかったです。脚本を読んで舞台を思い出すというのを超え、文章から人物が浮かび上がってきます。この脚本にしてあの舞台。役者陣の熱演が加わりとてもすばらしい舞台でした。
3回観ました☆
前回の「東京裁判」が初観劇だったんですが、今回念願叶って初めて撮影させていただきました!
通常、ロケハン、撮影の2回しか観ないのですが、わけあって3回観てきました。時々役者さんのパワーが弱まるところがあったりしましたが、何回見ても面白かったです。3回観た中でも千秋楽が一番良かったです。
編集が終わった映像を観るのが楽しみです♪
それにしても、3回目があって良かったー(涙)
満足度★★★★
硬質で上質な。
作家と登場人物の蜜月の関係を、実際の作品を軸に語り進める。
本当にクレバーな作品であると同時に、かなり野心的な作品だ。
硬質で上質なメタフィクションを観られたことは本当に至福である。
だからこそ、問題点を俳優陣に振ってしまいたくなるのだが、仕方あるまい。
それこそ、大御所を揃えても恥ずかしくない戯曲がここにあるのだから。
腕に自信アリの男性俳優に、どんどん出演して欲しい。
そして、照明の具合が実に素晴らしい。この作品の陰の巧者である。
いい台本だと思いますが・・・
素直な感想としては、「すばらしい物語、けどつまらない」
本作品の他のお客さんの感想を見ると、皆さん賞賛をしているようですが、本編中ほんとうに面白いって思ったのでしょうか?
私は「面白い!」とは思えませんでした。
ただ、「この台本すごいな!」とは思いました。
台本すごいって思える作品はなかなかお目にかかれないのですが、良い本だな~って思う作品は往々にして、面白い!って思うのですが、本作品は、いい本だけど、つまらない。という、ある意味珍しい作品でした。
大変失礼な感想となり申し訳ないのですが・・・上記が本音です。
ただ、コレも不思議なことなのですが、
本作品はつまんなかったけど、次回公演を見てみたいと思いました。
おそらく作品の質の高さがそう思わすのでしょう。
満足度★★★★★
1年か2年後くらいに再演を強く希望します。
最高。
頼むからもっと上演日程長くして回数増やして欲しい。
定評ある脚本は健在。
前作「東京裁判」に活力というか「動」というか・・・
そんな要素が加わった印象。
まさに小劇場向きの世界。
もっと登場人物の作品を読んでから観ればよかった、と後悔した。
「HIDE AND SEEK」観てきた
深いー
登場する三作品を読んでるともっと楽しいがしかし別に何も本を読んでなくても楽しめるはず。
一言一言から世界が拡がっていく2時間。
登場する作家に対しても造詣の深い人はもっと・・
役者の個性と、役の個性とがぴったりで、それぞれの登場人物が好きになってしまう・・