朗読劇 私の頭の中の消しゴム 6th letter 公演情報 朗読劇 私の頭の中の消しゴム 6th letter」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.7
1-3件 / 3件中
  • 満足度★★★★★

    一人の人間の過去も今も未来も愛せますか?
     「あなたは一人の人間の全てを愛せますか?今だけじゃない。
    あなたが知らない過去も、未来も」。
     物語が進むにつれて、この問いが杭のように胸の中に
    突き刺さってきた。
     主人公の浩介(松田凌)と薫(小島藤子)の
    各々が書いた日記や手紙を読みながらストーリーは
    進行していく。朗読劇と銘打っているが、2人は
    かなり舞台上を動く、暴れる、走る、そして共に歩み、
    抱きしめ合う。
     しゃべりはガサツだが、根は真面目、常に孤独で
    暗い過去を背負い希望を持たず日々淡々と建築現場で
    働く浩介。
    彼が働く会社の社長令嬢で、アパレル会社に勤務、
    同性の友達といつもつるみ、向上心が強い薫。
    性格も境遇も何もかもが正反対の2人が偶然に出会い、
    すったもんだの末に、恋に落ち、結婚する。
     順調に結婚生活をスタートさせた2人。全てが
    うまくいき、薔薇色の未来が約束されていた。
     しかし、薫は若年性アルツハイマー病に侵される。
     脳が徐々に萎縮するとともに、長年積み重ねてきた
    膨大な記憶も次第に失っていく。浩介と出会った頃の
    事も、彼と過ごした幸福な日々も、そして彼の
    名前すらも・・・。やがて、浩介を認識できなくなり、
    元カレの名で呼んでしまう。症状が進むにつれ、
    幼児と化す彼女になす術が無い浩介。
     だが、それでも浩介は歯をくいしばり薫を受け止める。
     浩介はまさに冒頭の問いを、終わる事なく
    突きつけられているようで観る者は息ができなくなる。
     お互いを尊敬し、力を合わせ幸せを築いていた
    2人を観ただけに、2人を襲う不幸に観る者の
    胸が激しく痛む。
     浩介と愛を育み仕事に燃える20代後半の薫、
    記憶を無くし浩介を元カレの名で呼んでしまい
    浩介が知らない20代前半に戻った薫、
    言葉使いも行動も全てが幼女に戻った薫、
    全てを恐ろしいほどのリアリティを持って
    演じ切った19歳の小島藤子の演技力に、
    心を激しく動かされ言葉が出なかった。
     そんな薫の現在と過去を全て抱きしめ、
    決して未来を見失わない浩介を演じた
    松田凌も凄かった。
     鳴り止まぬカーテンコールの中、小島藤子は
    微笑みながら、目にうっすらと
    涙を浮かべていた。お客の反応が嬉しかったと
    同時に、薫をやりきった充実感があったのだろう。
    松田も満足した表情だった。2人の全身全霊の
    演技に観客も高揚感を抑えられなかったに違いない。

  • 満足度★★★★★

    1年に1度の定番、だけど「必ず泣かせてくれる」味がある
    2014/06/06(金)19:00回
    東山光明さん×高垣 彩陽さん回を観賞。
    ──────────────────
    もう3年連続で観劇しているので、話の本筋は十分知っていて、
    だからこそ序盤の笑いの場面から既に涙腺が緩みだしてしまいました
    (パブロフの犬状態)。

    でも、本筋以外の部分については、毎年いろいろ脚本を手直しされてるんですね。
    物語自体の展開の仕方が「一昨年、去年と違うぞ!?」と、
    本筋はきっと変わらない、と思いながらも
    初めて聴く物語のように楽しむ事が出来ました。

    きっとそれは脚本だけでなく、朗読劇を担当するペアそれぞれもまた
    毎回異なるから、という事もあるのでしょう。

    高垣彩陽さんは声優/アイドル活動以外にお芝居にも
    結構力を入れているのをいくつかの舞台で把握はしていました。
    また、その修練の賜物(あるいは声優自体=朗読劇のプロ?)
    ともいえる良い演技をされていたと思います。

    ただ、僕は東山光明さんに更なる良さを感じました。

    最初、「私の頭の中の消しゴム」の男女ペアの男役を
    少し笑いを取る為に「チャラく」演じられていたようで、

    「今までにない形だけどどうかなー、物語のこれからの展開に合うかなー?」

    と半信半疑でしたが、二人の馴れ初めから悲しい流れに展開していく中、
    ハンカチで目をぬぐい、時に鼻まで垂らしての感情を込めての熱演ぶりには
    観劇しているこちらも、もう主人公と同じ気持ちで
    時に小さな事に喜び、
    時に小さな(主人公にとっては決して小さくない)事に絶望し、
    とまさに(自分が男だから、というのもありますが、男役の方に)
    気持ちを引っ張り込まれてしまいました。

    脚本も毎年の改変を経てなお「名作」であり続け、
    そして、朗読劇の担当ペアそれぞれが変わるごとに
    これまた違う「私の頭の中の消しゴム」を観せてくれる、
    今回のペアも自分の中では最高の物語を魅せてくれました。


    2014/06/08(日)12:00回
    福山潤さん×山口紗弥加さん回観賞。
    ──────────────────
    徹夜仕事明け、3階席真ん中(舞台からはかなり遠い)などから
    朗読劇が始まったと同時に泣くほどすぐに感情移入するような
    事はなかったけれど、毎年ながら福山潤さんの素に近い口調による
    お芝居は観客の感情をひっぱるのがとてもうまいと思いました。

    楽しい序盤から悲しみの後半、そして最後まで、
    3階とはいえ真ん中席だったおかげもあるのかあるいは
    (特に福山さんの)発声が良かった為か声がすごく良く聞き取れた事もあり
    (前回ペアの観賞では1階間近席のわりに一部セリフが判別できず)、
    眠気などすぐ覚めて素直に泣けてきて福山さんのお芝居の盛り上がりに
    合わせて(自分では号泣レベルの)ハンカチが必要なくらいに涙が出た。
    来年も福山さんに「私の頭の中の消しゴム」やってほしいなあ( ´ー`)


    2014/06/08(日)17:00
    田代万里生さん×沢城みゆきさん回観賞。
    ──────────────────
    はっきりいって残念。
    田代さん、沢城さんとも個々には本読みしっかりして
    役づくりしてきたものと思われます(一番感情の起伏などセリフに生かしてたかと)。

    本作はお互いがそれぞれの日記を読む形での掛け合い、
    キャッチボールをする形で物語が進むのですが、
    2人とも個々にはしっかりしているのに、

    なぜか2人が組み合わされるとちぐはぐな印象を受けました(前半すごく)。


    沢城さんパート→田代さんパート→沢城さんパート→・・・


    でお互いの「読み(会話)」のテンポその他が噛み合っていない感じ。

    もしかしたらですが、2人一緒に合わせの稽古をする
    機会がほぼなかったのでしょうか?


    通常の会話劇なら(沢城さんなど特に)即興でもうまく
    会話のキャッチボールをこなすと思いますが、
    本作のちょっと変わった特徴(ある程度長文を含んだ日記を読む)が入った時、
    交互にそれを行った時お互いの「読み(会話)」について
    その違和感が顕著にあらわれていたような気がします。


    せっかくの1階ど真ん中の視野的/距離的に良席だった割に、
    (それぞれが別のお芝居をしているかのような違和感のせいで)
    自分は2人のいずれの演技にも感情を引きこまれませんでした。


    しかし、中盤以降シリアスになっていくにつれ、
    お2人とも(多分)前もって作っておいた「役」になりきり
    (特に沢城さんは自分の声優としての芸幅/声幅も活かし)、
    2人の「読み(会話)」もかみ合ってきて、最後には涙を誘われました。


    沢城さんの朗読劇でよく「揃っての稽古があまり出来なかった」という
    感想を聞きますが、それでうまく行った舞台はともかく
    ちょっと今回は「もう少し2人で『合わせ』の稽古ができなかったのかな」
    と残念です。

    ネタバレBOX

    2014/06/06(金)19:00回
    東山光明さん×高垣 彩陽さん回を観賞。
    ──────────────────
    ネタバレに書くような事は特にないのですが、

    ・ 序盤、東山さんの感情がこもりだすまでが少し長かったかな
      (笑いのパートでは、少し感情移入よりもウケ狙いに走っていたような)。

    ・ 高垣さんはほんと演技うまいな
      (少し噛んだっぽい部分もありましたが)
      (初の?)朗読劇であれだけうまくヒロインの心の
      明から暗からその苦しみからを演じ分けられるのは
      やはり声優業のたまものですかね?

    という点ですかね。


    物語自体を振り返ると
    ・ 10歳で母親(片親)に捨てられ人間不信(否、人生不信)に陥り、
      一匹狼で生きてきた建築業の男。

    ・ (男の務める)建築業の社長の娘として何不自由なく育てられたが、
      不倫した相手との別れを引きずっていた女。

    ・ 女は絵が得意で、色々な所で絵を描いている。

    ・ それぞれが最初いがみ合う形で出会い、やがて恋に落ちる。

    ・ しかし男の抱えるトラウマから2人が結ばれるまでは
      かなりの苦難の道が。

    ・ 自分にとって女をかけがえのない人であるという事を認めた男は
      女の親(社長)に結婚を認めてもらう為に「一級建築士」の資格を取り、
      やっと2人結婚しての生活が始まる。

    ・ 物語の展開中、たびたび女を襲う偏頭痛。

    ・ 男を捨てた母親が借金苦で追い立てられている、
      という事を知った女は、
      自分達の結婚を認めてくれた女の親と同様、
      男の母親も(どんな人間であっても)家族である、
      と男を説得し、自分たちの家を建てる為に貯めていた資金を、
      その借金返済にあてる。

    ・ 借金を負いながらも2人幸せに過ごしていたはずが…

    ・ 女の頭痛の原因はアルツハイマー病による脳に萎縮だった。

    ・ 女の奇行(病気のせい)が始まり、
      その原因が分からない男とその家族はとまどう。
      家族側、そして男の側とも「離婚」を考えるほどに。

      女自身も、意識が正常な時に自分の奇行を知り、
      どうして良いのかに悩む。

    ・ そしてとうとう病気の事を男と家族は知る。

    ・ 今までの女の苦しみを理解してやれなかった事を男は悔やむ。

    ・ そして、直る見込みもなく、新しい記憶から順に、
      そしていつか生活の為の行為すら忘れてしまう、
      という医者の説明にも諦めず、
      どんな苦労の中でも一緒に耐えようとする男

    ・ しかしいつしか女は男の事すら忘れてしまい、
      前の不倫相手の名前で男を呼び始める。
      苦しいがそれにすら耐えてみせる男。

    ・ ある日、いっとき記憶の戻った女は、
      自分の日記の内容から、
      どれだけ自分が男を傷つけてきたのかを知り、
      「愛しているからこそ」と置き手紙を残して行方をくらます。

    ・ そして男は数ヶ月、半年、女の誕生日を越え、
      「ただ会いたい」それだけを願い続ける。

    ・ ある日、女から一通の手紙が届く。
      意識がしっかりしていた時に書いたものであろう
      その手紙自体にまず男は喜ぶ。

      手紙の内容は、
      「男の事を愛している、
      だからこそ私の事は忘れて早く新しい人を見つけて、
      男は不器用だから最初は苦労するけど、
      きっと結婚に向いている、
      それは一緒になった自分が知っている」と。

      そんな事は考えられない男。

    ・ そして手紙の送り元から、女の居場所が
      静岡県の養護施設である事を知る。

    ・ 養護施設へ向かい、看護師の説明で知ったのは、
      ある日女の調子が良かった時に書いた手紙が
      あった事に気づき、看護師が手紙を送付した事、

      今では記憶はまったくなく、1日中寝ているか、
      絵を描いているか、で1日を過ごしている、という事。

    ・ 看護師から「ぜひ話しかけてあげてほしい」と言われ、
      男は女に話しかけるが、
      「初めまして」という一言に男はショックを受けてしまう。

    ・ しかし、女がスケッチブックを取り出し絵を書き始めると、
      その絵に描かれているのが自分の顔である事、
      スケッチブックのどのページにも自分の顔が描いてある事に、
      「新しい記憶から順に忘れる」というアルツハイマー病にあって、
      自分の事を覚えていてくれた事を奇跡として、
      男は涙する。

    そして ~ Fin ~


    この本筋に対して、細かいディティール部分などを
    毎年新たに起こしている形のようです。

    ? 韓国映画原作だったかと思いますが、
      元からこういうお話だったのでしょうか?
      映画にもちょっと興味がわきますね。


    2014/06/08(日)12:00回
    福山潤さん×山口紗弥加さん回観賞。
    ──────────────────
    福山潤さんの演技は、一昨年、去年と成長度合いは分からないけど、
    素に近いお芝居で十分気持ちを引っ張られ、感動させてもらいました。

    ※ ただ、序盤に一部脚本上の(?)過剰演出があり、
      「この物語でそこまでして笑いを取りに行く必要はないのではないか?」
      と過去作品と比べると思いました
      (前回ペアの観劇ではアドリブかと思ってました)。


    あと、山口さんの演技が(この方は演劇あがりなのだろうか?)
    どうにもオーバーアクション(台詞の強弱つけすぎ、演技がコテコテすぎ)な
    感があり、素で演じる福山さんとのコンビは合っているとは思えませんでした。

    悲しみの場面で悲しみの演技をするのは分かりますが、
    笑い、驚き、など序盤の明るいパートでその声の演技/リアクションの
    オーバーぶりが目についてしまいました。

    ただまあ、本劇はアルツハイマー病にかかるヒロインの方が、
    喜怒哀楽(病気ゆえの理不尽な怒りなど)色々な演技を
    求められると思いますが、その辺後半に移るに従って、
    山口さんの少しオーバーな演技とマッチしてきた感はありました。

    ※ ★5つ変わらずですが、福山さん7割山口さん3割採点という所でしょうか



    それにしても本当に感動させるけれども、男女ともに悲しすぎるお話ですね。

    夫を傷つけたくないのに病気ゆえに傷つけつづけてしまっている事を
    素に戻った時に知り、一緒にいる事をあきらめた妻。

    アルツハイマー病の妻という、一緒に暮らすのはとても大変な状況でも、
    愛一途に妻の面倒を見続け、妻の病気ゆえの奇行/言動などに
    傷つけられてもそれを耐え、しかし妻の側の愛ゆえに自分の元を
    去られてしまい、
    更に再会した時には既に妻の中から自分の記憶は失われてしまっているという。。。

    しかし妻の描く絵の中にはすべて自分だけが存在した、という悲しい感動の形。


    物語としてはいいけど、自分の人生だったら悲しすぎて耐えられないな、
    平凡に生きるのが一番いいや、と感情移入ついでに思ってみました。


    PS.主題歌/曲を歌われているHoney L Daysさんのミニライブがありましたが、
    2人のボーカルの片割れが先日の高垣さんとのペアだった東山さん
    (しかももう1人も本劇に出演されているという)
    に驚きました。
    素人っぽさを感じたのもそのはず、本業は歌手さんだったんですね。


    2014/06/08(日)17:00
    田代万里生さん×沢城みゆきさん回観賞。
    ──────────────────
    田代さんは最初、丁度前の回を演じた福山潤さんに近い張った声質で
    演じ始めたので「素に近い演技をするのかな?」と思っていたのですが、

    役についてかなり自分なりに考えてきたようで、
    セリフの抑揚から何から、
    結構「(自分なりに掘り下げた役になりきって)演技をしているな」
    という感じでした。

    同じく、沢城さんについても本をかなり読み込まれたのか
    (あるいは「こういうキャラでいく」と決めていたのか)
    自分なりのヒロインの設定を演じている感じでした。

    先に2組の舞台を観劇していた自分にとっても、
    かなり「キャラを作ってきてるな」と思わせ、
    期待させられるものがあったのですが・・・


    感想にも上げたように、2人の個性の出し方、朗読芝居の仕方が
    うまく噛み合っていないような気がしました。
    (本番2回以外でほとんど一緒に稽古できていない?)


    その違和感のせいで、物語の冒頭から2人の恋愛が始まり、
    そしてトラブルもあって結婚にたどり着くまで、という
    中盤までのパートについて、どうも自分は気持ちを
    (今までに観た2組よりも)引き込まれる事が出来ませんでした。

    個々に見れば「いい芝居をしている」と思えるのですが、
    なぜか2人芝居として観ると(??)と感じてしまうという・・・


    中盤以降、シリアスなお芝居になるにつれ、
    感情の込め方や2人の会話の微調整が出来てきたのか、
    かなり朗読劇としてはかみ合ってきて良いものになってきたのですが、

    今度は田代さんの噛み/トチリ(?)
    (難しい単語などをさっと読み通せない、妙な間を作ってしまう)
    が目立ち、最初思っていた「ちゃんと本を読んでいるな」という感じが、
    勘違いで本当はあまり本を読み込んでいないのか?という
    疑いに変わってしまいました。

    そういうマイナス点が度々目立ってしまった事もあり、
    前2組に比べ、せっかく「役を掘り下げてきている」のに
    気持ちを持って行かれない、というちょっと残念な状況が
    かなり後半まで続いてしまった感があります。

    最後には、夫を傷つけたくない為に家を出る妻、
    妻からの最後の手紙を元にやっと妻と再会できるが、
    妻は既に夫の記憶を失っていた、、、しかし

    という感動パートでちゃんと涙誘われましたが、
    この2人だったらもっと観劇者を引き込めるお芝居が出来ると思うんですよね、
    (普段SOUND THEATREなどで沢城さんの演技を見ている限りでは
    沢城さんの本気はまだまだこんなものじゃないかと)
    そういう意味で残念でした。

    ★だと4つかしら。
  • 満足度★★★★

    なんで?!
    私はもともと「泣ける」演な技が嫌いだ。テレビなどでそういった場面を見てもどうせ演技さと冷めた目で見ていた。
    この公演もストーリーよりも出演者に惹かれて観劇しにいった。
    なのに…なのに…なんで泣いてしまうのだろう!
    出演者の熱演もあったが自然に流れ出す涙を抑えきれなかった。
    これが純愛と言うものなのか。対価を求めない本当の恋愛なんだと思った。

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