満足度★★★★
シンプルな中に織り込まれているもの
ただシンプルなのではなく、沢山の試行錯誤を繰り返した後に極限まで削ぎ落とされたようなシンプルさ。だからシンプルな中にも色々な要素が織り込まれている。そして、それを重くなくさらりと織り込んであるような印象。さらりとしすぎていて、通り過ぎてしまいそうになるくらいに…。なので好みは分かれるでしょう。実際、ちょっと物足りなさを感じた部分もありました。
でも、音の使い方、道具の使い方、観客の巻き込み方もとにかく上手い。全てにおいてバランス感覚がいい。
そして、一番は女優ケズワさんの存在感。キュートでセクシーで、とにかく素敵でした。
満足度★★★
軽やかに描かれた不倫劇
チャーミングな出演者達と、少ない要素で豊かに表現される演出によって演じられる不倫の物語で、余裕を感じさせる軽やかさがありました。
南アフリカの黒人コミュニティーを舞台に、妻の不倫相手が自宅に残していったスーツをあたかもその不倫相手であるかの様にもてなせと夫が命じ、夫婦の関係が終わってしまう物語の中にアパルトヘイトにまつわるエピソードが織り込まれていました。
素舞台の中心にオレンジのラグが敷かれ、その周囲にカラフルな木製の椅子、テーブル、ハンガーラック、照明スタンドが置かれた開放的な空間の中で、見立てや振りの演技を用いて流れるようにシーンが展開するのが心地良かったです。
ところどころで観客に語り掛けたり、舞台にあげたりする仕方がスマートで、客いじりにありがちな押し付けがましさが無いのが良かったです。2人のミュージシャンによるギターとトランペットの生演奏や役者の歌が素敵でした。
全体的に完成度が高くて楽しみながら観たのですが、あまりに綺麗に流れて行くので、引っ掛かるところがなくて、物足りなさを感じました。
実際に喋っている内容に比べて字幕はかなり省略していて、何秒間も同じ文が表示されている時もあったので、もう少し翻訳する分量が多くても良いと思いました。
満足度★★★★
完璧なれど、、、
「なにもない空間」のピーター・プルックだけあって、
音楽も、照明も、美術も、すべてシンプルで、
余計なものがない空間から起ち上がってくる舞台の豊かさには凄いものがあった。
特に、舞台上で生演奏される音楽と舞台との関係は絶妙だった。
役者の演技も素晴らしかった。
脚本も、1950年代の南アフリカの話であり、社会批評性も強く、人が生きる根幹に触れる問題を扱っている。と言っても、ポップに。
それに、やりつくされた手法とはいえ、役者と観客とのやり取りなどは、今でも刺激的ではある。
あらゆる部分で、本当に繊細に舞台が構築されていて、完璧という印象なのだが、、、、 なぜか根っこからは感動しなかった。
満足度★★★★★
豊かな劇空間・・・
ヒロインのノンランラ・ケズワの高い表現力に尽きる!!!
場内が徐々に創造的空間へと変質していく様は観客一体型アート体験に近いかも。
三人のミュージシャンの演奏とサービス精神旺盛な芸達者における「浮気」をモチーフにしたシンプルで楽しめる舞台O(≧∇≦)O
普段小劇場演劇にどっぷり浸かっている向きにはコストパフォーマンスとしてどうかとは思いますが(一般的な小劇場芝居2本観劇+食事代≒8400円)、・・・とりあえず、絶対評価で星五つ。