満足度★★
「あの日」以来、気が付いたもの
作者、シンメルプフェニヒの作品は、倉持裕氏が演出した
『昔の女』を観ていますが、あの時のホラーっぽい内容とは
一転、本作『つく、きえる』は寓意に満ちた、結構難解な
作品になっています。
一応、「3.11」をふまえた作品だということになっていますが、
注意深く観ていくと、そこを超えたメッセージが見えてくる。
そのメッセージをどう思うかで、この作品の印象は大きく
変わってくるでしょう。
満足度★★★★
谷村美月さんと、田中美里さん目当てに。外国の人が震災を実際に取材して執筆、創作しただけでも凄いと思ってしまう。
新国立劇場の「シリーズ」割引チケットは毎回買ってます。
単独ではとても観ない作品がラインナップされていたりするからですが、
本作は、個人的に大注目している谷村美月さんと、好きな田中美里さんが
出演していたこともあり鑑賞。
大きな動作は無く、何やら朗読劇のように淡々とシュールに進む。
前情報はなるべき入れないで観るほうなので、
「震災」がテーマだというのは、観ていて途中でわかったのでした!
震災を扱っていても不倫も同様に大きく扱っている感覚が
その時点でもすでに、やはり日本人には無いものだなあと。
谷村美月さんは、まるで童話のようにファンタジーな雰囲気、
夢見心地の少女を好演してました。
全体としてはやはりシュールと一言で言うしかない。
流れに身を任せて観ていたら終わったという感じ。
その中でもやはり、美月さんと少年のとっても純真なやり取りと、
美しい星空が印象に残ったのでした。
震災については、劇作家だけでなくクリエイターの人たちは
何らかの影響を受けざるを得なかったとおもいますが、
海外から実際に来て取材した外国の人はそんなにいたのでしょうか?
放射能で大変なことになると海外に避難した人もいた中で。
そう考えると、取材し執筆しただけでもすごいと思ってしまいます。
満足度★★★
撃沈
新国立劇場にて【つく、きえる】を観劇。
ドイツで有名な演劇人ローランド・シンメルプフェニヒの戯曲を宮田慶子が演出。
とある小さな港町のホテルで不倫中の3組のカップル、そしてそのホテルを経営している若者と丘の上にいる少女との交流。そして突然大きな津波がやってきて、街は全滅になり、ホテルは水の中へ沈んで行ってしまうのだが.....。
ドイツ人の視点で描かれた3.11前後の日本のようだが、全く理解出来ずに撃沈してしまった。今作は不条理演劇ではないのだが、描き方が当たり前の様に不条理なのだ。不条理演劇そのものは好きな方なのだが、日々の営みは当然の如く不条理だ!という劇作家の叫びについて行けなかったようだ。
満足度★★★
難解。自分で感じ取ったことが正解。
「あまり考えずに、浴びるように観てください。感じ取ったことが正解です」と中村蒼君がアフタートークで話していたそうな。
確かに難しいです。テーマも重いですしね。3.11震災のオマージュ的なのが気になるのと、谷村美月ちゃんのファンなのでチケットとりました。
満足度★★★
独特の感覚
他の方も書いているように、
確かに話の内容は難しいように
思えました。
前半は淡々と3組の情事を個別に
描いていましたが、後半は津波の
その後の虚無感めいたものを、
伝えていただろうと思います。
国立の劇場らしく?現代日本の
大きなテーマを取り上げたのだろうと
いうことだろうと思います。
結局、新国立のつながる演劇シリーズは
すべてみてしまいました。(笑)
舞台はやはりそれなりのものでした。
満足度★★★
何だか難しい
いわき(と後で分かる)海沿いのホテルで、不倫し合う3組の夫婦と、ホテルをやっている青年、その青年とメールで繋がっている彼女、ら、が、それぞれの状況や感情を主としてモノローグで綴る物語。ドイツ人作家から見た3.11の断片という作品なのだけれど、不条理な感触も多く、分かりやすいとは言えない。シンプルな舞台美術に映像を重ねたヴィジュアルは見事だし、役者陣が役割をしっかりと演じていたことは確かだが、単純に面白い、とか、良かった、とかは言い難い作品だった。
満足度★★★
モノローグで綴る3.11
いわきに住む3組の夫婦と1組のカップルの3.11の1日を過度にドラマティックにせず、象徴的な比喩表現を多用して描き、クールな詩情が漂う作品でした。
休憩なしの2幕構成で、「つく」と題された第1幕は、3組の夫婦がその6人の中で不倫関係を結んでいて、同じホテルで密会しているというコメディー的な設定の中、それぞれに地震や原発事故を暗示するような非現実的な異変が起きる様子が描かれ、第2幕「きえる」は地震の後の荒廃した情景がシリアスながらも澄んだ軽やかさを伴って描かれていました。
舞台奥が1階分高くなっていてその背後のグリッド状の壁に映像が写し出され、手前は1段上がった小さな正方形のステージが横に3つ並び、3組の夫婦達は基本的にその中だけで演じていました。
脚本の構成が独特で、頻繁にシーンが切り代わり(各場のタイトルが遊び心のあるタイポグラフィーで投影されていました)、そのシーンの並びに幾何学的な美しさを感じました。
台詞もほとんどがモノローグで、一般的な芝居に見られる、対話による物語の展開がありませんでした。2人の対話シーンですら片方の人が両方の台詞を客観的に語っていて、震災の当事者でありながらどこか他人事として感じているところもある日本人の感覚(勿論、そうでない人もたくさんいますが)が反映されているように感じました。
照明や映像、音響は全体的に控え目でありながら、要所で効果的に使われていて印象的でした。終盤の美術の仕掛けはインパクトはあったものの、全体のテイストに対して表現が露骨過ぎて違和感を覚えました。
『With-つながる演劇-』シリーズの前2作はそれぞれ、ウェールズ、韓国の作家と演出家を起用していたので、今回もドイツの演出家で上演して欲しかったです。