つく、きえる 公演情報 つく、きえる」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 2.9
1-9件 / 9件中
  • まだ
    重かった。まだ観てはいけなかったかも。
    でも、自分の中での追悼、鎮魂ができた。
    そこは、ありがたい。

  • 満足度★★

    「あの日」以来、気が付いたもの
    作者、シンメルプフェニヒの作品は、倉持裕氏が演出した
    『昔の女』を観ていますが、あの時のホラーっぽい内容とは
    一転、本作『つく、きえる』は寓意に満ちた、結構難解な
    作品になっています。

    一応、「3.11」をふまえた作品だということになっていますが、
    注意深く観ていくと、そこを超えたメッセージが見えてくる。
    そのメッセージをどう思うかで、この作品の印象は大きく
    変わってくるでしょう。

    ネタバレBOX

    あらすじは、ある月曜日、三組のカップルが不倫の逢瀬を
    重ねる、港沿いのホテル。

    滑稽なことに、三人のカップルは同じホテルを使っているのに
    来る時間帯が異なってたり、偶然が一致していたりと、お互いの
    存在に気が付かない。

    そして、ホテルの若いオーナーは、少し離れた先の灯台守の
    女の子、「ミツバチ」とお互いの仕事があり、会うことが出来ない
    ために、もっぱらメールのやり取りだけでを繰り返している。
    「会いたい」「いつ会えるのか」 言葉は繰り返されるけど、一向に
    会えそうにない、そんな時間がずっと繰り返されるような、日常。

    そこに、「3.11」を思わせるような、ホテルを海の底に一瞬にして
    変えるような、そんな大きな津波が襲いかかってくる。津波が
    本筋ではないので、最初、何があったのかよく分からない位に
    幻想的な台詞と演出で描かれていて、スクリーンに波の映像が
    使われていなかったら、津波とも気が付かなかったと思う。

    一瞬の津波に飲まれ、命を失い、しかしそのことに気が付かず
    家に帰る人々。大きな波によって余計なものが洗い流された
    かのように、三組のカップルの間にも、元の相手に対する
    別の感情、初めて相手に抱く関心、理解、温かい感情が
    まるで火を点したかのように浮かび上がってきます。

    それは暗く、鈍色をした、生命が全て死に絶えたような
    舞台の中でほんのりと存在感を放っています。でも、
    これって「津波」があったからのことで、もしその存在が
    なかったら…? そう考えると皮肉な気がします。

    ホテルの若いオーナー、「クジラ」のもとを、「ミツバチ」が
    訪れるきっかけとなったのも、「津波」あったのことだし、
    まるで当たり前のように繰り返されてきた日常は、脆い
    ものであるが、私たちを取り巻く日常という枷が外れたとき、
    真に自分が欲していたものが見える、だから、全くの悲劇と
    いうものは、厳密には存在しない。そういわれているような
    気がしましたね。

    台詞は難解で、意図的に似た場面が繰り返されるため、
    全貌はよく理解できなかったのですが、後半、一気に
    シンプルになった展開を見て、そう感じました。
  • 満足度★★★★

    谷村美月さんと、田中美里さん目当てに。外国の人が震災を実際に取材して執筆、創作しただけでも凄いと思ってしまう。
    新国立劇場の「シリーズ」割引チケットは毎回買ってます。
    単独ではとても観ない作品がラインナップされていたりするからですが、
    本作は、個人的に大注目している谷村美月さんと、好きな田中美里さんが
    出演していたこともあり鑑賞。
    大きな動作は無く、何やら朗読劇のように淡々とシュールに進む。
    前情報はなるべき入れないで観るほうなので、
    「震災」がテーマだというのは、観ていて途中でわかったのでした!
    震災を扱っていても不倫も同様に大きく扱っている感覚が
    その時点でもすでに、やはり日本人には無いものだなあと。
    谷村美月さんは、まるで童話のようにファンタジーな雰囲気、
    夢見心地の少女を好演してました。
    全体としてはやはりシュールと一言で言うしかない。
    流れに身を任せて観ていたら終わったという感じ。
    その中でもやはり、美月さんと少年のとっても純真なやり取りと、
    美しい星空が印象に残ったのでした。

    震災については、劇作家だけでなくクリエイターの人たちは
    何らかの影響を受けざるを得なかったとおもいますが、
    海外から実際に来て取材した外国の人はそんなにいたのでしょうか?
    放射能で大変なことになると海外に避難した人もいた中で。
    そう考えると、取材し執筆しただけでもすごいと思ってしまいます。

  • 満足度★★★

    撃沈
    新国立劇場にて【つく、きえる】を観劇。

    ドイツで有名な演劇人ローランド・シンメルプフェニヒの戯曲を宮田慶子が演出。

    とある小さな港町のホテルで不倫中の3組のカップル、そしてそのホテルを経営している若者と丘の上にいる少女との交流。そして突然大きな津波がやってきて、街は全滅になり、ホテルは水の中へ沈んで行ってしまうのだが.....。

    ドイツ人の視点で描かれた3.11前後の日本のようだが、全く理解出来ずに撃沈してしまった。今作は不条理演劇ではないのだが、描き方が当たり前の様に不条理なのだ。不条理演劇そのものは好きな方なのだが、日々の営みは当然の如く不条理だ!という劇作家の叫びについて行けなかったようだ。

  • 満足度★★★

    難解。自分で感じ取ったことが正解。
    「あまり考えずに、浴びるように観てください。感じ取ったことが正解です」と中村蒼君がアフタートークで話していたそうな。
    確かに難しいです。テーマも重いですしね。3.11震災のオマージュ的なのが気になるのと、谷村美月ちゃんのファンなのでチケットとりました。

    ネタバレBOX

    通常は6列目のところ、この舞台では3列目ととても近く、しかも上手側だったので蒼君が上手の椅子に座っている場面が多い一幕は近い近い。
    (余談:眼鏡姿の蒼君が、KAT-TUNの中丸雄一君になんか似てる…と中丸君にしか見えなくなってしまいそうでした(汗)ゴーカイジャーの小澤亮太君にもちょっと似た風貌かも。)
    蒼君が恋している丘の上の少女、美月ちゃんは高い位置・下手側でのお芝居なので、一番お目当ての人が一番遠いという一幕でした^^;
    でも二幕は下に降りてきて上手側に歩きながら台詞を言う事が多く、近くで見れました。全体的にですが、特に美月ちゃんの台詞は哲学的な難しいものが多く、本人も混乱したのか、間違えて言い直した箇所もありました。
    8人の役者さんは、もちろん台詞を理解した上で挑んでいるのでしょうから、休憩なしだし相当の集中力と精神力を使う舞台なのではと思います。

    私は東北出身だし、仙台で親友が被災して苦しい体験話を聞いているので、他人事とは思えません。積みあがった瓦礫の山や、津波が根こそぎ奪った町並みが残る被災地で、ふと上を見上げると星空だけは変わらず美しかったのだろうかと考えると切なくなります。募金など、できることはこれからもずっと続けていきます。 

    シンプルだけど凝っている舞台セット、映像演出はとても印象深かったです。し~んと静まりかえっている劇場の中で、水のしたたる音(海水か、雨音か忘れてしまいました)が異様に響き、広い世界で一人ぼっちのような孤独を感じました。


    1回だけでなく、2回、3回と見るのが理想的だと思います。お芝居や演劇というより、まさに「舞台」ってこういうものじゃないかと思います。

  • 満足度★★★

    独特の感覚
    他の方も書いているように、
    確かに話の内容は難しいように
    思えました。
    前半は淡々と3組の情事を個別に
    描いていましたが、後半は津波の
    その後の虚無感めいたものを、
    伝えていただろうと思います。
    国立の劇場らしく?現代日本の
    大きなテーマを取り上げたのだろうと
    いうことだろうと思います。
    結局、新国立のつながる演劇シリーズは
    すべてみてしまいました。(笑)
    舞台はやはりそれなりのものでした。

  • 満足度★★★

    何だか難しい
    いわき(と後で分かる)海沿いのホテルで、不倫し合う3組の夫婦と、ホテルをやっている青年、その青年とメールで繋がっている彼女、ら、が、それぞれの状況や感情を主としてモノローグで綴る物語。ドイツ人作家から見た3.11の断片という作品なのだけれど、不条理な感触も多く、分かりやすいとは言えない。シンプルな舞台美術に映像を重ねたヴィジュアルは見事だし、役者陣が役割をしっかりと演じていたことは確かだが、単純に面白い、とか、良かった、とかは言い難い作品だった。

  • 満足度★★★

    モノローグで綴る3.11
    いわきに住む3組の夫婦と1組のカップルの3.11の1日を過度にドラマティックにせず、象徴的な比喩表現を多用して描き、クールな詩情が漂う作品でした。

    休憩なしの2幕構成で、「つく」と題された第1幕は、3組の夫婦がその6人の中で不倫関係を結んでいて、同じホテルで密会しているというコメディー的な設定の中、それぞれに地震や原発事故を暗示するような非現実的な異変が起きる様子が描かれ、第2幕「きえる」は地震の後の荒廃した情景がシリアスながらも澄んだ軽やかさを伴って描かれていました。

    舞台奥が1階分高くなっていてその背後のグリッド状の壁に映像が写し出され、手前は1段上がった小さな正方形のステージが横に3つ並び、3組の夫婦達は基本的にその中だけで演じていました。

    脚本の構成が独特で、頻繁にシーンが切り代わり(各場のタイトルが遊び心のあるタイポグラフィーで投影されていました)、そのシーンの並びに幾何学的な美しさを感じました。
    台詞もほとんどがモノローグで、一般的な芝居に見られる、対話による物語の展開がありませんでした。2人の対話シーンですら片方の人が両方の台詞を客観的に語っていて、震災の当事者でありながらどこか他人事として感じているところもある日本人の感覚(勿論、そうでない人もたくさんいますが)が反映されているように感じました。

    照明や映像、音響は全体的に控え目でありながら、要所で効果的に使われていて印象的でした。終盤の美術の仕掛けはインパクトはあったものの、全体のテイストに対して表現が露骨過ぎて違和感を覚えました。

    『With-つながる演劇-』シリーズの前2作はそれぞれ、ウェールズ、韓国の作家と演出家を起用していたので、今回もドイツの演出家で上演して欲しかったです。

  • 満足度★★

    辛口にせざるを得ない
    難解。ガラガラ。。
    この作品を新国で演る意味を芸術監督に聞いてみたい。
    背景映像のクオリティは、さすが新国と思わせる。

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