つく、きえる 公演情報 新国立劇場「つく、きえる」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    モノローグで綴る3.11
    いわきに住む3組の夫婦と1組のカップルの3.11の1日を過度にドラマティックにせず、象徴的な比喩表現を多用して描き、クールな詩情が漂う作品でした。

    休憩なしの2幕構成で、「つく」と題された第1幕は、3組の夫婦がその6人の中で不倫関係を結んでいて、同じホテルで密会しているというコメディー的な設定の中、それぞれに地震や原発事故を暗示するような非現実的な異変が起きる様子が描かれ、第2幕「きえる」は地震の後の荒廃した情景がシリアスながらも澄んだ軽やかさを伴って描かれていました。

    舞台奥が1階分高くなっていてその背後のグリッド状の壁に映像が写し出され、手前は1段上がった小さな正方形のステージが横に3つ並び、3組の夫婦達は基本的にその中だけで演じていました。

    脚本の構成が独特で、頻繁にシーンが切り代わり(各場のタイトルが遊び心のあるタイポグラフィーで投影されていました)、そのシーンの並びに幾何学的な美しさを感じました。
    台詞もほとんどがモノローグで、一般的な芝居に見られる、対話による物語の展開がありませんでした。2人の対話シーンですら片方の人が両方の台詞を客観的に語っていて、震災の当事者でありながらどこか他人事として感じているところもある日本人の感覚(勿論、そうでない人もたくさんいますが)が反映されているように感じました。

    照明や映像、音響は全体的に控え目でありながら、要所で効果的に使われていて印象的でした。終盤の美術の仕掛けはインパクトはあったものの、全体のテイストに対して表現が露骨過ぎて違和感を覚えました。

    『With-つながる演劇-』シリーズの前2作はそれぞれ、ウェールズ、韓国の作家と演出家を起用していたので、今回もドイツの演出家で上演して欲しかったです。

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    2013/06/13 22:49

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