セールスマンの死 公演情報 セールスマンの死」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 満足度★★★★

    悲しいがまっすぐな親子
    時代に取り残された男のかたくななまでな生き方、そのようにしか生きられなかったピュアな男と家族の姿が胸を打つ。東京で見られなかった文学座の名舞台を、静岡の地方公演で拝見した。

    どちらかというとアトリエ公演向きの舞台なのかもしれないが、今日のステージは2階席もいれれば1000人は入る大舞台だった。そんな広い空間でも後ろの方まで客席の目を引きつけ続ける演技はさすがだ。

    仕事一筋に生き、リタイア後はローンの終わった家で菜園をして、結婚して家族を持った息子たちの訪問を楽しみに生きる。日本でも、現代でもありそうな普通の夢。しかも、自分の意見を曲げず、息子たちの意見を聴こうとしないいわゆる頑固おやじ。アーサーミラーの作品だが、かなり日本的というか、日本人の俳優たちが演じて味を出せる舞台だとも言える。

    ラストシーン、高齢の女性客がハンカチを握りしめる姿が目立った。まっすぐな親子をまっすぐに演じた俳優たちに、拍手を送りたい。

  • 満足度★★★★

    手堅い出来栄え
    新訳は物語の筋はいじらずに、台詞を所々カットしたりして短くしていました。また、今の日本で使われる言葉遣いを積極的に取り入れていて、翻訳物にありがちの違和感はほぼなかったと言えます。
    演出は原作のト書きの指示をかなり汲んでいました。芝居中に音楽がカットインする場面は、原作の指示通りと思われます。ただ使用した曲が物語の展開をベタに表現するような効果を発揮していた点が残念でした。戯曲そのものが普遍的なメッセージ性を持っているにもかかわらず、演出が物語のウェルメイドさを押し出してしまい、観客への訴求力が弱まってしまった感がありました。
    文学座の俳優陣は手堅い演技。たかお鷹も良かったですが、妻・リンダを演じた富沢亜古が放つ芯の強さと、その裏側に抱える孤独感に惹かれました。

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