満足度★★★★
老齢者向き、安定感ある舞台でした
行かないと言いつつ、そっと観て来てしまいました。
隠れ村井ファンなので…。
天狗に攫われるとか、ネズミに引かれるとか、神隠しに遭うとかは、私の幼少期には、東京でも、祖母が二言目には言っていた台詞でしたし、とりもちも、蠅をたくさん採って、見た目が気持ち悪いと思いながら、すごいなあと感心したりしていました。
ですから、東京育ちの私にも、どこか、郷愁を覚える作品でした。
村井さんと岡本さんの自然体の演技と九州弁が、とにかく心地良く拝見できます。
池田さんも、作品によっては、ややデフォルメした演技がわざとらしく感じる時があるのですが、今回の舞台では、両親思いの人の良い息子ぶりがとても自然で素敵でした。
謎の女性を演じる、川崎さん含め、この4人のキャストの塩梅が全てに亘って、観客を心地良く舞台世界に誘う水先案内人的スタンスでいらっしゃいました。
特段、驚くような展開があったり、ドラマチックだったりはしないのですが、終始、居心地良く観劇できた作品でした。
ただ、これ、もしも、招待で行かれた観客は、十分満足される舞台だとは思いますが、チケットを買って、どうしても観たいと思わせるだけの吸引力は、どこか不足しているように思うのです。
演劇興行の難しさを痛感しました。
満足度★★★
優しさに溢れた物語
ストーリーも演出もオーソドックスで分かり易いものでしたが、直接的に感情を出すのではなく、台詞の奥に秘められた思いが、柔らかく伝わって来るような、丁寧に作られた作品でした。
1970年代の天狗伝説が残る九州のとある町が舞台で、27年前に他の男と失踪して世間的には神隠しにあったとされていた妻が戻って来て、事業に失敗し妻にも逃げられた息子も戻って来て、さらに曰くありげな若い女性もひょんなことから転がり込むところから始まる数日間を描いた、悲喜こもごもな物語でした。
人生が上手く行かなくても前向きに行きて行こうというメッセージが押し付けがましくなく表現されていて、気持ち良く観ることが出来ました。お互い嘘だと分かっていながら信じている振りをするシーンが印象的でした。
4人の出演者の内、3人は実際に九州出身の方で、「ばってん」「~っち」といった九州弁が優しく響いていました。
村井國夫さんと岡本麗さんの仲の良い老夫婦っぷりが可愛らしく、とても魅力的でした。悪態を突きつつも内心では両親のことを思っている息子を演じた池田成志さんも芸達者で楽しかったったです。
重要な台詞の前まで環境ノイズ音を流すことによって、台詞を言う時の静けさを際立てたり、暗転時に背景を光らせて視線を誘導する等、地味ながら効果的な演出が作品の雰囲気に合っていて良かったです。
満足度★★★★★
神隠し
とても良い舞台を拝見しました。笑いました。泣きました。何!!この配役!とっても贅沢な気分も味わえました。誰でもやり直したい時がある。そんなときこの舞台を観ると元気もらえます。そうでなくても元気もらえます(笑) ラストの風景にジーンとします。そんな満月のシーンが焼きつきました。もう1度観たいと思った作品です。さすが東憲司、作・演出。開場時には劇団桟敷童子の方々もお手伝いしていましたよ。
満足度★★★★
見終わって心地よい充足感
キーワードで天狗の神隠しがでてくるが、誰がどのように神隠しにあったのか、等の謎ときのお話ではありませんw。
言葉では言い表せない夫婦の愛情と、その土地の風土から織りなす方言が聞いてて心地よくなる。舞台が九州のため、子供の時にそこで育った経験ある自分としてはちょっとだけ郷愁にかられた。
舞台が郷里でなくても見終わった後、他者への慈しみが増していそうな良い舞台だった。