実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/04/07 (月) 14:00
娘の妊娠問題で話し合っている最中に転居挨拶に訪れた隣家の夫婦は偶然にも……な物語。
事前情報通り高木作品には珍しく笑える場面も少なからずあり(考えようによっては「辛口ビターコメディ」?)自団体である鵺的とはまた違った感覚。
で、妊娠させた男のダメさ加減などで笑わせた後の二組の夫婦(+1)の話し合い場面が白眉。「この人は「あのこと」に勘付いているの?それを匂わせているの?」などと観客に思わせる会話が実に巧みで面白い。
そしてそこで出される解決案は割れてしまった陶器をセロファンテープで直そうとしているようなその場しのぎの脆いものに感じられた。
実演鑑賞
満足度★★★★
らしい脚本、らしい演出で、なんかムカムカするし、怒号とかちょっと引いちゃうんだけど、秘密を持つこと、それがあらわになることってそうだよなぁと妙に納得してしまう感覚が不思議だった。
意味深なラストがあの関係性のその後を暗示しているかのようで、なんか怖い。
実演鑑賞
満足度★★★★★
冒頭から深刻な状況なのに、それが非常にコミカルで、さすがにうまいと思った。
波風立てず平穏に暮そうとしているところへ、ありそうでなさそうであるかもしれない偶然をきっかけに家族が壊れて行くのだけれど、分別のある「立派な大人」たちが、時に対面を取り繕い、時に感情を爆発させ、それぞれが右往左往するさまは、完全な第三者である観客から喜劇に見える。
そんな、喜劇に見えるような状況の渦中にいる人たちは、それはもうどの道を選んでも悲劇にしかたどり着かない。
娘の、全てを諦めたような突き放したような態度の理由が、ラストの、窓から差し込む光に凝縮されているようで切なくなった。
あの狭いステージであのセットは驚き。
繰り返される旋律と、暗い照明もいい。
役者はみなさん本当に素晴らしかった。
実演鑑賞
満足度★★★★
流石に面白い。高木登氏版夏目漱石の趣き。ホラーに長けると全てに応用が効く。役者全員フルに活かす演出は鬼才・寺十吾氏。この怒濤の仕事量と質は後世に名を残す筈。今、リアルタイムで味わえる連中は幸運だ。ほんのちょっとの細工なのに圧倒的な才覚の違いを決定付ける。これは一体何なのか?何でこうなるのか?
サラサーテのようなテーマ曲がリフレインする。この小さなステージで驚く程の場面転換。拘りの美術、やり過ぎだろ。鈴木清順の『ツィゴイネルワイゼン』を思わせる不思議な品のある空間美。
大企業に勤める瓜生和成氏45歳、妻の田崎那奈さん44歳、大学生の娘の堀口紗奈さん22歳、妻の妹の杉本有美さん36歳が暮らす一軒家。娘の彼氏であるコンビニバイトの依田啓嗣(たかし)氏31歳が呼び出されている。怒号が飛ぶ修羅場にタイミング悪く隣に越して来た奥野亮子さんが挨拶に訪れる。売れないカメラマン小出恵介氏43歳との夫婦二人暮らし。その晩その話を聞いた小出恵介氏は隣の家族の名前に引っ掛かる。
全員キャラが立っていて見せ場あり。瓜生和成氏VS堀口紗奈さんなんか盛り上がる。依田啓嗣氏のキャラはリアル、ペットの水ガブ飲みが良い。杉本有美さんの存在が実は効いている。
小出恵介氏に何の思い入れもなく興味もなかったが一言、「良かった」。
是非観に行って頂きたい。