実演鑑賞
満足度★★★★
流石に面白い。高木登氏版夏目漱石の趣き。ホラーに長けると全てに応用が効く。役者全員フルに活かす演出は鬼才・寺十吾氏。この怒濤の仕事量と質は後世に名を残す筈。今、リアルタイムで味わえる連中は幸運だ。ほんのちょっとの細工なのに圧倒的な才覚の違いを決定付ける。これは一体何なのか?何でこうなるのか?
サラサーテのようなテーマ曲がリフレインする。この小さなステージで驚く程の場面転換。拘りの美術、やり過ぎだろ。鈴木清順の『ツィゴイネルワイゼン』を思わせる不思議な品のある空間美。
大企業に勤める瓜生和成氏45歳、妻の田崎那奈さん44歳、大学生の娘の堀口紗奈さん22歳、妻の妹の杉本有美さん36歳が暮らす一軒家。娘の彼氏であるコンビニバイトの依田啓嗣(たかし)氏31歳が呼び出されている。怒号が飛ぶ修羅場にタイミング悪く隣に越して来た奥野亮子さんが挨拶に訪れる。売れないカメラマン小出恵介氏43歳との夫婦二人暮らし。その晩その話を聞いた小出恵介氏は隣の家族の名前に引っ掛かる。
全員キャラが立っていて見せ場あり。瓜生和成氏VS堀口紗奈さんなんか盛り上がる。依田啓嗣氏のキャラはリアル、ペットの水ガブ飲みが良い。杉本有美さんの存在が実は効いている。
小出恵介氏に何の思い入れもなく興味もなかったが一言、「良かった」。
是非観に行って頂きたい。