実演鑑賞
満足度★★★★★
冒頭から深刻な状況なのに、それが非常にコミカルで、さすがにうまいと思った。
波風立てず平穏に暮そうとしているところへ、ありそうでなさそうであるかもしれない偶然をきっかけに家族が壊れて行くのだけれど、分別のある「立派な大人」たちが、時に対面を取り繕い、時に感情を爆発させ、それぞれが右往左往するさまは、完全な第三者である観客から喜劇に見える。
そんな、喜劇に見えるような状況の渦中にいる人たちは、それはもうどの道を選んでも悲劇にしかたどり着かない。
娘の、全てを諦めたような突き放したような態度の理由が、ラストの、窓から差し込む光に凝縮されているようで切なくなった。
あの狭いステージであのセットは驚き。
繰り返される旋律と、暗い照明もいい。
役者はみなさん本当に素晴らしかった。