教育 公演情報 教育」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.5
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  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    初演が'54年の作品だそうだが、田中千禾夫・作の舞台を観るのは多分初めて。セリフにはところどころ古さ故なのか違和感も。かといって現代口語訳にでもしてしまったら、舞台の雰囲気が崩れてしまいような気もするし、何とも不思議な読後感のような舞台。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    マンスプレイニングを描いたような芝居。当時は、そんな言葉はなかったが、マン+エクスプレイニング(説明)の造語で、男が女に何かと説教をたれる性癖・構造を指す。若い娘のネリーに、最初は父が、次には、代わりに現れた上司の医師が、長々としゃべる。あまり対話はなく、とにかく男の台詞が長い。おんなのせりふといえば「…してあそばせ」などと、古くささが時折目立つ。上司が主人公にあれこれ言うところでは、谷崎潤一郎「痴人の愛」を連想した。若い娘を自分の子どものようにしようとして、逆に振り回されてしまう。

    ネリーの出生の秘密をめぐっては、最後の第3場?で、母親エレーヌが、霊的妊娠の体験を語る。これが何を意味しているか。作者はカトリック作家だったなあと思い出した。

    ネタバレBOX

    ネリーは父の子なのか、父のなくなった親友の子なのか。父と母の言い分は対立するが、結論ははっきりしない。芝居にとっても、どちらでもいいような結末になる。母の言葉を信じるなら、死んだ恋人の例によって妊娠した、ということになるのだが、主人公にとっても観客にとっても母の言葉そのままでは納得できない。考えられるのは、父の精子で妊娠したが、母の気持ちは亡き恋人にずっとあった。父はずっと疎外されてきて、娘を自分の子とは思えないということだろう。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    1955年(昭和30年)、田中千禾夫(ちかお)は今作で読売文学賞を受賞した。三島由紀夫の激賞で知られる作品。

    フランスの田舎の村、エレーヌ(瑞木和加子さん)45歳と娘のネリー(椎名慧都さん)25歳、通いの女中(稀乃さん)が暮らす家。鉱山を経営する夫のルオウ(加藤佳男氏)60歳は月に一度生活費を渡しにやって来るだけで別の女と暮らしている。本妻ながら妾宅のような暮らしを強いられてきた二人はルオウを憎んでいる。外科医見習いでボードレールを愛読するネリーは男を知らず、愛というものが何なのかずっと考え続けている。
    今日に限ってなかなか帰らないルオウに業を煮やしたエレーヌは外出、二人きりになった時、ルオウはネリーに「今日でここに来るのは最後だ」と告げる。そして自分こそが一番愛に誠実に生きてきた者であることを。

    加藤佳男氏は小沢栄太郎みたいで凄い貫禄、格好いい。
    瑞木和加子さんはルイズ・ブルックスを意識しているようななりで戦前のサイレント映画女優のような雰囲気。虚ろで気怠げな表情が映画的。
    椎名慧都さんは若い頃の山本美憂っぽい。

    ネタバレBOX

    ①ルオウとネリー
    25年前、35歳の時に20歳のエレーヌに熱烈に恋をしたルオウ。醜男で金しか取り柄のないルオウは贈り物で気を惹くしかなかった。だが歳下の学友であったモテ男フランツに簡単に落とされエレーヌは子を身籠る。突然肺炎で亡くなったフランツ、身重のエレーヌに求婚するルオウ。世間体と家の為、結婚を承諾するエレーヌ。結婚後、ベッドの上で安らかな夢を見ながらフランツの名を口にするエレーヌ。それを見たルオウは家を去る。心から愛するが故に経済的援助のみに自分を律したのだと。
    それを聴いたネリーは全く愛情をくれなかった父こそが自分達を本当に愛してくれていたのだとショックを受ける。
    ②ネリーとピエール
    病院の上司である医師のピエール(野々山貴之氏)が訪ねて来る。妻帯者であるピエールはネリーに女の幸福を教育すると言う。相手にせずあしらうネリー。
    ③ピエールとエレーヌ
    少し会話。
    ④エレーヌとネリー
    父から聴いた話を突き付けるネリー、それを一笑に付すエレーヌ。肺炎ではなくルオウがフランツを殺したこと。(ここの部分は濁される)。処女懐胎を思わせる言葉。「夢を見ている時に天使がやって来た」「黒い天使よ」。(ルオウがフランツの夢を見ているエレーヌを抱いたことを暗示)。
    どれでも好きな話を選んで信じなさい。真実は貴方が選ぶもの。ネリーは否定する。真実はそこに確かにあるもので自分が創り出すものではない。

    第二場がつまらない。ネリーがピエールに実は惚れていなくては成立しない会話。既婚者の医師がさらさらその気のない若い娘を必死に口説いているようにしか見えない。
    だが鮮烈なシーンがある。グラスに入った度数の高い酒に突然マッチで火を点けるネリー。暗い部屋を照らす小さな炎。それを無言で眺めるピエール。

    大して良い戯曲とも思えない。羅生門スタイルで実の父親は誰なのか?が物語の主軸だが、愛とはなんぞや?までは届かなかった。
    居眠り客は多かった。
    ピエールに惹かれているがそれを必死に押し殺すネリーの方が客受けしたと思う。(お互い好きだが、付き合ってもいない別れ話)。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    何だか不思議な作品。場面が進むにつれ難解というかうまく飲み込ませてくれなくなる印象。飲み込みやすい解決は与えられない。あのメイドの登場は何なのだろう。あえて「教育」とタイトル付けされているのも不思議。

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