実演鑑賞
満足度★★★★
初演が'54年の作品だそうだが、田中千禾夫・作の舞台を観るのは多分初めて。セリフにはところどころ古さ故なのか違和感も。かといって現代口語訳にでもしてしまったら、舞台の雰囲気が崩れてしまいような気もするし、何とも不思議な読後感のような舞台。
実演鑑賞
満足度★★★
マンスプレイニングを描いたような芝居。当時は、そんな言葉はなかったが、マン+エクスプレイニング(説明)の造語で、男が女に何かと説教をたれる性癖・構造を指す。若い娘のネリーに、最初は父が、次には、代わりに現れた上司の医師が、長々としゃべる。あまり対話はなく、とにかく男の台詞が長い。おんなのせりふといえば「…してあそばせ」などと、古くささが時折目立つ。上司が主人公にあれこれ言うところでは、谷崎潤一郎「痴人の愛」を連想した。若い娘を自分の子どものようにしようとして、逆に振り回されてしまう。
ネリーの出生の秘密をめぐっては、最後の第3場?で、母親エレーヌが、霊的妊娠の体験を語る。これが何を意味しているか。作者はカトリック作家だったなあと思い出した。
実演鑑賞
満足度★★★
1955年(昭和30年)、田中千禾夫(ちかお)は今作で読売文学賞を受賞した。三島由紀夫の激賞で知られる作品。
フランスの田舎の村、エレーヌ(瑞木和加子さん)45歳と娘のネリー(椎名慧都さん)25歳、通いの女中(稀乃さん)が暮らす家。鉱山を経営する夫のルオウ(加藤佳男氏)60歳は月に一度生活費を渡しにやって来るだけで別の女と暮らしている。本妻ながら妾宅のような暮らしを強いられてきた二人はルオウを憎んでいる。外科医見習いでボードレールを愛読するネリーは男を知らず、愛というものが何なのかずっと考え続けている。
今日に限ってなかなか帰らないルオウに業を煮やしたエレーヌは外出、二人きりになった時、ルオウはネリーに「今日でここに来るのは最後だ」と告げる。そして自分こそが一番愛に誠実に生きてきた者であることを。
加藤佳男氏は小沢栄太郎みたいで凄い貫禄、格好いい。
瑞木和加子さんはルイズ・ブルックスを意識しているようななりで戦前のサイレント映画女優のような雰囲気。虚ろで気怠げな表情が映画的。
椎名慧都さんは若い頃の山本美憂っぽい。
実演鑑賞
満足度★★★★
何だか不思議な作品。場面が進むにつれ難解というかうまく飲み込ませてくれなくなる印象。飲み込みやすい解決は与えられない。あのメイドの登場は何なのだろう。あえて「教育」とタイトル付けされているのも不思議。