あゝ大津島 碧き海 公演情報 あゝ大津島 碧き海」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.3
1-7件 / 7件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    神風特攻隊や人間魚雷などの出来事は、史実の上では記録されているけれど、その裏で当事者のひとりひとりのことは埋もれてしまいがちで、でも彼らがいなければ、その出来事はなかったわけで
    自分も含め、戦争を知らない人々が大多数の中、知っていかなければいけないと思わされました

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2025/04/03 (木) 19:00

     私は、天チームの回を観た。彼らは、将来の夢や希望に満ち溢れていた。
    彼女らは、合唱に打ち込み日々に生きがいを感じていた。
     昭和19年、第二次世界大戦末期。それまで仲間同士でお寺に屯し、草野球したりして楽しみ、青春を謳歌し、食糧が日増しに貴重になっていく中でよく食べ、よく喧嘩し、大いに笑いあって、寺に時々遊びに来る合唱部の少女たちと交流したりして仲良く過ごしていた。
     しかし日増しに戦況が悪化して、あちらこちらで空襲の被害が大きくなるなか、少年たちは、一人また一人と、次々に意を決して、一人だけ陸軍航空部隊、他の草野球仲間は海軍に入隊した。暫くすると、彼らに特攻要員募集要綱が届けられた。
     この特別作戦こそが「回天特別攻撃隊」ーいわゆる人間魚雷であるといった感じで、ただ純粋に野球が好きだった少年たち、歌うことが好きな合唱部の少女たちの内の一人は学徒動員で軍需工場勤務に行かされたりと、否が応でも平和な日常が壊され、戦争に参加させられていくという不合理さ、非情さが身に沁みて、感じられた。

     特別攻撃隊と言うと、どうしても空の零戦で敵機に突っ込むイメージが強かったが、しかし実際は空だけでなく海の中で敵艦に突っ込む人間魚雷も海の特攻と言えると感じ、空だけでなく、海からも沢山の将来有望な少年たちが散っていったと思うと、何とも言えない気持ちにさせられた。

     今回の劇では、回天特別攻撃隊に参加した少年たちが儚く、美しく散っていくというふうな描き方をせず、少年たちそれぞれが、恋人や家族、仲間との会話を通して、「死にたくない、生きたい」という切なる当たり前の願いと、「お国のため、天皇陛下(昭和天皇)のため、いやそれより何よりも恋人や大切な家族を守るために、日本がここで負けるわけには行かない」と言ったようなこととが常に錯綜し、思い悩み、でもなんだかんだ言っていざ特攻のために人間魚雷に登場して、発信させる直前になると、怖さや不安、生きることの渇望のほうが買ってしまうがそれでも、進まなければいけないという「生きる」という人間の生存本能を犠牲にしなければいけなかった時代を、社会を丁寧に描き切っていて、現実味があり、その少年たちが決して完璧にできていた訳ではなく、その少年たちにも青春があったことを考えさせられ、普通の少年たちだったんだと感じた。そう思うと余計に切なくて、涙が出てきた。そして、このようなことは永久にあってはならないことだし、風化させず、人が生きている限り、皆で共有し、忘れないで記憶に止め続けることが大事だと、心に深く刻み込んだ。
     そして大事なことは、特攻という行為を美化しない。また、特攻に行く青年との儚い恋愛物語にしない。そして特攻を特別視し、完璧、死をも恐れぬと言ったふうに都合良く描かない。彼らだって、絶対に最後の最後まで一人の人間として思い悩み、死への恐怖に勝てない、超人でも何でもない、今を生きる私たちと同じ人間なんだってことを念頭に置かなければ、特攻で死んでいった人たちが浮かばれないと強く感じた。
     だから、戦争が起こってはいけないし、平和や人権意識を強く胸に抱いて生きて行かないと感じた。第二次世界大戦の中の太平洋戦争下では、相互監視をし、少年までもが特攻という形で青春や将来を壊され、戦争に巻き込まれて死んでいく、こんなこと二度と繰り返してはならないし、絶対にあってはならないと感じた。
     しかし、アフリカ諸国を見れば、しょっちゅう日常茶飯事に紛争が起こり、児童労働や児童婚が起こり、アジアでも似たようなことが起こり、中東やウクライナでは戦争が続き、ヨーロッパでは保護主義やポピュリズムが台頭し、テロがそこかしこで起こり、疫病が蔓延したりと、とても平和とは程遠い状況になっている。
     そして更には、核禁止条約に批准しないどころか、増やそうとしている国だって複数出てきている。この壊滅的な状況だからこそ、私たち一人一人が第二次世界大戦の記憶、太平洋戦争の記憶、特攻隊が少年たちで編成され、本当は生きたいけれども死んで行ったこと。沖縄戦の悲惨な状況、日本が第二次大戦中に東アジアや東南アジアなどにした加害の歴史、そういったことを常に記憶として止め、関心を持ち、加害の歴史に関しては常に反省し、今生きる自分たちのやったことではないけれども、無関心にならず、真摯に向き合っていく。その上で平和を願い続けること、これが今のような不穏で先行きが読めない時代だからこそ、日本だって本当の平和とは言い難い状況になりつつあるからこそ、大事だと切に感じた。

     また劇の中で、回天が一人分故障し、損傷が激しく、直せないレベルだったことから、一人だけ生き残ってしまったことを戦争が終わってだいぶ経って、お爺さんになっても悔やみ続け、自分を仲間を裏切ったんじゃないかと責め続け、その一方で、回天が故障して自分だけ敵に突っ込めないことが分かり、内心「これで生きられる」と思ってしまった自分がいたりする。     そういったことを女性記者に最初は気難しくて、話したがらないが、記者と交流するうちに段々と打ち解けて、心を開き、話し始める。
     最後のほうでは、自分が回天特別攻撃隊で死んでいった仲間のことを戦後何十年もの間思い続け、自分が後に続けなかったことを悔やみ、少しの間でも自分が生きれることに心底安心したことに対して、自責の念に駆られていたこと、そういったかつての仲間や特攻の記憶を覚え続けてきたこと、仲間たちへの供養になるんじゃないかと言うようなことを女性記者に言われ、やっと心の重荷が軽くなるといったふうに描かれていた。
     これほど、ただ生きたいということですら、戦争時、簡単に言うのが憚られ、普通に生きることができなかったかを考えると、私たちが今を普通に生きれることのなんと尊い事かと改めて考えさせられた。
     
     また、出てくる役者が美男美女ばかりという訳ではなく、むしろそうじゃない役者が大半だったのは、その当時普通に生活する人々が巻き込まれていったことを考えると、良い意味で現実感があって、劇的な悲劇などでなく、日常の延長線上で徐々にただ普通に生きたかっただけの人たちが巻き込まれ、悲惨な最後を遂げたり、家族と離れ離れになったりしていく感じがリアルに見えてきて、その当時の状況が浮き彫りになって見えて良かった。

     但し、特攻に行く人が、恋人とと通りで別れを惜しんで、いつまでも泣き合ったり、特攻に行く兄が妹や父母と長いお別れをして、悲しんだり、主婦同士で路上で戦争への愚痴を言ったりと言ったことは、現実的には出来なかっただろうと推察する。その当時、隣組が編成させられ、壁に耳あり、障子に目ありの状況で、更には官憲も跋扈していた状況で、そんなことは思っても、口には出せず、泣くことすらできない状況だったのではと感じた。そこら辺の時代状況、社会状況に対する細かい設定は、曖昧だなと感じつつ、特攻隊員たち一人ひとりに人生があって、夢があって、思い悩みながらもただ「生きたい」と切に願っていた。彼らも私たちと同じ人間なんだと思わせてくれる描き方には共感した。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2025/04/06 (日) 16:00

    座席D列17番

    価格5円

    泣きました。大号泣しました。
    カーテンコールの挨拶で、更に涙腺が崩壊しました。
    今を大切に生きなくてはいけないと考えさせられました。

    ネタバレBOX

    「命を使う時がきた。」という緊張感のある若い決意と、「もう笑ってくれないのか…」という父の言葉の優しさと悲しさに涙が止まらなくなってしまいました。全国民が視聴すべき舞台です。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     タイゼツベシミル!! 傑作。回チーム初日観劇。華5つ☆

    ネタバレBOX


     余りに当たり前で今更問い返すことなどナンセンス! と思い勝ちなのがヒトは死ねば二度と生き返らないという事実である。このことの意味する処をどれだけの日本人が今、自分事としてリアルに受け止めているだろう? そして戦争とは否応なしにこの事実が日常化することだという事実を。一旦戦争を始めてしまえば国家や高級軍人にとって兵は単なる消耗品に過ぎないという苛酷な実情認識を変えるもの・ことなど存在し得ないという現実認識を。
     上に挙げたことが今着々と進行している。問題だらけのマイナンバーカード推進の現実的理由は、徴兵制と考えるのが最も合理的な判断だろうし。
     閑話休題、今作が綿密な取材と能う限りの検証によって練りに練った脚本となり、勘所を弁えた巧みで本質的な演出によって動き出し、総てを破壊してゆく戦争の肝即ち日常生活そのものを木っ端微塵にしてゆく戦争の意味する処を実に本質的に而も分かり易く自然な会話とダイアローグに落とし込んで演じた役者陣の力量。これらを効果的な表現たらしめる照明・音響・スクリーン描写の上手さ、見事である。
     きちんと取材をしていることが端的に分かる例を一つだけ挙げておく。敬礼の形に注目してみたまえ。潜水艦乗り組み員達の敬礼の仕方・形cf.飛行機乗りの敬礼。ラストシーンで回天で特攻を行った者たちの敬礼の形が変化していることの意味する処。(こちらは観る者の想像力の問題だ)
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    オーソドックスな劇作の反戦劇。国や大切な人を守るために戦う、それを人間魚雷「回天」乗組員の視点から骨太に描く。当時の状況等を分かり易く観せるが、一方 既視感があることは否めない。本作でも登場するが、(航空)特攻隊の話は戦争を早く終わらせるため といった今から考えれば、詭弁の公演も観たことがある。この内容に、演劇的な奇知を求めることは難しいかもしれない。しかし、戦争を語れる人が少なくなる中、このような演劇(公演)を続けることは意義あること。

    今年は 昭和100年、戦後80年になるため、このような内容の公演は 多く上演されるだろう。しかし、決して忘れてはならないこと。当時の大義の下による特攻志願、その純粋な思い、そして同調圧力といった目に見えない怖さ。現代のようなSNS等といった誹謗中傷と違って国家が絡んだ、一種の洗脳と言っても過言ではないだろう。戦争は天災ではない、そして歴史は変えられない。今後 二度と同じ過ちを繰り返さないよう、1人ひとり 自分で賢く考え行動することが大切、そんなことを訴えている公演。今、世界を見れば紛争・戦争はどこかで起きている、ワールドワイドの現代において他人事ではないのだ。

    舞台は、同じ地域で野球を愛する青年たちが戦況を憂い、彼らの家族や愛する人たちを守るため 特攻に志願する、それまでの心情を情感豊かに紡ぐ。その情景を照明や音響・音楽で効果的に表す。勿論、俳優陣の演技も熱く力が入っている。場内のあちらこちらで嗚咽や啜り泣きが聞こえる。それだけ丁寧に描き 感情移入させる公演。
    (上演時間2時間10分 休憩なし)【 回チーム】4.4追記

    ネタバレBOX

    舞台美術はシンメトリー。二重の板、場面によって潜水艦に見立て、上部のハッチ(上げぶたのついた昇降口)を開けて階段を降りると、そこは「人間魚雷(回天)」内。上と下の間を平板で部分的に隠し奥行きを感じさせる。同時に上り下りといった動作が躍動感を生む。また潜水艦以外に、別場所といった空間的な広がりをイメージさせる。客席側に3つの台、その中央だけが少し小さい。その わずかな段差の上り下りも生きているといった息遣いを感じさせる。衣裳等…男性は軍服や軍刀、そして敬礼等の動作も凛々しい。女性は もんぺや割烹着で当時の雰囲気をだす。

    公演は、特攻隊員(「回天」乗務員)の生き残りが、雑誌の取材に応じる形で戦争の悲惨さを語る。時は昭和19年 太平洋戦争末期。物語は 同じ地域にいる野球少年、台詞に甲子園を目指すことや職業野球人になりたいといった夢が語られる。一方 少女たちは歌(合唱)の練習 そのハーモニーが美しい。上演前に「夏の思い出」といった、郷愁を誘う歌が流れている。そこには平和な日々が何気なく描かれている。しかし戦況の悪化、1人の少年が志願すると言い出し、仲間はそれを止めることが出来ない。当時の正義=大儀は お国のために役に立つこと。

    そして1人また1人と志願していく。また少女たちにも勤労動員の命令が下る。家族や愛しい人との別れ、生きて帰ってくることが叶わないと解っていても、必ず帰ると約束する。特に家族…父は傷病兵として家にいるが、息子に向かって自分の人生は自分で決めろ。母は人殺しを生み育てた覚えはないと言いつつ 食事の用意をする。両親の心中は、察するに余りあるもの。そして愛しい人からの手紙や手作りのお守り といった心情表現が泣かせる。

    志願先…空中特攻隊と海中特攻隊へ分かれたが、どちらにしても自己犠牲を前提とした特別攻撃隊。タイトルから後者をメインに、その訓練と心境を丁寧に綴る。上下関係にある者との会話(敬語)と仲間内の親し気な話し方で、物語に硬軟もしくは緩急をつける。また軍における上官への謹厳な接し方(敬礼や言葉遣い等)、外出時の愛しい人(恋人であり妹)との微笑ましい会話が交差して展開していく。「回天」搭乗する訓練で多くの(事故)死者を出した。それは人間魚雷への乗務がいかに難しいか物語っている。

    若林哲行さんが演じる、回天乗務員の生き残りの慟哭。戦後一度も大津島を訪れることはなかった。仲間は皆 戦死した。自分は、幸か不幸か生き残ってしまった。自分が搭乗する予定だった回天が敵の攻撃の影響で損傷、出撃出来なくなった。仲間に顔向けできないといった忸怩たる思い。生きることも地獄、戦争に生き残った者が生涯負うことになる悲しみ。その心に<戦後>という思いはないのだろう。だからこそ語り継ぐのだ。
    次回公演も楽しみにしております。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    すごい!これはマジで観て損はない。オープニングの映像から涙腺崩壊。劇が始まってから嗚咽しっぱなし。周りの観客からもすすり泣く声しきりなし。最後は号泣。マスクしていたから泣いていたの隣の人にギリばれなかったかと… 演出も最高だし演技はピカイチ。脚本ももちろんいいが、もう、ほんと、どれをとっても満点。これだけ完成度の高い舞台はそうない。久しぶりにたくさん涙を流させてもらった。この舞台にかかわったすべての人に感謝!マジで観てそんはない。

  • 実演鑑賞

    満足度

    4月2日観劇。

    ネタバレBOX

    全然時間通り終わらないので、バス使用の方は注意して下さい。

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