イヨネスコ『授業』 公演情報 イヨネスコ『授業』」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.4
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  • 実演鑑賞

    面白かったです。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    イヨネスコ「授業」は、楽園王を始め いくつかの劇団 公演で観ている。不条理をいかに不条理劇として観せるか、それをどう味わい深く伝えるかは、相当難しいのではないか。本公演も説明にあるように、構成を大きく分断し 戯曲の後半部分を先に、前半部分を後に上演して不条理劇の不条理を倍増させる工夫をしている。

    自分では、難解?もしくは自由過ぎると敬遠しがちだった不条理劇の魅力を感じることが出来た。今作は、不突合・不調和といった状況下における可笑しみ、同時に恐怖を感じた。また後半部分を先に表現することによって、不条理の(本)質というよりは、ループすることで不条理の連鎖なり重層、その量を意識させられた。まさに この世は不条理で満ち満ちているといった印象である。

    演出が好い。出演者の衣裳や行為(動き)、そして音楽の雰囲気が前半(最初の生徒)と後半(二番目の生徒)とでは違って、同じ不条理の光景(場景)でも その印象が異なる。この外観的な中に、不安・不穏もしくは苛立ち・怒り といった表現し難い感情が透けて見えてくる。勿論 生徒が鎖の付いた手錠をしていることは奇異であるが、教授と生徒という立場の違いを表しているのだろう。
    (上演時間65分) 12.23追記

    ネタバレBOX

    演劇を観る楽しみ 面白さは、表現し難いモヤモヤした気持を的確に表現してくれるところ。この得も言われぬ研ぎ澄まされた感覚が心に刻み込まれる。この公演もそんな1つ。

    舞台美術は 真ん中に白線、その両側にテーブルと椅子2つ。ほぼ対称であるが、一方のテーブルの上にテキストとナイフが置かれているのが違うところ。物語は、教授が言語学の講義をしているが、女生徒は歯痛を訴えている。それでも教授は授業を続けるが…。後半は別女生徒が教授に教えを乞うており、算術から始まる。足し算は出来るが、引き算が出来ない。数字という概念の理解が疑わしい。存在しているものを合わすことは出来るが、存在そのものを無(引)くすという思考はない。そこで数の概念 つまり言語学から教えること、それが先の場面(前半と後半が逆)へ ループしていく。女生徒が2人登場するが、同一人物として解釈するのか。

    教授と女生徒の感情は離れ、教授の苛立ちは怒りへ 女生徒のそれは苦痛に変わる。人間の心ほど読み取れないものはなく、感情のもつれが悲劇を生む。解らないことを無理やり講義(聞か)される苦痛、それが歯痛になるのか。自分では形容し難い思い、それを巧く観せてくれる。

    登場人物の衣裳…教授はワイシャツに黒ズボン、女生徒2人は上下 白、女中は黒服に白いエプロンで、薄暗い中でモノトーンが怪しく動く。動くと言えば、女中は直線的に歩くだけで応用が利かない、そんな不自由さを感じる。そこに常識に囚われた世界を連想する。音楽は最初の女生徒の時は、勇ましく煽るような、2人目は不安・不穏、そんな印象を受けた。この音(楽)にも拘りがあったのだろうか。
    次回公演も楽しみにしております。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    この不条理劇、それぞれ別の劇団で3回くらい観てますが、今まで観た中では一番洗練されていましたね。不条理劇に奇をてらっていないというのも変ですが、普通に楽しめました。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    金曜日拝見しました。五年ほど前にこの場所で拝見していたのを思い出しました。不条理劇をきちんと見たのがその五年前でその後色々拝見しましたがまたその時と違って人間の狂喜とか感情の起伏とか表現されて迫力ありましたね。役者の皆さんの力量は申し分なく、今回も楽しめました。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    「イヨネスコ『授業』」とは何なのか。奇怪そのものの戯曲は人の心の深層を叩いて来るものがあるが、正体は漠としており強度の高い解釈を作り手に求める。
    結論的には、面白いパフォーマンスであった。教授役は前回のリーディング企画で「お国と五平」の男役をやった男優で、人間の「狂気」の背後に流れる何かを、想像させるに十分な奇怪さを体現した。
    私はSPACで西悟志氏の非凡な演出による本作を目の当たりにしたので、「あれを超えるものはあり得ないし」と敬遠する向きがあったのだが、楽園王なら観る価値はあるかなと、(他の公演と散々迷った挙げ句)新たな「授業」を観る気になり足を運んだ。
    面白かった。
    醸されていたニュアンスを言葉化するのは難しいが、言葉が見つかったらまた書いてみる。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     元々20年前に利賀演出家コンクールで優秀演出家賞を受賞したメンバーでの再演。

    ネタバレBOX

     今作、不条理劇の代表的作品の一つとして名高いこともあり実に多くの演出家が独自の解釈で自分なりの捻りを加え随分印象の異なる作品に仕上げて舞台化してきた作品だから舞台を実際に観た人は多かろう。然し利賀演出家コンクールの規定で戯曲自体(今回作は翻訳)を基本的に変更できない、という縛りがある為、今作では教授の狂気を可成りストレートに表現している点が逆に極めて新鮮に映った。然し大きな工夫は無論ある。起承転結を入れ替え転結を前半で演じ、起承を後半で演じるということをして惨劇が永遠に続くことを示唆しているのだ。而も被害を受ける女生徒たちは何れも手錠を長めの鎖で繋いだ手枷をはめられているのである。この辺り何を象徴させているか? を考えさせ、多様な解釈を観客に任せている点が実に上手い。更に教室の壁には3つも掛け時計が掛かっており、それぞれ示す時刻が異なっている。このことの意味を考えるのも面白かろう。教室入口脇には書籍が詰まった書棚が二つ。如何にも全博士課程を修了した教授という実績を物語っている。近在の人々の間で極めて著名な教授であるが、実際に行っていることは殺人でありそれも大量の連続殺人であるのに、訪れる生徒たちが絶えないことも不条理だが、それはおいても登場する人物5人の中で何度も教授に危険だと忠告することで唯一正常な人間であると思わせる家政婦のマリーが、とりわけ危険な数学の授業だと分かり切っているにも関わらず教授の凶器であるナイフをテーブル上に置くのは、目立たぬ様で正常らしき人の持つ性質の悪い狂気を現わしている点で最も怖い。

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