THE STUBBORNS 公演情報 THE STUBBORNS」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.4
1-5件 / 5件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    THE ROB CARLTONの初見となった 『THE STUBBORNS』(MITAKA ”Next”SELLECTION)。 思い立って当日券で観劇。
    言い間違い、聞き間違い、読み間違いから、さらに記憶違いへ...。あらゆる誤読や誤解が巻き起こす珠玉の勘違いコメディ。そして、爽快で人間味溢れるユーモラスな3人芝居でもある。
    (京都の団体ということもあり)東京で知られていないと仰っていたけど、それで観逃すには余りに勿体ない85分だった。思い切って駆け込んで本当よかった。こんな出会いがあるからやめられないな、観劇。
    日本語特有の複雑さと奥行き、人間の可笑しさと頑なさを清々しいまでに使い果たした上質の喜劇で笑いっぱなし。観終わって改めて気づくタイトルの秀逸。2人が話してるシーンも面白のだけど、その間のもう1人の表情も抜かりなくて、3人芝居としても素晴らしかった!
    また絶対東京にきてほしいし、帰省にかこつけてホームの京都でも観なあかん。(不労社にせよ、熱いぞ京都!)

    個人的には会議シーンにおいて女性の方がより客観的かつ冷静に物事を見ている、という描き方も好きだった女性というだけでしばしば感情的と揶揄されがちな面があるけど、そういう女性の描き方をまるでしてないところすごくよかった。勿論性差問わず起こる誤解はユーモアたっぷりに描かれてるのだけど。本当に気持ちのいい、上質な、だけどそれが振り切っているからこそ個性的なコメディだった。
    (上質って書いておきながらなんですが、話の内容は全く難解でもなんでもなく、ご本人が仰る通りまじで不要不毛のくだらないやりとりです(笑)そのくだらなさの解像度にブーストがかかっていく様、それらに振り回される3人の様子が実に爽快!私も初見でしたが、1mmも構えず観られました)

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    「言語と記憶の誤解が生むディスコミュニケーション・コメディ」

     周到に練られた脚本と俳優の力演が客席をわかせるコメディである。

    ネタバレBOX

     とある国際会議に親に同行してきた高貴な家柄のフロニア・デッドライン(村角ダイチ)とバッソ・フェルボーミ(ボブ・マーサム)は、ドルベルト・デュマック(高阪勝之)の斡旋で限られた人たちしか使用できないマッケンジールームなる瀟洒な部屋に集う。親たちの目を盗み深夜の会議室に集った御曹司と御令嬢は何やら商談をしているようだ。

     出演者は非日本語話者が話すたどたどしい日本語を操り対話を展開するが、それがあたかも海外ドラマの吹き替えを観ているかのような心地がしてまず面白い。「すり合わせ」を「すなぎも」と言ってしまったり、お茶を汲みに部屋を出る際カジュアルな挨拶として悪気なく「殺してやるからな」と言ってしまうなど、覚束ない対話を繰り広げている。フロニアを警戒するドルベルトは、バッソに対し「隙を見せないでほしい」「援護射撃を頼む」と念を押し己のプランへの賛同を頼んだつもりが、バッソはそれをドルベルトのフロニアへの密かな好意(隙=好き)と誤解してしまう。気を利かせて二人きりにしたバッソだったが、部屋にいたフェロニアはバッソの日和見主義的な態度に「ほれてしまう(呆れてしまう)」と誤って発音してしまい、ドルベルトはそれをバッソへの好意と誤解するのだった。当然話し合いはうまく進まず、ここまでのディスコミュニケーションを解消したところで暗転すると、時代は30年後に移る。

     熟年になり立場を得た3人は再びマッケンジールームに集い若き日の一夜を思い出す。この30年で皆の日本語はだいぶ向上したようだが、曖昧な記憶がまたしても相互理解の足かせとなってしまう。フロニアは当初ドルベルトが自分に惚れていたはずだと言い張り、ドルベルトはフロニアについてバッソに「生き馬の目を抜かないでくれ」と言ったはずだと譲って聞かない。バッソはドルベルトとフロニアが二つの扉から入れ違いで出入りした場面を「ドアノブコメディ」と評した筈だと声を荒げるものの、そんな訳はないと他の二人に窘められる。ここまでくるとじょじょに観客の記憶も曖昧になってくる。やがてタイトルが意味する「頑固者」通りに三者が譲らないため各々の勝手な記憶の再現が舞台上に展開するが……

     言語と記憶の誤解によるディスコミュニケーションの連続に会場は大いに湧いた。物語が進むにつれてパターンが見えるきらいはあったし、前半部のコミュニケーションの答え合わせがややくどくもたついたが、丁寧な作劇のおかげで最後のいい加減な記憶の再現の場面が盛り上がったことは言うまでもない。ボブ・マーサム演じるバッソが、場を仕切りながらも決定的な場面では「キングメーカーになりたくない」と明言を避ける情けなさ、高阪勝之演じるドルベルトの育ちの良さゆえの鼻につく態度、そして村角ダイチが女形で演じたフロニアの高貴な天然ぶりなど、役者が皆イキイキしていた。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    ネタバレ

    ネタバレBOX

    THE ROB CARLTON 18F『ザ・スタボーンズ』を観劇。

    三鷹市立芸術文化センターの期待の若手劇団シリーズ。
    絶対に面白くないと確信を持ったので、情報を一切得ずに観たのだったが…。

    第一部:とある外国の伝統的な建物で、バッソ、ドルベルト、ファロニアが大事な会議を行おうとしている。彼らは将来有望な企業家であり、政治家で、野心満々だ。彼らの共通言語は日本語で、辿々しいながらも言葉を操る事が出来るようだ。
    いざ話し合いが始まるが、言葉の意味の取り違えで、会話は混乱に混乱を極め、大事な会議どころではなく、「我々は一体全体何を話しているのだ?」というカオス状態になってしまう。
    第二部:その30年後、彼らは社会的地位を得て立派になり、改めて同じ会議室で懐かしみながら当時の思い出話しをするが、各々の曖昧な記憶違いでまたもや混乱に混乱を極め、「我々は一体全体何を話しているのだ?」と同じようなカオス状態が起きてしまう。
    第三部:その各々の記憶違いを基に、当時と同じ物語を再現してみると、「一体全体何が起きていたのかが分からない」というカオスにすらならない状態になってしまうのであった。

    『日本語の意味の取り違え』『曖昧な記憶』だけをテーマに、人間の混乱の様子を描いている。
    たったこれだけのテーマだけで、こんなに面白い会話劇を成立させてしまう戯曲力と演出力に圧倒される。
    もう面白いのなんのって、興奮しまくりであった。
    追っかけ劇団決定である。
    今年のNo.1の予感がする。
    お勧めである。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    登場人物三人の演芸に近いコントコメディである。男二人、女一人の仕事中の休憩室のような場所のワン・シチュエーションだが、面白さを、各人の言葉、話の取り違えだけの笑いを種にしているので、話が弾まない。関西ものらしい破天荒さもなく、なんとなくいじましい。会話が全部台詞に書いてあるところや、ストーリーがあることから演劇としているのだろうが、これはやはり演芸だろう。台詞も、全員外国人でヘンな日本語や所作で話すというあたりも、しらける。素直に笑えないのである。三鷹の星のホールの若い劇団を上演させる試みは00年代には生きの良い面白い劇団がここから続々と現われてきたものだが、それも10年近く前のiakuあたりを最後に、ここのところ面白い劇団に出合わない。若者の方もこの場所に魅力を感じなくなったのかも知れない。今日の開場は三割30人ほどの入り、この観客では、こういう笑うだけが狙いの作品にはきつかったかも知れない。だが、そこへ行く前に、登場人物やシチュエーションの設定などが安易すぎることも主催者は指摘してあげないとこういう試みは役に立たない。

    ネタバレBOX

    このイベントも25年やって役割を果たしたと言えるのかも知れない。ホールも人手はたくさん居て、今日に限れば、観客より、劇場側の人数の方が多かった。これはまずい!。だが劇場側は主人風になってしまっていて、観客もあまり良い気分にはなれない対応である、たとえば、開場前に係員が出てきて、今日は雨だから、いつもは並んで入場のところを到着順にしますと触れ回る。さっさと時間になれば開ければ良いだけの話である。つまらないところで主人顔という由縁である。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    京都を拠点に活動する団体で、僕は初見。ただ、噂は耳にしていて、一度観てみたいと長く思っていた団体さんでした。ボタンのかけ違いや勘違いで笑いが起こる、王道タイプのシチュエーションコメディ。理屈っぽい台詞の掛け合いはコメディ愛好者に好かれそうな作風で、これから東京でも注目を集めそう。僕は好きです。

    ネタバレBOX

    三人の登場人物は、それぞれ母国語以外の言語でコミュニケーションをとり、三名全員がその「言語」に精通している訳ではない。なので、時々「意味のすり合わせ」が必要となる。三名は(おそらく)大きなビジネスチャンスを抱えており、大事な会議の前哨戦として前日夜に集まった。この席で、日本語の同音異義語などを取り違え、勘違いが連鎖していく。

    前半の「言葉の取り違いを中心とした笑い」はよく構成されており魅力的だったが、後半の回想シーンがやや強引な印象が残り、ちょっと勿体無い気も。ただ、後半をより盛り上げるには説明などが長く必要になり、すると余計に冗長になってしまうのかも。シチュエーションコメディを上手にまとめるのは難しい…と改めて感じた。でも、全体的に良作だと思います。

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