満足度★★★
ギリシャ神話からの代表的な悲劇
まず、この物語はギリシャ神話からのものだから、ギリシャ神話を読んでいないと理解出来ないと思う。
インド・イラン・ウズベキスタン他、ヨーロッパの国々はギリシャ神話は古くから受け継がれて当然の如く読んでる物語だから、あちこちの劇場で上演されてるのだけれど・・・まだまだ日本は国民性なのでしょうか?
知らない方のほうが多いのかもしれません。。
第1部「メデイア」<ウズベキスタン>
演出:オブリヤクリ・コジャクリ
自国に攻め込んできたギリシアの王子イアソンに恋をした小アジア・コルキス国の王女メデイアは祖国を裏切り、イアソンと結ばれる。 だが、ギリシア国に凱旋したものの謀略により隣国に追われたイアソンは、そこでの親子4人のつつましい暮らしに耐えられず、出世のために妻メデイアを捨てて
領主の娘と結婚を決めた。 夫に裏切られ、追放を言い渡されて絶望したメデイアは復習を決意し、領主とその娘を殺害する。 さらにイアソンを苦しめるため、メデイアは自分が産んだイアソンの息子を殺して悠然と去って行く復習劇。
あまりにも有名なギリシャ三大悲劇なので、あらすじは知っていたし、独特の音楽に乗っての演劇、素晴らしかったです。音楽はインド音楽を思わせる旋律でしたが、ウズベキスタンの音楽なのでしょうか?
第2部「イオカステ」<イラン>
演出:モハメド・アゲバティ
テバイ王ライオスは「自分の息子(オイディプス)に殺されるであろう」というアポロン神のお告げを信じ、息子を殺せと部下に命じるが部下は情けをかけて谷に赤子を捨てに行く。
息子(赤子)は羊飼いに拾われ大きくなって、旅の途中でライオスと諍いになり殺してしまう。(この時点で親子と言う事をお互いに知らない)
その後、オイディプスは自分の実母とは知らずに夫亡き後の王妃イオカステと結婚して新しい王となるが、二人は後に事実を知る事となります。
王妃イオカステは元の王ライオスを殺したのは実の息子オイディプスと知り、首を吊って自害します。
最愛の妻であり自分の実母だった女性を失い、オイディプスは自ら目潰しの刑に処し自分の両目をナイフで刺します。
そして放浪の旅に出て二度とこの地に帰って来る事はありませんでした。
この第二部は非常に上手く表現していたと思います。
第3部「ヘレネ」<インド>
演出:アビラシュ・ビライ
ヘレネは絶世の美女でした。ですから、結婚前はギリシャ全土から結婚の申し込みがありました。
エーゲ海をはさんでギリシャ本土と向き合う土地トロイアのお話です。
トロイアの王子パリスはスパルタの王妃ヘレネと恋に落ちます。
パリスはスパルタから王妃ヘレネをトロイアに連れてきてしまいます。つまり略奪です。怒ったメネラオス王(ヘレネの夫)はギリシャ全土に呼びかけ、トロイア対ギリシャ全土の戦いとなってトロイア戦争に発展します。
その後、なんと10年間戦いは続きました。
今回の第3部はちょっと抽象的でしたが、良く出来た構成になってました。
シアターコクーンは素晴らしい
開館当初、中島みゆきが宣伝部長よろしく「何でも出来る可能性を
秘めたホール」と触れ込んでいたシアターコクーン。
久しぶりに、このホールの素晴らしさ、このホールの懐の広さを、
堪能出来た作品です。
詳細はネタバレに書くとして、とにかく世界最高水準のホールと、
言えましょう。
どんな素晴らしい料理も、それを提供する店の雰囲気やサービスに
満足できなければ印象が変わるもの、皿や食器などのハードもしかり。
このホールで提供されていると、格調が高く見えるし、
実際満足度も高いんだなぁと感じました。
最近は蜷川作品や商業演劇に近い御馴染みの俳優さんを
集めただけの作品が多く、食傷気味になって、足も遠のいていましたが、
こういう情報量の少ない作品を上演した時こそ、
その素晴らしさを再確認できるというものでしょう。
作品としては、いわゆる前衛劇なので、非常に難解な作品。
上品な方、知的な方、またそれっぽく見られた方は
「すばらしいわねぇ」と述べられるでしょう。
劇評なら、「五感に訴えかける」「作家性が強く反映されている」と、
きっと書かれるのでしょうが、正直僕には????
玄人好みする作品って言われるのかもしれませんね。
絶賛した「へそのはなし」とは真逆に位置するような作品。
ギリシャ悲劇がベースになっているようですが、
抽象的な表現が多く、全く訳わかりません。
シアターXが専売特許で上演するような作品を、
なんで、コクーンで???って感じではあります。
客席も閑古鳥。シアターXなら程よく埋まる客数。
日本語で上演されても訳わからない内容なのに、
ウズベキスタン語とかイラン語とかインド語とか、
馴染みのない語感と宗教観が入り、僕には忍耐が必要な3時間弱。
敷居が高い作品というか、娯楽性を排除した真面目な作品というか、
芸術性に富んだ作品なんでしょう。
僕の守備範囲からは外れていました。
劇場の評価にも繋がりますが、美術、照明は素晴らしいです。
非常に美しい幾何学的な舞台装置は、表彰物と思います。
「芸術の秋」を堪能するには、ふさわしい作品と思います。
僕は年中堪能しているので、今回はご遠慮申し上げます。
※一旦、評価しましたが守備範囲外な作品なので、
評価をする立場ではございませんでした。
評価を取り消します、失礼しました。