絶望という名のカナリア 公演情報 絶望という名のカナリア」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.6
1-20件 / 22件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    現代社会の闇のような部分をうまく絡めた舞台、面白かったです!

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    なんとも言えない濃い舞台だったなぁと

    生きる事って
    そんなに難しい事じゃないんじゃないかと
    舞台上の人物らに言いたくなったなぁ・・・

    軽いコメディは入っているのだが
    基本は重いストーリー展開だった
    二時間の作品

    ネタバレBOX

    主人公は人生に疲れて
    死を選んだおじさんで
    冒頭にて長年飼っていたカナリヤを籠から放し
    自身は部屋で首を吊ろうとするのだが
    そこへ部屋を間違えたデリヘル嬢やら
    新興宗教の勧誘やらが来て
    自殺は有耶無耶になり
    そのまま主人公は新興宗教に傾倒していきます

    その主人公の部屋を間違えて入ってきた
    デリヘル嬢の事務所での話

    その事務所=893さんの下部組織で
    タレント事務所など3つも掛け持ちしてる
    なんか人情ある社長さんとか
    従業員らの話

    アイドルらしい翔馬くんの
    推し活してる方々の話

    主人公の解いた数式を基幹にした
    株式ファンドプログラムで
    会社を立ち上げてる女社長らの話

    主人公が入会したカルト宗教内での
    様々な話

    と上記の話=登場人物らが絡み合う
    群像劇ともいえる作品でした
    難解な絡みではないものの
    けっこう根太く絡んで人生が語られるのデス

    数学が好きだった主人公でしたが
    広い社会に出てみると
    自分の才能以上の方々多くて
    能量的にも非凡ではなく閑職に追いやらられ
    人生に絶望していたが
    カルト宗教等との絡みで少しは希望が出て
    ラストは少しは生きてみるかと
    前向きになります・・・少しなんですよ・・・・

    株式ファンドの社長さんは
    根幹の数式解が間違っていて
    それにより暴走したプログラムで資金の暴落を招き
    資金はカルト宗教のメンターに持ち逃げされ
    仲間も逃げ=誘われるも逃げずに=全てを暴露して
    自死を選びます

    デリヘル嬢は少し明るい未来になりそうな感じで

    推し活にハマったお姉さんは
    ガンギマリしてしまってリタイヤみたいです
    そこそこにハマっていたオバサマは
    借金も順当に返せる職場を見つけて(^-^;)
    なんとか生きていけるようでした

    カルト宗教は服毒自殺させて
    保険金&融資したファンド資金も全て
    教祖が持ち逃げしてしまうのだが
    ひとり服薬せず助かった男がいて
    今後宗教感とか一人残った罪悪感とか
    抱えて生きてくんだろうなぁ と

    カルト宗教の洗礼名が
    新撰組隊士の名前で
    履歴を知ってる主人公が入れる
    突っ込みは笑えました~♪

    ラストはカルト宗教入会時に書かされた
    保険金の受取人をデリヘル嬢にして
    主人公は戻ってきたカナリヤと
    部屋で生きてゆくんだろうなぁ・・・
    最低三年ぐらいは で終演です

    ほんに濃厚な舞台じゃったー
    登場人物らの生活感やら存在感は
    よく表現されていたが
    推し活のお姉さんの薬物系のとこは
    表現がいまいち分かり難かったかしら

    闇金とタレント&デリヘル業を経営させられてた
    社長さんの人柄は
    何んとなく気に入ってました
    善人な小悪党な感じ好きです(^-^)
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    ポアンカレ予想とか聞いたの何年ぶりだろう
    数学者の端くれ、それも落魄した男鈴木が主人公
    飼っていたカナリアを逃がして自殺しようとするところから始まる
    そこへ部屋を間違えてやってきたデリヘル嬢、続いて現れる新興宗教の連中
    鈴木を核に3つの舞台が展開される
    鈴木を巻き込んでいく新興宗教、鈴木の計算を元にプログラムを組む元部下の立ち上げたファンド、推し活のために風俗に身を置く娘たちとその芸能プロと風俗の両方の事務所を兼ねるヤクザの手下(らしい)
    生きている意味はあるのか、生きた証を残せるのか
    芸能&風俗の世界はあくまでコミカルに
    中国娘を騙る風俗嬢ケイコは岩田がなり切っていて、事務所を取り仕切るタカノの助川は実にいい味を出して憎めない男を演じていた
    宗教とファンドは狂気である
    そしてそれがつながる
    トラ丸は正直最初の窓を開けるシーンでは?と思ったのだが、、人生に疲れた男を実に良く演じていった
    新興宗教のメンバーもいかにもそれらしく演じていた
    ファンドを経営するヒロのどうにもならなくなっていく様子を東別府が好演
    最期の涙するシーンはこちらも涙が止まらなくなった
    ここで終わりか、暗澹たる気持ちで帰るのかと思ったら、カナリヤが帰ってきて、鈴木が死んでも最初の風俗嬢の役に立てるよう生命保険の受取人にサインさせて、もう少し生きてみようと考え(たらしく)終わったのは救いだった

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    ほぼ素舞台ながら劇場(楽園)の特性と大小の箱馬を活用する休憩無し約2時間、自殺を図った中年男が巻き込まれるシチュエーションコメディ的開始から、新興宗教・怪しいファンド・推し活など絡めて転がる展開は、この劇団にしてはややありきたりの感もありつつ、脚本家曰く「数学への復讐」が独特のスパイスとなり、その流れから予想外な形でタイトルの意味が氷解するところが素敵。あとヒジカタ役がいい声。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    面白かったです。
    主人公、そして闇を持った登場人物達の行く末は?と、どんどん惹き込まれました。
    様々な社会問題について考えさせられる内容で、観応えがありました。
    役者さん達の演技も素晴らしかったです。
    何とも言えない余韻を残す、良い舞台でした。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    最初はTPOに合わせて笑うのを我慢していましたが、やがて同じ思いをしていたであろう忍び笑いが耐え切れずにあちこちから
    あぁ~これで少しは解放できる、それにしてもブラックでずるいなぁ(笑)
    何より役者さんの等身大な感じの演技がとても心地よい
    自虐が入った女優さんに対しても「等身大」というのは失礼な話だけれど、いやホントそんなスピリッツも素敵でした

    当事者には全く見えていないけれど、観客には見えてくる彼等の“鳥かご”
    がんじがらめの“鳥かご”は当の本人の思考や行動が材料になっている事を興味深く体感できる公演
    第10回記念公演、拝見するのはまだ3回目が言うのも何ですが、甲斐ファクトリーさんの真骨頂キターーーーという思いがしました

    何故に甲斐ファクトリーさんの描かれる“闇”がこんなに魅惑的なのか
    日常生活の中で存在は知っていても、危険な香りがしてとても近づけない世界
    そこを覗き見できる魅力というのもありますが、その磁場から派生する偏った価値観
    当人がそれを絶対だとこだわるほどに”闇”は甘美に広がっていくよう
    心の震えは恐怖なのか歓喜なのかもはや見分けられない
    先に「とても近づけない世界」と書いたけれど、それは本当にさりげなく日常に入り込んでくる場合もありそうで自分だけは安全圏にいるとは決して言い切れず
    その立場になれば”闇”の中で陶酔し、冷静な判断はすっかり消え去り、自ら破滅の方へと進んでいくのではないかと想像できてしまうのにはゾクッとしてしまいます
    エピソードの絡み方、個々の存在感、観客目線の移させ方、象徴のように置かれた鳥かごと主人公の絡み方、どれもが素晴らしかったです

    ネタバレBOX

    世間では新NISAが話題になっている中、どこかで株式投資を扱った公演はないのかなぁと思っていたところ、本作では“投資信託”がモチーフのひとつに
    投資する側からではなかったものの、ヒリヒリと物語の中で溶け合っていて良かったです

    今回の行き過ぎた押し活や信仰も依存症と言えますが、いつか買い物依存症やSEX依存症など〇〇依存症を題材に取り上げて欲しい、ぜひ甲斐ファクトリーさんで


  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    明るい方向へ行くのかと思えばジワジワと闇に侵食されるような話。
    この中で幸せになれる人はいるのか、いれば救われるのになぁ。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    色々考える作品でした。やっぱり人間は弱くて強い

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    いろいろと考えさせる作品でした。
    ありがとうございました。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2024/04/27 (土) 13:00

    現実味のある脚本が素晴らしかったです!キャストの演技も素晴らしかったです!

  • 実演鑑賞

    色々な要素を詰め込めすぎた感は否めないかな。

    ネタバレBOX

    それらを回収、収束しきれない印象。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     べし観る! 多くの擽りを入れほろ苦い笑いを誘うが、現実に出来している末世を深く考えさせる作品。

    ネタバレBOX

     物語のタイトルと話の展開から明らかなように終演部分で主人公・鈴木は帰ってきた名前の無かったカナリアにdesperatioという名を付ける。無論、絶望という意味だが、ラテン語である。この辺りも如何にも研究者出身の鈴木らしい。ラテン語は学名を付ける際に用いられるから、この辺りにも今作がエンターテインメントとして創作・発表されている仕掛けがみえて面白いのだ。
     ところで、鈴木が15年の歳月を費やして挑んでいた数学の難問、ポアンカレ予想は1904年にフランスの数学者、アンリ・ポアンカレが提唱したトポロジーに纏わる理論で難問として有名であったが、約100年後、ロシアの数学者、グリゴリ・ペレルマンが証明した。だが、何故ホモ・サピエンスは絶対知を求めるのか? 私見であるが、それは現生人類が知を持っていることから必然的に出来した宿痾である。ヒトが現在地球上の食物連鎖の最上位に在るのは、当に知に負っているからであり、知無しにはヒトの繁栄は在り得なかったからであるのは自明と言わねばなるまい。同時に知恵は悪知恵という副産物、嘘という鬼っ子等たくさんの弊害をも齎しているが、これを何とかする為、即ち正しく処理する為にも基準となる絶対値を要するのもまた必然であるからヒトは絶対知を追求し続ける他に道を持たず、それなしには不安という泥沼に沈み込む他無いのである。故に絶対を合理的に求める手段として最も有効な方法が数学であることに異論を唱える者はあるまい。
     今作の作品構造に関して言えば、現代社会に蔓延るスターシステムをベースにしSNSを駆使したマッチポンプ型収奪方式をはじめ非普遍的宗教(即ち端的に言って詐欺、人口に膾炙した言い方では新興宗教と呼ばれる場合も多いが実態が詐欺の場合もあるから誤解を招き易い)という社会的仕掛けが実態をカモフラージュして脱法行為を成就させる事件を生み成功させる訳だが、その成功を成就させたもの・ことが数学的誤謬を原因としていること、逆説的ではあるが今作を根本で支えている論理的根幹は、この数学の絶対的合理性なのであるという事実。この絶対合理性に辿り着く為の死に物狂いの天才たちによる追求姿勢と覚悟は、人倫を全うすることの困難そのものでもある。対比されているのは現代日本の徹底した壊れよう。人倫も何もありはしない。そんな実感を多くの人々が持っており、然も同時に手を拱くだけで実際に有効な手段を取ることもできない情けない有様を浮かび上がらせているのだ。
     無論、この状況に抗する術もキチンと提起されていることは、作品をキチンと受け取った観客には明らかなことだが。
  • 実演鑑賞

    闇同士が絡み合い面白い
    登場の役者さんたちが良い

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    現在の色んな社会問題と詰め込んだエンターテインメント、グッときました。やっぱり身の丈に合った生活を淡々と送るのがよいですね。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    タイトルからして覚悟して行ったのでしたが、甲斐さんがおっしゃるように「突き抜けたエンターテインメント」でした。
    冒頭、え、このおじさんが・・・。こういう人は大抵・・・以下ネタバレなのでまっさらでご覧になりたい方は読まないでください。

    ネタバレBOX

    飼っていたカナリアを窓から放ち、天井から吊ったロープに首をかける。え、このおじさんが・・・。こういう人(あくまでも見かけからなんですが)は大抵失敗するはず。それとも意外とこのまま首吊ってしまって、回想みたいに絶望に至ったシーンが展開されるのかと思いきや、ピンポーンピンポーンピンポーンとインターホンがしつこく鳴らされ、出てみると「愛の宅急便ですぅ」と見知らぬ女が強引に入り込んで来る。ここでもうおかしくて笑ってしまうのですが、この後も新興宗教だのデリヘルだの、男性アイドルの推し活
    のためにチェキを大人買いする女の子だのおばさんだのとどんどん笑えてしまいます。今までも甲斐ファクトリーの舞台ではクスリと、あるいはシニカルに笑ってしまうシーンはあったと思いますが(全舞台見てはいませんが)、こんなに笑っていいんですかという展開。
    いや、本当は笑っている場合ではないんです。自分の欲望や寂しさのためにお金を稼ぐ、あるいは宗教に走る女たちや男たち。それを食い物にして逃げる教祖。
    何も解決されないままにお話は終わりますが、カナリヤが帰ってきたことと、死んでもある女の子の役に立てるようにと手配して、おじさんがもう少し生きてみようと決めたことは救いかもしれません。
    甲斐さんがこんな物語を書くとは思っていなかったので、その意外さに驚きましたし、とても楽しめました。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2024/04/23 (火) 19:00

    小劇場「楽園」と本作品の「絶望という名のカナリア」
    劇中には天国の下りと、巧みな関連付けが上手いです。
    上手いと言えば、劇場内の狭い空間を上手く利用した対角線上の舞台と客席。
    オムニバス形式にすることで場転の多さをカバーしていて、嫌みのない暗転が良いです。
    本公演が10回目という記念に観劇出来ましたが、物語自体は新興宗教や風俗営業など、どろどろしたブラックコメディな内容。
    決してすっきりする物語では無いものの(好みもあるので)、お芝居のクオリティとしては惹きつけられるものがありました。

    ネタバレBOX

    配役の個性が光る舞台。
    自殺から宗教、修行と称して殺されかけたり、数学の専門領域を駆使して答を導き出したりと、鈴木カズオの数奇な物語は、観る者に強いインパクトを残します。
    それと、カナリヤって黄色いんですね。
    勝手に想像の中では白色をイメージしていました(文鳥か)。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    本団体さんはどの作品も素晴らしく良くできたお芝居を見せてくれていますが、10周年記念作品の本作も良かったです。主な主人公となる鈴木さん(役名)の悲哀を感じながら拝見してましたが、彼は何を失って何を得たのか。ほんとに得たのか?と思いながら見ていました。そこに繋がる他のエピソードたちも一つ一つきちんと出来ていて、良く考えられてるなあと関心です。いつもどおり、伊藤さん(トラ丸)さんの演技はいいですね。久しぶりに見た東別府さんを始め、役者の皆さんすべてのお芝居も心に届きました。よい時間を過ごせました。大変満足の二時間でした。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    なかなか良くできた台本で面白かった。出だしこそ映画「幸せなひとりぼっち」のパターンかと思わせたが、その後は孤独と虚無感に苛まれた初老の男の物語を軸に新興宗教とヘッジファンドと風俗業と推し活という一見無関係なストーリーが巧みに絡みながら群像劇風に展開し、すべて丸く収まってめでたしめでたしの結末を避けながらもカタルシスと心地良い余韻を心に残してくれる作劇は見事。俳優たちもしっかりした演技で活き活きと演じていて好感が持てる。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    素晴らしかったです。オムニバス形式の舞台でテンポよく話が進みよかったです。意外とR指定な内容でワクワク(というかニヤニヤ)しながら観させていただきました^^

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    第10回記念公演。面白い、お薦め。
    人の生きる価値とは…。答え(解)があるような無いような漠然とした問い掛け、それを舞台という虚構性を通して浮き彫りにしていく。その独特の世界観が観客の関心と興味を刺激する。人間はモノではない、そこには喜怒哀楽といった感情がある。しかし物語ではモノ扱いのようで、世間の無関心であり哀れみといった光景が見えてくるようだ。

    少しネタバレするが、物語は3つの場面で構成され 必ずしも夫々が直接的に交わることはないが、それでも交錯した展開といった感じがする。タイトルから想像はつくが、人生に「絶望」した1人の男を巡る狂気にして驚喜(語弊があるかも)、そして喪失と再生のドラマ。

    現実にありそうなシチュエーション、そこに男の孤独・悲哀といった心情を描く。全体的に澱のような不快さ、そして滑稽でありながら どこか不気味な雰囲気を漂わす。公演の面白さは、脚本・演出は勿論、表現し難い情況をしっかり伝える役者の演技力であろう。見応え十分。
    (上演時間2時間 途中休憩なし) 

    ネタバレBOX

    舞台美術は 上手に幾つかの箱馬、中央には上部から照らし出した鳥籠。

    第1に、主人公 鈴木カズオが籠から鳥を放つところから始まる。文字通り自己を解放するといった比喩のよう。物語では、解放=自殺といった描きで その行為寸前で止める。突然の闖入者による中止、そしていつの間にか カルト宗教(団体)へ入信していく。
    第2に、アイドルグループを応援するため チケットや販促品の買取り等、金が要る。そのため出張風俗として稼ぐ。間違えて鈴木宅を訪れてしまうが…これが何度か続き少し親しくなる。風俗 闇バイトに潜む依存症のような不気味さ。
    第3に、鈴木と或る研究施設で一緒だった女性が資産投資家になり、世間の注目を集めている。ある数式を用い運用に掛かる損益分岐又は高利回りが解明出来るような画期的なもの。しかし数式に不具合が見つかり、高配当が困難な状況へ。

    物語は 3つの話を交錯させて展開していくが、必ずしも全てと繋げていない。現実にありそうな内容だが、それを都合よく纏め上げないところが巧い。逆に世間で注目を浴びるカルト的な宗教団体、若者が陥る闇バイト、ハイリスク・ハイリターンというマネーゲームという社会問題を切り口にして物語を紡いだ、という印象だ。そして中心に居るのが、鈴木という中年の男。数学に興味を持ち、それを生き甲斐と生活の糧(研究所勤務)にしてきた。その後を追い数学に没頭する女ー後の投資家 山崎ヒロ(東別府 夢サン)の憧れと嫉妬渦巻く心情が怖い。

    未解決の数学問題、その解を発見することが生き甲斐であったが、先を越されてしまった。その喪失感・虚無感が生きる気力を失わせる。それが冒頭のシーンのよう。鈴木は未知のものに惹かれるよう、そこに宗教という得体の知れない、不思議な感性に惹かれたのか。数学という純粋学問を経済という悪還流と結びつける奇知。

    ラスト、鈴木カズオは、飼っていたカナリヤに<ペレルマン>と名付け籠から放つが、それは嘗て挑んでいた数学問題を先に解いてしまった数学者の名。自縛していた気持を解放するといった比喩に思えるが。果たして このまま生き続けることが出来るのだろうか(鈴木は勿論、飼鳥が野生という現実も含め)。

    本来 迷える者を救う宗教とその一方で殉教で財源を賄うための生命保険、そして更なる投資で富を築く。そこに人の生き様を絡め 怪しく虚しい人生観を垣間見せた力作。
    次回公演も楽しみにしております。

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