満足度★★★★
伝え残すことは
泣いてしまいました。本来演劇とはこういうことをいうべき場所なのかもしれません。思えば戦争が終わったのはつい最近のことなのですよね。戦争を知らない子供たちですけど、自分の親は子供のころ体験している。「戦争」。それぞれの想い。芝居というよりドキュメンタリーリポートを観ているようでしたが、それも「あり」かなって、いろいろ考えさせられました。
とても陳腐な芝居だと思った……
……かもしれない、あれらの写真がなかったら。いや、決して芝居が悪いと言っているわけではないんだけど、戦争関係のものっていくらでも感動しちゃう話ってあるわけで、ハードル高いじゃないですか。そんな中、舞台に大写しにされる写真に、圧倒的な力がある。それは、戦地にいる父親や夫や息子に送るための家族写真。家族写真といっても、父親や夫や息子がいない、欠けた所のある家族写真。人数も服装も表情も様々なんだけど、彼ら彼女らの視線のはるか遠くにいるのは、その写真に足りない誰かであり、帰らないかもしれない誰か。そう思って写真の中の人たちの瞳を見ていると、それだけで泣けてくる。その一方で、淡々と投影される写真が、お涙頂戴っぽくなる物語を現実に引き戻すような力もある。庶民の記録ともいえるしゃしん。その静止画をうまく物語に溶け込ませ、しかも効果的に使って独特の作品にしていると感じた。
満足度★★★★
原作をうまく生かして、その世界を伝えてくれた
市井に生きる(生きた)人々の悲しみ、怒り、楽しみ、そして、それらをすべて包み込む「生活」がそこにあった。
満足度★★★
役者さんには文句なし!
だけど、劇作、演出が、残念ながら、とてもプロの仕事とは言い難いものがありました。
まるで、小学校低学年の子の書く遠足の作文みたい。
幾ら原作があるからと言って、その何に比重を置き、何をクローズアップし、何を削るか、原作のいいとこ取りをして、どう自分の戯曲として昇華させるかが、プロの劇作家の腕の見せ所だと思うのですが…。
挿入音楽も、馬鹿の一つ覚えの、叙情的楽曲の安直リフレインで、観客の涙腺を緩ませようという魂胆が見え見えな感じを受け、途中から辟易しました。
でも、大西多摩恵さんを始めとする、役者さん達の演技はどなたも素晴らしく、こんないじけた根性の観客でさえ、ちょっとほろっとさせられてしまいました。
星は、全て、役者さんへの賛辞です。