ホテル・カリフォルニア ~私戯曲 県立厚木高校物語~ 公演情報 ホテル・カリフォルニア ~私戯曲 県立厚木高校物語~」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 満足度★★★★

    青春のほろ苦さ
    この劇団がオリジナル作品を上演しないのはやはり異例なことらしく、就活の3年生が自分たちの想いを託しての本作上演らしい。
    1977年(昭和52年)に県立厚木高校に入学し、シラケ世代と言われた少年少女の学園ドラマ。
    劇作家の横内謙介の自伝的作品。自分より少し下の年代ですが、イーグルスの「ホテルカリフォルニア」がテーマ曲として流れ、インベーダーゲームや、ダンス音楽「ジンギスカン」、清涼飲料のチェリオなど、懐かしいものがたくさん出てくる。
    学生運動が終息したのちの世代は、お隣韓国でも「無気力、シラケ」現象が出たらしく、いまの高校生たちとはまた違う気質の若者を振り返りつつ、楽しく観せてもらいました。
    そうか、横内謙介さんはこの世代なんですね。厚木高校と言えば、職場の後輩が厚木高校出身で、女優の名取裕子さんと同級だったとかよく母校の話を聞かせてもらった。
    そのころは横内氏はまだ無名だったので、話題に出なかったが。

    ネタバレBOX

    48歳だという横山(辻貴大)がルーズソックスの女子高生(永井理沙)とカラオケボックスに来て、「ホテルカリフォルニア」を歌っていると、同級生のシュウケイ(佐藤圭)が語り部として現れる。
    最初はなぜ白衣を着てるのか、化学部か何かなのかと思ったら、どうやら亡くなっているかららしい。学生で白衣着てると実験かと思ってしまうんですよね。
    文化祭が終わったあと、みんなで河原に行かなかったことを後悔する横山。大学受験は大人になるための通過儀礼だという話になって、命がけのバンジージャンプが通過儀礼の国もあるということを聞いたシュウケイが「オレはそういう通過儀礼のほうが羨ましい」と言う。卒業後、シュウケイがマンションから飛び降り自殺したことで、「あいつにとってバンジージャンプのつもりだったのかな」と言う横山。
    お互い、憎からず思いながらも、何も言わずに別れていく横山とハッパ(小林香菜)。そのときは親や先生に叱られても、二度とない時間、みんなで河原で夜明かしすべきだったと横山は悔やむ。
    あるよね、そういうことって。青春のほろ苦さが身にしみる一作。
    宮城次郎を演じた巨体の金澤周太朗が、「帰れソレントへ」を朗々と歌うかと思えば、ジンギスカンダンスを熱演する、非常に存在感あふれる生徒ぶりで印象に残った。
    現役東大生が演じているだけに、会話で東大のことが出てくると客席に失笑がもれる。
    自分たちの知らない世代を演じてるのに、すごく自然でよかったと、この世代より少し後の世代の連れが感心していた。
  • 満足度★★★

    いつの時代も
    場面は48歳のおっさん(横山)がギャル女子高生とカラオケBOXで歌ってる情景から。どうやら、おっさんとギャルは今、出会ったばかりのようだ。おっさんはギャルと話しながら、自らの高校生活に遡る


    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX


    横山は県立厚木高校に在籍している。勉強漬けの毎日で忙しい最中、文化祭での催しものについて討論する。ここでのデブの宮城のキャラクターが実に面白い。笑の殆どを宮城がサラウ。大学受験を控えている彼らは誰もが文化祭の運営の中心にはなりたがらない。

    しかし、半ば強引に宮城が仲間に引きずり込んでしまう。青春ものには付き物の、仲間意識が芽生え、全員が協力し成功に導いていく。その中で東大入学を目指す一人が学習スランプに陥り、ゲームセンターで遊んでいる最中、ビーバップハイスクールバリバリのリーゼントにカツアゲされる。

    反抗するかと思いきや、素直に大人しく現金を差し出し、この後に吐くセリフが「痛い目を見るだけ損だろ?どうせアイツラ、将来は道路工事か工場で働くしかないんだから、威張ってるのは今だけだ。俺らが大人になったら逆にアイツラを使う立場になるんだから、今は大人しくくれてやれ。」と言う。笑

    ワタクシなど、高校生という大人と子供の中間のようなこの時期は、自分がどんな人生を歩むのかなど何も解らず気楽にけれど頼りなくふらふらとへらへらと毎日を過ごしていたものだ。けれどもここでの彼らは「今は辛いかもしれないけれど一生懸命勉強して東大にさえ入れば、勝ちだ。入ってから遊べばいい。そうして東大卒の俺たちは官僚になって国を動かす立場になれる。」などとのたまう。
    凄いな、と思う。

    世の中の厳しい現実には身も蓋もないほど現実的であらねば立ち向かえないが、高校生の彼らは意外に現実的であった。一方で精神的に不安定な同級生、レンアイになりそうな男女、演劇部での情景を織り交ぜながら、大人と子供の中間のような彼らは「自分では何も言わないくせにさ、そのくせ、他人には自分を解ってほしい。大人じゃないよ、そうゆうの。」なんてセリフを吐かせながらも高校生特有のあやふやさも垣間見せる。

    こうして横山の哀愁的高校生活のお話は「故郷とは風景の事ではなく、絆の事だと俺たちは知る。」なんてカッコよく〆ようとした矢先、ギャル女子高生におやじ狩りされて48歳の横山は財布をカツアゲされた。という筋。笑


    全体的に2時間は長すぎ。削れる場面はいくつもあって90分くらいが妥当だと思う。それから2人の女子のかちゅぜつが悪すぎ。もっと音楽を巧みに使って欲しかった。校歌とか「夏休み」とかを取り入れて観客を酔わせる仕掛けが欲しいとも思う。更に終焉後、一番感動していたのは演じ手のキャストらだった。それでも横山の演技力は他を引き離すほどずば抜けており秀逸だった。女子の演技力はイマイチ。

    過去の出来事って時がたつと記念バッジみたいにピカピカに磨かれてワタクシ達の手の触れられない場所に飾られがちだけれど、どんなバッチにも必ず裏側はあるよね。
    その裏の描写が弱かった気がする。。
  • 満足度★★★★★

    熱くてカッチョ悪い高校生
    カッチョ悪くて熱い高校生活を送ってるほうが、後になって作品のネタにできていいですね。教室に冷房なんてなかったとおぼしき30年前の高校という設定で、汗臭さが伝わってくるようなリアリティがありました。

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