「ユー・アー・マイン」 公演情報 「ユー・アー・マイン」」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.8
21-32件 / 32件中
  • 満足度★★★★

    クロカミならではの笑いの醍醐味
    1年ぶりの本公演。前回の「ボン・ボヤージュ」がサスペンスタッチのSF人情喜劇といった趣の作品だったせいか、勘違い、辻褄あわせ、取り違えなどにより混乱が増幅していく、野坂実お得意の手法によるコメディーは本当に久々ということになろうかと思う。
    開演前にパンフレットの複雑な人物相関図にゆっくり目を通し、頭の中に叩き込むことから観劇が始まった。こんなに早く劇場受付をすませたのも自分には珍しいこと。観るほうも力が入っていた(笑)。
    客演陣には、このところ続いた番外公演の出演メンバーが揃い、劇団員たちとの息もピッタリで、野坂演出にも慣れているせいか、クロカミならではの笑いの醍醐味を味わわせてくれた。ノリと勢いで突っ走る若手劇団の笑いとは一線を画し、大人の観客を満足させてくれる演技力がベースにあってこそのきっちり作りこんだ笑いがクロカミの魅力だと思う。
    そのせいか、番外公演でも、観客の年齢層が高かった。この劇団の芝居のスタイルに惚れ込み、参加を熱望している客演俳優が多い点では、電動夏子安置システムなどとも共通している。作・演出家と役者だけでなく、裏方さんらスタッフたちも含め、互いに尊敬し、信頼し合い、その団結力がすばらしい劇団は、やはりいい芝居を見せてくれるものだというお手本のような劇団である。

    ネタバレBOX

    いつもながら、本格的な舞台美術のセンスがよい。子供が生まれたばかりだというのに、マンション販売で成果を出さないとクビだと上司・辻健一(松岡努)に言われて頭を抱える不動産会社の営業マン・梶佳介(渡辺裕也)。2日前に梶の同僚の美伽(薬師寺尚子)にふられた社交ダンス講師・田端幸太(太田鷹史)と、前の日に彼氏の西園(加藤裕)の浮気現場に遭遇し、振ってしまった加瀬千郷(川本亜貴代)。
    2人とも結婚を前提に、家族に相手を引き合わせることになっていたが、別れたとは言えず、梶の勤務先のツインタワー億ションのモデルルームに相談にやってくる。
    千郷は、梶の妻とも友人だが、梶が酔って醜態をみせた写メを見せ、襲われたと言って妻に送ってもいいのかと脅して、強引に協力させる。
    梶たちはタワーズマンションのA棟とB棟のモデルルームを利用して、お互いを結婚相手だと偽り、それぞれの家族に紹介しようと計画を企てる。
    千郷は起業家の姉・依子(手塚桃子)との夫婦仲がうまくいっていない年下の夫の治(細身慎之介)と不倫関係にある(加瀬家は全員が加瀬姓だが、治は婿養子なのか?)。幸太の母・郁代(山素由湖)は高血圧症(おっとりとして天然っぽい)。姉・要(岡田梨那)はなかなか彼氏ができないと悩んでいる。
    プレイボーイぶっているが実は童貞の不動産会社社員・成美忠(ワダ・タワー)。辻の娘でモデルルームに遊びに来ていた媛花(ハマカワフミエ)は、父の前ではいい子を演じているが、実は蓮っ葉な女。ハマカワの変身ぶりがいまどきのギャルらしくて、笑いを誘う。
    B棟のモデルルーム見学を予約していたのに、苗字が「休(やす)」のため、B棟は「休み」と勘違いされてしまった休司門(久米靖馬)や、何とか千郷とよりを戻そうと追ってきた資産家の息子・西園、媛花らも騒動に巻き込まれていく。媛花は若いのに偽装家族の母親役にされて困惑(笑)。休は、偽装家族のことを「新種の営業のための即興劇」と説明されて信じ込み、観ているうちに自分も演じたくなって、勝手な芝居をして、さらに話が混乱する。久米が勝手に弟を名乗ったため、弟役をやるはずだったワダ・タワーが男なのに母親役を演じるハメになったり、もうメチャクチャである。
    休と西園、要と千郷が友人同士であるなど、都合のよい設定も目についたが、混乱の中でめいめいの役どころがどんどん変わっていく可笑しさは、やはり役者の巧さあってこそ楽しめる。
    幸太と美伽はよりを戻し、依子と治の仲は修復されるが、千郷は西園への愛情に疑問を感じ、シングルマザーの道を決断する。
    最後に、梶の妻に既に写メールが送られていたり、成美と媛花の抱擁を健一が目撃するオチが付く。
    どんな球もしっかり受け止めて確実に返球する名捕手・渡辺、直球型で一途に演じるからこそ可笑しみが出る加藤、守備範囲の広いワダ・タワー、役の解釈が確実でリアリティーあふれる川本と、劇団員の安定感はさすがだ。
    客演では千郷の義兄・細身、幸太の太田、幸太の母の山素、依子の手塚が好演。
    「別れた」と正直に言えばいいのに、どうせ、あとでわかることなんだからと言ってしまえばそれまでだし、家族の食事会をなぜモデルルームでやるのかとも思うが、だいたいこういうコメディーは実際にはなかなか起こりえないことを大真面目にやって見せるから面白いので、そのへんは、ハチャメチャな展開を楽しむしかない。
    ただ、終盤に西園が休に頼んで父親役まで演じさせたりする場面は混乱しすぎの感がある。もう少し、話をすっきりさせたほうがよいと思った。

    ほかに気になった点は次のとおり。
    脚本上、幸太の姉・要の存在が中途半端に感じた。
    台詞で梶が「てんちてんめいに誓って」と言っているが、「天地神明に誓って」が正しい。
    もうひとつ「獅子が千尋に突き落とす」は「獅子がわが子を千尋の谷底に突き落とす」が正しい。「千尋」は固有名詞じゃないです。故事は正しく引用してください。
    ワダ・タワーが、週末の見学会で屋台も出てお祭り気分とはいえ、不動産会社は週末のモデルルーム案内も正規勤務なのだから、お客の来る場所で私服のような派手なチェックのズボンをはいているのは違和感があった。
























































































  • 満足度★★★★★

    頭と腹筋を使った
    初めて観ました。なるほど、評判が良い理由がわかりました。
    非常に綿密に計算して、たぶん稽古もたくさん繰り返して出来た「笑い」。偶然とか勢いじゃなく、狙い通りの笑い。すごいですね。
    笑いすぎてお腹痛かったです。

    ネタバレBOX

    頭も使いました。役設定(?)がコロコロ変わるたびに頭の中で整理しないとついていけませんでした。いや、最後のほうはついていけてなかった自分(笑)よくぞここまで複雑にできたものだと感心。しかも複雑すぎて「えー?それはありえないんじゃ?」とテンション下がるんじゃなく、納得できてしまう不思議。
    舞台美術も素晴らしい。どうしよう、これから観るものがみんなしょぼく思えてしまうかもしれない。
    どの役者さんもそれぞれ良かったのですが、特に主役・梶さんをやった渡辺さんが好きでした。何もしなくても、そこにいてくれるだけでいい!みたいな感覚になりました。
  • 満足度★★★★★

    数組まとまっただけでも
    浮気と誤解、そして、その場を取り繕うためについた嘘であれだけ複雑な状況になっちゃったのに、少なくとも2組は丸くおさまった(?)のは奇跡です。収拾つかなくなって全員爆発で終わりでなくてホッとしました。全員が好演だったと思います。

  • 満足度★★★★

    ファルスの王道
    以前観た『妊xxx婦 SANJO』同様レイ・クーニーばりのとっさのウソと勘違いが錯綜するファルスの王道で、薄氷を踏む状況の連続に観ているこちらまでハラハラし通し。
    また、A棟とB棟の違いを表現すべくごく短い暗転の間に花と絵を変えるワザにも感心。

  • 満足度★★★★

    ごちゃごちゃし過ぎる感も・・
    物語は説明にあるとおり、相手方の家族と食事会をするため 自分の家族を呼んでしまっていたことから起こるドタバタコメディ。

    ネタバレBOX


    田端幸太と加瀬千郷らの家族は食事会をする設定で動いてしまっていたことから、今更、キャンセルなんて出来ない。二人はやむなく新築ツインタワーマンションのモデルルームで食事会を開催してしまう。ここで加瀬千郷が苦しい策を練って偽装家族を作ってまでも無理無理に決行してしまうから、なんやら話は矛盾だらけになってしまう。それでもどーにかこーにか、辻褄を合せる為に、更に偽装家族が入り乱れて偽装、偽装のオンパレードと化してしまう。笑

    そんな偽装家族はカマ風味の母親だったり、とんでもなく若い女子が60歳の母親という設定になったりと、パロディのようななんちゃって家族になっちゃうものだから、もはや、何が何だかわからなくなってしまう。笑

    偽装家族のアイデアのほとんどは加瀬千郷が指示を出し、小細工するが、その小細工が過ぎて観てる方もとんと解らなくなってしまう。ちょっと練りこみ過ぎの感はあるものの、終盤はどうにかこうにか収まりをつける。笑
    疑心暗鬼になって別れるはめになった恋人たちはめでたく誤解も解けて元の鞘に収まるものの、一方で加瀬千郷の恋人・西園哲也は更に小細工をして加瀬千郷を失うはめに。

    シチュエーションコメディ! と謳うだけあって笑いどころも満載だったが、人間関係が複雑すぎて、ややこしくなった感は否めない。それでも楽しかったのには違いない。もうちょっとすっきりさせた方が更にオモチロ可笑しかったと思う。
  • 満足度★★★★

    This is シチュエーションコメディ!
    ウソと勘違い、思い込みに開き直り、人の出入り、等々、それらをグッとミックスし、とにかく、パズルのように良く組み立てられている。
    これぞシチュエーションコメディという舞台。うまい。

    とてもいい感じに笑えた。
    上演時間も手頃だし。

    ネタバレBOX

    冒頭、エンジンのかかり具合がイマイチだったのか、観ていて「あれ? これ笑えるのかな」と、やや不安になったのだか、徐々にエンジンも暖まり、いい感じに笑いが場内に起きていくのと同時に、私も笑っていた。

    2つの場所で起こり、2つの問題(2組のカップルの話)が絡み合うというストーリーは、なかなかできるものではない。
    とにかく、その脚本と、細かい演出には、感心するばかりだ。
    ウソにウソを重ね、シチュエーションに別のシチュエーションが重なっていき、この物語は、一体どこに行き着くのだろうかと思わせるところがうまい。
    さらに、まったく関係ない第三者がそこに加わって、というのもいい感じだ。
    しかも、きちんと台詞と設定で笑わせてくれるところもいい。

    登場人物のキャラクターがいいし、演じるどの役者もとてもいい味を出していた。

    観ている側としては、その場所にいる、危機に陥っている登場人物に、常に感情移入をしてしまいがちであり、「何て言ってここは切り抜けようか」なんてことを一緒に考えてしまう。
    そういうシチュエーションコメディの王道を行くような、見せ方がうまいと思う。観客がやきもきしなければ、笑いは起きないのだから。

    ただし、この物語の大本となる、マンションの現地ギャラリーで両家の親子が顔合わせをする(しかも2組とも)ことと、タイミングよく知り合いのカップルが似たような境遇にあるという点は、無理がありすぎるように思える。
    もう少し無理ないノーマルな設定からスタートすれば、もっと面白くなったのではないだろうか
    そこから始まり、ちょっとしたウソのために(例えば、このマンションが自分のものである、とか)少しずつ混乱していくなんていうふうな感じだ。

    つまり、スタート地点が、まっとうであればあるほど、物語がヒートアップしていく中で、登場人物たちが、常軌を逸した行動に出ざるを得なくなっていくという設定にして、それがさらに倍増していく、なんていうほうが、笑いももっと大きくなったのではないだろうか。

    また、A棟とB棟のセットは、花と絵の違いで表していたが、観客にまったく別のところであるとわからせるためには、もっとはっきりした大きなものを使って変えたほうがよかったと思う。
    そうすれば、AとBを行き来する登場人物に対して、自分がどちらにいるのかわからなくなる、あるいは勘違いをさせる、なんていう笑いも作れたように思えるのだ(さらに複雑になるけど)。今回、2つの場所にする必要性があまり感じられなかったし。

    いずれにしても、いい劇団に出会えたと思う。
    次回も楽しみにしたい。
  • 満足度★★★★★

    浮気はコメディの元
    おもしろすぎる。
    総合的な完成度の高いシチュエーションコメディだったのだが、笑いツボがモロ自分好みで、久しぶりに展開を追う以外のことを何も考えることなくあひゃあひゃバカ笑いさせてもらった。

    個人的に、役者の演技が一人でも自分の基準水準の下にいるとそっちが気になって舞台自体に集中できないことがままあり、コメディだとさらに役者ごとの目指す笑いの性質の違いなども気になったりするのだけども、皆コメディ役者として魅力的な演技をしている役者ばかり、笑いの方向性も調和が取れていたので気持ちがいい。
    そこに、次から次へと状況が変わっていく、観客を待たないスピードのコメディの展開が加わって超楽しかった。
    逆に言えば大きな見所と笑い所はその怒濤の状況変化に由来するものだったので、観る側の状況を読む力が試されるという意味では非常に頭を使うし、頭を使っていてもなお混乱する場面がある作品だったといえるかも。
    でもだからといって語り口調や話が難解という訳ではないので、中学生ぐらいでも全然楽しめると思う。
    頭が混乱していく中で、起こっていることへの判断力が正常に働かなくなっていくのだってなんだか楽しい。

    キャラや独特の動きとかではなく、奇妙に緻密な脚本と役者の演技力で笑わせるようなコメディが好きな人なら、明日の活力を貰う娯楽として観るには間違いなくおすすめ。
    頭が疲れたという人もいるようだが、自分は観賞後いっそ爽快な気分だった。あえていえば、笑い過ぎて疲れた。

  • 満足度★★★

    面白かった‥けど疲れた。
    いわゆるシュチュエーションコメディ。舞台セット=とってもリアル。登場人物=いっぱい。そしてこのモデルルームを舞台にさまざまな人間関係が絡み合って=とても複雑です。

    面白いシーンもいっぱいあるんだけど、人間関係があまりに複雑すぎて、人物相関図を見ながらじゃないととついてゆけない‥。終盤に入って物語がだんだんと収束していくけど、その頃には集中力がすでに途切れてしまって、主人公たちの本来の目的が何だったのかさえよくわからなくなってしまった。

    ネタバレBOX

    さすがに2時間頭をフル回転して見続けるのはしんどい‥。ので、もうちょっとのんびり観られる部分があっても良かったかな。

  • 満足度★★★★

    緻密に計算されたコメディ
    初クロカミショウネン18、評判が高いのがよくわかりました! 色んな点においてきめ細かさを実感。脚本や演出はもちろん、チラシやパンフ、舞台セットや展開の見せ方に至るまでこだわってます。
    それが単なる枝葉末節には終わらず、話もよくできており、登場人物それぞれのキャラクターからご都合まで愉快に描かれ、めまぐるしく場面展開を繰り返していく手法もお見事でした。
    そしてそれらを演じる役者陣もご立派。あの舞台を支えるであろう相当な練習量を想像して感嘆しきり!

    ネタバレBOX

    あえて難点を言うとすれば、緻密すぎて時々混乱すること(理解力の問題か?)と、ぐるぐる考えているのにも関わらず中盤のペースダウンで気持ち間延びを感じたことでしょうか・・・上演時間約2時間、もう少しコンパクトにして勢いキープで突っ走って欲しいような気もしました。
  • 満足度★★★★

    観て損はナシ!
    とても緻密に構成されているけれど、神経質な感じは全然なく、おおいに楽しませていただきました。初見の団体ですが、クロカミショウネン18という団体名から思い描いていた雰囲気はいい意味で裏切られました!ありがとうございました。

  • 満足度★★★★

    おもしろかったー
    場面事に変わる人物関係やら配役関係?
    でもしっかりと演じ分けられていて、とても上質なコメディーだったと思います。
    ずっと見たかったクロカミショウネン18でしたが、期待通り楽しい時間を過ごす事が出来て良かった。

  • 満足度★★★

    楽しかった…んですが、
    楽しかった…んですが、もっともっと面白くなりそうな気がしました。シチュエーションコメディなので、ドンドンいり組んでいく展開はこれはある意味当然で、もちろん僕自身もそれが観たかったのですが…。に、しても、意味がわからりづらくちょっと「ん?」と疑問符がしまうところや、「それはどうかな…」とモヤモヤしてしまう所が少々多かったように思いました。ついていききれずに頭がちょっと疲れてしまった…そんな印象です。もうちょっとわかりやすく整理しても、充分に楽しめる作品に仕上がったのではないかと思いました。

    やはりでも会場が一体となって楽しめるコメディはいいですね。次回公演も、次回公演はさらなる名作コメディ、期待いたします。

このページのQRコードです。

拡大