水になる郷 ミズニナルクニ 公演情報 水になる郷 ミズニナルクニ」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.7
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  • 満足度★★★★

    2日目と楽前日に観劇
    上手側1/3弱ほどが室内、残りは「分岐点」を表す装置内で繰り広げられるシュールな物語はσ(^-^) の好きな「胡蝶の夢」やメタフィクションの香りも漂わせていろいろと解釈ができそう。
    そのメタフィクションっぽさに夢野久作の「ドグラ・マグラ」を思い出しただけでなく、エッシャーの「版画画廊(Print Gallery)」やクラインの壷も連想。また、終盤での編集者の「世界観はイイ。で、どう終わらす?」という台詞はそのまま観ている側の気持ちだったりもして…(笑)
    31日の二度目はオチを知っているだけに、景の姿が1人を除いた他の人々には見えていないことに改めて気付き『ファンタスマゴリア』での「オチを知った上でもう1度観ると…」という想いをここで果たせた、みたいな?(笑)
    ちなみに楽前の席はD列7番。

  • 満足度★★★

    一級品の焼き物も配慮に欠ければ・・・

    始めのほうに出てきた、初代分岐点守。
    コミカルでチャーミングだったが、
    芝居の序盤での登場でそのテンションにはのれず。

    また、全体的な雰囲気からもやはり浮いていて、
    途中の登場だったなら舞台ぶち壊しとまではいかないまでも
    それに近い次元まで到達していたかもしれませんな。

    しかし、別の団体なり、別の作品なりで、
    彼を観ていたらきっと笑っていたかもしれない。

    ただ、彼は中盤以降、現実世界の編集者も演じており、
    初代分岐点守の過去の経歴である「犯罪者」という設定はどうなったのだ?
    謎の世界で、水になる道が見えてきて、進んでいったから、成仏とかなんとかなったんだろうか。
    輪廻転生して、編集者にでも。いや、それとも別人なのだろうか。

    謎の世界自体、劇中の脚本家の描く不思議な世界だったわけで、
    脚本家の知り合いがその謎の世界の住人として出てたってことなのか。
    少々謎でした。



    謎の世界で、ある少年の姉が、
    図書館で本を見つけたとか、それが実は噂話で自分も騙されただけって言っていた内容が意味深だった。いい意味でも悪い意味でも。
    というのも謎の世界の住人である彼女が、
    実は自分達の世界は作家によって描かれた世界なんだとか、
    自分達もその作家に作られた仮想の人物なんだ的なことを
    なんらかの方法(本なり噂なり)で知ったってのはどうなのだろう。

    意味深ではあったが、それ以降それについてはうやむやになったわけで、
    勿体ないというか、もっと掘り下げてみてもよかったのではないかと
    不思議好きである拙僧は思いました。

    逆に、それを展開すると、収拾つかなくなるのかもしれんが。



    しかし、それら1、2やその他諸々気になった設定はあったものの、
    スカイハイやホリックと言った漫画のような要素のキーマン、分岐点守を出したのは良かった。
    世界観としてはとても面白く、美しかった。
    良い設定で、良い世界造型がある程度しっかり構築されると、
    多少の疑問などどうでもよくなりますね。



    現実世界の幽霊役の女の人が、
    少々お歳(とは言え若い)でしたが妙にえろかったですな。
    脚本家にまたがって、首に手を回し、ぶら下がった後ろ姿など……。

    個人的に2で一瞬触れた(単語出てきた)謎の世界の少年役の人が好きでした。
    MVP的な。
    少年。ピーターパン。パック。そんな感じで。



    残念だったのは
    最後の扇風機。
    舞台の天井から垂らされた無数の細い布が、
    ラスト幕切れで扇風機によって揺れる効果は良かった。
    しかし、作動中は仕方ないにしても、
    スイッチ入った時の大きな音に、ほぼ観客が反応したと思われます。
    拙僧は舞台後列に居りました。
    客席天井の扇風機の設置が厳しかったのか。
    また、その作動始まりに、音楽を大音量で流しとけばまだマシだったのでは?と悔やまれます。


    結論
    全体的な雰囲気としては
    ☆5とまでは行かなくても☆4.5くらい差し上げたかった。

    しかし、幕開けと幕切れが致命的(特に幕切れ!)でしたので、
    ☆3にさせていただきました。

    楽園王+の長堀さんの脚本だったようですが、
    彼の自劇団での作品よりも好感度高いです。

    たぶん、「エッシャーのような……」という彼の劇団の売り文句の片鱗を垣間見れたので。

    エッシャー好きとしては、エッシャーのようなというのはやはり大げさだとは思いますが。

  • 満足度★★★★

    作家の描く世界を演出
    「水になる郷 ミズニナルクニ」を作家が書き上げてるさま。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX


    舞台の端っこに作家の部屋があり、その反対側の端っこに分岐点守がある。中央は「水になる郷」の入り口。

    作家は一人の女と一緒に部屋に居た。橋の上から飛び降りようとした彼女を助けたと思っていた作家は、後に、その女は既に自殺して死んでいたと悟る。女はこの世の未練が幻となって死後、橋の上に立っていたらしい。幽霊の彼女の傍で作家は舞台の脚本を書いている。それが「水になる郷」

    舞台は作家の脚本進行の様子と同時に本の中の物語を演じる。

    「水になる郷」は雨が降らない代わりに人が水になって他の住人の生活を支えて郷が成り立っていた。ここでは家族の為に自分が水になって人々を潤しやがて水が溢れて湖になった父親を慕う来鳥と誉の姉弟の心の描写を鮮やかに映し出す。そして分岐点といわれるこの世とあの世の狭間(境界線)に腰を据えて分岐点守が神様のような風貌で守っているが、この守り神がどんな状況でここにやってきたかも劇中に映し出され、私は不思議な世界の端っこにでも座ってるような感覚になってワクワクする。

    やがて物語が進むにつれて、愛した人が死んでしまった後に残された者が持つ心の翳りにふれた思いがした。突然、誰かが居なくなったという恐怖。空虚感とも似た感情をどこにも捨てられない来鳥を、分岐点守がゆっくりと塗り薬を傷に擦り込むように癒していく。この場面のセリフがいい。

    一方で作家雨宮に声をかけられた幽霊景は「まるで風景の一部のようだった。誰にも愛されず、愛する事もなく憎まれず、憎むこともない。生き苦しかった。ああ、間違って生きて来ちゃったんだな・・、本当は水に生まれるはずだったんじゃないかって。」と雨宮に訴える。そんな景は雨宮と暮らすうちに雨宮の景への想いに触れて砂漠のような心に水滴が広がるように沁みて、沁みて、沁みて、やがて潤ってくる。

    こうして自殺した女は「水になる郷」へたどり着く。という筋だったが、最後の終わり方が、あれ?あれれ?これで終わり?みたいな気持ちになった。急に物語がストン!と幕になってしまったような感覚!

    んじゃ、「水になる郷」の物語はソレで終わり?来鳥と誉は仲良く暮らしました、でいいの?それとも景が死んで「水になる郷」にたどり着いたから終わりなの?

    優しくもあり、ちょっぴり涙を流しながらも物足りなかった物語。

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