猫の墓-漱石の想い出- 公演情報 猫の墓-漱石の想い出-」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.5
1-3件 / 3件中
  • 満足度★★★

    漱石の真実
     表題の「猫の墓」は、漱石の随筆『永日小品』に同名の作品がある。そこにも、妻との葛藤がうかがわれる。ただし、舞台に描かれるような、激烈な諍いがあったかどうかはさだかではない。一方、舞台末尾に出てくる「猫の死亡通知」もよく知られるところだ。そんなユーモアをよく解する漱石は、『吾輩は猫である』などの初期作品でもおなじみである。しかし、舞台上の、たえず、いらだち、自分に菓子が残されていないことにも怒りを募らす人物とは重なりにくい。妻からは「高慢で体裁のいいことばかりお書きになってる」と非難されるのだが、実際の漱石にもそんな側面があったとしても不思議ではない。そもそも、どんな人間も少なからず多面的ではある。そんな複合的な人間を、統一的な論理でさばいて見せれれば作品が説得的になる。本作には、背後の説明仮説にまだ埋めるべき部分が残されていると感じられたのだが、どうだろうか。

  • 満足度★★★★

    漱石とその妻・鏡子のお話
    この物語は何がどーってことはない。
    舞台は、漱石最後の棲家となった早稲田南町七の、夏目家の台所での日常を綴った物語。

    何がどーってことはない日常なのだけれど・・やたら笑えた!
    何がどーってことはないのだけれど、そこが可笑しいのだ!

    以下はネタばれBOXにて。。


    ネタバレBOX

    パンフレットには漱石の年譜ノートなるものが付いていて、それによると舞台は1908年、漱石42歳。

    始演前に出演者全員が正座しての配役の説明があってより分かりやすい。これってパンフを見ながら確認できるからワタクシ的には好評だった。

    舞台は三女栄子が病気になった場面から始まる。
    漱石の家には門下生を始めとして植木屋、車屋、クズ屋、看護婦、下女、占い師などの大所帯で、外目からは裕福のように思われていたが実際の台所は火の車で、漱石の財布の緩さに対して妻・鏡子が締めていた様子も伺え、漱石と鏡子の壮絶な喧嘩のシーンは観もの!(@@!)

    鏡子役の稲川実代子の演技力は流石!としか言いようが無いくらいヌルクナイ(^0^)息もつかぬほどの早口と罵倒で漱石を追い詰めるセリフには頭が下がる思いがした。いあ、あんな風には言われたくないけどね。笑

    鏡子が夏目家を仕切っているさまや、甘党の漱石が放つセリフも可笑しく楽しい。出入りの業者と下女が恋仲になる場面や、下女「お房」の失恋の場面も取り入れながら、舞台を魅せる。
    提灯を持って出かける占い師とクズ屋の夜の掛け合いもお見事だったし、ちょっとエロ楽しい!(^0^)
    その場面の演出もコミカルで祭りの楽しさみたいな雰囲気が充分に伝わってきたのだった。

    極めつけは漱石の門下生こと、森田草平はスナフキンみたいな雰囲気があって、酒を飲む言い訳が「中から消毒する。」という。
    何かにつけて、スナフキンは「中から消毒。」「中から消毒。」と言いながら漱石の台所で酒を飲む。笑

    夏目家で、出入りの業者や下女らが割りに自由にしていた様子が伺え、キャスト陣のキャラ立てもハマっていた。

    何がどーってことはない夏目家の台所なんだけれど、やたら可笑しい舞台でした。満足!

    タイトルの「猫・・」だけれど、この時漱石は「三四郎」を執筆中で、初代の猫が物置のヘッツイの上で死んでいるのを確認する。でタイトルが「猫の墓」なわけだ。今回の物語とはあまり関連性がなかったような・・(失笑!)




  • 200909101930
    200909101930@王子小劇場

このページのQRコードです。

拡大