アザミ 公演情報 アザミ」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 5.0
1-1件 / 1件中
  • 満足度★★★★★

    破滅への愛
    とにかく素晴らしいです。
    全てが大学准教授の平井の研究室での会話劇。
    初盤、講師と大学生との青森弁での会話劇はゆるゆるとのどかな雰囲気から始まり、この二人の会話が絶妙!

    しかし、次第に物語の真実が見えてくる。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    妻も子も居ながら生徒の女子学生を愛してしまった講師。
    2年前から講師とも同じゼミ生の青年とも関係を持っていた女子学生のふゆ。
    はっきりしない今時の青年だと思い込んでいた野口は実はふゆのストーカーで、ふゆと平井の関係も全てを知っていながら、ふゆと結婚するという。
    一方、本を書けない講師を書かせようとやってきた久美子。彼女は平井とふゆの会話から二人の関係を察知する。

    物語はふゆの結婚を認めたくない講師と中途半端な関係を一掃したいと考えながら講師の心理を揺さぶり試すふゆ。その全てを知る野口。

    4人の深層心理を探りながらのストーリーの進み方が理屈っぽいけれど、響く。こちらの感情に小気味良く響くのだ。

    平井はふゆの結婚に刺激されて小説が書けるようになる、というスパイスもニクイ。

    少女の不思議な旅を巡る劇中物語の主人公はふゆなのだと思う。この劇中物語を集中して聞いているとすっごく楽しめる。凍りつくような寒さの中で鼻が凍りついた音が、「鈴のように鼻の中でちりんと音がする。」と表現する。
    ここに作家のおちゃめな感受性を覗いたような気がして嬉しくなる。

    芝居は不条理劇だと思う。
    愛するがあまりふゆを刺した野口。その野口を詰る平井。野口に浴びせた言葉が同じように自分に振りかかってきて苦しむ平井。

    物語は絶望で終わる。

    久美子は全てを知っていたのだろうか?このようになることを・・。
    だから、先生は今後書けなくなる、と言ったのか?


    とにかく素晴らしい芝居でした。平井演じる高橋淳の膨大なセリフの暗記は、神がかりでした。

    好きです。こうゆう芝居!

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