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舞台芸術まつり!2025春
応募作品
すいかの種の黒黒
う潮 (東京都)
公演に携わっているメンバー:5人
【団体紹介】
慶應義塾大学演劇サークル「創像工房in front of.」出身のながおあいりによる演劇ユニット。 一年間のアメリカ留学を経験し、現地の大学にて演劇を学んだながおが、帰国後の2023年に設立・活動開始。名前の由来は「観た人の心にざわざわと波を立てる作品を作りたい」という想いから。 かねてより岩井秀人の影響を受け、現在はハイバイ作家部にも所属するながおは、自身の実体験や消化しきれない過去の思い出などをもとに、フィクションと織り交ぜながら描く「私演劇」を実践する。観客の潜在意識をも掘り起こすようなリアルで生々しい人間描写と、社会に生きる人々の姿を通じて現代社会の在り方を炙り出すような繊細な描写を得意とする。また演出においては、異化効果やメタ構造を巧みに使い、作品と観客の人生とを接続させることに果敢に試みる。 善良な人間の潜在的な加害性を炙り出し、「優しさとは何か」という問いを突き付けた『ふうかちゃん』、無力感や諦観に苛まれる若者たちがそれでも目の前にいる人とこの世界とに想いを馳せる『疾走』に続く三度目の公演。
【応募公演への意気込み】
本作は、幼馴染の燈(あかり)と夏(なつ)が、文化的・経済的な格差が要因で次第にすれ違い始め、異なる世界を生きているかのように交わらなくなった2人が、大人になって再会するまでの20年を追った物語です。 2021年の初演時には、「同じような経験をした」「小学生の頃を思い出した」といった感想を多数いただき、社会的な要素も含みつつ、観客の人生の地続きにあるかのように個人的でもある物語は好評を博しました。 再演となる本公演では、物語の魅力をさらに引き出すことが目標です。初演時には思春期の描写が中心でしたが、歳を重ねた私自身の視点やここ数年の社会のムードの変化を反映させながら、大人になった2人の関係とその行方に光を当てて描きます。 また、分断と絶望が広がり続ける世の中だからこそ、この作品が描き出す「小さな光」=「人と人が再び繋がり合う可能性」がより希望的なものとして映るのではないかと感じ、ここに再演の意義を見出しています。分断の最中にあった燈と夏が、互いの人生の下り坂で、鎧を外し生身の人間同士で再び出会い直した末の「人間賛歌」を描きたいと思っています。
【将来のビジョン】
う潮は、お客さんと共に歳をとっていくような「人生の歩みと共にある演劇」を作り続けること、そしてそのために、経済的にも精神的にも持続可能な形で活動を続けていくことを目標としています。 2024年度には2回の公演を行うことで、より多くの人がう潮の作品に出会う機会を作り、う潮の作品をいつでも観に来て、支えてくださるようなお客さんを形成することを目指しました。実際に、前回公演『疾走』では旗揚げ公演から大幅に動員を伸ばし、今回はそれをさらに上回る客席数を予定しています。 う潮が描く作品は、社会の様相の変化やながお自身の人生の歩みによって流動的に変わって行きます。そして、そういった時間の流れを反映させながら作るう潮の作品は、観客にとって常に「人生と接続する観劇体験」であることが不可欠だと思っています。そういった意味では、う潮の演劇は一方的に提供するものではなく、作品を通じた観客との相互関係に一番の価値が置かれており、今後も公演活動を続けていくことで観客とのコミュニティ形成に努めたいと思っています。
公演に携わっているメンバー(5)